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症例を通じて学ぶ日本版敗血症ガイドライン2020

  • 救急科

  • 敗血症
  • 敗血症性ショック

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2022/8/22

内容

当院にて過去に実施した症例検討会を、一部内容を修正して個人情報が分からないようにした上で公開しています。

申し訳ありませんが著作権や個人情報保護の観点より、閲覧のみにとどめ、頒布はご遠慮下さい。

えびけん

S会 MK病院


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症例を通じて学ぶ日本版敗血症ガイドライン2020

  1. 【救急・重症症例検討会】敗血症性ショックの症例

  2. 敗血症の定義− 日本版敗血症診療ガイドライン2020より − 敗血症:「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」 診断基準: ①感染症もしくは感染症の疑いがあり, かつ ②SOFAスコア  の合計2点以上の急上昇を伴う ↔︎一般病棟・外来ではqSOFAスコア2項目以上で疑う。 敗血症性ショック:敗血症の中に含まれる1区分。「急性循環不全に より細胞障害及び代謝異常が重度となり, ショックを伴わない敗血症 と比べて死亡の危険性が高まる状態」 診断基準: 平均血圧≧65 mmHgを保つために、輸液療法に加えて血管  収縮薬を必要とし, かつ 血中乳酸値>2 mmol/L

  3. SOFA(sequential organ failure assessment)スコア

  4. qSOFA(quick SOFA)スコア 意識変容 呼吸数(RR)≧22回/分 収縮期血圧(sBP)≦100 mmHg 感染症 或いは 感染症を疑う病態で, qSOFAスコア2項目以上 が存在する場合に敗血症を疑う。

  5. 【症例】50歳代男性 【現病歴】2日前の朝から発熱を自覚し、その後倦怠感と両側下肢の筋肉痛が出現した。 同日午後に近医受診して解熱鎮痛薬を処方され帰宅したが、その後から筋肉痛が 全身へ拡大し, 四肢脱力も伴って体動困難となっていた。自宅で経過観察していたが、 症状改善が乏しいため某年X月Y日朝に救急要請し、当院まで搬送された。  アレルギー: なし  内服薬: 近医からベタニス50mg 1T1x朝, シロドシン4mg 2T2x朝夕  既往歴: 前立腺肥大症, 約5年前に右大腿骨骨折で手術, 数年前の検診でバリウム   誤嚥(胸部画像に陰影残存あり)  最終飲食: 4/16夕食 【来院時所見】HR 70, sBP 60~70台, RR 26, SpO2 100%(酸素2L), GCS E4V5M6 麻痺なし, BT 36.5 ℃, 胸部: 肺雑音・心雑音なし, 腹部: 腸雑音軽度低下, 心窩部〜 臍部の圧痛あり, 右季肋部叩打痛あり, 背面: 腰椎及び両側CVA叩打痛あり

  6. →P/F比≒418

  7. 心エコー: 特記すべき異常なし 腹部エコー: 異常なし 単純CT(体幹部): 胸部に一部陰影  あり, その他特記すべき異常なし CXR: 一部陰影あり

  8. 暫定診断 #1 敗血症性ショック 細胞外液点滴合計3,000 mL/2時間とNAd 1.3 μg/kg/min.を  投与してMAP>65 mmHg: 4点(※当院で乳酸値は外注) T-bil. 2.7(2.0~5.9): 2点 Crea 2.70(2.0~3.4): 2点 Plt 21,000(<50,000): 3点 →SOFAスコア合計 7点(=2点以上の急上昇) #1-1 横紋筋融解症の疑い: 下肢筋肉痛+CK著増 #1-2 急性腎傷害(AKI; acute kidney injury) #1-3 DICの疑い: 急性期DIC診断基準3点で、厳密には満たさず #1-4 肝機能障害 #2 尿路感染症の疑い

  9. DICの診断基準

  10. KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcome)によるAKI診断基準

  11. 入院後経過 来院 直後 NAd開始 循環不全に対し気管挿管(15:55) フェンタニル: 100 μg IV ミダゾラム: 7 mg IV 臭化ロクロニウム: 4 mg IV →直後、一過性に血圧上昇 バソプレシン 併用 細胞外液 急速・大量投与 転院 搬送 セフメタゾール 1g (10:00) メロぺネム 1g (16:30) P/F比≒418 P/F比=220 P/F比=192 入院 13:00~14:00頃 LINEにて情報共有実施

  12. 転院先での診断 #1 敗血症性ショック #2 前立腺膿瘍 当院の血液培養・尿培養では起炎菌検出されず。 転院先でも同様。 #3 急性腎不全(≒AKI) 無尿のため透析実施, その後離脱。

  13. 当院における課題など CT所見, 臨床経過等を参考に、診断等について助言ができる他科の医師は院内に  居るのか? 各科の先生方は手術・外来・病棟で忙しい上に、そもそも相談に応じて頂けるのか…? 放射線科医による読影や感染症専門医による助言がリアルタイムで欲しい。 グラム染色は本来、鑑別診断の一助になるはずだが、現状では検査部に一方的に  拒否されている。 一体何を根拠に?呼吸器検体以外も一緒くたで全部ダメなのか? 教科書・ガイドラインでは喀痰・尿・脳脊髄液等のグラム染色の活用を推奨している。 今すぐ転院させるべきか微妙なところだったが可能性はあったので、「念の為」  グループLINEに連絡したことで事前の情報共有ができた。 事務(≒連携室)を介することで生じるズレ, 夜間・休日には連携室が居ない。 他院の医師と直接かつ迅速に連絡でき, 尚且つ 的確な助言がもらえるシステムは不可欠! LINEよりもセキュリティが高い連絡手段(メッセンジャーアプリ)はないのか? 輸液ポンプが複数必要and/or挿管中の場合の搬送方法を再検討すべき(病院救急車の  購入など)。

  14. 日本版敗血症診療ガイドライン2020のまとめ 日本集中治療医学会雑誌 Vol.28 Supplement Feb. 2021

  15. 診断に関する推奨 ① 抗菌薬投与前に血液培養を2セット以上採取する。 38.5 ℃≦の発熱や戦慄が生じた場合は早急に 1セットあたりの採血量: 20~30 mL 血培以外の各種培養検体も、抗菌薬投与前に必要に応じて採取する。 抗菌薬を選択する際に、培養検体のグラム染色所見を参考にすること  を弱く推奨する。 簡便で迅速, 安価 市中肺炎, 尿路感染, 細菌性髄膜炎等で比較的良好な特異度が報告されている。 バイオマーカー(CRP, プロカルシトニン等)単独による敗血症診断は  困難であり、全身状態観察等に加えた補助的な手段。

  16. 診断に関する推奨 ② 感染源が不明な場合、感染源検索の為に画像検査を行う。 早期の感染源コントロールは、転帰改善に繋がる重要な治療。 感染源が不明な敗血症患者に対して、可及的速やかに全身造影CTを  行うことを弱く推奨する。 早期に感染源検索を行うことは、治療方針を策定する為に必要不可欠

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  18. 感染源コントロールに関する推奨

  19. 抗菌薬投与に関する推奨 ① 敗血症・敗血症性ショックを認知後、抗菌薬は可及的早期に開始するが、  必ずしも「1時間以内」という目標を用いないことを弱く推奨。 βラクタム系の持続的投与 or 投与時間延長を弱く推奨。 経験的抗菌薬投与中の患者において、投与前の培養検査陰性が確認されたら、  臨床経過を考慮した上で抗菌薬を中止することを弱く推奨。 抗菌薬治療のデエスカレーションを行うことを弱く推奨。 デエスカレーションとは: (培養検査結果に応じて)抗菌薬を広域から狭域に変更すること。 敗血症に対して、比較的短期(7日以内)の抗菌薬治療を弱く推奨。 エビデンスが肺炎と腹腔内感染症に限られていることに留意。

  20. (注):複数提示された抗菌薬レジメンの一部のみを引用

  21. 腎機能による抗菌薬用量調整の例 『感染症プラチナマニュアル Ver.7』より抜粋

  22. 2013年のカルバペネム系, ピペラシリン/タゾバクタムに関するシステマティックレビュー,  メタアナリシス (Falagas ME. et al. CID. 56(2):272-82) 延長or持続点滴:抗菌薬の3時間以上 or 24時間の持続投与 短時間点滴:1回の投与時間が短い(i.e. 20~60分)抗菌薬の間欠投与 短時間点滴と比較して、カルバペネム系 or ピペラシリン/タゾバクタム延長or持続点滴では死亡率が  低かった。 ピペラシリン/タゾバクタム投与を受けた患者では、短時間点滴よりも延長or持続点滴で死亡率が低かった。 カルバペネム投与を受けた患者では、短時間点滴と延長or持続点滴の間で死亡率に有意差は見られなかった。 2016年の重症敗血症患者におけるβラクタム系に関するメタアナリシス (Roberts JA. et al. Am J  Respir Crit Care Med. 194(6):681-691) 持続点滴:24時間をかけた持続的静注 間欠投与:30分以下をかけた点滴 間欠点滴と比較して、βラクタム系持続点滴は30日後の入院中死亡率低下と関連していた。 持続点滴で臨床的治癒率は高いかもしれない?(≒厳密な解析では「有意差なし」と出た) 腎代替療法を受けている患者では持続的点滴の効果が薄いかもしれない。 補足:βラクタム系抗菌薬持続or延長投与に関するエビデンス(の一部)

  23. 抗菌薬治療に関する推奨 ② ESBL産生菌, カルバペネムにしか感受性のない緑膿菌, 耐性  アシネトバクター等の微生物が原因として想定される場合、  経験的にカルバペネム系を投与。 MRSA・一般細菌以外(e.g. カンジダ, ウイルス, レジオネラ等)に  対する経験的微生物薬を選択するのは、これら微生物が原因と  想定される場合。 プロカルシトニンを指標として抗菌薬治療終了を行うことを  弱く推奨。

  24. 初期蘇生・循環作動薬に関する推奨 ① 初期蘇生としてEGDTを行わないことを弱く推奨。 EGDT(early goal-directed therapy)とは: 「中心静脈圧(CVP) 8~12 mmHg, MAP≧65  mmHgを目標に大量輸液・血管収縮薬投与を行い、尿量≧0.5 mL/kg/hr., 中心静脈  酸素飽和度(ScvO2)≧70%を6時間以内に達成する」ことを目標としたもの。 循環動態維持が困難な敗血症患者に対して、初期蘇生輸液と同時 or  3時間以内に血管収縮薬を投与することを弱く推奨。 血管内容量減少のある患者の初期輸液は、 循環血液量を適正化することを目標とする 晶質液≧30 mL/kgを3時間以内に投与する バイタルサイン・心エコー等を参考に、過剰な輸液負荷を避けることが  重要 初期蘇生の指標に乳酸値を用いることを弱く推奨。

  25. 初期蘇生・循環作動薬に関する推奨 ② 敗血症患者に対して、初期蘇生中に心エコーを用いた心機能・血行動態評価を 行うことを弱く推奨する。 血管収縮薬の第1選択 ノルアドレナリン(NAd)>ドパミン(DOA) NAd>フェニレフリン 心機能低下ありの患者にはアドレナリン(Ad)・ドブタミン(DOB)を弱く推奨 血管収縮薬の第2選択 バソプレシンを弱く推奨 Adは使用しないことを推奨 第1選択:NAd 第2選択:バソプレシン 第3選択:Ad > DOB

  26. 補足:血管作動薬について 『ICU/CCUの薬の考え方, 使い方 ver.2』より

  27. 初期蘇生・循環作動薬に関する推奨 ③ 初期輸液・循環作動薬に反応しない場合 低用量ヒドロコルチゾンを弱く推奨 e.g.) 50 mg 6時間毎点滴を5~7日継続し、その後漸減 ヒドロコルチゾンとフルドロコルチゾン(保険適用外)  併用を弱く推奨 ↔︎ショックに至っていない患者へのヒドロコルチゾンを  行わないよう弱く推奨 初期蘇生輸液開始時、アルブミン製剤投与を標準治療として  行わないことを弱く推奨する。 晶質液に反応せず, 大量投与が必要な場合に考慮する。 人工膠質液の投与を行わないことを推奨する。

  28. 『輸液反応性』について 定義: 250~500 mLの輸液を投与した際に、心拍出量やSV(stroke volume; 1回拍出量)が少なくとも  10~15%≦上昇すること 急速輸液負荷は心機能低下症例で病態悪化を来す可能性があり、輸液負荷を継続する場合には輸液  反応性の評価が重要となる。

  29. 輸血に関する推奨

  30. 免疫グロブリン療法に関する推奨 敗血症に対して、行わないことを弱く推奨 劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS; streptococcal toxic shock   syndrome)には投与を弱く推奨 毒素性ショック症候群(TSS; toxic shock syndrome)に対して、  行わないことを弱く推奨

  31. 呼吸管理に関する推奨 SpO2の目標を98~100%に設定しないことを弱く推奨 初期の呼吸不全に対して、非侵襲的人工呼吸(NIV; non-invasive   ventilation) or 経鼻高流量療法(NHFT; nasal high flow therapy)  を弱く推奨 人工呼吸器管理において、肺保護換気戦略を弱く推奨 1回換気量: 6 mL/kg IBW(ideal body weight; 理想体重)に設定 プラトー圧: <30 cmH2Oとなるよう設定 人工呼吸器管理の初期において、PEEP≧12 cmH2Oを用いないこと  を弱く推奨 ↔︎ARDSの場合、重症度に応じてPEEPを上げる必要がある 抜管前に、自発呼吸トライアル(SBT; spontaneous breathing trial)  等の人工呼吸器ウィーニングプロトコルを弱く推奨

  32. 補足:気管挿管の適応 気道の問題 窒息 咳嗽反射消失・舌根沈下(≒高度意識障害) 気道内の分泌物・血液・異物の除去目的 顔面外傷, 気道熱傷等による気道閉塞に対して予防的に 急性薬物中毒への胃洗浄等の誤嚥のリスクを伴う処置の前に 肺の問題 呼吸不全: 低酸素血症, 高CO2血症(NIVで改善しない場合)etc. 循環の問題 心停止 ショック 中枢神経の問題 高度意識障害 『救急診療指針 改訂第5版』 『ICU/CCUの薬の考え方, 使い方 ver.2』 より

  33. 挿管時に準備すべきもの 『救急診療指針 改訂第5版』

  34. 『救急診療指針 改訂第5版』 『ICU/CCUの薬の考え方,  使い方 ver.2』 『外傷初期診療ガイドライン  JATEC 改訂第6版』 より (注): 文献により投与量の記述にばらつきあり

  35. AKIに関する推奨

  36. 腎代替療法の適応について- Gaudry S. et al. N Engl J Med. 2022;386:964-75, review - 緊急で適応 AKIの場合 内科的治療に抵抗性の重症高K血症     〃     重症代謝性アシドーシス     〃     重症肺水腫 尿毒症: 心膜炎, 出血傾向, 脳症 AKIでない場合 重症なリチウム, 毒性アルコール, メトホルミン, or サリチル酸中毒 非緊急適応 持続性・重症AKIでBUN>100 mg/dL, 乏尿and/or72時間以上の無尿

  37. DIC治療に関する推奨

  38. 栄養に関する推奨 ① 栄養投与は経腸投与を弱く推奨 循環不安定な患者では経腸栄養を行わないことを弱く推奨 治療開始後24~48時間以内に経腸栄養を行うことを弱く推奨 治療開始初期は、経腸栄養を消費エネルギーより少なく投与することを弱く推奨

  39. 栄養に関する推奨 ② 急性期にタンパク質は1 g/kg/day>を投与することを弱く推奨 敗血症患者にビタミンCの投与を弱く推奨 敗血症患者にビタミンD投与を行わないことを弱く推奨 急性期を乗り越えた or 1週間程度を超えた時期から、 タンパク質を含めて必要エネルギー25~30 kcal/kg/day程度を  満たす投与量が必要 タンパク質も1 g/kg/day≦が望ましい

  40. 血糖管理に関する推奨 毛細管血を用いた簡易血糖測定装置による血糖測定を  行わないことを弱く推奨 毛細管血を用いた簡易血糖測定が、静脈血を用いた簡易血糖  測定・血液ガス分析器を用いた血糖測定と比較すると不正確  であることが過去の研究で判明している。 特にBS≦72 mg/dLでは、毛細血を用いた簡易血糖測定の誤差  が臨床上大きな問題となる。 目標血糖値を144~180 mg/dLとすることを弱く推奨

  41. 今回はかなり長くなってしまいましたが、これでもガイドラインの一部を紹介したに過ぎません。必ず現物に目を通して下さい。

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  45. ガイドラインは数年毎に改訂されます(COVID-19のガイドラインは数週間〜数ヶ月単位で)。常に最新情報のチェックを心がけましょう。

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