#4.
上気道閉塞所⾒があったらどうする︖ ü座位にして、⼈を呼んで、酸素投与/モニター装着/ルート留置 ü挿管、輪状甲状靭帯切開の準備しながら上級医call ü⾎液培養採取し、セフトリアキソン+デキサメタゾン⽤意 気道閉塞する前に、気道確保し治療開始することが重要
#5.
挿管の準備とは︖ pバックバルブマスク p固定⽤テープ p経⼝/経⿐エアウェイ pGEB p挿管チューブ︓ 男性8mm、⼥性7mm p声⾨上デバイス pスタイレット (チューブ先端から出さない) pフェンタニル p外科的気道困難セット pプロポフォール p10mlシリンジ pケタミン p聴診器 pロクロニウム pバイトブロック pノルアドレナリン p気管⽀ファイバースコープ pミダゾラム
#6.
急性喉頭蓋炎 【正常な喉頭蓋】 Ø 概要︓感染、アルカリ摂取、熱傷、外傷などによる喉頭蓋の炎症 Ø リスク︓⾼⾎圧、糖尿病、末期腎疾患、薬物乱⽤、免疫不全、肥満など Ø 所⾒︓咽頭痛、こもった声、前頸部の著明な圧痛 Ø 診断︓レントゲン、喉頭ファイバー(気道確保できる状態で⾏うこと) Ø 治療︓気道確保(挿管の閾値は下げるべし) 【急性喉頭蓋炎(挿管後)】 喉頭蓋が腫脹し声⾨⾒えない セフトリアキソン、バンコマイシン、デキサメタゾン ※デキサメタゾンの明確な根拠なし 重症例は初回は4~10mg静注投与し、以降は上気道症状消失するまで 4mgを6時間毎に投与する Dowdy, Regina A. E., and Bryant W. Cornelius. 2020. “Medical Management of Epiglottitis.” Anesthesia Progress 67 (2): 90–97. Up to date Epiglottitis (supraglottitis): Clinical features and diagnosis
#7.
急性喉頭蓋炎 初回で50%誤診される Ø b:喉頭蓋幅>6.3mm thumb sign(広く、丸い喉頭蓋) vallecula sign(喉頭蓋⾕の消失) AUC︓0.83 AUC︓0.769 感度︓53.9 特異度︓100% 感度︓65.9% 特異度︓100% 1つでもあれば喉頭蓋炎を強く⽰唆する AUC0.867,感度75.8%,特異度97.8% Ø 抗⽣剤先⾏投与,症状⻑い,WBC正常 があると偽陰性になることがある。 Lee, Sun Hwa, Seong Jong Yun, Dong Hyeon Kim, Hyeon Hwan Jo, and Seokyong Ryu. 2017. “Do We Need a Change in ED Diagnostic Strategy for Adult Acute Epiglottitis?” The American Journal of Emergency Medicine 35 (10): 1519–24.
#8.
症例 2歳の男児。発熱と呼吸困難のため救急⾞で搬⼊された。本⽇朝、38.8 ℃の発熱と呼吸困難とに両親 が気付き救急⾞を要請した。 来院時の体温 39.8 ℃。⼼拍数 120/分、整。呼吸数 28/分。SpO2 96 %(リザーバー付マスク5L/ 分 酸素投与下)。 ⽑細⾎管再充満時間は1秒と正常である。呼吸困難は仰臥位で増悪し、座位でや や軽快する。下顎を上げた姿勢で努⼒呼吸を認める。嚥下が困難で唾液を飲み込むことができない。 ⼼⾳に異常を認めない。呼吸⾳では、吸気時に喘鳴と肋間窩の陥⼊とを認める。腹部は平坦、軟で、 肝・脾を触知しない。 最も優先すべきなのはどれか。 a. 喉頭内視鏡での気管挿管 d. エピネフリン吸⼊ b. 呼気時の胸部エックス線撮影 e. 動脈⾎ガス分析 c. ⾆圧⼦を⽤いた咽頭の視診 医師国家試験112B39
#9.
症例 2歳の男児。発熱と呼吸困難のため救急⾞で搬⼊された。本⽇朝、38.8 ℃の発熱と呼吸困難とに両親 が気付き救急⾞を要請した。 来院時の体温 39.8 ℃。⼼拍数 120/分、整。呼吸数 28/分。SpO2 96 %(リザーバー付マスク5L/ 分 酸素投与下)。 ⽑細⾎管再充満時間は1秒と正常である。呼吸困難は仰臥位で増悪し、座位でや や軽快する。下顎を上げた姿勢で努⼒呼吸を認める。嚥下が困難で唾液を飲み込むことができない。 ⼼⾳に異常を認めない。呼吸⾳では、吸気時に喘鳴と肋間窩の陥⼊とを認める。腹部は平坦、軟で、 肝・脾を触知しない。 最も優先すべきなのはどれか。 a. 喉頭内視鏡での気管挿管 d. エピネフリン吸⼊ b. 呼気時の胸部エックス線撮影 e. 動脈⾎ガス分析 c. ⾆圧⼦を⽤いた咽頭の視診 医師国家試験112B39
#10.
解説 • 『呼吸困難は仰臥位で増悪し、座位でやや軽快する』 ➜気道もしくは呼吸の異常を⽰唆 • 『下顎を上げた姿勢で努⼒呼吸』➜Tripod position(上気道閉塞を⽰唆) • 『嚥下が困難で唾液を飲み込むことができない』➜咽頭の激しい炎症を⽰唆 • 『吸気時に喘鳴』➜上気道閉塞を⽰唆 • 『肋間窩の陥⼊』➜呼吸努⼒が強く、緊急性の⾼さを⽰唆 急性喉頭蓋炎を念頭に、気道確保のため気管挿管を⾏う
#11.
Lemierreʼs syndrome Ø 概念︓『内頚静脈の敗⾎症性⾎栓性静脈炎』のこと Ø 疫学︓⼦供や⻘年期。特に男性に多い Ø 先⾏症状︓咽頭炎や扁桃周囲膿瘍 Ø 起因菌︓Fusobacterium necrophorumが多い Ø 合併症︓敗⾎症性肺塞栓による壊死性空洞病変、化膿性関節炎 Ø 抗菌薬︓ピペラシリンタゾバクタム or メロペネムを少なくとも 2週間以上の静注。内服薬に切り替えて少なくとも合計4週間。 Ø 抗凝固薬︓推奨なし Osowicki, Joshua, Sarah Kapur, Linny Kimly Phuong, and Simon Dobson. 2017. “The Long Shadow of Lemierreʼs Syndrome.” The Journal of Infection 74 Suppl 1 (June): S47–53.
#12.
Lemierreʼs syndrome Q.予防するためにはなにが必要か ・咽頭痛+溶連菌迅速検査陰性+Centor Score≧2 ➜20%でFusobacterium necrophorumが 起因菌の可能性あり Centor Score p発熱 +1 p前頸部リンパ節腫脹 +1 p扁桃⽩苔 A.クリンダマイシン 300mg 8時間毎 10⽇間 ・400⼈に1⼈は治療が有効 +1 p咳嗽がない +1 ・伝染性単核症だった場合、βラクタム系の ような薬疹/脾腫出にくい sanford2019 Osowicki, Joshua, Sarah Kapur, Linny Kimly Phuong, and Simon Dobson. 2017. “The Long Shadow of Lemierreʼs Syndrome.” The Journal of Infection 74 Suppl 1 (June): S47–53.
#13.
症例 18歳の男性が1週間前からの咽頭痛、発熱、倦怠感と3⽇前からの胸部痛と 咳嗽を訴えて救急外来を受診した。糖尿病、末期腎不全、⾼度肥満の既往 歴があった。静脈内⿇薬の使⽤歴、最近の旅⾏歴、周囲歴はなかった。診 察の結果、BT38.6℃、BP80/50mmHg、HR120bpm、SPO2:88%(ra)、 RR26/分であった。胸部X線写真では、左肺の中央部と上部に浸潤影が認め られた。胸部CTでは複数の空洞性病変と限局性の左胸⽔が検出された。頸 部造影CTにて軟部組織にAirを含む脂肪織濃度の上昇と右内頸静脈に⾎栓を ⽰唆する内腔充填⽋損を認めた。 Lemierre症候群と診断された。
#14.
症例 18歳の男性が1週間前からの咽頭痛、発熱、倦怠感と3⽇前からの胸部痛と 咳嗽を訴えて救急外来を受診した。糖尿病、末期腎不全、⾼度肥満の既往 歴があった。静脈内⿇薬の使⽤歴、最近の旅⾏歴、周囲歴はなかった。診 察の結果、BT38.6℃、BP80/50mmHg、HR120bpm、SPO2:88%(ra)、 RR26/分であった。胸部X線写真では、左肺の中央部と上部に浸潤影が認め られた。胸部CTでは複数の空洞性病変と限局性の左胸⽔が検出された。頸 部造影CTにて軟部組織にAirを含む脂肪織濃度の上昇と右内頸静脈に⾎栓を ⽰唆する内腔充填⽋損を認めた。 ➜Lemierre症候群と診断された。
#15.
Ludwig angina 2枚⾆を⾒たら気道緊急︕ Mohamad, Irfan, and Maithrea S. Narayanan. 2019. “ʻDouble Tongueʼ Appearance in Ludwigʼs Angina.” The New England Journal of Medicine 381 (2): 163. 気道が許せば、造影CTを⾏い 軟部組織の肥厚、軟部組織ガス、 局所的液体貯留の評価を⾏う Bridwell, Rachel, Michael Gottlieb, Alex Koyfman, and Brit Long. 2021. “Diagnosis and Management of Ludwigʼs Angina: An Evidence-Based Review.” The American Journal of Emergency Medicine 41 (March): 1–5.
#16.
Ludwig angina Ø『急速進⾏性の気道緊急を来す⼝腔底蜂窩織炎』 ⇛気道確保が最優先︕︕ Ø原因︓扁桃周囲膿瘍、下顎⾻⾻折、⼝腔内裂傷/ピアス Øリスク︓⻭科治療、糖尿病性、栄養失調、アルコール依存症、免疫不全 Ø起因菌︓⻩⾊ブドウ球菌、溶連菌など⼝腔内好気性/嫌気性菌 Ø治療︓デキサメタゾン(初回10mg 以降4mgを6時間毎 48時間まで) アドレナリン吸⼊(通常通り1000倍希釈) ペニシリン+メトロニダゾール+バンコマイシン 膿瘍ドレナージ sanford2019 Saifeldeen, K., and R. Evans. 2004. “Ludwigʼs Angina.” Emergency Medicine Journal: EMJ 21 (2): 242–43.
#17.
症例 88歳⼥性。脳梗塞による左半⾝⿇痺でADL寝たきり、疎通困難な⽅が 発熱を主訴に来院。来院時の体温 38.3 ℃。⼼拍数 110/分、整。呼 吸数 24/分。SpO2 96 %(室内気)。施設の⽅から話を聞くと、来 院前⽇から⾷事が全く取れず⾸周りがいつもより腫れているとのこと だった。COVID19感染対策の都合上、診察の前にCTを実施した。CT では扁桃や頚部の腫脹は⾒られず、肺や腹腔内の感染症を⽰唆する所 ⾒はなかった。診察を⾏うと、頚部でStridorを聴取し⼝腔底が腫脹 しており⾆が2枚あるように⾒えた。 Ludwig anginaを想起し、気管 挿管の準備を⾏い各種培養採取後にメロペネムとデキサメタゾンを投 与した。
#18.
症例 88歳⼥性。脳梗塞による左半⾝⿇痺でADL寝たきり、疎通困難な⽅が 発熱を主訴に来院。来院時の体温 38.3 ℃。⼼拍数 110/分、整。呼 吸数 24/分。SpO2 96 %(室内気)。施設の⽅から話を聞くと、来 院前⽇から⾷事が全く取れず⾸周りがいつもより腫れているとのこと だった。COVID19感染対策の都合上、診察の前にCTを実施した。CT では扁桃や頚部の腫脹は⾒られず、肺や腹腔内の感染症を⽰唆する所 ⾒はなかった。診察を⾏うと、頚部でStrridorを聴取し⼝腔底が腫脹 しており⾆が2枚あるように⾒えた。 ➜ Ludwig anginaを想起し、気管挿管の準備を⾏い各種培養採取後 にメロペネムとデキサメタゾンを投与しアドレナリン吸⼊を⾏った。
#19.
Pseudo Ludwig angina Ø『過剰な抗凝固状態⇛⾆下腫脹⇛気道閉塞』を引き起こす稀な病態 ØLudwig anginaと同様に2枚⾆を所⾒を呈する Ø原因︓Walfarinの過延⻑、抗凝固薬、肝疾患 Ø治療︓ 気道緊急(+) ⇛ 挿管、輪状甲状靭帯切開 気道緊急(ー) ⇛ ⾎新鮮凍結⾎漿(1.5<INRなら4U) プロトロンビン濃縮製剤(6<INRなら50U/kg) Pathak, Ranjan, Suzanne Supplee, Madan Raj Aryal, and Paras Karmacharya. 2015. “Warfarin Induced Sublingual Hematoma: A Ludwig Angina Mimic.” American Journal of Otolaryngology 36 (1): 84–86.
#20.
症例 ⾼⾎圧、甲状腺機能低下症、うつ病の既往歴がある83歳の⼥性 が急性の息切れと低酸素症で救急外来に来院した。精査の結果、 肺塞栓症が判明し、すぐにヘパリン点滴が開始された⼊院となっ た。48時間後、患者はよだれが⽌まらず、嗄声が出る様になっ た。⾝体診察では、吸気性喘鳴と⼝腔底の著明な腫脹が⾒られ、 検査ではaPTT 240秒が明らかになった。 ➜Pseudo Ludwig anginaと診断。 迅速に気管挿管しプロタミン拮抗を⾏った。 Tiu, Andrew, and Kamolyut Lapumnuaypol. 2019. “Pseudo-Ludwig Angina.” Cleveland Clinic Journal of Medicine 86 (9): 577–78.
#21.
症例 ⾼⾎圧、甲状腺機能低下症、うつ病の既往歴がある83歳の⼥性 が急性の息切れと低酸素症で救急外来に来院した。精査の結果、 肺塞栓症が判明し、すぐにヘパリン点滴が開始された⼊院となっ た。48時間後、患者はよだれが⽌まらず、嗄声が出る様になっ た。⾝体診察では、吸気性喘鳴と⼝腔底の著明な腫脹が⾒られ、 検査ではaPTT 240秒が明らかになった。 ➜Pseudo Ludwig anginaと診断。 迅速に気管挿管しプロタミン拮抗を⾏った。 Tiu, Andrew, and Kamolyut Lapumnuaypol. 2019. “Pseudo-Ludwig Angina.” Cleveland Clinic Journal of Medicine 86 (9): 577–78.
#22.
扁桃周囲膿瘍 n疫学︓⼩児および⻘年に最もよく⾒られる深部頸部感染症であり、 症例の少なくとも50パーセントを占めている。 n症状︓激しい嚥下痛、開⼝障害、頸部可動域低下、こもった声 n⼝腔内所⾒︓⼝蓋垂偏位、扁桃腫脹 n起因菌︓ A群溶連菌, ⻩⾊ブドウ球菌(メチシリン耐性⻩⾊ブドウ球菌も含む) 嫌気性菌(Fusobacteria, Prevotella, and Veillonella species) n治療︓アンピシリンスルバクタム(合計14⽇間)、膿瘍ドレナージ Up to date︓Peritonsillar cellulitis and abscess
#23.
症例 32歳の男性。発熱と嚥下困難とを主訴に来院した。4⽇前か ら発熱と咽頭痛とがあったが放置していた。昨⽇から⾼熱と 開⼝障害とが出現している。⾎液所⾒︓⾚⾎球480万、Hb 13.0g/dL、⽩⾎球13,600。⾎清⽣化学所⾒︓AST 30U/L、 ALT 28U/L。CRP 13.6mg/dL。咽頭部の写真(A)と咽頭部 造影CT(B)を別に⽰す。 この患者が細菌感染症よりウイルス感染症であることを⽰唆 するのはどれか。 a 後頸リンパ節腫⼤を認める。b ⼝蓋垂の偏位を認める。 c 結膜充⾎を認めない。d 肝脾腫を認めない。e ⽪疹を認 めない。 医師国家試験111C24 【A】 【B】
#24.
症例 32歳の男性。発熱と嚥下困難とを主訴に来院した。4⽇前か ら発熱と咽頭痛とがあったが放置していた。昨⽇から⾼熱と 開⼝障害とが出現している。⾎液所⾒︓⾚⾎球480万、Hb 13.0g/dL、⽩⾎球13,600。⾎清⽣化学所⾒︓AST 30U/L、 ALT 28U/L。CRP 13.6mg/dL。咽頭部の写真(A)と咽頭部 造影CT(B)を別に⽰す。 この患者が細菌感染症よりウイルス感染症であることを⽰唆 するのはどれか。 a 後頸リンパ節腫⼤を認める。b ⼝蓋垂の偏位を認める。 c 結膜充⾎を認めない。d 肝脾腫を認めない。e ⽪疹を認 めない。 医師国家試験111C24 【A】 ⼝蓋垂の偏位、扁桃腫⼤ 【B】 扁桃に膿瘍
#25.
Q.咽頭痛は咽頭や頚部疾患だけ気にしたらいい︖ • 急性冠症候群の放散痛も怖い疾患ですよね。 ➜詳細は『怖い胸痛、まずすべき対応』を参照ください。 A.否。咽頭所⾒のない咽頭痛や頚部痛は 急性冠症候群を想起しよう。
#26.
Take home message u何よりも、上気道閉塞を⽰唆する所⾒の有無を確認しよう u上気道閉塞を⽰唆する所⾒があれば、 座位にして、⼈を呼んで、酸素投与/モニター装着/ルート留置 u怖い咽頭痛疾患は、気道閉塞を起こす前に早期治療が重要 ➜気道確保のために、気管挿管の閾値は低くしよう u咽頭所⾒のない咽頭痛や頚部痛は急性冠症候群を想起しよう