#4.
急性期の血糖コントロールについて施設ごとのプロトコールがあれば、それに従うのが安全です。
その上で考えるべきは、以下の2つです。
①メインの輸液への混注②シリンジポンプによるインスリン持続静注
急性期は血糖の変動が激しく、インスリンの定時打ちが思わぬ低血糖を招くこともあり、慎重に行う必要があります。 4
#5.
【ポイント】定期打ちでコントロール不良なら持続静注を考慮!
#6.
処方例① メインの輸液への混注
輸液のブドウ糖5g~10gあたり、即効型インスリンを1単位混注します。 6 処方例② インスリンの持続静注
定期打ちでコントロール不良であれば、持続静注を考慮します。次のスライドでその詳細を解説します。
#7.
処方例① メインの輸液への混注
輸液のブドウ糖5g~10gあたり、即効型インスリンを1単位混注します。 7 処方例② インスリンの持続静注
定期打ちでコントロール不良であれば、持続静注を考慮します。次のスライドでその詳細を解説します。
#8.
看護師さんへ下記のような指示を出します。
血糖値は2時間おきに測定
2mL/hr から投与開始
血糖値(mg/dL)とインスリン投与量は以下の通り
69以下 … インスリン中止、50%ブドウ糖20mL ivし、DrCall
70-109 … インスリン中止し、Dr call
110-139 … 0.5単位/時間減らす
140-199 … そのまま
200-249 … 0.2単位/時間増やす
250-299 … 0.4単位/時間増やす
300-349 … 0.6単位/時間増やす
350-399 … 0.8単位/時間増やす
400以上 … 1.0単位/時間増やし、DrCall
血糖値が109以下 及び 350以上の時は、上記処置後1時間で血糖値を再検し、再度注入量を調節する 8
#9.
血糖値の下がり方は個人差が大きいので、実際には微調整が必要です。インスリンの持続静注を行う場合には、経験が多い医師に指示を仰ぎましょう。
インスリン持続静注を開始すると、インスリンの作用によりカリウムが低下する場合があります。
4〜6時間おきにカリウム値をチェックし、低カリウム血症にならないように注意しましょう。
※ 9 インスリン持続静注の注意点
#10.
血糖コントロールのエビデンス
#11.
血糖コントロールのエビデンス 高血糖が感染防御能の低下や創傷治癒を遅らせる可能性があることは、1990年代から指摘されていました。
2001年のNEJM誌で発表された「Leuven Ⅰ trial」では、外科系ICU患者1,548名において血糖値を80~110 mg/dLに管理するIntensive Insulin Therapy(IIT)を行うと、血糖値を180~200 mg/dLに管理する群に比較して、ICU死亡率を下げる可能性が示唆されました1)。
N Engl J Med. 2001 Nov 8;345(19):1359-67.
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa011300
11
#12.
しかし、その後はIITを行うことで死亡率を改善するエビデンスは示されたことはありません。
2009年のNEJM誌に発表された「NICE SUGAR trial」では、IITはむしろICU患者では低血糖を増加させ、90日死亡率を増加させることが示されています2)。
N Engl J Med. 2009 Mar 26;360(13):1283-97.
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa0810625
12
#13.
その後複数のメタアナリシスの結果3)〜5)もあり、血糖コントロールの重要性は認識されつつも、IITは行われなくなりました。
JAMA. 2008 Aug 27;300(8):933-44.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/182432
CMAJ. 2009 Apr 14;180(8):821-7.
http://www.cmaj.ca/content/cmaj/180/8/821.full.pdf
Chest. 2010 Mar;137(3):544-51.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20018803
日本版敗血症診療ガイドライン6)などにも記載がありますが、現在の血糖コントロールの目標は144~180mg/dLとされています。
日本版敗血症診療ガイドライン2016(J-SSCG2016)https://www.jsicm.org/pdf/jjsicm24Suppl2-2.pdf 13
#14.
まとめ
#15.
まとめ 以上、重症患者さんの血糖コントロールについて簡潔にまとめました。
血糖コントロールが不良な場合には合併症に注意しつつ、インスリンの持続静注を導入しましょう。
その際には頻回の血糖チェックとカリウムのチェックを忘れずに行いましょう。 15
#16.
文献・WEBサイト 引用文献
1) N Engl J Med. 2001 Nov 8;345(19):1359-67.
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa011300
2) N Engl J Med. 2009 Mar 26;360(13):1283-97.
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa0810625
3) JAMA. 2008 Aug 27;300(8):933-44.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/182432
4) CMAJ. 2009 Apr 14;180(8):821-7.
http://www.cmaj.ca/content/cmaj/180/8/821.full.pdf
5) Chest. 2010 Mar;137(3):544-51.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20018803
6) 日本版敗血症診療ガイドライン2016(J-SSCG2016)
https://www.jsicm.org/pdf/jjsicm24Suppl2-2.pdf
推薦図書・参照WEBサイト
『入院患者の血糖コントロール』(田中 祐司/編)、レジデントノート 15(6)、羊土社、2013
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4758105510/
『集中治療999の謎』(田中 竜馬/編)、メディカル・サイエンス・インターナショナル、2015
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4895928012/
『IIT以降の血糖管理』、慈恵会ICU勉強会
http://www.jseptic.com/journal/108.pdf 16