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高齢者医療における日常生活の維持と創意工夫 #2.
高齢者医療は 高齢者の日常生活を 維持することである #3.
「日常生活を維持する」 日常生活という流れの中で,疾患などのイベントの波で 転覆しないようにバランスを取りながら進んでいくのを 支えていくこと #4.
Creative self/Creative capacityという概念 (高齢者に限らないが)日々押し寄せる様々な波に対して日常生活の ルーチンを継続するために人は創意工夫する そうやって創意工夫する主体をcreative selfという そしてその発揮する創造的な能力をcreative capacityという creative capacityを発揮するためには,その人の強みと弱さ,疾患などの 波の大きさがバランスが取れている必要がある Christopher Dowrick. Person-centred Primary Care: Searching for the Self. Routledge, 2017. p145 生協浮間診療所 藤沼康樹先生レクチャーより #5.
Creative selfは 日常生活という流れの中で,バランスを取りながら進む これらを評価し,必要に応じてサポートする Creative self 創意工夫する自己/主体 Flow of daily life (Im)balance 日常生活の流れ 資源と必要度のバランス Stability 安定感 Power 推進力 Christopher Dowrick. Person-centred Primary Care: Searching for the Self. Routledge, 2017. p142 日常生活の流れと安定感の重要性 #6.
Flow of daily life 日常生活の流れ 日々のルーチンとしている習慣 社会的な活動 疾患への罹患 人間関係も含めた周囲の環境変化 そういった大小様々な波が その人を脅かすかもしれない 老年症候群と高齢者の生活機能への影響 #10. 老年症候群:老化に関連する様々な健康問題 老化によって起こる,治療と同時に介護・ケアが重要である一連の症状,状態 転倒,うつ,認知症,誤嚥,聴力・視力障害,体重減少,骨粗鬆症,不眠,失神, ポリファーマシー,フレイル,多疾患併存 歩行障害,尿失禁,視力低下など フレイル:健康と要介護の中間状態 高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに 対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態, 死亡等の転機に陥りやすい状態. 身体的問題のみならず,精神心理的問題,社会的問題も 含む概念 フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント https://jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf #11.
高齢者の生活機能に 大きな影響を及ぼす代表的な問題 転倒,うつ,認知症,誤嚥 歩行障害,尿失禁,視力低下など これはクローズドにこっちから確認する 介護保険の主治医意見書の備考欄に書きたい CGAの効果と高齢者の健康評価 #12.
CGAは通常ケアと比べ 高齢者病棟入院患者の自宅退院が1.06倍に増え 退院後1年間の施設入所が0.8倍に減る Cochrane Database Syst Rev. 2017;9:CD006211 その他在宅,外来などのセッティングでもCGAの効果が検討されている QOL,生活機能,入院で一部効果があったものもあるが一貫していない 患者背景や介入内容も一貫していないためか... #13. 簡易なスクリーニングと次のステップを含んだもの 広く行われている 質問 評価内容 できない場合の解釈 次のステップ 1 <外来>自分から挨拶するか <入院/施設>定時に起きるか,リハビリに積極的参加するか 意欲 意欲の低下 Vitality index 2 これから言う言葉を繰り返してください.(桜,猫,電車) あとで聞くので覚えておいてください 認知機能 難聴,失語がなければ中等 度の認知症疑い 復唱できなければ4は省略 MMSE, HDS-R 3 <外来>ここまでどうやって来ましたか? <入院/施設>普段,バスや電車,車で買い物にでかけますか? IADL 付き添いが必要ならフレイ ルか中等度の認知症疑い IADL 4 先程の言葉を言って下さい 認知機能 遅延再生の障害 軽度認知症疑い MMSE, HDS-R 5 お風呂はひとりで入って、洗うのに手助けはいらないか? ADL 要介護状態の可能性高い Barthel indec 6 失礼ですが、トイレで失敗してしまうことはありませんか? ADL 要介護状態の可能性高い Barthel indec 7 自分が無力だと思うことはありませんか? 情緒・気 分 うつの可能性がある GDS-15 日本老年医学会:高齢者総合機能評価 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/tool_04.pdf #14.
包括的ではないが geriatric giantsの要素が入っているため実践的 Geriatrics. 2001 ;56:36-40; quiz 43 認知機能,抑うつ,せん妄,ポリファーマシー 視力 聴力 身体機能,転倒 失禁 栄養,体重減少 高齢者医療における総合診療の視点 #15.
医 社会的な部分が加わり 総合診療・家庭医視点が強くなった 公式・非公式サポート 家族,福祉,友人,隣人など 認知機能 うつ,尿失禁,転倒 ADL / IADL / AADL AADL:Advance ADL(拡大日常生活動作) 趣味や社会活動など プライマリ・ケア連合学会2010年学術大会 在宅診療の場で簡便にCGAを行うための教育ツール『modified-CGA』 佐藤健太先生,横林賢一先生,今藤誠俊先生,藤沼康樹先生 #16.
the self integrity model 高齢者の日常生活をサポートするために バランスを取ることを意識しよう サポートで重くする 資源 負担/脅威 日常生活のバランス コアとなる 評価と 対応で軽くする 自己/主体 Christopher Dowrick. Person-centred Primary Care: Searching for the Self. Routledge, 2017. p147