#4.
気道狭窄 原発巣そのもの、または縦隔リンパ節転移巣により気管~中枢気管枝が狭窄し、高度になれば換気障害をきたす
#5.
気道狭窄 《臨床症状》
労作時呼吸困難、咳嗽、血痰、胸痛
呼気時喘鳴(stridor)、呼吸音減弱、呼吸補助筋の使用
《診断》
自覚症状、理学所見、CT検査、気管支鏡
《治療》
がん薬物療法、放射線療法:感受性の高い癌種において
内視鏡的レーザ治療、ステント留置:緊急時
緩和治療:酸素投与、鎮咳薬、オピオイド、ステロイド、抗不安薬
#6.
腸閉塞 大腸癌などによる腸管の通過障害。腹膜播種による通過障害や麻痺性イレウスなど
がん性腹膜炎の場合は複数個所で生じることが多い
#7.
腸閉塞 《臨床症状》
腹痛、悪心、嘔吐、腹部膨満感
金属製の腸雑音
《診断》
(立位)腹部単純レントゲン、CT検査
《治療》
保存的には絶飲食、補液
直ちにイレウス管挿入による腸管内圧の減圧
手術(人工肛門造設、バイパス術など)
サンドスタチン
#8.
胆道閉塞 膵頭部癌や胆道がん等の腫瘍自体や肝転移やリンパ節などの転移病巣による胆道の閉塞。
胆道閉塞の結果、閉塞性黄疸となる。
#9.
胆道閉塞 《検査》血液検査、超音波検査、腹部造影CT検査、MRI検査
《重篤な合併症》
【胆管炎】→敗血症などの致死的な感染症に発展しやすい
治療:抗菌薬投与(重症例では、敗血症としての初期対応が必要)
内視鏡的逆行性胆管膵管造影 (ERCP)
内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)
内視鏡的胆管ステンティング
経皮的胆道ドレナージ(PTCD)
【肝膿瘍】→多くの場合、経胆道的に形成される
治療:抗菌薬投与
経皮的肝膿瘍ドレナージ術(PTAD)
#10.
尿路閉塞 腫瘍の直接浸潤や転移によって尿管、膀胱、尿道の閉塞となる。閉塞の結果、腎後性腎不全となる。
進行がんの4.4%に生じ、骨盤内悪性腫瘍や傍大動脈リンパ節腫大などで生じやすい。
#11.
尿路閉塞 《臨床症状》
疼痛(腰背部、下腹部)、尿量減少、体重減少、浮腫など
《診断》
血液検査、CT検査、超音波検査
《治療》
対症療法が主体。有効性が期待できる場合は化学療法を行う事も
①Double-Jカテーテル留置
②経皮的腎瘻増設
※腎の濃縮力障害のため、留置後は利尿がかかる事が多い。いずれの場合も、濃縮力が回復するまでの1-3日は循環血液量の低下に注意。
#12.
上大静脈症候群 (SVCS) 外部からの圧迫、直接浸潤、血栓形成などにより、上大静脈の血流が減少・途絶し、上半身の静脈還流が障害された状態 N Engl J Med 2007;3;356(18):1862-9
#13.
上大静脈症候群 (SVCS) 原疾患として、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性リンパ腫、転移性腫瘍、胚細胞腫瘍が多い N Engl J Med 2007;3;356(18):1862-9
#14.
上大静脈症候群 (SVCS) 《臨床症状》
呼吸困難、顔面・頸部・両上肢の浮腫、咳嗽
頸静脈・胸壁の表在静脈の怒張など
《診断》
胸部レントゲン検査、胸部造影CT検査など
《治療》
薬物感受性が高い腫瘍(悪性リンパ腫、小細胞肺癌など)では化学療法
放射線療法、上大静脈ステントなど
放射線に感受性があれば1-3週で症状が改善
ステントは更に速やかな症状改善が期待できる
N Engl J Med 2007;3;356(18):1862-9
#15.
上大静脈症候群 (SVCS) 上大静脈症候群(SVCS)の重症度分類 J Thorac Oncol 2008;3:811
#16.
大量の心膜液貯留のため心膜腔内圧が上昇し、心室の拡張障害をきたす
原発部位としては肺癌が多く、乳癌、食道癌、悪性リンパ腫、白血病などに認められる [JAMA 1987;257:1088]
発症する前に心膜液の有無や量を評価しておくことが重要 心タンポナーデ
#17.
心タンポナーデ 《臨床症状》
呼吸速迫、咳、胸痛、起坐呼吸、発熱、浮腫、倦怠感、頻脈など
Beckの三徴:中心静脈圧低下、心音減弱、血圧低下
《診断》
レントゲン(巾着型の心陰影拡大)、CT検査、MRI検査、心エコー検査(血行動態)
《治療》
心膜液の穿刺排液(心膜ドレナージ)
心膜・胸腔開創術(剣状突起下心膜開窓術)
心膜癒着術
➡心膜液貯留に対して、原因となる癌に対する化学療法
#18.
腫瘍が産生する全身性ホルモン様因子によるHHM(humoral hypercalcemia of malignancy)と、骨転移巣におけるがん細胞からの局所因子によるLOH(local osteolytic hypercalcemia)とに大別される
HHMが約80%を占める
扁平上皮癌(頭頚部癌・肺癌・子宮頸癌)、腎癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌に多い
そのほか、腫瘍によるカルシトリオール(1,25-dihydroxyvitamine)や異所性PTH産生などがある 電解質異常(高カルシウム血症)
#19.
《臨床症状》
多尿、脱水・口渇、腎機能障害、食欲低下、悪心・嘔吐、傾眠
《診断》
血液検査による血清カルシウム濃度とアルブミン値
PTHrP、intact PTH、血清リンの測定
《治療》
大量補液
カルシトニン
ビスフォスフォネート、デノスマブ
血液透析、腹膜透析
電解質異常(高カルシウム血症)
#20.
血行性に椎体骨に転移し、病的骨折を起こし、変位した骨によって脊髄が圧迫されることによって起こることが多い
脊椎転移の2-20%で脊髄圧迫に移行するとされる
胸椎レベルが最多(60%)、腰椎(30%)、頚椎(10%)
肺癌、乳癌、前立腺癌、骨髄腫で頻度が高い 脊髄圧迫
#21.
脊髄圧迫 《臨床症状》
体動時や夜間に増強する背部痛(88%)、神経根性疼痛、筋力低下、間隔低下、排尿・排便困難など。
《診断》
レントゲン、MRI検査(脊髄圧迫の有無・程度)、CT検査(骨破壊の評価)
《治療》
ステロイド中等量~大量投与
疼痛コントロール
椎弓切除術、前方・後方除圧術とともに脊椎固定術
放射線照射(麻痺発生前に開始する)
#22.
静脈系に生じた血栓が肺動脈に塞栓を起こした状態
深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)の近位部からの塞栓が多い
大量の肺血栓塞栓が生じると、右心負荷が増大するため右心不全を呈する
肺塞栓症
#23.
《臨床症状》
突然の呼吸困難(73%)、胸痛(66%)、血痰(13%)、発熱、チアノーゼ、失神、ショック状態
《診断》
D-dimer上昇(感度>90%、特異度25%):スクリーニング
造影CT(確定診断)、ECG、心エコー
換気・血流シンチ(不均等があれば診断)
《治療》
循環不全(ショック・右心不全など)を伴う場合: 抗凝固療法と同時に集中治療室にて全身管理
抗凝固療法:未分画ヘパリン、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)
手術やカテーテルによる血栓除去術
下大静脈フィルター 肺塞栓症
#24.
播種性血管内凝固症候群(DIC) 《病態》
基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固の活性化をきたし、細小血管内に微小血栓が多発する
《疫学》
血液腫瘍では、急性前骨髄球白血病(APL)や、急性リンパ性白血病(ALL)、固形癌では肝細胞がんや胃がんなどに合併が多い
《病型》
線溶抑制型(血栓傾向が強く、臓器障害が主症状)
線溶亢進型(出血症状が主症状)
線溶均衡型(凝固と線溶が均衡)
※凝固の活性化はトロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、線溶の活性化はプラスミン-α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)で評価する
#25.
播種性血管内凝固症候群(DIC):診断アルゴリズム
#26.
基礎疾患の治療:最も重要で最も有効である
抗凝固療法
トロンボモジュリン(がんに合併したDIC治療の標準治療)
未分画ヘパリン
低分子ヘパリン(未分画ヘパリンより出血性合併症少ない)
合成プロテアーゼ阻害薬(抗線溶作用も強いため線溶亢進型DICに対して使用されることが多い): ナファモスタットメシル酸塩
アンチトロンビン(ATが低下した症例)
新鮮凍結血漿、濃厚血小板(線溶亢進型における補充) (商品名:フサンなど) (商品名:リコモジュリン) 播種性血管内凝固症候群(DIC):治療
#27.
発熱性好中球減少症(FN) 《定義》
好中球数が500/μl未満(または1000/μl未満で48時間以内に500/μl未満に減少すると予想される)
腋窩温37.5℃以上(口腔温は38℃以上)の発熱
《原因菌》
感染巣や原因菌を同定できるのは20−30% 程度
近年はグラム陽性菌の頻度が増加している
《検査》
血液検査、血液培養、尿検査、胸部レントゲン、CT検査
好中球減少症が長期化した場合 →真菌感染症の可能性
#28.
MASCCスコア
#29.
発熱性好中球減少症の初期対応 低リスク患者(MASCCスコア>21点)
シプロフロキサシン+アモキシシリン/クラブラン酸(またはレボフロキサシン)を用いた外来経口抗菌薬治療も選択肢
約15−20%の患者で初期治療が奏効せず、入院治療が必要となるため十分な観察を行う
高リスク患者(MASCCスコア<20点)
敗血症の場合はHour-1 Bundleに準じて対応
抗緑膿菌作用が強くかつ広域スペクトラムを有する抗菌薬(セフェピム、メロペネム、ピペラシリン/タゾバクタムなど)を速やかに投与
重症例では抗菌薬の併用を検討
#30.
腫瘍崩壊症候群 (TLS) 《定義》
腫瘍細胞が急速かつ大量に壊死・崩壊し、細胞内成分(カリウム、リン酸、核酸など)が血中に放出されることで代謝性異常を来す病態。これにより、高カリウム血症、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症を引き起こし、最終的に急性腎障害、心不整脈、けいれん、死亡などの重篤な合併症を来すことがある。
《分類》
検査学的 Laboratory TLS (LTLS):
化学療法開始3日前から7日後までに、下記のうち2つ以上を認める
高尿酸血症:基準値上限以上
高カリウム血症:基準値上限以上
高リン酸血症:基準値上限以上
臨床的 Clinical TLS (CTLS):
LTLS に加えて、以下のいずれかの臨床的症状を伴う
クレアチニン上昇(≧1.5倍×基準値上限)
不整脈/突然死
けいれん Cairo–Bishopの定義
#31.
腫瘍崩壊症候群 (TLS) 《疫学》
主に造血器腫瘍(特に急性白血病・高悪性度リンパ腫)で発生するが、固形癌(例:肝細胞癌、肺小細胞癌、乳癌、精巣腫瘍、胃癌など)や免疫療法・分子標的薬使用後にも報告されている。
高頻度疾患:Burkittリンパ腫:発症率 40–50%急性リンパ性白血病(ALL):発症率 5–25%
固形癌での報告:免疫チェックポイント阻害薬導入後、腫瘍縮小が急速に起こる症例で発症例あり大腸癌・乳癌・肺癌・肝細胞癌などでまれに発症
#32.
腫瘍崩壊症候群 (TLS)リスク分類 日本臨床腫瘍学会(編):TLS診療ガイダンス, 金原出版,2013
#33.
腫瘍崩壊症候群 (TLS)リスク別の予防・治療 日本臨床腫瘍学会(編):TLS診療ガイダンス, 金原出版,2013
#34.
腫瘍随伴症候群 《定義》
原発腫瘍や転移腫瘍から離れた部位に生じる宿主の臓器機能障害
《疫学》
がん患者の5-10%に発生する
《病態》
腫瘍による症状惹起物質の産生
正常物質の減少による症状
腫瘍に対する宿主反応
#35.
腫瘍随伴症候群:分類 内分泌系疾患:
異所性ACTH症候群、SIADH、高カルシウム血症、末端肥大症など
血液系疾患:
白血球異常、赤血球異常、血小板異常、静脈血栓塞栓症など
消化器関連疾患:タンパク漏出性胃腸炎など
皮膚・関節疾患:
Sweet病、壊死性遊走性紅斑、主要随伴性天疱瘡、皮膚筋炎など
神経疾患:
辺縁系脳炎、がん関連網膜症、Lambert –Eaton筋無力症候群、重症筋無力症など
その他:肥大性骨関連症など
#36.
神経学的腫瘍随伴症候群
#37.
腫瘍随伴症候群:注意すべきこと 悪性腫瘍の診断に先行して症状が出現することがあり、がんの早期発見、早期治療の手がかりになることがある
原疾患、薬剤性、その他合併症との鑑別診断を行い、SIADHや高Cα血症など治療法のある疾患群を見逃さない