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総合医療センター
強いめまいで動けない患者さんを帰して良いか悩むこと、ありますよね。
本スライドを通じて、画像検査をする前に末梢性・中枢性めまいを自信を持って鑑別・方針決定することができるようになります!
1. オープンクエスチョンでの問診と初期検査で全身疾患を除外しよう
2. 全身疾患を念頭に、“HINTS plus”で中枢性めまいを鑑別診断しよう
3. 自力で歩けない患者さんは入院させよう
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Takashi@耳鼻咽喉科 日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医 twitter: @chicagonaka
Take Home Messages 1. オープンクエスチョンでの問診と初期検査 で全身疾患を除外しよう 2. 全身疾患を念頭に、“HINTS plus”で 中枢性めまいを鑑別診断しよう 3. 自力で歩けない患者さんは入院させよう
めまいって何? 答え ⇒ くらくら・ふわふわとした感覚の総称 ・立ちくらみ ・意識消失 ・回転性 ・動揺性 ・歩行失調 ・悪心 ・複視 etc.. オープンクエスチョンでの問診 • 事前情報にとらわれず診断の材料を得る最初で最後のチャンス • 患者さんを精神的に落ち着かせる効果も期待できる
よくある実例 回転性めまいの患者さん 受け入れ可能ですか? はい、お受けいたします 回転性なら末梢性めまいかな 前の問診がクローズクエスチョンかもしれないから 「どんなめまいですか」とちゃんと聞こう
オープンクエスチョンでちゃんと確認すると・・・ どのようなめまいですか? 目の前がクラクラしちゃって 立ち上がれないんです 夜中目が覚めたら目が回って じっとしていると止まるんですが ※全部実際にあったケース 仕事してたら目が回って 今も全然止まらないんです 貧血・低血糖・脱水など 安静で止まるのは 末梢性か中枢性めまいかな 全身疾患を疑う 良性発作性頭位めまい症かな? ちゃんと鑑別しよう! (全症例で眼瞼結膜観察・ 簡易血糖測定や妊娠検査考えましょう)
救急外来でのめまい診断フローチャート 事前情報にとらわれず問診でめまいの性状を聴取 発症機転や心筋梗塞など血管病変や全身疾患の既往も聴取 全身疾患を除外:貧血、妊娠、低血糖、脱水、低酸素、薬物中毒など 理学所見:神経学的所見と”HINTS plus” 最終判断:自立歩行可能?帰宅させてよい?
急性前庭障害を鑑別診断する”HINTS plus” 急性前庭障害 Acute Vestibular Syndrome(AVS) 持続する激しいめまいで診断が難しい状態 中枢性めまい 末梢性めまい 小脳・脳幹の梗塞・出血 前庭神経炎 “HINTS plus” 鑑別に感度・特異度ともに95%以上 • • • • Head Impulse Test (HIT): 陰性で中枢性疑い 眼振 (Nystagmus): 方向交代性や垂直性眼振で中枢性疑い 眼球偏倚 (Test of Skew): 陽性で中枢性パターン plus 難聴: 難聴ありで中枢性疑い(前下小脳動脈の梗塞の場合がある) Katthahら, Stroke, 2009
この患者帰して良い? 看護師に任せず、 必ず自分の目で観察! • 自分の力で立って歩ける?(重要) 小脳失調や延髄梗塞では動揺が強く立ちあがれない 自立歩行可能なら帰宅を検討して良い • 入院希望ある? 入院させれば感謝されるし、結局タイムロスが少ない 翌日なら他科依頼やMRI撮影もできるかも 次の日自立歩行できればスムーズに帰宅できる 迷って病床に余裕があるなら入院を考えて良い
問診・初期検査で全身疾患を除外 全身疾患の治療 中枢性もしくは末梢性めまい ※頭位の変換で誘発され 安静で消失する眼振 眼振やHINTS plusで中枢性?末梢性? “おまけ”に具体的 鑑別法を記載 中枢性パターン 眼振でBPPVパターン 末梢性パターン 自分で立って歩けるか自分の目で観察 自立歩行可能 自立歩行不可 入院希望はある? 入院希望あり 入院希望なし 救急外来での めまい患者診察 アルゴリズム 中枢性めまいを疑う/入院推奨 帰りましょう。明日耳鼻科行ってね
Take Home Messages もっと知りたい人のため おまけも続くよ! 1. オープンクエスチョンでの問診と初期検査 で全身疾患を除外しよう 2. 全身疾患を念頭に、“HINTS plus”で 中枢性めまいを鑑別診断しよう 3. 自力で歩けない患者さんは入院させよう
眼振の取り方 • 規則的な眼球運動の急速相を観察し、 患者さんからの向きで提示 • Frenzel眼鏡を用いると観察が容易 スッと素早い急速相=眼振の方向 ゆっくり戻る緩徐相 例)頭位や注視方向によらず、減弱しない左向きに水平方向のみの眼振 “頭位によらず自発的に生じる左向き水平性眼振”と提示する ※比較的典型的な末梢性めまいの所見だが他の所見で鑑別が必要
中枢性めまいを疑う眼振 1. 方向交代性眼振 右を向くと右向き、左を向くと左向き の強い眼振を呈する 小脳橋角部の病変を示唆する 2. 垂直性眼振 注視方向に寄らず垂直方向(上もしくは下)の眼振を呈する 小脳実質の病変を示唆する
Head Impulse Test (HIT) 追視可能 陰性=中枢性 ※遅れた側の 半規管麻痺を示す (例では左側) 陽性=末梢性 一瞬追視が遅れる 被検者に自分の鼻を注視するよう指示、検者が被検者の頭部を急速に回旋 半規管機能が正常なら視標を追視可能 (図上:HIT陰性=中枢性パターン) 半規管機能障害では患側で追視が遅れる(図下:HIT陽性=末梢性パターン) 患者を励まして救急外来で施行! 実際の所見はyoutubeで検索してみよう
眼球偏倚 (Skew Deviation) 両側の眼位が病的に偏位すること 1. 患者の正面からペンライトで照らす • 瞳孔の中心に光の反射が観察できれば正常 • 眼球偏位があると片眼もしくは両眼で反射光が見えない 2. 検者の手で片方の目を覆い、素早く手をどける • どけた瞬間偏位があり、どけたあと正中に戻ると陽性 1もしくは2の現象が見られれば眼球偏倚陽性:中枢性パターン
神経学的所見を取るなら 最も注意すべきは小脳・脳幹の梗塞・出血 その他:クモ膜下出血、脳出血、椎骨脳底動脈循環不全症、一過性脳虚血発作 • 体幹失調(座位が保持できるか) • 小脳失調症状(DDK, FNF test, 膝かかと試験) • 下位脳神経症状(Ⅶ, Ⅷ, Ⅸ, Ⅹ, Ⅺ, Ⅻ) ⇛顔面運動障害、舌運動障害、咽頭反射異常(カーテン兆候)、 構音障害、嚥下障害など • Horner兆候 • 項部硬直、Kernig兆候 急性前庭症候群の診断では “HINTS plus”の方が中枢性と 末梢性の鑑別に有用 (Katthahら, Stroke, 2009)
画像診断ならthin slice MRI 脳梗塞診断における 頭部CTの感度は 16% 頭部MRIの感度は 83% めまいを主訴に CT異常無いから中枢性 ではありません (Chalela et.al., Lancet, 2007) 救急入院する症例の内16% 耳鼻科外来を受診する症例の内10% が中枢性めまい (室伏, Neurosurg Emerg, 2015) 脳梗塞に対するt-PA血栓溶解療法の適応は発症4.5時間以内 発症24時間以内の脳梗塞ではMRI偽陰性5.8% (Catherine, Am Soc Neuroradiology, 2000) 延髄梗塞や内耳梗塞はthin slice(2-3mm)でないと見逃すリスクあり
耳鼻咽喉科のめまいワンポイントメモ • 良性発作性頭位めまい症(BPPV):めまいの約半数はこれ • “頭を動かすとめまいがし、安静でめまいが止まる”というエピソード • 耳石が半規管に迷入することで発症すると言われる • 前庭神経炎:AVSの鑑別疾患 • 強いめまい症状と一方向性眼振だが他の内耳症状や器質的疾患なし • メニエール病 • 片側の難聴を伴うめまい発作を繰り返すと診断 • 初発では診断できず、聴力検査施行が必須 • めまいを伴う突発性難聴 • 突発性難聴は1週間以内の治療開始が望ましい • 救急外来では音叉を用いて診断する場合もある ※“メニエール病の既往”は当てにならない 内科開業医での診断や自己診断が多い