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乳酸アシドーシスを予防するために〜Lactateを始めからていねいに〜前編

  • 内科

  • 救急科

  • 初期研修医

  • 代謝
  • 微小循環不全
  • Lactate
  • 組織潅流

11,531

58

2022/11/8
2022/11/8 更新

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

内容

乳酸アシドーシスを予防するためには、乳酸の発生機序、上昇原因、予防方法の理解が重要です。正しい解釈は適切なケアや治療に繋がります。前編では乳酸値の解釈や乳酸の機能について解説します。

後編はこちら→ https://slide.antaa.jp/article/view/b68648c93a5b4b08

◎目次

・乳酸値の解釈について

・化学式

・身体における乳酸の機能について

・恒常性 過去と現在

・代謝について

・乳酸アシドーシスの分類

・十分な酸素化とは

・組織(臓器潅流)とは

・検査値の評価

・ターニケット使用の影響

・動脈血 VS 静脈血

・乳酸リンゲル液の影響

・敗血症における乳酸の産生・排泄

・微小循環不全の影響

・Occult HypoperfusionとCryptic Shock

参考文献

  • J Nutr. 2005;135:1619-1625.

  • Fed Proc. 1986;45:2924-2929.

  • CHEST 2016; 149(1):252-261

  • Crit Care. 2014;18:503.

  • Circulation. 1987;75:533-541.

  • J Cereb Blood Flow Metab. 2009;29:1121-1129.

  • QJM. 1923;16:135-171.

  • Mitochondrion. 2014;17:76-100.

  • Current Topics and Trends, Vol A, Respiration-Metabolism-Circulation. 1985:208-218.

  • J Clin Invest. 1986;77:690-699.

  • Am J Physiol. 1993;264(4 pt 1):C761-C782.

  • Biochem J. 1977;164:185-191.

  • Am J Physiol. 1973;224:1463-1467.

  • Crit Care. 2009;13:R90.

  • Blackwell Scientific Publications; 1976.

  • Anesthesiology. 2000;93:1407-1412

  • CJEM. 2016;18:358-362.

  • Eur J Clin Nutr. 2018;72:82-86.

  • Emerg Med J. 2006;23:622-624.

  • N Engl J Med. 2018;378:819-828.

  • Acta Anaesthesiol Scand. 2011;55:558-564.

  • Crit Care Resusc. 2000;2:181-187.

  • Metabolism. 1999;48:779-785.

  • Acad Emerg Med. 2016;23:690-693.

  • Crit Care Med 2013;41:791-9.

  • Annals of Emergency Medicine, 2020-02-01, Volume 75, Issue 2, Pages 287-298.

  • INTENSIVIST Vol.12 No.1 2020 生理学

  • Intensive Care Med. 2007;33:1892-1899.

  • Resuscitation. 2011;82:1289-1293.

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乳酸アシドーシスを予防するために〜Lactateを始めからていねいに〜前編

  1. 乳酸アシドーシスを予防するために 〜Lactateを始めからていねいに〜 前編 masa1019@救急科集中治療、内科

  2. ⽬次 〜前編〜 • 乳酸値の解釈について • 検査値の評価 • 化学式 • ターニケット使⽤の影響 • ⾝体における乳酸の機能について • 動脈⾎ VS 静脈⾎ • 恒常性 過去と現在 • 代謝について • 乳酸アシドーシスの分類 • ⼗分な酸素化とは • 組織(臓器潅流)とは • 乳酸リンゲル液の影響 • 敗⾎症における乳酸の産⽣・排泄 • 微⼩循環不全の影響 • Occult Hypoperfusionと Cryptic Shock

  3. 本スライドの要点 ① 乳酸の発⽣機序︓ 好気性代謝でも産⽣され、主に肝臓で代謝される ② 乳酸アシドーシスになる前にできること︓ Lactate(乳酸)上昇はどのような状態においても重症である認識 をし、原因検索を⾏うべし ③ 乳酸上昇の原因︓ 原因検索は組織灌流が⼗分か否かでアプローチし、不⼗分な場合は 酸素需要バランスを改善させる

  4. 乳酸値の解釈について • 救急外来における乳酸値の測定は、道標と混乱の両⽅の原因と なっています • 乳酸は正しく解釈されれば有⽤なツールとなります • しかし、不適切な解釈は臨床医を惑わせ、不適切なケアや不必 要な治療を引き起こす可能性があります

  5. 化学式 • 乳酸の酸解離定数(pKa)︓3.86 ⇛乳酸イオン︓乳酸=約3,000︓1 J Nutr. 2005;135:1619-1625. • 1 mmol/L = 9 mg/dL • 2つの⽴体異性体が存在 • ⼈間の体内で蓄積するのはほぼL-乳酸

  6. D-乳酸が蓄積する時は︖ • そもそも蓄積することは稀 • D-乳酸の測定は通常と異なる分析が必要、認識困難 • 短腸症候群︓炭⽔化物の消化低下⇛腸管内に糖残る⇛細菌がD乳酸作成、L-乳酸をD-乳酸に変換 • 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)罹患やプロピレングリコー ル投与の時

  7. ⾝体における乳酸の機能について 特に重要な機能は ① 糖新⽣の炭素基質⇛⾎糖値を維持する ② 解糖やグリコーゲン分解が盛んな場所から、細胞呼吸が盛ん な場所に移動して酸化的リン酸化に関与 ⇓ Fed Proc. 1986;45:2924-2929. 『乳酸は重要なエネルギーシャトル』 CHEST 2016; 149(1):252-261

  8. ⾝体における乳酸の機能について • 敗⾎症やショックなどの代謝ストレス時において ⼼臓では代謝需要の最⼤60%、脳では最⼤25%に乳酸が使⽤される Crit Care. 2014;18:503. Circulation. 1987;75:533-541. • 脳の神経細胞や星状膠細胞(アストロサイト)は、常に乳酸を取り込 み、それを燃料として酸化してエネルギーを⽣成する J Cereb Blood Flow Metab. 2009;29:1121-1129.

  9. 乳酸の恒常性 〜過去〜 • 主に⾻格筋における嫌気性代謝の 最終産物と考えられてきた QJM. 1923;16:135-171. • 酸化型NADを供給するためのコス トとして発⽣する単なる代謝廃棄 物と考えられていた Mitochondrion. 2014;17:76-100.

  10. 乳酸の恒常性 〜現在〜 • ⾻格筋が完全に酸素化されている安静時や、嫌気性閾値に達し ていない活動時に、解糖によって乳酸が産⽣される Current Topics and Trends, Vol A, Respiration-Metabolism-Circulation. 1985:208-218. • ⽣理的ストレス状態では、カテコールアミン濃度が上昇し、 代謝状態が亢進する • グルコースの使⽤量が増加し、解糖系亢進、ピルビン酸濃度が 上昇、TCAサイクル周期の酸化能⼒を超え、続いて乳酸に変換 される Crit Care. 2014;18:503.

  11. 安静時 代謝亢進時 「代謝亢進時は乳酸産⽣が増える」

  12. 乳酸の代謝について① • ⽣理学的に安定した状態での乳酸回転速度は、約20mmol/kg/⽇ J Clin Invest. 1986;77:690-699. • 正常な状態では、体重関係なく乳酸は約1.5mol/⽇産⽣される CHEST 2016; 149(1):252-261 • 肝臓では、循環する乳酸の約70〜75%が代謝される Am J Physiol. 1993;264(4 pt 1):C761-C782. • 肝クリアランスの低下要因︓アシドーシス、肝硬変、低灌流など Biochem J. 1977;164:185-191.

  13. 乳酸の代謝について② • 腎クリアランスは、乳酸除去の約25〜30%を占める • ⼤部分は腎⽪質で⾏われ、細胞は乳酸を取り込み、エネルギーと して酸化するか、糖新⽣としてグルコースを⽣成し、腎髄質また は全⾝循環に戻す • 腎クリアランスのうち、実際に尿中排泄されるのは10%程度 Am J Physiol. 1973;224:1463-1467.

  14. 乳酸アシドーシスの分類 • 乳酸アシドーシス︓pH<7.35+⾎清乳酸値の上昇 ⾼乳酸⾎症︓pHに関係なく⾎清乳酸値 2 mmol/L以上 Crit Care. 2009;13:R90. • A型乳酸アシドーシス︓ 組織の灌流や酸素化が不⼗分な状態で乳酸が蓄積する • B型乳酸アシドーシス︓ 細胞内に低酸素が存在しないのに乳酸が上昇する Blackwell Scientific Publications; 1976.

  15. A型乳酸アシドーシス︓ 組織の灌流や酸素化が不⼗分な状態で乳酸が蓄積する 全⾝性 Shock(⼼原性、閉塞性、分布性、⾎液減少性)、⾼度な低⾎圧、重度 の貧⾎、⼼停⽌、外傷、⽕傷、⼀酸化炭素、シアン化物、褐⾊細胞腫、 鉄中毒 局所的 労作 ⼿⾜や腸間膜の虚⾎、局所的な外傷や⽕傷、コンパートメント症候群、 壊死性軟部組織感染症、微⼩循環障害 痙攣または発作、呼吸作業の増加、激しい運動

  16. B型乳酸アシドーシス︓ 組織の灌流や酸素化が⼗分なのに乳酸が上昇する 基礎疾患の進⾏ 悪性腫瘍、敗⾎症、チアミン⽋乏症、肝不全、腎不全、 褐⾊細胞腫、DKA、AKA メトホルミン、アセトアミノフェン、β2 -アゴニスト(ア 薬物または毒素性 ルブテロール、エピネフリンを含む)、交感神経刺激薬、 テオフィリン、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、アルコー ル、毒性アルコール、プロポフォール、シアン化物、⼀酸 化炭素、イソニアジド、リネゾリド 先天性代謝異常 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害症、ピルビン酸カルボキ シラーゼ阻害症、グルコース-6-ホスファターゼ阻害症、 先天性ミトコンドリア症

  17. ⼗分な酸素化とは • ⼗分な酸素化︓組織の酸素需要に対して、酸素供給が充⾜している状態 • 組織の酸素需要︓発熱、炎症、交感神経賦活により代謝が亢進すると需 要増加する。逆に低体温、鎮静下だと需要は減少する。 • 酸素供給︓ ≒⼼拍出量(l/min)×13.4×Hb(g/dl)×SaO2(動脈⾎酸素飽和度,ml/min) • ScvO2は酸素供給の間接的指標となる 酸素需要を減らし、酸素供給(⼼拍出量、Hb、SaO2)を増加させる

  18. 組織(臓器)潅流とは • ⼗分な組織(臓器)潅流とは︓ 組織(臓器)にある⼀定以上の圧がかかっていること 腎臓なら尿量>0.5ml/kg/h,脳なら意識障害がないこと • ある⼀定以上の圧とは︓ MAP(平均動脈圧)≧ 65 mmHg ⾼⾎圧既往なら⾼めに設定すべし MAP>65mmHg⽬標に、尿量>0.5ml/kg/h維持する

  19. 検査値の評価 • 採⾎後、⾚⾎球の代謝により乳酸が⽣成され続ける ⇛正確な評価のため、採⾎から15分以内に分析する • 予防⽅法︓ 1)⾎液サンプルを直ちに冷却する 2)細胞の代謝を阻害する防腐剤であるフッ化ナトリウムを含 む「グレートップ」採⾎管を使⽤する

  20. ターニケット使⽤の影響 • 虚⾎を誘発するために⼿術室で動脈側の⽌⾎帯を使⽤した際 ⽌⾎帯を使⽤してから75分後に⾎清乳酸値が直線的に上昇し、 ベースライン値の206%まで上昇した Anesthesiology. 2000;93:1407-1412. • 静脈の⽌⾎帯を装着しても、静脈の乳酸値は有意に変化しない CJEM. 2016;18:358-362.

  21. 動脈⾎ VS 静脈⾎ • 正常範囲内であれば⾮常によく相関 r = 0.94 (95% CI, 0.91-0.96) Ann Emerg Med. 1997;29(4):479-483. • ⾼乳酸⾎症では軽度の不⼀致が⽣じる Eur J Clin Nutr. 2018;72:82-86. • 中⼼静脈の乳酸値は、動脈⾎の値と⾮常によく相関 Emerg Med J. 2006;23:622-624. • 動脈⾎と中⼼⾎の検体は全⾝を循環する乳酸を表し、末梢静脈の検体は 局所環境を反映する Vital signが崩れていないのに、静脈⾎乳酸が上昇している場合 動脈⾎で再検し、隠れた重症病態を⾒逃さないようにしている

  22. 乳酸リンゲル液の影響 • 乳酸リンゲル液注⼊部位のすぐ近くで静脈穿刺を⾏った場合、 ⼀過性の上昇が観察されることがある N Engl J Med. 2018;378:819-828. • 肝不全または重⼤な肝低灌流の患者では、肝臓が追加の乳酸負 荷を代謝できないため、⾎清乳酸値が上昇する可能性がある Acta Anaesthesiol Scand. 2011;55:558-564.

  23. 敗⾎症における乳酸の産⽣ • 産⽣源は肺>⾻格筋の2つ という有⼒な根拠あり Crit Care Resusc. 2000;2:181-187. • 乳酸産⽣にカテコールアミンによる好中球b­2受容体刺激が関与。 肺にはこれらの受容体が多数存在する、という仮説。 Metabolism. 1999;48:779-785. • 炎症細胞(WBC)の好気的解糖亢進 Metabolism. 1999;48:779-785. • 微⼩循環障害 という説 Acad Emerg Med. 2016;23:690-693.

  24. 微⼩循環不全の影響 • DOB、アセチルコリン、ニトログリセリンは全⾝の⾎⾏動態とは無関係 に微⼩⾎管灌流を改善し、⾼乳酸⾎症と予後も改善する Crit Care Med 2013;41:791-9. • 微⼩循環障害や治療必要性については、 今後の研究が必要 Annals of Emergency Medicine, 2020-02-01, Volume 75, Issue 2, Pages 287-298, • 微⼩循環障害は治療により改善するかどうか、 わからない INTENSIVIST Vol.12 No.1 2020 ⽣理学

  25. Occult HypoperfusionとCryptic Shock • 定義︓⾎圧が正常なのに乳酸値上昇(4mmol/L)している状態 • 感染症が疑われる患者では、乳酸値の上昇が⾎圧に関係なく 28⽇死亡率の上昇と関連していた Intensive Care Med. 2007;33:1892-1899. • overt shock(輸液チャレンジ後なのに低⾎圧)の敗⾎症患者と ⽐較し、プロトコルに従った治療後の死亡率が同等 Resuscitation. 2011;82:1289-1293. 『感染+Lactate↑=重症』という認識を

  26. 乳酸アシドーシスを予防するために 〜Lactateを始めからていねいに〜 前編 終了 masa1019@救急科集中治療、内科

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