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身体症状と陰性感情の関連性についての患者の表現:プライマリケア診療の質的分析 2020年4-5月

  • 内科

  • 精神科

  • ゆきあかり

12,274

9

2020/5/16
2020/5/17 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

心因性の要素の強い症例を診察する際に役に立つかと思って読んでみました。4-5月分です。4月分が作れなかったのでそちらも兼ねて。

小林聡史

ゆきあかり診療所


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身体症状と陰性感情の関連性についての患者の表現:プライマリケア診療の質的分析 2020年4-5月

  1. 身体症状と陰性感情の関連性についての患者の表現:プライマリケア診療の質的分析 ゆきあかり診療所 小林聡史

  2. 心因性の要素の強い症例でのTIPSまとめ 症状と感情の関連を考える際には気分障害や不安障害の症状だけでなく、幅広い感情が関連しうることに配慮する 感情を探索するための手がかりを見つけて、患者に説明を促す こちらの説明を押し付けるのではなく、患者自身が説明に辿り着くように案内する 診察が複数回になるにつれて感情表出が減っていきやすくなるため、留意する

  3. 読んだ論文はこちら Bekhuis E, Gol J, Burton C, Rosmalen J. Patients' descriptions of the relation between physical symptoms and negative emotions: a qualitative analysis of primary care consultations. Br J Gen Pract. 2020 Jan 30;70(691):e78-e85. doi:10.3399/bjgp19X707369. Print 2020 Feb. PubMed PMID: 31848200; PubMed Central PMCID: PMC6917359.

  4. 注意 今回の論文は実際のセリフや会話の引用が多く、DeepLなど使いながら翻訳してみましたが、原文の英語のニュアンスと異なってるかもしれません。

  5. Introduction

  6. MUSはCommonでケアが難しい 持続的な身体症状は一般住民に多く、QOL低下と関連 医学的に原因不明とみなされることもしばしば ??周辺プロセスと中央プロセスの間の複雑な相互作用を表すものとして  認識されるようになってきた マネジメント:身体的要素と心理的要素両方がある 患者・GP双方にとって難しいと受け取られることが多い 患者は生物心理社会(Biopsychosocial:BPS)的側面に対応したケアをとても大切にする medically unexplained symptoms

  7. マネジメントの一要素:陰性感情の対処 マネジメントの要素の一つが、陰性感情へのフォーカス 症状に対する反応としてだけでなく、症状の悪化や持続の一因となる可能性 陰性感情がある患者は機能的・社会的な制約を訴えることが多い プライマリケアのガイドライン:GPが症状と陰性感情との関連性を対処するよう推奨

  8. しかし、共通の理解基盤を築くのは難しい 多くのGPはこの関連性(身体症状と陰性感情)について患者と理解の共通基盤を築くことに困難を感じている 特に、関連性の説明が不適切だったり時期尚早だったりすると、患者に拒否されることが多い この敵対関係は、MUSが身体的分類よりも精神的分類に組み込まれていることと関連しており、患者が自分の症状の正当性が脅かされていると感じてしまう

  9. そこで、著者からの提案

  10. 著者の提案:患者のstarting pointを基準にせよ 患者のstarting pointを基準にしながら、症状と感情の関係性について共通の理解基盤を築いていくべきと複数の著者が提案している そのプロセスの中で、徐々に豊かな説明モデルが構築される

  11. しかし、その見分け方がわからない 症状と感情の関連についての思考パターンの理論モデルがあるにも関わらず、著者らは、患者が診察でどのように表現するかの分類を見つけることができなかった

  12. というわけで、本研究を思いついた

  13. 本研究の目的(質的研究) 主要な目的:「患者が診察中に表現する症状と感情との関係性」のタイプの分類を作ること 副次的な目的:時間経過とともに関係性のタイプが変化した場合に、その変化をモニタリングするために分類が使えるかどうか 複数の持続的身体症状を有する患者に対して特別に訓練されたGPによる診察を、質的に分析した

  14. Method

  15. Data source

  16. 他の研究からデータを抽出 「Multiple symptoms study 1,2」からデータを抽出した 持続的な身体症状を有する患者へのプライマリケアにおける診察介入の効果を検証 GPによる、20-40分間の3-4つの診察から構成 介入目的:症状の強度や影響力を減らすこと

  17. 介入内容 会話の取っ掛かりが患者から提示されたときに感情を探索 感情を症状の唯一の原因として考えるのではなく、身体症状と関連した平行するプロセスとして考察 症状の重症度は、通常の診療で用いるデータベースやPHQ15で評価

  18. 患者の組み入れ基準 臨床データベース上で、1つ以上の機能性身体症候群の診断コードが当てはまる 過去3年間で2回以上専門医に紹介されたことがある PHQ15が10点以上 PHQ15:身体症状による負担感を評価する質問票

  19. Data source Data analysis

  20. 録音された診察データを使用 39の患者に対する112の診察を録音し、文字起こし 患者は、主要変数が最大化するように意図的に選択(年齢、性別、PHQ15・PHQ9・GAD7のベースラインスコア、診察に当たったGP) 症状と感情の関係性のタイプの変化を見ることも本研究の目的の一つなので、3回以上診察を受けた患者は特に着目

  21. カテゴリー抽出 まず12人の患者を分析し、カテゴリーのタイプや特徴を抽出 続いて3人の患者を分析し、追加の知見が得られないことを確認した 最終的なサンプルは15例となった

  22. -

  23. Data source Analysis method

  24. 第一ステップ:明確な言語表現のコード化 陰性感情に関する患者の明確な言語表現を、過去の研究の方法に則ってコード化 間接表現は、研究者による憶測を避けるために除外(葛藤などの苦しい出来事を状況的に描写したもの) 表現は、会話の文脈の中でイントネーションも聞きながら解釈

  25. 第一段階続き 複数の定義を持つ言葉は特に留意した(例:ストレス→外的なストレス要因 or 心配や焦燥感などの内的状態) 患者表現は、感情のタイプに基づき分類され、患者がよく使う言葉を忠実に再現しながらカテゴリ名を設定

  26. 第二ステップ:感情と症状の関連を探索 患者が感情と症状の関連を表現したすべての引用文を選択 患者の意図に忠実であるように、意味が明確な関連のみを選択(例:「痛みのせいで落ち込んでいます」) 微妙な言葉は、会話で意味が推測できない場合は除外(例:「緊張感」) 引用文は、伝統的な会話分析法で分析し、類似点と相違点を整理しつつ1枚の紙にまとめた(one-sheet-of-paper法)

  27. 第二ステップ続き:経時的変化分析 診察の過程で患者のカテゴリーの変化があったかどうかを調べるために、二次分析を施行 それぞれの患者の経時的なカテゴリーパターンを解析

  28. 具体的なコーディング方法 コーディングはATLAS-ti 8(質的データ分析ソフト)を用いて実行 最初は一人ひとりで行い、その後著者の2人が比較 解析も同じ2人が行い、相違点は合意が得られるまで議論 関主観的な再現性と包括性を担保するために、持続的身体症状を専門とする研究者に定期的に相談

  29. Results

  30. 感情を6つに分類 全ての患者が陰性感情を表現したが、訴えた回数は患者毎にかなり違っていた(3-21回) 感情の6カテゴリーが同定された:不安、不満、気分の落ち込み、困惑、罪悪感、その他

  31. 不安 不安、心配、パニック、神経質 不満 不満、いらだち、怒り、焦燥 落ち込み 困惑 うつ、悲嘆、疲労、落ち込み 困惑、恥、屈辱感、立腹 罪悪感 感情的危機、圧倒された気分、 ストレスで参っている その他

  32. 感情表現の量に見られた特徴 感情の表現が少なかった患者は、全体的に寡黙で、症状の身体的側面に焦点を当てる傾向があった 典型的には、患者は診察開始から最初の5分間で最初の感情表現を見せ、介入が進むにつれ発生頻度が減っていった

  33. 自発的に語る方が、関連性の表現が豊か 多くのセリフで、患者は感情を症状と関連付けていた(回数の幅は1-16回) 患者は多くの場合自ら関連について表現したが、質問への返答や、GPから促されて表現することもあった GPからの質問に答える時に比べて、自発的な表現はより詳細に語られる傾向があった

  34. 症状と関連付けず感情を表現する患者 患者の中には、大きなライフイベントを経験した患者では特に、症状と関連付けることなく感情を表現する傾向があるものもいた 彼らは、外的なストレスの文脈で感情を詳述したり、陰性感情が感情障害の一部かどうか質問したりしていた 患者の感情や、症状との関連性の表現のパターン*は、患者の性別・年齢・身体症状や抑うつ症状や不安症状の重症度との関連は明らかでなかった *表現の回数、カテゴリーのタイプ、介入のどの段階で述べるか

  35. Data source Categories of relations between negative emotions and physical symptom

  36. 関連性を3つに分類 陰性感情と身体症状の関連性を主に3つに分類 分離:症状と感情との関連が否認された状態 結合:症状と感情が関連しているが、   個々に独立して存在している状態 分離不可:症状と感情が一体化して1つになっている状態

  37. 分離カテゴリー

  38. 分離カテゴリーの特徴 特徴として、身体症状が感情が原因だったりという関係性の否定と、「うつ病」や「不安障害」のような感情についてのラベリングがみられる 介入の様々な段階で見られる このカテゴリーの患者は、身体症状と感情の関係性について、「一般的には関係があるが、自分自身は経験したことがない」としばしば指摘する

  39. セリフ例:20-34歳女性、患者No12 「彼らはしっかり診察してくれました、つまり、身体的な検査もしてくれましたが、感情的な検査もしてくれました。まあそれは理解できます。 でも私は感情的な危機は経験したことがないし、落ち込んでないし、ストレスも感じてないし・・・多くの人がどうやって対処してるかわかりませんが、でも私はとても強い信仰心で良識を持ってますから・・・なので、もし落ち込んでたらそう伝えてたと思いますから、だから、特に感情的なきっかけはなかったです。」

  40. 関連性を指摘すると感情的になることも GPが症状と感情の関連性を示唆したときに、切迫感をもってそれを否定したり、怒りながら否定したりする患者もいる

  41. 会話例:同患者(患者No12、20-34歳女性) GP「痛みや倦怠感は感情と密接に関連していて、イライラやストレス、怒りに繋がります」(GP No4) Patient(P)「ええ、いやな感情と痛みの関係ですね。わかります」 (患者No12、20-34歳女性) GP「そう、なのでその関係性によって気持ちが抑制されて、悪いサイクルに入ってしまうんです」 P「 (泣き始め、怒りながら)それはどうも。でももしやりたいことの半分もできなければストレスが溜まりますよね?でもそのせいで症状が起きているわけじゃありません」

  42. 結合カテゴリー

  43. 結合カテゴリーの特徴 症状と感情が個々に独立して、関連した状態 このカテゴリーでは、マネジメントの目標の同定に繋がるようなセリフが見られる 全ての患者において、すべての段階で見られた 2つのサブタイプに分類される 孤立した結合 isolated connection 悪循環 vicious circle

  44. 孤立した結合 isolated connection 症状と感情は一方向的に影響を与えあったり、時間的につながっている 典型例では、患者は症状の結果として感情が定期的に起きていることを述べ、そのことで症状が日常生活に与える影響を強調しようとしているように見える

  45. 会話例: 「いまだにこんなに大量の汗をかくんです、すごくすごくうっとおしくて、恥ずかしくて、イライラして、憂鬱になります」(患者No7、50-64歳女性) 「姉の事でストレスを感じていると、具合が悪くなってきます。なので、ちょっとしたことで・・・まあ気にしないわけじゃないですが、姉のことでストレスを感じてるときは「ストレスは感じてない」って言わなきゃいけないんです」(患者No4、50-64歳女性)

  46. 悪循環 vicious circle 症状と感情とがお互いを増強させてしまう状態 多くの患者は、GPに関連性を指摘された後に、「痛みは・・・少し良くなった」と表現する 患者の中には、自発的に悪循環を説明するものも少数いる(特に症状に対する複雑な生物心理社会的な説明を述べた患者)

  47. 会話例 GP「痛みや心の問題、息切れ、それらが複雑なプロセスを経ているのは間違いないと私は思ってます。いやなことや落ち込むようなことが、全て事態を悪化させるのです。つまり、悪循環に陥ってますよね?」(GP No4) 患者「その通りですね、悪循環は絶たないといけないです。でもどうしたらいいかわからない、本当に」(患者No13、50-64歳男性) GP「どうすれば少しでも良くなるかは、自然に考えられるようになると思います」

  48. 別のセリフ例:患者No1、35-49歳女性 患者「頭痛が起きると疲れます。本当にひどい頭痛の時はパラセタモールを飲めば治まるんですが、大抵はズキズキとした痛みではありません。鈍い痛みが続いてうんざりしてくると、更に痛みがひどくなってきます。そういう時は、突き刺すような痛み方ですね。」

  49. 分離不可カテゴリー

  50. 分離不可カテゴリーの特徴 症状と感情が結合して一体となった状態 典型的には探索的exploratoryで、介入時に患者の方から言われることが多い 症状と感情は、2つの方法で存在しうる 統合された全体integrated whole 全体の中の断片fragments of a whole

  51. 統合された全体integrated whole 症状と感情は一体となっている 症状が感情の一部になっている、またはその逆 例文「One night towards the end ... pain of the brain」 直訳すると「終わりに向かってある夜......脳の痛み」(意味わからず) このカテゴリーは症状の原因の探索と関連している 特に情動障害で典型的 殆どの患者は、情動障害の過去の経験について言及

  52. セリフ例:患者No11、35-49歳女性 「心電図モニターをつけたりすべての検査をしたけど、何も出てきませんでした。ということは、精神的なものなのか、パニック発作のようなものなのでしょうか?」 症状の原因の探索をしたことで、症状と感情が一体になっているのでは?と患者自身が考えている

  53. セリフ例2:患者No3、35-49歳女性 「ある時思ったんです。またうつ病かな?って。以前にも経験したことがあるんです」 過去のうつ病の経験について言及している

  54. セリフ例3:患者No11、35-49歳女性 「ある夜の2時15分、2年間苦しめられた私の姉妹のことで目が覚めました。瞑想したことで思い出したんです。そうしたら頭痛がして、心配事がとても辛かったです。それで私はベッドの端に座って、「体のスキャン」瞑想を始めて・・・最終的には脳の痛みthe pain of the brain を克服しました」 心配事と頭痛とが一体になっている 「脳の痛み」と言うことで、精神的なものと痛みが一体になっていることを表現しようとしている?

  55. 全体の中の断片fragments of a whole 症状と感情が分けられないものとして表現される 苦悩した状態の混沌とした語りが含まれ、患者はそれを説明するための正しい言葉を探す 経験の本質を理解しようとする能動的なプロセスの一部である

  56. セリフ例:患者No1、35-49歳女性 「上手くいかない具体例としては、体的には1日中機能していても、ある時まるで壁にぶつかったようになってしまうんです・・・もちろん先生は身体的には大丈夫と言ってましたけど・・・でも壁にぶち当たってしまうんです。今週はずっと元気か少し疲れてる程度だったんだけど、日曜の夜は・・・何もしてないのに壁が立ちふさがってきて・・・耐えられなくなってしまったんです。ほんとに耐えられなくて・・・まるで・・・まるで・・・疲れに飲み込まれてしまうようでした。」 混沌としているが、自分なりに体験を言語化し、理解しようとしている

  57. Transitions between categories

  58. カテゴリー移行がみられた患者数 二次解析で、患者が診察の経過とともにカテゴリー間で移行があったかどうかを調べた 3人の患者:1カテゴリー移行 11人の患者:2-3カテゴリー移行 1人の患者:5カテゴリー移行

  59. 介入期間中に明らかな変化をきたした事例は少数派 複数のカテゴリーを移行した患者のほとんどは、症状と感情の組み合わせや文脈が様々であり、必ずしも介入期間中に明らかな変化を示したわけではなかった 4つの症例で、患者が特定の状況下で明らかな移行を示した 移行パターンを記述するには不十分な症例数

  60. 続き 一般的に、患者とGPが新しいタイプの関係について協議する対話の中で移行が起きた カテゴリー移行には2パターンみられた 分離カテゴリーから孤立した結合 孤立した結合から悪循環 次に示す会話例では、患者は当初は分離カテゴリーだったが、悪循環に徐々に移行した

  61. 会話例(分離→悪循環):患者No13、50-64歳男性 GP「今、痛みに関してどういう感情を抱いていますか?」 患者「うーん、落ち込んでます。他に何と言えばいいか・・・そうですね、とにかく落ち込んでいます、どこにも行けないような感じ」 GP「そういう感情が、より症状を悪化させてしまっている感じはありますか?」 患者「おそらく・・・確かにそうですね。自分の心のせいで事態が悪化しているんですね。自分で自分を追い込んで、悪化させてるんだ」

  62. Discussion

  63. まとめ 持続的な身体症状を有する患者では、症状と感情との間に異なるタイプの関連性を持つことが示された 関連性は3つの主要カテゴリーに分類された:分離、結合、分離不可 診療経過の間にカテゴリー間を移動する患者も中にはみられた

  64. Strengths

  65. 強み2つ GP・精神科・心理学者の多職種チームでコーディングと分析をそれぞれ独立して行ったこと 感情の明確な説明と身体症状との関係に焦点を当てることにより、患者の意図に忠実であることを目指したこと

  66. Limitations

  67. 弱み①曖昧な表現の見逃し 患者が感情や関連性について気づいていても明確に表現しなかった場合にカウントされなかった可能性がある 身体的用語と感情的用語の境界線上にある言葉(例:緊張)を用いた場合など

  68. 曖昧な表現の見逃しは比較的少なかったはず 症状がはっきり語られないときにどのように評価するかに関して、引用がさらに分析の対象となる前に広範囲に議論された しかし、データは通常のGPの診察(典型的には10分程度)と異なり、特別訓練を受けたGPによる長時間の診察から得られた(ので、比較的信頼性が高いと考えられた) 長時間の診察の方が身体症状と陰性感情の関連に関する話し合いが含まれる可能性が高くなるが、その話し合い自体は短く、通常の診察でも適合可能なものであった

  69. 弱み②複雑なBPSを単純化した 身体的・感情的側面を表す用語はできるだけ患者の意図に忠実に推測したが、このように区別することは複雑な生物心理社会的現実を単純化したものであることに留意が必要である

  70. 弱み③カテゴリー移行はサンプル不足 本研究ではカテゴリー間の移行が明確だった症例が4例しかなく、そのパターンを詳細に検討することはできなかった しかし、このような移行がみられたということは、今後の研究でも活用可能である 例:会話分析を用いて患者のプレゼンテーションにおける移行に関連した相互作用パターンを明らかにする

  71. Comparison with existing literature

  72. 本研究の新しさ 患者がしばしば診察中に感情を表すことは過去の研究でも報告あり 本研究は症状と感情の関連のタイプを評価した最初の体系的な研究で、過去の研究では持続的な身体症状を有する患者の多くが感情との関連を否定することにより二元論的に症状を提示することが示された

  73. 再帰属に基づく介入の有効性が微妙な理由 過去の研究において、GPは主に古典的な心理学的再帰属技術を用いて、その中で感情の原因や症状のラベルの割り当てを中央集権化 再帰属:症状の成因を生物学的原因に求めない概念転換 分離カテゴリーの患者は再帰属を強制的に拒否→患者は主にGPによる再帰属に応じて二元論的な表現を使用している可能性 以前の報告でも多くの患者が、「再帰性により過度に単純化されスティグマを負わされる」と感じていることが報告 持続的身体症状に対する再帰属に基づく介入の有効性が限られていることを、部分的に説明可能

  74. 人に押し付けられるのは嫌だが、自分で考えて認めることはできるかも しかし、本研究の一部の患者は、分離不可カテゴリーにおいて、自分の症状が感情障害の一部である可能性を公然と探っていた 患者は自分自身で自分のことを説明するときには感情的な原因やラベルを認識することができるし、実際そうしているが、それらがGPによって押し付けられたときには反対する傾向があるのかも

  75. Implications for practice

  76. 色んな感情を考慮 患者が自発的に不安・イライラ・気分低下・恥ずかしさ・罪悪感などの感情状態を示した →持続的身体症状の診察時、幅広い感情を考慮することが重要 *しかしガイドラインでは、GPは主に感情障害や不安障害に注視するよう推奨

  77. 感情を探索するきっかけを見つけ、説明を促す 抑うつ症状や不安症状の重症度にかかわらず、すべての患者が頻繁に感情を呈示していた →患者の感情的な手がかりを拾い上げ、患者にその説明を促すことが重要

  78. 介入が進むと感情表出が減る問題 介入が進むにつれ、患者の感情表出が少なくなる傾向が見られた これは介入の構造と関連しているかもしれない 症状の探索から始まり徐々に症状のマネジメントに焦点を当てていくため フォローの診察ではGPの役割がより優位になるため、患者のためのスペースが自然と減っていく 問題探索を目的とした通常の診察では、積極的に傾聴して患者と協力しあうオープンな会話の場を作ることがGPにとって重要

  79. 患者自身が説明に辿り着けるように案内する 患者に説明を押し付けるのではなく、患者自身が説明に辿り着くためのスペースを与えることがより豊かな説明モデル構築に役立つ なぜなら、患者が自発的に述べた症状と感情の関連性の方が、GPが質問したり促したりして話した関連性よりも、より詳細に提示されるため

  80. 論文の最後の文章 持続的身体症状を有する患者は、診察の場において様々な陰性感情を呈する 先行研究で患者が二元論的症状を呈することを示唆したこととは対照的に、本研究では患者が感情を症状から分離させるだけでなく、症状と結合させたり、分離できないものとして表現することもあるということが明らかになった

  81. 小林まとめ:実臨床でのTIPS(再掲) 症状と感情の関連を考える際には気分障害や不安障害の症状だけでなく、幅広い感情が関連しうることに配慮する 感情を探索するための手がかりを見つけて、患者に説明を促す こちらの説明を押し付けるのではなく、患者自身が説明に辿り着くように案内する 診察が複数回になるにつれて感情表出が減っていきやすくなるため、留意する

  82. 雑感 感情と症状を分離していた人が関連性に気づく過程では、何が起きるんだろうか?診察の場では否定してたけど、家に帰って診察の事を思い出して内省しているうちに気づきが得られたりとかかな 患者さん自らが気づくように促すというのは動機づけ面接とかにも通ずるものがあるなと思った

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