テキスト全文
英語論文における横棒の種類と使い分け
#1. 英語論文を書くときに -–−— ちょっとこだわりたい横棒たち 古賀総合病院 内科 松浦良樹
#2. ハイフン と ダッシュ 、使い分けてますか? 全部 同じじゃ ないですか !? – — − エンダッシュ ハイフン エムダッシュ マイナス フィギュアダッシュ アンダースコア マクロン ホリゾンタルバー これだから しろうとは ダメだ !
#3. 使い分け早見表 - – — ハイフン Hyphen エンダッシュ en-dash エムダッシュ em-dash 使いどころ 出し方 備考 ・複合語 “life-threatening” ・接頭辞 “ex-girlfriend” ・1文字を足す “X-ray” ・21~99の数字 “twenty-one” ・分数 “one-thirds” ・単位 “five-kilogram” キーボード上に ある(日本語配 列なら「ほ」の キー) ・対立 ”cost–benefit analysis” ・範囲 “39–76” “2011–2014” ・人名同士 “Crow–Fukase” 「スペース→ハ イフン→スペー ス→改行」 など 前後にスペースは 基本置かない ・文中の挿入句など、カンマや 括弧、コロンなどの代わりに 用いる 「スペース→ハ イフン×2→ス ペース→改行」 など 論文での使用は 避ける
ハイフンの使用法と入力方法
#4. ① - ハイフン -hyphen- • 語をつなげたり、音節を区切ったりするために用いる。 ① 一般的な複合語 ”well-known” “self-limited” “up-to-data” ② 数字を含む複合語 “a 26-year-old male” “10-mg dose of…” ③ 複合させた形容詞 “drug-resistant bacteria” “evidence-based medicine” ④ 接頭辞や接尾辞 “ex-girlfriend” “post-operative” ⑤ 1文字を足す “X-ray” “C-reactive protein” ⑥ 21–99の数、分数、単位 “twenty-two” “two-thirds” “two-kilogram” 改行時に単語が分割してしまう時など、ほかにもいくつもある。
#5. ハイフンの入力方法 • キーボードの「P」の右上辺り • テンキーがあるキーボードではテンキー「9」の右上辺り テンキー
エンダッシュの特徴と入力方法
#6. ② – エンダッシュ –en-dash– • 欧文フォントの「n」と同じ幅の横棒 ① 数値や期間など、「範囲」を示すとき “Participants aged 18–65 years were included…” “Patients received 500–1000 mg of the…” “…have been observed.12–16” “…NEJM 2016; 52(6): 225–9” ② 対立や比較などの関係を表示 “the physician–patient relationship in… ” “cost–benefit analysis” ③ 固有名詞や人名を含む複合語 “Epstein–Barr virus” “Kaplan–Meier analysis”
#7. エンダッシュの入力方法(Microsoft Word) ① 英数入力モードで「スペース」「ハイフン」「スペース」「エンター」の 順番に押すと、ハイフンが変化する。両端のスペースは削除する。 ※文頭で出そうとするとオートコレクト機能が邪魔することがある ② 英数入力モードで「2013」と入力し「Alt」を押しながら「x」を押す ※「2013」の前に文字がある場合は2013を選択反転し「Alt」を押しながら「x」を押す ③日本語入力モードで「2013」とタイプし変換、「文字コード変換」を選ぶ テンキーがある 「Ctrl」を押しながらテンキーの「ハイフン」を押す パソコンがMac 「option」を押しながら「ハイフン」を押す ※キーボードの規格やIMEの有無、FnやNumLockの設定などで上手くいかないこともあります
エムダッシュの役割と入力方法
#8. ③ — エムダッシュ —em-dash— • 欧文フォントの「m」と同じ幅の横棒 • カンマや括弧、コロンなどの代わりに用いることがあるが、 原則として論文などでの使用は避ける ① 文中の挿入句や補足説明 “The project—which had been in development for years—was finally completed. ② 文末での余韻など “She left the room—never to return.” ③ 会話文での話者の交代 “How are you?"—"I'm fine, thanks."”
#9. エムダッシュの入力方法(Microsoft Word) ① 英数入力モードで「スペース」「ハイフン」×2「スペース」「エンター」の 順番に押すと、ハイフン2つが変化する。両端のスペースは削除する。 ※文頭で出そうとするとオートコレクト機能が邪魔することがある ② 英数入力モードで「2014」と入力し「Alt」を押しながら「x」を押す ※「2014」の前に文字がある場合は2013を選択反転し「Alt」を押しながら「x」を押す ③日本語入力モードで「2014」とタイプし変換、「文字コード変換」を選ぶ テンキーがある 「Ctrl」と「Alt」を押しながらテンキーの「ハイフン」を押す パソコンがMac 「option」と「Shift」を押しながら「ハイフン」を押す ※キーボードの規格やIMEの有無、FnやNumLockの設定などで上手くいかないこともあります
マイナス記号とその他の注意点
#10. ④ − マイナス • 数学的な減算を行う場合に使用する • ハイフンで代用する場合も多い (ハイフンマイナス、みたいな曖昧なものも存在する) • もし、厳密なマイナスを使いたい場合は以下で入力 ① 英数入力モードで「2212」と入力し「Alt」を押しながら「x」を押す ※「2212」の前に文字がある場合は2212を選択反転し「Alt」を押しながら「x」を押す ② 日本語入力モードで「2212」とタイプし変換、「文字コード変換」を選ぶ
#11. その他、備考 • 今回紹介した使い方、使い分けなどは絶対と言うわけではなく、 別の記号で代用したりすることもしばしばあります。 • 文脈や文書のスタイル、使われる場所、出版社などでも異なります。 • Power Pointやインターネットブラウザなどでの入力はややこしいので 割愛しますが、入力されたものをコピペする方が楽です。 Fitz-Hugh–Curtis 症候群 ハイフン エンダッシュ • Thomas Fitz-Hugh氏、Arthur Hale Curtis氏にちなんで命名 • Fitz-Hughは複合名であり、元々ハイフンでつながれている。 • 両者の名前は、前述通りエンダッシュでつながれる。