#4.
薬物療法ができる基本的な条件 ■本人が病状をしっかり認識していること
(=告知されている)
■重篤な合併症を認めないこと
■肝機能・腎機能が保たれていること
■骨髄機能(白血球・赤血球・血小板)が保たれていること
■Performance statusが良好(0~1)であること
#5.
Performance status (PS)
#6.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬 免疫療法
(1) がんワクチン療法
(2) 免疫チェックポイント阻害剤
(3) その他
#7.
フッ化ピリミジン系抗腫瘍薬の種類 フルオロウラシル(5-FU注)
テガフール
カペシタビン(ゼローダ)
ドキシフルリジン(フルツロン)
テガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティ)
テガフール・ギメラシル・オテラシル配合剤(ティーエスワン) 経口薬と静注薬があります
#8.
F-β-Ala FUrd FdUrd FdUMP TS
Thymidylate
synthase DPD 5,10-CH2
-THF DNA
合成阻害 Ternary
complex FUra
(5-FU) RNA
機能障害 抗腫瘍効果 FUTP FUDP FUMP 分解 リン酸化 85% 1-3% 尿中排泄 5-15% フルオロウラシル(5-FU)の代謝経路
#9.
テガフール ギメラシル オテラシルカリウム 1 : 0.4 : 1 OH CI OH N N O O NH H N KO2C 主薬
主にP-450によって
5-FUに変換される 分解阻害薬
5-FUの分解を阻害
(ウラシルの200倍強力) リン酸化阻害
腸管に局在し
5-FUのリン酸化を阻害 N O O F O NH 抗腫瘍効果を高める 抗腫瘍効果 消化管障害を軽減 構造式 成分名 配合比
(モル比) テガフール・ギメラシル・オテラシル配合剤- プロドラッグ、配合剤 -
#10.
テガフール・ギメラシル・オテラシル配合剤の各成分の働き https://kusuri-jouhou.com/medi/cancer/TS-1.html
#11.
経口薬(抗がん剤)の方が副作用が軽い?
#12.
静注薬と経口薬効果は同等、しかし毒性に違いがある Muro K et al. Lancet Oncol 11:853,2010 静注 経口
#13.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬
#14.
腎毒性はシスプラチンの用量規定因子となる
カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチンは腎毒性を引き起こさない プラチナ系抗がん薬
#15.
副作用はどれくらい残るのか?
#16.
(n) Manaka D, Yoshino T, et al.: ASCO-GI 2017 #703 末梢神経障害発現状況 3.4% 20.8% 50.1% 0.5% 5.1% 28.0% 0.2% 2.3% 18.7% オキサリプラチンでは末梢神経障害が残る本邦のデータJFMC41-1001-C2: JOIN試験(mFOLFOX6)
#17.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬
#18.
トポイソメラーゼ阻害薬 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P127, 2022より引用
#19.
●トポイソメラーゼIの阻害作用
●結腸・直腸がん,肺がんなど
●用量制限毒性 (DLT): 白血球/好中球減少および遅延性の下痢. イリノテカン
#20.
UGT1A1 イリノテカン hCE-2 SN-38 肝 小腸 SN-38G ABCC2
(MRP2) SN-38 ß-グルクロニダーゼ + グルクロン酸 APC NPC CYP3A 腸肝循環 UGT:UDP-グルクロン酸転移酵素 SN-38G イリノテカンの代謝経路
#21.
副作用は事前に予測できないのか?
#22.
**本剤の活性代謝物 (SN-38) の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素 の2つの遺伝子多型 (UGT1A1*6 ,UGT1A1*28 ) について,いずれかをホモ接合体 (UGT1A1*6/*6,UGT1A1*28/*28 ) またはいずれもヘテロ接合体 (UGT1A1*6/*28 ) としてもつ患者では,UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し,SN-38の代謝が遅延することにより,重篤な副作用 (特に好中球減少) 発現の可能性が高くなることが報告されているため,十分注意すること . イリノテカン 添付文書
#23.
UGT1A1*28 1 2 3 4 5 上流 5’ 3’ TA (TA)6 7 回繰返し UGT1A1*28 (TA)6 6 回繰返し 野生型 ギルバート症候群 Bosma PJ et al, NEJM 1995 333:1171
Beutler E et al, PNAS 1998 95:8170 UGT1A1蛋白の発現量低下 SN-38の抱合的解毒低下
#24.
UGT1A1*28 and Severe Toxicity: Logistic Analysis OR 5.21 (1.98-13.96), P < 0.001 Severe toxicity Yes No - / - 14 (54%) 79 (86%) + / - 8 (31%) 10 (11%) + / + 4 (15%) 3 (3%) N 18 7 93 26 92 118 UGT1A1*28
Genotype Ando Y et al. Cancer Res 2000;60:6921-6 UGT1A1遺伝子に異常があると
UGTの機能が低下し解毒作用低下
⇒強く毒性が出る
#25.
UGT1A1*28
白人 > アジア人
UGT1A1*6 (211G>A, G71R, Exon 1)
アジア人のみ UGT1A1遺伝子多型の臨床的な役割には人種差が存在 ● UGT1A1遺伝子多型には人種差がある
#26.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬
#27.
内分泌療法薬 内分泌療法薬は、ホルモンの分泌や働きを阻害し、ホルモンを利用して増殖するタイプのがんを攻撃する薬。乳がんや前立腺がんなどの特定のタイプのがんでのみ使用される。
内服や注射。内分泌療法薬の副作用として、ホットフラッシュ(ほてり)や生殖器での症状、関節や骨・筋肉での症状などが出ることがある。
抗エストロゲン薬:タモキシフェン、トレミフェン
抗アンドロゲン薬:フルタミド、ビカルタミド、エンザルタミド、アビラテロン、クロルマジノン
LH-RHアゴニスト製剤:リュープロレリン、ゴセレリン
LH-RHアンタゴニスト製剤:デガレリクス
アロマターゼ阻害薬:アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン
#28.
分類と作用部位 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P159, 2022より引用
#29.
乳がんにおける内分泌療法 主な薬剤
抗エストロゲン薬:タモキシフェン、トレミフェン
LH-RHアゴニスト製剤:リュープロレリン、ゴセレリン
アロマターゼ阻害薬:アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン
閉経前と閉経後では、体内でエストロゲンがつくられる経路が異なるので、それにあった薬を使用する。
閉経前では、抗エストロゲン薬に、場合によりLH-RHアゴニスト製剤を組み合わせて使う場合もある。
閉経後では、アロマターゼ阻害薬もしくは抗エストロゲン薬を使います。
#30.
前立腺がんにおける内分泌療法 前立腺がんには、精巣や副腎から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)の刺激で病気が進行する性質がある
内分泌療法は、アンドロゲンの分泌や働きを妨げる薬によって前立腺がんの勢いを抑える治療
内分泌療法は手術や放射線治療を行うことが難しい場合や、放射線治療の前あるいは後、がんがほかの臓器に転移した場合などに行われる
#31.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬
#32.
がんの分子標的薬の標的 Hanahan D, Weinberg RA. Cell 2011; 144: 646
#33.
分子標的薬の分類 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P133, 2022より引用
#34.
分子標的薬の作用部位 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P133, 2022より引用
#35.
細胞障害性抗がん薬と分子標的薬の比較 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P106, 2022より引用
#36.
“off-target effect”; “標的外”の副作用 Gefitinib(イレッサ) 間質性肺炎
Trastuzumab(ハーセプチン) 心毒性
Cetuximab(アービタックス) ざ瘡、下痢
Bevacizumab(アバスチン) 高血圧症、蛋白尿
Sunitinib(スーテント) 手足症候群
#37.
上皮成長因子受容体 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P138, 2022より引用 ヒト上皮成長因子受容体
(HER)
- HER1(EGFR)
- HER2
- HER3
- HER4
細胞内領域にチロシンキナーゼ領域を有している
#38.
ErbBファミリー:ホモまたはヘテロのニ量体を形成し、腫瘍の増殖シグナルを伝達 HER2を介したシグナル伝達➡腫瘍増殖 Human Epidermal growth factor Receptor-2
(ヒト上皮増殖因子受容体-2)の略であり, HERファミリーの1つである.
#39.
【方法】27種のがん種から約7,300の腫瘍検体を採取し、NGSを用いてHER2/ERBB2変異の発現率を検討 Chmielecki J, et al.: The Oncologist 2015; 20(1): 7-12 各がん種におけるHER2/ERBB2変異の発現率 固形がんにおけるERBB2異常(HER2)の頻度
#40.
トラスツズマブ Target:HER2受容体
分子量:148kD
高親和性(Kd=0.1nM)かつ
高い特異性
95%ヒトIgG1由来
5%マウス親抗体4D5由来
免疫原性の低減
IgG抗体の2次機能を保持
抗体依存性細胞障害作用(ADCC) 抗原結合部位:マウス抗体由来 ヒトIgG1部分 抗HER2ヒト化モノクローナル抗体
#41.
HER2陽性乳がん・胃がんの1次治療*1次治療で抗HER2抗体薬の効果が証明されている HER2陽性乳がん
CLEOPATRA試験 HER2陽性胃がん
ToGA試験 (Lancet 2010; 376: 687–97) (N Engl J Med 2015;372:724-34)
#42.
がんと血管新生 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P144, 2022より引用
#43.
血管新生阻害薬 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P144, 2022より引用 がんによる血管新生を阻害し、がん細胞の増殖・生存に必要な酸素・栄養素などを不足させる
血管新生阻害薬の種類
- 抗VEGF抗体薬
- 抗VEGFR2抗体薬
- VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬
#44.
Moore AR et al. Nat Rev Drug Disc. 19:533-552, 2020 より引用 KRAS変異の頻度 これまで薬剤開発が難しかった遺伝子異常
現在世界で薬剤開発が加速している
#45.
Schlze Cje et al. Science. 381:729-730, 794-799, 2023 より引用 KRASのポケットを化合物で塞ぐのではなく, イムノフィリンと呼ばれるシャペロン様蛋白質をKRASと結合させて阻害。
蛋白質同士の結合であり, 変異に関わらず阻害でき, 耐性もでにくい。 KRAS変異に対する薬剤開発
#46.
KRAS G12Cの頻度と治療開発 Nassar AH, et al. N Engl J Med 2021;384;2 (NEJM 2020;383) 消化器癌 KRASG12C阻害薬単剤療法
#47.
(N Eng J Med 2023) (ESMO 2023) KRAS G12C大腸癌に対しは、抗EGFR抗体薬+KRAS G12C阻害薬併用療法が標準治療 (本邦では適応外の情報を含みます)
#48.
抗体薬物複合体:抗体薬の発展版 Fu Z, et al. Sig Transduct Target Ther. 7:93, 2022 より引用
#49.
抗体薬物複合体の作用機序 Fu Z, et al. Sig Transduct Target Ther. 7:93, 2022 より引用
#50.
抗がん薬の種類 代謝拮抗薬、フッ化ピリミジン
プラチナ製剤
微小管阻害薬、タキサン
トポイソメラーゼ阻害薬、イリノテカン
内分泌療法薬
分子標的治療薬
免疫チェックポイント阻害薬
#51.
免疫チェックポイント阻害薬の開発 2018年 ノーベル医学生理学賞
免疫チェックポイント分子の阻害によるがん治療の開発
- 本庶 佑:PD-1/PD-L1阻害
- James P. Allison:CTLA-4阻害 https://twitter.com/NobelPrize/status/1046694080883949568
#52.
Pardoll DM, Nat Rev Cancer 2012, 11: 252 免疫監視機構(surveillance)
免疫逃避(Immunoevasion) がんと免疫逃避 免疫監視機構 → 破綻して免疫逃避が生じる(Immunoediting)
#53.
がんの”免疫サイクル” 53 Chen & Mellman. Immunity 39; 1-10, 2013を改変 T細胞上の共刺激分子と共抑制因子(免疫チェックポイント)からのシグナルの調整
自己寛容の維持
免疫反応からの防御 ⑥T細胞ががん細胞を認識
(細胞障害性T細胞、がん細胞) 血管
#54.
免疫チェックポイント分子 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P162, 2022より引用
#55.
免疫チェックポイント阻害薬 医療情報科学研究所 (編). がんがみえる (第1版) :P164, 2022より引用
#56.
免疫チェックポイント阻害薬 PD-1/PD-L1経路を阻害する
抗PD-1抗体薬
ニボルマブ(オプジーボ)
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
抗PD-L1抗体薬
アテゾリズマブ(テセントリク)
アベルマブ(バベンチオ)
B7/CTLA-4経路を阻害する
抗CTLA-4抗体薬
イピリムマブ(ヤーボイ)
#57.
57 2025年9月現在 本邦で承認されている免疫チェックポイント阻害薬
#58.
免疫チェックポイント阻害薬の毒性