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ネットワークメタアナリシスの概要と定義
#2. ネットワークメタアナリシス(NMA)とは 「この中でどれがいい?」に対して,直接比較に加えて 間接比較も含めた結果を出すメタアナリシス
直接比較と間接比較の重要性
#3. これまでのメタアナリシス(MA)は 薬剤A vs 薬剤B 薬剤A > 薬剤B 薬剤B vs 薬剤C 薬剤B < 薬剤C ということは直接比較でわかったが ? A C 薬剤A vs 薬剤C という研究がないと AとCではどちらが効果があるのかわからない B
#4. そこに間接比較を持ち込むことで 直接比較されていないものを比べることが可能に! 薬剤A : 薬剤B=3:2 薬剤B : 薬剤C=4:7 ←効果の大きさ ←効果の大きさ 薬剤A : 薬剤B : 薬剤C=6:4:7 薬剤A < 薬剤C !! こんな感じで,直接比較に加えて 間接比較も含めた結果を出すのがNMA
NMAにおけるネットワーク図とランク付け
#5. NMAでは各比較対象の関係を ネットワーク図で表す事が多い ノード 大きいほうが症例数が多い リンク 対象間に研究があることを示す 太い方が研究数が多い A E D F C G B
#6. NMAでは比較対象の総当たり戦をした結果が ランク付けとして表になっている事が多い A 0.73(0.23-0.99) B C 0.59(0.23-1.45) 0.74(0.28-1.79) 0.54(0.25-1.53) 0.78(0.31-1.89) 0.96(0.62-1.32) 0.43(0.18-1.43) 0.64(0.29-1.51) 0.84(0.61-1.42) D 0.88(0.52-1.72) ex) AはBに比べてイベントが0.73倍少ない この結果は直接・間接比較から求められる E
NMAの批判的吟味と評価基準
#7. これだけではまるで夢のような解析に感じるが 批判的吟味が必要になる 当然
#8. NMAの批判的吟味 通常のメタアナリシスの下記チェックに加え 情報の網羅性 個々の研究の質 異質性 直接比較の結果 が一貫しているか がポイント 間接比較の結果
直接比較と間接比較の検定方法
#9. C A 左のネットワークで AとCを比較する場合 AとCの直接比較 Bを介した間接比較 の2種類がある B 同じような集団を対象として 同じような研究手法だった場合 同様の結果になるはず
#10. C A 介入 対照 直接比較 間接比較 非整合性検定 P値 A C 0.73 (0.23-0.99) 1.04 (0.68-1.47) 0.003 直接と間接で結果が食い違っていそう B 食い違いの検定 で有意差あり 非整合性(incoherence)検定 結果の数字は信頼性が落ちそうだ
NMAの結果信頼性と注意点
#11. 食い違いの原因 偶然 結果の真の違い 研究間で 患者背景,重症度,介入内容 アウトカムの定義,判定法 などが違う 直接比較,間接比較ともに それぞれの質がバラバラ 気になるところは 研究の概要一覧表チェック 医学文献ユーザーズガイド ―根拠に基づく診療のマニュアル 第3版より
#12. NMAの批判的吟味(その他) 結果の信頼性としては直接比較>間接比較なので ネットワーク図を見て どのくらい間接が多いのかチェック 短期集中!オオサンショウウオ先生の医療統計セミナーより ランキングの図は一見華々しいが 点推定値だけでなく,95%CIを必ずチェック いつものMAのポイントである 各研究の質や異質性などもチェック