テキスト全文
高齢者における降圧目標の重要性とガイドラインの違い
#1. Trial of Intensive Blood-Pressure Control
in Older Patients with Hypertension 60~80歳の高血圧患者に対する収縮期血圧目標値110~130mmHgとする強化治療は、同130~150mmHgとする標準治療に比べ、心血管イベント発生リスクを約4分の3に低減する
N Engl J Med 2021;385:1268-79
#2. Introduction 高齢者の降圧目標は米国医師会ガイドラインでは150mmHg未満、欧州ガイドラインでは130~13mmHg、米国心臓学会ガイドランでは130mmHg未満と一貫性がない
the Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT)では、130mmHg未満を目標で心血管イベント及び死亡リスク低下との関連を示した
また、家庭血圧測定が重要であり、スマホアプリで対応した
多施設共同無作為化比較試験のデザインと参加者の特徴
#3. デザイン:多施設共同無作為化比較試験
セッティング:中国の42か所の医療機関
期間:4年間 (2021年までの予定だったが、2020年に中止) Methods;研究デザイン
#4. Population(参加者):60~80歳の高血圧患者(140~190mmHg)と降圧治療中患者
Exposure/Intervention(表出/介入):収縮期血圧目標110~130(intensive treatment)
Comparison(比較):収縮期血圧目標130~150(standard treatment)
Outcome:
Primary endpoint:
脳卒中(虚血性または出血性)、急性冠症候群(急性心筋梗塞および不安定狭心症による入院)、急性非代償性心不全、冠状動脈血行再建術、心房細動、または心血管系の原因による死亡
Secondary endpoint:
全死亡、心臓イベント、腎障害 PICO
スクリーニング、無作為化、フォローアップの流れ
#5. Figure 1. Screening, Randomization, and Follow-up.
#6. Table 1. Characteristics of the Patients at Baseline.*
血圧測定と主要・副次的アウトカムのハザード比
#7. Figure 2. Office Systolic Blood-Pressure Measurements
#8. Table 2. Hazard Ratios for the Primary and Secondary Outcomes.*
主要アウトカムの累積発生率と安全性に関する結果
#9. Figure 3. Cumulative Incidence for the Primary Outcome.
#10. Table 3. Safety and Renal Outcomes Related to the BloodPressure Intervention.* めまい、失神、骨折と腎障害の結果は、2つの試験群間で有意差はなく、血管浮腫、頭痛、咳、じんましんの発生率も差はなし
低血圧の発生率は、標準治療群よりも集中治療群で有意に高かった
高齢者降圧治療の実行可能性と社会的意義
#11. Feasibility(実行可能性): 高血圧患者は多いので、人数次第では可能
Interesting(興味): 高齢者でも降圧で有意か
Novel(新規性): 日系人でのデータ、糖尿病患者を含む
Ethical(倫理性): 有意差が示されており、介入が難しい
Relevant(社会的意義): 高齢化社会ではどこまで治療するかは重要
Limitation: 80歳以上は対象外
脳卒中患者が除外 FINER