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市中病院
明日から使える乳酸アシドーシス
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最終更新:2022年6月12日
どんなときに糖尿病専門医へコンサルトすれば良い?
#HbA1c #糖尿病内科 #コンサルテーション #周術期 #化学療法
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最終更新:2021年12月9日
【5分で学べる】ERでの低血糖治療のまとめ【ER頻用薬シリーズ】
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最終更新:2022年7月9日
糖尿病性ケトアシドーシスの治療
#インスリン #カリウム #血漿浸透圧 #糖尿病内科 #糖尿病性ケトアシドーシス #代謝性アシドーシス
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最終更新:2021年12月27日
糖尿病専門医のよく使う薬剤シリーズ②〜SGLT2阻害薬〜
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最終更新:2022年3月2日
誰でもできる!カーボカウント<実践編>
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最終更新:2023年2月6日
誰でもできる!カーボカウント<導入編>
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最終更新:2023年2月6日
妊娠糖尿病〜妊娠中・出産後の管理の全て〜
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最終更新:2023年1月26日
症状なくても気をつけろ!高Ca血症のマネジメント
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最終更新:2022年12月28日
アメリカの骨粗鬆症ガイドラインから 適切かつ簡潔な骨粗鬆症マネージメントを考える
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最終更新:2022年11月23日
全人的医療に基づいた糖尿病診療
#糖尿病
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最終更新:2022年8月18日
糖尿病専門医の よく使う薬剤シリーズ① メトホルミン 舞浜太郎 日本糖尿病学会専門医
メトホルミンは 太っている人 しか効かない? 下痢とか嘔気など 腹部症状が多い メトホルミンを 使用するときの疑問 乳酸アシドーシス のリスク DPP-4阻害薬とか SGLT2阻害薬より いいところある?
メトホルミンで知っておきたい 3つのポイント ① インスリン抵抗性改善薬といえばメトホルミン ② メトホルミン使用する前に腎機能eGFR>30を確認 (致死的な乳酸アシドーシスを防ぐ) ③ start low, go slow---消化器症状を少なくするために--(怠薬につながる胃腸障害を防ぐ) 「とりあえずDPP-4阻害薬処方」 から脱却しましょう!
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①-1 メトホルミン=インスリン抵抗性改善薬 • 現在のガイドラインではインスリン分泌非促進系に分類 (以前はインスリン抵抗性改善薬と記載されていたため 馴染みは強いかも) • 低血糖は単剤ではほぼ起きない • 非肥満例でも有効 インスリン分泌が保たれている方なら 副作用に注意して積極的に使用しましょう チアゾリジン薬は浮腫や体重増加など 副作用が多く使いにくい印象です
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①-2 メトホルミンの薬理作用(一部のみ) 肝臓 糖新生 骨格筋 糖取り込み メトホルミン 膵臓 インスリン分泌 ~ 脂肪組織 糖取り込み
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①-3 メトホルミンの位置づけ(海外) • ADA(米国糖尿病学会)、EASD(欧州糖尿病連合)の ガイドラインでは第一選択薬として推奨 • 理由として以下の3点が列挙されている ・HbA1c低下作用 ・安価 ・安全性 2022年版では動脈硬化疾患の既往や高リスク、 心不全、CKDを合併する場合はGLP-1受容体作動薬、 SGLT2阻害薬の選択をより強く推奨されています
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①-4 メトホルミンの位置づけ(日本) • 日本のガイドラインでは 「患者の病態、合併症の有無、薬剤の作用特性などを考慮して薬 剤を選択する」 と記載されている 日本人は、欧米人と比較してインスリン分泌の 低下も血糖上昇の原因なので海外のガイドラインを そのまま鵜呑みにして使用するのは注意!
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①-5 メトホルミンのHbA1c低下作用、安さ • メトホルミンはSU(スルホニル尿素)薬やチアゾリジン薬と 同等もしくは同等以上の血糖降下作用がある • 非肥満例でも肥満者と同等の血糖降下がみられる • 最大投与量の2250mg/日でも、薬価は66.9円/日(3割負担なら 20円/日) 症例にもよるが500mg/日でHbA1c 0.3%程度、 1000mg/日で0.8%程度下げるイメージです コスパ最強で非専門医の先生ももっと使用して 欲しいなと思っています(個人の感想)
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②と③ 注意すべき副作用 • 頻度はまれだが重症な副作用:乳酸アシドーシス • 軽症だが頻度が多い副作用:消化器系(下痢、嘔気、食欲不振、 消化不良など) これらの副作用を起こさないように 確認することを次のスライドから 説明していきます。
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②-1 メトホルミンの副作用 乳酸アシドーシス • 乳酸アシドーシスは予後不良で死亡例の報告もあり 迅速な治療が必要 • 添付文書上では10万患者年あたり約3件と記載されている ただし、禁忌や慎重投与例に投与しているケースが多いため 使用しない患者を理解できていれば問題ない 私はメトホルミンが原因の 乳酸アシドーシスは遭遇したことないです
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②-2 メトホルミン開始時の確認項目 • 前提条件 経口摂取問題なし、ADL自立 • 腎機能 禁忌はeGFR<30、eGFR<45なら新規開始は避ける • 年齢 75歳以上であれば新規開始は慎重に • 低酸素血症が起こりうる併存症 コントロールできていない心不全、呼吸不全では使用しない • 飲酒習慣 大量飲酒例では禁忌、少なくとも休肝日を作れる(指示を守れる) 人かどうかが大事
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③-1 メトホルミンの副作用 胃腸障害 • 開始時/増量時に、下痢・嘔気・食欲不振などの消化器症状が 出現することがある • 下痢が続く場合や食事がとれなくなってしまう場合は 中止するが、2,3日でおさまることが多い • 事前に伝えておかないと患者の判断で内服中止にする ケースが多い
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③-2 メトホルミン投与後・・・ メトホルミン投与後の外来で 患者「あの薬飲み始めてすぐに、吐き気がして下痢もありました。 薬局の説明書に副作用で書いてあったのでやめました。薬はほと んど全部余っています。他の薬に変えてください。」 このようなケースは処方方法や 説明の仕方で防げることもあります ポイントはstart low, go slowです
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③-3 start low, go slow • 低用量(500mg/日以下)から開始して徐々に増量する方法 • 消化器系の副作用による治療中断を避けるために大切 用量依存的に効果は増すため、 最初は血糖降下作用は大きくない この点もあわせて説明しないと 「薬剤増やしたのにHbA1c下がらない」 と言われることも・・・ 私は最初の1ヶ月は副作用の確認に徹して 次に1000mg/日まで増量することが多いです
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具体的に・・・ • 48歳、女性 BMI22 健康診断は毎年受けていて、血糖値が高めとずっと言われていた。 先日受けた健康診断でHbA1c 7.5%、空腹時血糖値145mg/dLの ため受診を指示された メトホルミン使用できそうだと感じたら • 問診で、既往歴や併存症/飲酒習慣を聴取 • 採血で腎機能(eGFR)を確認 抗GAD抗体/血中Cペプチドで2型糖尿病、インスリン分泌評価も忘れずに
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メトホルミン開始するときの声かけ(一例) • はじめは少ない量から始めます。副作用をできるだけ少なくするためです。 下痢や吐き気などの症状が出る場合がありますが、多くの場合は2,3日で おさまります。人によってひどい下痢や食事がとれなくなる場合が あるのでその時は連絡してください。 • この薬は量が増えるほど血糖値を下げる作用が強くなります。今回は 少ない量で出してますので、次回のHbA1cは大きく下がりません。 そのときは量を少しずつ増やしましょうね。 • 複数回(朝夕or毎食)に分けて内服する薬なので忘れないように 気を付けてください。
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Take Home Message • インスリン抵抗性改善薬といえばメトホルミン インスリン分泌保たれていたら積極的に投与の検討を 経口血糖降下薬の中でコスパ最強!! • 使用前には腎機能eGFR>30の確認を 開始時は腎機能、年齢、低酸素血症、飲酒習慣を確認 • start low, go slowで消化器症状を抑える工夫を 始める時は少量(500mg/日)から、声かけ大事