#4.
大腸がん治療ガイドライン(2005年版) 抗癌剤を選ぶ 大腸癌研究会ホームページ(https://jsccr.jp/guideline/2005/particular2.html)より引用/改変 かつてのガイドラインでは
癌と診断されたら抗癌剤を選ぶだけの
簡単な治療選択でした
#5.
今 大腸癌研究会ホームページ(https://www.jsccr.jp/guideline/2024/particular.html#no5)より引用/改変 薬物の開発に伴い、より最適化してきた 現在は、薬剤が開発されたことで
遺伝子のタイプ(バイオマーカー)や
病変の部位によって
最適な治療が異なります
#6.
症例:S状結腸癌、多発肝転移 バイオマーカー RAS: 野生型
BRAF:野生型
MSS
HER2:陰性 mFOLFOX6
+
Cetuximab
(抗EGFR
抗体薬) バイオマーカーに応じた薬剤を投与することで
著明な効果を認めることもあります Sagawa T, et al. Front Oncol. 13:1203296, 2023.
#7.
大腸癌
→ RAS、BRAFなどのマルチ遺伝子検査
→ 一次治療、二次…
目的に応じた遺伝子パネル検査
→ 包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査(次世代シーケンサーを用いた「遺伝子パネル検査」)
遺伝子異常にマッチする
治療薬を検索するため 保険で使用可能な
薬剤を選択するため いくつかのパネル検査を、目的に応じて使い分ける
#8.
01 02 一般的な癌治療の流れ 包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査 目次 03 臓器別検討 GIST
脂肪肉腫
#9.
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/genome/080/index.htmlより改変 遺伝子異常の検査方法
#10.
単一遺伝子検査 投薬、診断に必要な遺伝子をひとつずつ検索する UGT1A1…イリノテカンの代謝活性
(副作用が強く出るかどうか)が分かる
乳癌、膵癌…BRCA胚細胞変異陽性でオラパリブの適応
GIST…KITの変異部位でイマチニブの耐性診断
#11.
遺伝子パネル検査 遺伝子パネル検査で、一度に複数の遺伝子異常を検索 マルチ遺伝子検査(各癌種ごとのキット)
大腸癌…KRAS、NRAS、BRAF(MEBGEN RASKET™-B キット)
非小細胞肺癌…EGFR、MET、KRAS、 BRAF、ALK、 ROS1、 RET(AmoyDx®肺癌マルチ遺伝子PCRパネル) など
包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査
根治不能なすべての腫瘍を対象
数百種類のがん関連遺伝子を広く検索
#12.
高い費用と時間、低い薬剤到達率を天秤にかけてオーダーする 次世代シーケンサーを用いて、がん関連遺伝子の変化を多数同時に検索
固形癌では5種類のパネル(組織3種、血液2種)がある(2026年7月現在)
保険適用(56,000点=56万円の1-3割負担、生涯で1回のみ)
結果まで約3-6週かかる
治療に結び付く患者は約10% (保険治療が終了した後) 包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査とは
#13.
Int J Clin Oncol (2024) 29:1–19より改変 目的・検体に応じてどのパネルを使うか各医師が判断する CGPパネル(固形癌、2026/7時点)
#14.
検査会社に送付 生検や手術で採取した検体 FFPEブロック
(できれば3年以内) プレパラート 腫瘍含有割合を確認
(30%以上を推奨)
腫瘍部分をマーキング 追加侵襲なし、出検時に腫瘍細胞の存在を確認することが可能 CGP
オーダー 組織検体
#15.
血液中には
正常組織から放出されたDNA
癌細胞から放出されたDNA
が含まれる
各細胞から漏れ出たDNAのことを
遊離DNA(cell-free DNA(cfDNA)) という
cfDNAの中の腫瘍由来のDNAのことを(circulating-tumor DNA(ctDNA)) という Nat. Rev. Clin. Oncol. 10, 472–484 (2013) cell-free DNA ctDNA 血液検体
#16.
Nat. Rev. Clin. Oncol. 10, 472–484 (2013) 血液検体であれば
経時的に変化した後の遺伝子異常を検索できる
生検・手術が困難(組織検体を入手できない)でも検査可
正常細胞を含めすべての細胞に胚細胞変異が入っている
=遺伝性疾患を正しく診断できる
ただし、ctDNAの割合はかなり低い
= 腫瘍量が多くないと正しい結果を得られない 不均一性(heterogeneity)
#17.
N Wada, et al. Oncology. 2016;90(2):112-7. GIST
イマチニブ耐性の原因となる遺伝子変異の推移 9.4% 胃癌
病勢増悪とTP53変異ctDNA割合の推移 Br J Cancer. 2015 Jan 20;112(2):352-6. 病勢が増悪していても、cfDNA中のctDNA割合は低い 1% 80% 10% 病勢とctDNA割合の関連
#18.
不均一性(heterogeneity)を捉え、検査時の状態に即した情報を得られる
検体を採取しやすい
遺伝関連疾患の情報を正しく得られる
ctDNAの量が不十分な場合、正確な検査結果が得られない可能性がある 出検時に腫瘍細胞の存在を確認できる
手術や生検が行われていなければ)
検体採取時に侵襲的な処置が必要 組織採取が困難、経時的変化・遺伝性疾患をみたいときは血液 CGP 組織と血液の違い
#19.
(①紹介、受診) ②診察、問診
③検査提出 ④解析結果をC-CATに送付 ⑤文献、薬剤、治験など
情報を追加した調査結果 ⑥エキスパートパネル(EP)開催
レポート作成 ⑦患者に説明 がんゲノム情報管理センター(C-CAT) 情報を保管、管理、
データベース作成 CGP 運用の実際
#20.
国内で承認されていて、
当該癌種で保険適応下で
使用可能な薬剤はない 模擬症例
#21.
他癌種では
国内で承認された
薬剤がある
#22.
薬剤によっては
「受け皿試験」という制度を用いて
使用可能になることがある
#23.
ドライバー遺伝子変異 保険適用 治験 適応外使用(他癌種で国内承認あり) がんの発生や進行に
直接的な役割を果たす
遺伝子 患者申出療養制度(受け皿試験) 治験・臨床試験に入れれば、適応外使用薬を投与できる(可能性がある) 臨床試験のひとつ 結果を受けて
#24.
多施設共同研究
治療経過のデータ収集を目的
治療開始前に約40万円(自己負担)
薬剤は無償提供
PD(病勢増悪)になるまで無期限で提供可能 がんゲノム医療中核拠点病院 製薬会社 国立がん研究センター
中央病院
(事務局) 提供依頼
治療データ 薬剤 患者データ
申請
手数料約40万円 サポート 未承認薬・適応外使用薬検討会議
企業治験・医師主導試験 など 患者申出療養(受け皿試験)
#25.
25
#26.
26 十分なデータが取れた時点で登録は終了
効果があれば保険適用になる
#27.
01 02 一般的な癌治療の流れ 包括的ゲノムプロファイリング(CGP)検査 目次 03 臓器別検討 GIST
脂肪肉腫
#28.
GISTとは… がんは上皮(粘膜)から発生し、深く進展していく がん GIST
固有筋層に存在するカハール介在細胞から発生 消化管悪性腫瘍の0.1-3%、「希少がん」 GIST
#29.
Ding H, et al. Oncol Rep. 43(3):751-764, 2020.より改変 GISTと遺伝子変異 KITまたはPDGFRA遺伝子の変化で
細胞増殖のスイッチが入り続ける
#30.
イマチニブ
(IM) KIT exon11が得意 スニチニブ
(SU) KIT exon13/14が得意 レゴラフェニブ
(RE) KIT exon17/18が得意 ピミテスピブ
(PI) KIT・PDGFRタンパクを
減らす 1 2 3 4 GISTの薬物療法 遺伝子変異のタイプによらず、限られた薬剤を順に使用する
#31.
GIST患者さんに対するCGP検査 大阪大学、関連の3病院
2019年11月-2025年2月
CGP検査を実施した切除不能・再発GIST患者36例
CGP検査の実施状況、遺伝子検査結果、治療経過を後方視的に検討 Kawabata K, J Gastroenterol. 61(5):578-591, 2026.
#32.
検査結果
適応外治療薬が存在: 3例 (8%) Kawabata K, J Gastroenterol. 61(5):578-591, 2026.より改変
高橋剛先生より使用許諾を得て転載 標準治療以外の治療を
行える可能性が出てきます
#33.
ドキソルビシン 1 脂肪肉腫の薬物療法 トラベクテジン エリブリン パゾパニブ Judson I, et al. Lancet Oncol. 15(4):415-23, 2014.
Demetri GD, et al. J Clin Oncol. 10;34(8):786-93, 2016.
Demetri GD, et al. J Clin Oncol. 35(30):3433-343, 2017.
Sleijfer S, st al. J Clin Oncol. 27(19):3126-32, 2009. 無増悪生存期間(中央値)
4.6か月 4.2か月 2.9か月 2 同じく希少がんである
脂肪肉腫も
治療法は限られています
#34.
CGP検査結果に基づいた治療が奏効した1例 73歳男性
右腸骨窩の後腹膜腫瘍を切除、脱分化型脂肪肉腫と診断
術後8か月目に腹腔内に再発巣を複数認めた Abe S, et al. World J Surg Oncol. 23(1):449, 2025. 症例 現病歴
#35.
Abe S, et al. World J Surg Oncol. 23(1):449, 2025. 3種の薬剤が効かなくなった時点では
かなり大きな腫瘍となっていました
#36.
Abe S, et al. World J Surg Oncol. 23(1):449, 2025. CGP検査
TMB: High CGPでペムブロリズマブが適応となることが判明
投与を開始し著明に縮小
irAEのため休薬を要しましたが
#37.
Abe S, et al. World J Surg Oncol. 23(1):449, 2025. CGP検査
TMB: High 再手術
9か所の播種
腫瘍はすべて壊死 念のため手術を行われたところ
腫瘍細胞はすべて壊死していました
#38.
治療法が限られている癌種 CGP検査により、治療選択肢が広がる可能性
保険適用の検査では治療選択肢が不十分 CGP検査が、希少癌におけるプレシジョンメディシンの鍵となる
#39.
患者を理解し、最適な治療を選ぶ
さまざまな検査を組み合わせ、
結果を正しく解釈し、さらなる治療につなげる プレシジョンメディシン
#40.
JSMO開催のセミナーぜひご参加ください 毎年7月に開催しています!