#4.
プログラム §1 § §2 §3 Introduction Methods Results §4 Discussion
#5.
CAR T療法: 基礎知識 CAR-T療法とは2)
キメラ抗原受容体T細胞療法の略.
平たく言うと。。。
患者のT細胞に遺伝子改変を行うことで特殊なたんぱく質を発現できるT細胞 (CAR-T細胞)を作成する.
CARは標的細胞表面に発現している抗原を特異的に認識することができ, CARを発現したCAR-T細胞は体内で標的抗原を認識して活性化し, 増殖し, 標的細胞を攻撃することができる.
体内で増殖するため単回投与で済む.
CAR-T細胞は, それ自体が細胞傷害性を持つ.
抗体依存性細胞傷害活性を得るにはNK細胞などが必要であるが, 化学療法ではこのような細胞も減少し, 効果が十分に発現しない可能性があるが, CAR-T細胞はそれ自体に細胞障害性があり, 体外で必要用量を増やして投与も可能.
#6.
CAR T療法: 標的抗原3)
#7.
CAR T療法: 標的抗原4) CD19はCD20と比較してB細胞の多くの分化段階で発現しており,
B細胞の枯渇を目的とした標的抗原として好まれる.
これは自己免疫性疾患を対象としたCAR-T療法でも同様.
#8.
CAR T療法流れ (3 step)5) 採取日やWash out期間など事前に綿密にスケジュールをたてる必要がある.
#9.
CD19 CAR-Tの種類5) 2023/01時点で血液内科領域で承認されている, CD19を標的としたCAR-TはTisa-cel, Liso-cel, Axi-celの3つである. リンパ球の枯渇を目的に”シクロホスファミド (CY)”が前投与される. 副作用として汎血球減少, 感染症, 神経毒性, 出血性膀胱炎, 心膜炎, 二次癌, 腎機能による投与調節などが重要.
若年女性の症例には?? (SLEの典型症例には..?)
#10.
CAR-T療法の合併症 (1): CRS (サイトカイン放出症候群) 腫瘍細胞/自己反応性細胞 CAR-T細胞 マクロファージ マクロファージ活性化 IL-6 CRS 高熱, ショック,
血球貪食症候群など. 抗IL-6受容体抗体 CAR-T細胞の細胞傷害活性には影響しない. 実験医学 2023年11月号 Vol.41 No.18参考
#11.
CAR-T療法の合併症 (1): CRS CRS (サイトカイン放出症候群)
CAR-Tの活性化および細胞増殖に伴い, 体内で大量のサイトカイン放出が起きることで合併する一連の有害事象の総称.
発熱, 低酸素血症, 血圧低下, 全身浮腫, さらには多臓器不全に至るリスクがある.
重症度に応じて迅速な治療介入が必要になる.
それぞれのCAR-T毎にCRS管理のアルゴリズムは異なるが, トシリズマブ (TCZ), グルココルチコイド (GC: デキサメタゾンもしくはメチルプレドニゾロン)を重症度・発症時期に応じて段階的に投与する流れは共通.
発症中央値は2-5日目, 持続期間は7-8日という報告が多い.
一部のレジメンではICU管理を要する頻度も高いCRSもあり, ICUとの連携も重要.
#12.
CAR-T療法の合併症 (2): ICANS6) ICANS (神経障害)
CAR-T投与後の神経毒性.
傾眠, せん妄, 認知障害, 痙攣, 失神, 失語, 運動失調など多彩.
想起した場合は脳MRI, 髄液検査が除外診断で必要.
重症度 (ICEスコア)に応じてGCの投与が必要になる.
#13.
CAR-T療法の合併症 (3):その他 遅延性血球減少
投与2週目以降
低γグロブリン血症
抗体を産生するB細胞が枯渇するため.
IgG 400 mg/dLを超えるように補充を行う.
低下が数年続く症例もある.
感染症
発熱時はCRSとの鑑別が重要.
ガイドラインではルーチンの抗生物質投与は不要となっている.
一方PCP予防と帯状疱疹予防のためにST合剤とアシクロビルの投与はCAR-T投与後1年間は継続が望ましいとされる.
#14.
CAR-T療法の価格 1回あたり, 3000万円を超える超高額な治療法である.
キムリア® (悪性リンパ腫など) 3349万3407円 (2021/05/19時点)
アベクマ® (多発性骨髄腫) 3264万7761円(2022/04/20時点)
※ネット調べ とても高額な治療であり, 適応は厳正に評価する必要がある.
#15.
自己免疫性疾患におけるCAR-T療法の有効性報告(動物)8) 対象(種): NZB×NZW (F1)マウス及びMRL_fas/fasマウス (いずれもSLEモデルマウス)
介入: CD19標的CAR発現CD8陽性T細胞の輸注
比較: なし
評価:①CD19陽性B細胞の枯渇, ②自己抗体産生の阻止, ③標的臓器における病態の改善,
④延命効果
#16.
自己免疫性疾患におけるCAR-T療法の有効性報告(臨床)7)
#17.
自己免疫性疾患におけるCAR-T療法の有効性報告7) 試験デザイン: 介入試験
P: 難治性のSLE (女性4, 男性1)
I : CD19標的CAR-T細胞療法
C: なし
O: 症状の改善, 抗体価, 寛解達成率
前投薬: フルダラビン+IVCY (1000mg/m2/日)
CAR-T輸注量 1×106/kg
#18.
自己免疫性疾患におけるCAR-T療法の有効性報告7) 5人に難治性SLEに患者に対してCD19を標的としたCAR-T療法を実施.
投与された患者ではB細胞を著しく減少させ, 臨床症状と検査値の改善をもたらした.
全例においてSLE寛解が投与3か月後に得られ, 長期間のDrug freeでの寛解が維持された.
B細胞が再出現する症例もあったが, 未分化なものであった.
CRSを除いて良好な安全を示した.
#19.
自己免疫性疾患におけるCAR-T療法の有効性報告7) limitation
症例数が5例と少ない
対照群がなく、CAR-T細胞療法の効果を直接比較できない
投与量、投与スケジュールの最適化がされていない
長期予後が不明(中央値8ヶ月の追跡期間)→今回の論文へ
副作用のモニタリング期間が短い可能性
選択バイアスの可能性(難治例のみ選択)
前処置が短期効果に寄与した可能性あるも, CD4陽性T細胞を含む血球数が早期に回復していることから, SLE寛解維持が前処置だけで説明するのは困難か.
#20.
本論文の主旨 過去2年間に自己免疫性疾患におけるCD19標的CAR-T療法の有効性に関して3つの異なる自己免疫性疾患の重症患者15例における短期および長期の有効性と安全性に関する評価を行う
試験デザイン
ドイツでの症例蓄積研究.
#21.
プログラム §1 § §2 §3 Introduction Methods Results §4 Discussion
#22.
Patients 対象とする疾患:
SLE, 特発性炎症性筋疾患 (IIMs), 全身性強皮症
分類基準:
SLE:EULAR/ACR2019, IIMs: Bohan&Peter, SSc: ACR2013
Inclusion:
少なくとも2種類の標的治療の免疫調節治療に抵抗性.
倫理:
CAREガイドライン, ヘルシンキ宣言に則る.
#23.
【参考】EULAR/ACR 2019分類基準(簡略)
#24.
【参考】Bohan &Peter: 多発性筋炎/皮膚筋炎分類基準9) 判定:
Definite: 4項目以上 (皮膚筋炎は5を含む)
Probable:3項目以上 (皮膚筋炎は5を含む)
Possible: 2項目以上 (皮膚筋炎は5を含む)
#25.
【参考】2013EULAR/ACR分類基準: SSc10) 判定:
合計9ポイント以上であればSScと分類可能.
手指硬化がMCP関節を超えて近位まで存在すれば分類可能.
#26.
治療の流れ: プロトコール 治験薬: MB-CART19.1: CD19陽性CAR導入CD4およびCD8濃縮細胞から構成.
#27.
治療の流れ: プロトコール 治験薬: MB-CART19.1: CD19陽性CAR導入CD4およびCD8濃縮細胞から構成.
スクリーニング
患者の適格性を-45日目から-30日目にかけて評価する
病歴、身体検査、検体検査などを行う
細胞回収
投与14日前に患者から白血球を採取する
CAR-T細胞の製造
回収した白血球からCAR-T細胞を13日前から1日前にかけて製造する
製造工程が成功したかどうかを5日前に確認する
前治療
5日前から3日前にかけて、リンパ球減少化学療法を行う
→前投薬としてシクロホスファミド, フルダラビンの投与を受けた.
CAR-T細胞投与
0日目に製造したCAR-T細胞を投与する
入院モニタリング
投与後最低10日間入院し、有害事象をモニタリングする
フォローアップ
28日後に安全性と有効性を評価する
その後は2か月後、3か月後、以降は3か月ごとに評価する 要点は、適格性確認後に細胞を採取し、個別にCAR-T細胞を製造する。
前治療でリンパ球を減少させた後にCAR-T細胞を投与し、
有害事象を注意深くモニタリングしながら、定期的に治療効果を評価すること
#28.
疾患活動性評価
#29.
【参考】SLEDAI-2K (SLEDAI 2000) SELENA-SLEDAIと比較して再燃の評価が困難.
重症度の定義がない.
10日以前から続く臓器障害の評価ができない.
一部の臓器障害が計上されていない,
臓器病変の点数に偏りがある.
BICLA, LLDASの構成要素
#30.
【参考】SLEDAI-2K (SLEDAI 2000)
#31.
【参考】LLDAS:Lupus Low Disease Activity State 世界的に提唱されているSLEの病勢コントロール目標.
同基準を達成している期間が長いほど, 長期的な障害が少なく, QOLが向上する.
下記の5項目すべてを満たした状態をLLDASと定義する.
#32.
【参考】DORIS: Definition of Remissionの寛解 cSLEDAI: 臨床的SLEDAI. SLEDAIから補体と抗DNA抗体の結果を除いたもの 後ろ向き研究では使いづらい(過去の症例ではPGAはたいていの場合取られていない)
#33.
【参考】2016 ACR-EULAR Total Improvement Score11) 判定
#34.
【参考】MMT-8 12) 三角筋 上腕二頭筋 手関節伸展 大腿四頭筋 足関節背屈 頸部屈曲 中殿筋 大殿筋 IMACS HPより抜粋 (原文邦訳)
#35.
【参考】EUSTAR activity index13) Δ-skin: 前月と比較した皮膚硬化の悪化
活動性ありと判断するCut offは2.5以上
#36.
【参考】modified Rodnan Skin Score14) 皮膚硬化の重症度15)
#37.
安全性評価 CAR T細胞注入後10日間はCRSとICANSに関して毎日スクリーニングを施行した.
骨髄毒性は治療後28日以上持続するCTCAE ver5.0のGradeⅢ以上の好中球減少 and/or 白血球減少と定義された.
#38.
【参考】安全性評価(2): CRS ASTCT grade評価16)
#39.
【参考】安全性評価(3): ICANS ASTCT grade評価16) *ICEスコアは10点満点で、注意(orientation)、命名(naming)、従命(following commands)、書字(writing)の各ドメインを0-3点で採点する。
†アルツハイマー型認知症の患者など、ベースラインのcognitive statusが低下している患者の場合、ベースラインからの変化が神経毒性とみなされる。
‡痙攣以外の運動所見。
§限局性浮腫とは、血管原性浮腫や腫瘍周囲の浮腫など、予想される解剖学的分布を有する浮腫と定義する。
#40.
プログラム §1 § §2 §3 Introduction Methods Results §4 Discussion
#41.
参加患者の短期成績評価 (既報): SLE n=5 P: 難治性SLE1例17)I: CD19標的CAR T療法 O: 各種パラメーター改善 短期有害事象は認めず. 前述
Ref: 7
5人(参考文献17含む)
本研究では既報に報告のない3人が新規に登録 参考文献7の5人の内の一人
#42.
参加患者の短期成績評価 (既報): IIMs n=2 CRSは軽度. B細胞の再構築後も寛解 Grade1程度のAE以外は認めず.オクレリズマブ; 抗CD20モノクローナル抗体, レナバスム: 抗線維化薬
#43.
参加患者の短期成績評価 (既報): SSc n=1 CRSは軽度
#44.
Result①: 患者のベースライン特徴 (Table1) ASS
#45.
Result①: 患者のベースライン特徴 (Table1) すべての患者は少なくとも2種類以上の免疫抑制剤に対して抵抗性.
SLE患者: SLEDAI-2Kの中央値は13点と重症, BILAGでは少なくとも1つの重症(A)に該当し, ⅢもしくはⅣの組織型が証明されている.
ASS患者: CKの中央値 4298 U/L, %VC 53%, %DLco 67%, ILDの合併あり.
SSc患者:mRSS 25.5, %VC 36%, %DLco 59%, ILDの合併あり.
8人がB細胞除去治療が施行され, 9人がCYを受けている (投与中央量3g).
#46.
Result②: 各患者の治療内容 (Suppl. Figure1) 数字は治療を受けた月数を示す.
#47.
Result①: 患者のベースライン特徴まとめ *Includes leflunomide, ocrelizumab, tocilizumab, nintedanib, leflunomide, bortezomib, upadacitinib, immunoadsorption, ustekinumab, photopheresis, lenalidomide, thalidomide, ustekinumab, interleukin-2, and tofacitinib.
Anti-Sm, anti-Smith; CPM, cyclophosphamide; HCQ, hydroxychloroquine; IIM, idiopathic inflammatory myositis; IVIG, IVIG intravenous immunoglobulins; SSc, systemic sclerosis. 全ての患者が少なくとも2剤以上のISTを使用していた.
#48.
Result③:ベースラインの細胞特徴 (Suppl.Figure2) 製造中のCD3陽性T細胞の増殖効果 製造中のCAR Tの増殖効果 導入効果 個々のCD19 CAR T細胞産物の細胞種類 いずれも15人の患者で一貫していた. 全員1×109個以上のCD19 CAR T細胞を産生することができ, 導入効率は18~44%. ほとんどのCD19CAR T細胞産物はCD4>CD8であった.
#49.
Result④:CAR T細胞拡大とB細胞の枯渇 (Suppl.Figure3) In vivoで急速に拡大し, 平均8.6±08日後にpeakに達した CD19陽性B細胞:
平均5.9±2.2日で末梢血から除去
平均112±47日後にB細胞が出現. 白血球とリンパ球への影響. RTXの事前投与の影響 (+ vs -)
CAR T細胞増殖のpeak: 91 cell/μl (38-270) vs 461 cell/μl (61-1275)
CAR T細胞の存在期間: 40日(30-61) vs 58日 (26-79)
RTXの投与歴のある患者は効果が弱い可能性がある.
#50.
Result⑤:SLEにおける効果 (Figure1) すべての患者でLLDAS, DORISを達成した.
All drug free remissionをすべての症例で達成 6か月後のBILAGはすべて消失. いずれも改善~消失・安定
#51.
Result⑤:SLEにおける効果 (Figure1) すべての患者でLLDAS, DORISを達成した. 6か月後のBILAGはすべて消失. いずれも改善~消失 SLE患者4は治療開始後4か月で蛋白尿が再発したが, 反復腎生検ではループス腎炎の再燃の徴候を認めなかったため, 再発と計上しなかった. 最終追跡時 (24か月)ではごく軽度の蛋白尿を認めるのみであった.
#52.
Result⑤:SLEにおける効果 Short-term Efficacy
DORIS remission
LLDAS
SLEDAI-2K score of 0
Glucocorticoid-free state
No immunosuppressive drugs
Long-term Efficacy SLEDAI-2K score of 0
Anti-dsDNA 0 U/ml
C3 levels above 90 mg/dL
Urinary protein excretion with a protein:creatine ratio under 0.2
All eight patients with SLE met LLDAS criteria and had DORIS remission after 6 months
#53.
Result⑥:IIMにおける効果 (Figure1) CK, MMT-8は正常化し, 筋外性疾患活動性も停止した.
すべての症例でAll drug free remissionを達成
#54.
Result⑦:SScにおける効果 (Figure1) 活動性指標は非活動性に, 皮膚硬化もmoderateまで改善.
All drug free remissionをすべての症例で達成. ※2.5以上で活動性あり. いずれもmoderateまで改善
#55.
Result⑧: SLE自己抗体評価 (Figure2/Suppl.Fig5A) 1例を除いてSLE特異抗体のセロコンバージョンを認めた. 1年以上7/8の症例で特異抗体の持続陰性を確認した.
(Ro抗体を除く)
#56.
Result⑨: IIM/SSc自己抗体評価 (Figure2) 疾患特異抗体の低下を認める抗体種もある.
#57.
Result⑩: ワクチン抗体への影響(Figure2/Suppl.Fig5B) 肺炎球菌とCOVIDの抗体は中程度の減少を認めた. SLE患者では追加摂取によりIgGの上昇を認めた
#58.
【参考】Result⑪: B細胞表現型解析(Suppl.Fig6) FCMにおけるGating
#59.
【参考】B細胞のイムノフェノタイピング21-22)
#60.
Result⑪: B細胞表現型解析(Figure3/Suppl.Fig6-7) 治療後の再構成されたB細胞はNaïve B細胞の表現型を示した(左から1番目).
Naïve B細胞: 抗原曝露されていないB細胞. IgDなどのBCRを発現する.
CD19+CD27+memory B cell (Bmem)は激減した (左から2番目).
4か月時点で12か月時点で限定的に増加したが, 主にIgD+CD27+B細胞 (Pre-Switched Bmem)に見られた (左から3番目).
CD27+CD38+形質芽細胞(左5番目)やSLEに関連した活性化CD11c+Bmem(7番目)はB細胞再構成後に認められなかった.
→病的自己免疫のリセットを誘導した可能性がある.
ざっくり考え方: Bmem(自己反応性を含む)が増加すると自己抗体を産生し, 原病の再燃に寄与する. またサイトカインなどの産生増加に伴い慢性炎症の状態を誘発する.
Preswitched BmemとSwitched Bmem:
Preswitched: 初期段階に早期に働きかける未分化な細胞
Switched: 分化した細胞で特異的な免疫反応をきたす.
EaR: 治療後約4か月の早期再構成, EsR: 治療後1年での再構成が確立した時期 SLE
#61.
Switched Bmem, 形質芽細胞23) SLEにおいて健常人 (HC)との末梢血のB細胞の比較 (FLOW studyの一部). これらの細胞はSLEの疾患活動性と相関している.
#62.
Result⑪: B細胞表現型解析(Figure3/Suppl.Fig6-7) SLEと同様の結果がIIMs, SScでも認められた.
しかしEaRとEsRにおけるBmemの枯渇はSLEほど深くないようである.
#63.
Result12: 短期安全性AE (Table2)
#64.
Result12: 短期安全性AE (Table2) CRS 11/15
Grade1 10人, Grade2 1人 (IIMs).
1日後(中央値)に始まり, 5日(中央値)程持続した.
TCZは6例に投与 (SLE 3/8, IIMs 3/3, SScは0例)
ICANS:
めまい1 (IIMS#2)
骨髄抑制:
Grade4(好中球減少)1→薬剤性の影響が考慮され, 被疑薬の中止とG-CSF投与で改善.
#65.
Result13: 各症例の炎症の経過(Suppl.Figure9) IIMs#3のCRSにおける心拍数の増加 A:発熱はCRS以外の要因 (原病の病勢など)と記載
#66.
Result14: 血球の回復の推移 (Suppl.Fig10) 各図の左は全例, 右はBLで血球減少があった症例だけpick upした図表 いずれの血球も1ヶ月程で回復
#67.
Result15: 長期安全性AE (Table3)〜感染症〜 長期安全性に関するAEとして”感染症”が挙げられた.
SLE患者8以外は軽度の感染症であった.
本症例は抗生剤で改善を認める程度の肺炎であった.
低γグロブリン血症の頻度は稀であった.
#68.
Result15: 長期安全性AE (Table3)
長期安全性に関するAEとして”感染症”が挙げられた.
SLE患者8以外は軽度の感染症であった.
本症例は抗生剤で改善を認める程度の肺炎であった.
低γグロブリン血症の頻度は稀であった.
#69.
Result16: 長期安全性AE (Suppl.Fig11)〜低γグロブリン血症〜 低γグロブリン血症の頻度は稀.
IgGは3-6ヶ月で低下し, 回復.
500mg/dlを満たす症例は3例であり, 基本的な重症度は軽い.
#70.
プログラム §1 § §2 §3 Introduction Methods Results §4 Discussion
#71.
Discussion①: 本論文のまとめ・立ち位置・結果の解釈 (1) 本論文は少数例のケースシリーズではあるが, SLE, IIMs, SScにおいてCD19 CAR T療法の長期有効性 (短期も含めて), 安全性プロファイルが期待される結果であった.
疾患や患者背景に相違はあれどCAR T細胞の増殖とB細胞の枯渇は一貫して認められた現象であった.
モノクローナル抗体によるB細胞標的療法とは関係なく効果が認められた.
SLE, IIMsでは疾患の症状の改善消失を認め, SScにおいては皮膚と肺の病変の重症度が軽減された.
特筆すべきは1回の注射で長期に渡り, 全ての患者が再発や症状の悪化を起こすことなく, ISTの投与を中止できたことにである.
#72.
Discussion②: 本論文のまとめ・立ち位置・結果の解釈 (2) CAR T療法で長期の寛解を得たことは自己免疫性疾患において通常発症に先行する
自己抗体の持続的減少を達成したことによって起きたと考えられる.
さらにナイーブなB細胞の出現, 形質芽細胞の消失, 特異的疾患関連重鎖,
軽鎖のDownregulationは病的自己免疫環境のリセットを誘導した可能性がある.
従って本治療は病原性B細胞と非病原性B細胞の両方を対象とするが, CAR T細胞が
消失した後のB細胞系の再起動は自己抗体産生を誘発する病原性B細胞が存在しない
場合に発生する.
CD19 CAR T細胞治療の副作用は最小限であった.
Gradingの高いCRSやICANSは認めず, 骨髄抑制も遷延しなかった.
感染症の頻度は少なく, 免疫グロブリンの低下も重度のものは認めなかった.
免疫グロブリンの低下は抗体を産生する形質芽細胞の除去に起因するが, ワクチン接種関連などの血清免疫グロブリンの多くは除去されないことからCD19陰性形質細胞は治療の影響をあまり受けていない可能性がある.
これは抗体産生源 (形質芽細胞と形質細胞)が異なることを示唆し, SLEにおけるB細胞枯渇抗体を用いた研究でも同様の結果であった24).
ターンオーバーの長い形質細胞はCD19 CAR T療法の影響を受けにくく, 新規ワクチン接種が必要かどうか, Bmemコンパートメントの回復にどのような影響を及ぼすかは不明.
#73.
Discussion③:Limitation (筆者) 先行治療の影響 すべての患者がフルダラビンとCYによるリンパ球除去化学療法を受けた.
この結果が短期効果に影響を与えた可能性は否定できない.
しかし長期効果(完全なB細胞枯渇, 自己抗体消失, Drug free寛解)がリンパ球除去だけで達成された可能性は低い.
多くの患者は本治療導入前に高用量(5g以上)のCYに曝露したが改善を認めていない.
フルダラビンは小規模のケースシリーズでSLE, IIMsを対象にされている25-26).
リンパ球除去化学療法後3週間以内にB細胞を除く, 血球は急速に回復することからこのレジメンの効果が持続する可能性は低い.
しかし自己免疫性疾患にリンパ球除去が必要か, どの程度の量が必要かについては更なる検討が必要である. 研究デザイン. さらなる評価には対照を設定した臨床試験が必要.
サンプルサイズ (予算や適応の都合でnを集めるのが困難).
#74.
【参考】フルダラビンの自己免疫性疾患への効果 SLE25)
試験デザイン:第Ⅰ/-open-label, pilot ケースシリーズ
PICO
患者: 活動性LN (n=13)
介入: 低用量CY (0.5 mg/m2)+フルダラビン皮下注(30 mg/m2)
比較: なし (single arm)
評価:
主要: 腎寛解達成率(Cre, 蛋白尿, 尿沈査) IIMs (PM/DM) 26)
試験デザイン:pilot ケースシリーズ
PICO
患者: 難治性PM/DM (n=16)
※GC+少なくとも1つのISTでコントロール困難.
介入: フルダラビン iv q1M (6か月)
比較: なし (single arm)
評価:
主要: 7か月後の筋力 改善: 4/16, 変化なし: 7/16, 悪化: 5/16.
#75.
【自己探索】今後の課題30) 予想される再燃/耐性のメカニズム
①自己反応性細胞側の要因:
自己反応性細胞がCAR-T細胞の細胞傷害性を逃れるためには「標的抗原の発現喪失もしくは発現低下」が挙げられる.
実際に腫瘍に対するCAR T療法ではCD19 CAR-T細胞投与後に再発する場合はCD19の発現喪失, あるいは低下がみられる.
抗原発現の完全な消失は後天的な遺伝子異常で起こる27).
抗原発現の低下の一部はCARに結合した標的抗原がCAR-T細胞に取り込まれる”trogocytosis”という現象について説明される28).
この問題に対抗するため, 複数の抗原を標的とする”Tandem CAR”の開発が勧められている.
例えばCD19とCD22の両方を感知できるCAR-T細胞はたとえ腫瘍細胞においてCD19が欠損しても, CD22を標的として自己反応性細胞を傷害できる.
#76.
Trogocytosis29) 2つの細胞が接触した際に一報の細胞膜断片がもう一方の細胞へダイナミックに細胞移動する現象.
Phagocytosisが貪食細胞特有の機能であるのと対照的に本現象はすべての細胞が持つ機能である.
#77.
今後の課題30) 予想される再燃/耐性のメカニズム
①自己反応性細胞側の要因: 抗原発現の変化 (後天性遺伝子異常, Trogocytosis)
②CAR-T細胞側の要因:
CD19-CAR T細胞療法を受けた後, 長期に寛解を維持した造血器腫瘍の患者ではCAR-T細胞が, 投与直後によく増幅 (Expand), 投与後長期に渡って体内に残存し続ける (Petsist)することが明らかになっている.
このため特にCAR-T細胞のlong persistenceを達成できるように研究が進んでいる.
In vivoでlong persistenceと継続する抗腫瘍効果を有することが示されているstem cell memory, あるいはcentral memory typeのCAR-T細胞を増幅する研究が進んでいる.
ただしPersistすると疲弊したCAR-T細胞が出現する.
疲弊CAR-T細胞はCARにより抗原刺激が入っても, サイトカイン分泌や細胞傷害活性を発揮できず, 疲弊マーカーであるTIM3, LAG3などを発現.
このため反復抗原刺激を受けても疲弊しないCAR-T細胞の開発が勧められている.
#78.
今後の展望: SLEにおけるBCMA-CD19 CAR-T細胞32) BCMA (B Cell Maturation Antigen)は膜貫通型受容体で形質細胞に恒常的に発現している. 正常組織におけるBCMAの発現は非常に稀で形質細胞の分化中に選択的に誘導され, naïve およびBmemにはほとんど存在しない.
BCMAはBAFFに結合することで機能を発現し, 形質細胞を増殖させる.
こちらはワクチン抗体も
消失するかも?
https://www.funakoshi.co.jp/contents/69673
#79.
今後の展望: SLEにおけるBCMA-CD19 CAR-T細胞31) ARD 2024 May 30 試験デザイン: 多施設open label試験 (Ph1)
PICO:
患者: 自己抗体陽性SLE/LN (n=13).
介入: BCMA-CD19 CAR (3*106 CAR 細胞/kg)
比較: なし (single-arm)
評価:
安全性, SLEの症状および投薬からの寛解 (MFR), 自己抗体の陰性など血清学的評価
要旨:
P1-2はMFRを達成.
P3-13(P11を除く)も46か月後にMFRを達成
安全性も良好
Limitation:
比較対照なし.
長期効果に関しては更なる検証が必要.
LN以外の効果は不明.
患者の選択基準が明確ではない.
P11はリンパ球減少のため過少投与されており, 結果の解釈に注意が必要. 本治療は前述した”Tandem CAR”に該当し,
自己反応性細胞側の耐性メカニズムを回避できる可能性がある.
#80.
結語 CD19-CAR T療法は難治性のSLE, IIMs, SScにおいて比較的重度の副作用も少なく, 長期の有効性 (薬剤free寛解)が確認された.
しかし, 少数のケースシリーズであるため, 対照群を設定した大規模の臨床研究の施行が望まれる.
そしてリンパ球除去療法 (CY, Flu)の是否など自己免疫性疾患に最適な治療レジメンの探索が望まれる.
ただし極めて高額な治療にあり, 実臨床での導入には厳しい選択基準が必要.
また長期使用における耐性メカニズムに対しての対応が必要であり, Tandem CAR T療法 (SLEではBCMA-CD19 CAR T療法)などの研究が進んでいる.
#81.
参考文献 Müller F, Taubmann J, Bucci L et al. CD19 CAR T-Cell Therapy in Autoimmune Disease - A Case Series with Follow-up. N Engl J Med. 2024 Feb 22;390(8):687-700. PMID38381673.
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#83.
科内論文抄読会:
2025/10/03
名古屋市立大学病院 リウマチ・膠原病内科
臨床研究医
磯谷 俊太郎
活動性SLEにおけるTelitacicept (BLyS/APRIL阻害剤)のDB-RCT(Ph2b)の結果 テーマ: SLE/治療・新薬 次回予告