テキスト全文
動きが遅くなる原因と考え方
#1. Daisuke Yamamoto
Department of Neurology, Shonan Kamakura General Hospital 動きが遅くなったら、
パーキンソン病を考える
#2. Introduction 動きが遅くなったら、というテーマで一緒に考えてみましょう。
歳をとったら、それは動きが遅くなるのだろうと
イメージされると思います。
加齢で説明できる運動障害と、
病的な運動障害についての話をしていきます。
#3. 考え方は二通り。
力が入らなくて、動けない場合
力は入るが、運動の調節が悪くて動けない場合 動きが悪い理由
運動調節障害と無動の症状
#4. 運動の調節が悪いと動きの遅さが目立ってきます。
運動調節が悪い原因は、脳深部の機能障害に由来します。
脳深部の基底核という部分は、運動をプログラミングしている場所です。 運動の調節が悪い?
#5. 動きの遅さ:無動 無動とはシンプルには動きの遅さをさす症状です。
詳しくは、動作の緩慢さ、動作の小ささ、動作の少なさ、動作のリズムの悪さ。
無動とは、これらの複合的なものです。
結果、顔面の表情のなさや、小刻みな歩行の様子となります。
#6. ある程度の年齢以上においては、進行性に動きの遅さが問題になってきたら、
パーキンソン病は考えてよいです。
なぜなら、100人に1人が発症しうる、ありふれた病気だからです。 動きの遅さで
パーキンソン病を想起してよい
パーキンソン病の多彩な症状
#7. 「無動以外」の多彩な症状 動きの遅さ、だけではないパーキンソン病。
#8. 運動調節障害で、ふるえる ふるえは、医学の言葉では「振戦」という。
加齢で振戦が目立ってきてもパーキンソン病の可能性。
「本態性振戦」という良性のふるえもある。
ふるえが目立ってきたら、病院で相談は正解。
#9. 緊張や動作でのふるえはまた別の病気:本態性振戦という。
パーキンソン病は片手の震えで、親指と人差し指をこねるような症状が典型的。 片手のこねるような振戦
#10. 頑固な便秘 便秘があるから、すなわち、パーキンソン病ということはない。
ただし、「頑固な便秘」はその可能性がある。
一週間に1.2回しか通じがない、など。
パーキンソン病に関連する合併症
#11. 大声で寝ているときに叫んだりする。
それと同時に、手足をバタバタさせるさま。
「レム睡眠行動障害」として説明される症状である。
パーキンソン病ではこの症状を認める人が多い。 明瞭な寝言とバタバタする
#12. 認知症もありうる パーキンソン病も、認知症を合併する人もいます。
一般的には、アルツハイマー病が最も多い認知症です。
高度の進行期でなければアルツハイマー病は動きは悪くはなりません。
動きが悪い+認知症は、パーキンソン病の認知症を考えます。
#13. 立ち眩みもある 「起立性低血圧」と言います。
便秘症と同じ理屈で、パーキンソン病では自律神経障害による血圧調整の問題がある。失神する人も。
パーキンソン病の診断と治療の重要性
#14. パーキンソン病は
動きの遅さが目立つ病気だが、
多様な症状を認める。
多様な症状がパーキンソン病診断の
ヒントにもなる。
#15. パーキンソン病の
診断の意味と治療について 動きの遅さ、だけではないパーキンソン病。
#16. パーキンソン病は薬で動きがよくなる病気。
薬で動けるようになる病気は他にない。
よくなる可能性を考えられる。 診断がつくのはいいこと
病気の進行とその理解の重要性
#17. 治療の価値 薬を飲みながら歩ける時間を長くできる。
10年を目標に治療で歩ける。若い人はもっと大丈夫。
薬で動けたら、運動療法(トレーニング)もはかどる。
#18. 病気はだんだん進行はする。すぐには進行しない。ゆっくりと進む。
仮に悪くなるとしても、先のことを知ることは大切。
何が原因で調子が悪いかを知ることは、納得感としても大切。 調子が悪い理由は
知る必要がある
#19. 想定される病気の経過を
知ることの意味がある どんなことでこの先困るのか、想定できることの意味。
症状が悪くなる前に、相談ができる。
自分の意思表示できないで、周りの人に治療方針を決められるのは嫌でしょう。先のことを知っておくことは意味がある。
パーキンソン病の客観的診断方法
#20. パーキンソン病の
診断について 大きな病院では、客観的な検査ができる。
#21. 臨床診断(病歴や診察)は診断にはもちろん大切。
客観的に納得するための検査がある。
「核医学検査」というジャンルの検査になる。
大きな病院でできる。 診断の客観的な検査
#23. パーキンソン病では自律神経機能の低下がある。
心臓の自律神経機能を見ることで、パーキンソン病の診断ができる。 MIBG心筋シンチグラフィー 引用:みんなの脳神経内科
動きの悪さの複合的要因
#24. 動きの悪さについて
複合的な要因 動きが悪くなるのは一つの理由ではない。
#25. 筋肉の量、関節の問題、バランス機能の問題、認知機能の問題などなど
色々な要素の複合ではある。 運動障害は複合的
一つの問題ではない
#26. まとめ:動きが遅くなったら
パーキンソン病を考える
早期対応と運動の重要性
#27. だんだん悪くなる
歩行障害は、
放っておかずに、
早めに対応する! 症状が進みすぎると、条件が悪くなる。
#28. 動けることが大切。
運動は大切。 運動機会を意識をもって作る。散歩がおすすめ。