#4.
脂質異常症ココまでは⾃分で診る︕ 合併症の確認と管理⽬標を決める 続発性脂質異常症でないか確認しよう ⾮薬物療法と薬物療法の2つを抑えよう 定期フォローの仕⽅
#5.
無症状で指摘されたケースの管理 こんなシーンありませんか︖ 「毎年引っかかるんです」 「痩せろって⾔われました」 「病院⾏ったけど何も⾔われてない」 「仕事が忙しくて〜」 「症状ないし特に何もしていません」 「どうせ改善しないだろう」と、諦めていませんか︖ 根拠をもとに状況を改善できるよう促していますか︖
#6.
なぜメタボリックシンドロームを診る︖ 健康診断で拾い上げる意義 労働安全衛生法に基づく定期健康診断関係資料 資料2 労働安全衛生法に基づく定期健康診断 対象者 常時使用する労働者 注)特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)においては、 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時 従事する労働者 ※ 健康診断項目 ① 既往歴及び業務歴の調査 ② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 ③ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 ④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査 ⑤ 血圧の測定 ⑥ 貧血検査(血色素量、赤血球数) ⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP) ⑧ 血中脂質検査(LDL・HDLコレステロール、TG) ⑨ 血糖検査 ⑩ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) ⑪ 心電図検査 注)④について、雇入れ時健康診断においては、胸部エッ クス線検査のみとなっている。 ウエスト周囲径測定の義務化で メタボリックシンドロームの 概念を活⽤し 糖尿病や動脈硬化性疾患の 発症抑制を狙っている。 ※ 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務 イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務 ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務 ハ ラジウム放射 線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務 二 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務 ホ 異常気圧下における業務 へ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務 ト 重量物の取扱い等重激な業務 チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における 業務 リ 坑内における業務 ヌ 深夜業を含む業務 ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる 有害物を取り扱う業務 ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその 他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務 ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務 カ その他厚生労働大臣が定め る業務 平成20年から特定疾患や職域健康診断で腹囲は必須項⽬
#7.
なぜメタボリックシンドロームを診る︖ 診断基準 【内臓脂肪蓄積を評価する意義】 ⼤規模横断研究で、脂質異常、⾎圧⾼値、 ⾎糖⾼値の3つの危険因⼦うち、どれか 1つでもある⼈の内臓脂肪の⾯積が、男⼥ ともに100㎠というエビデンスあり The VACATION-J study. Ann Med 2012;44:82-92 内臓脂肪蓄積は動脈硬化リスクとして確⽴ ウエスト周囲を測る重要性は世界的なコン センサス Lancet Diabetes Endocrinol 2019;7:715-25 メタボリックシンドロームは⼼⾎管疾患発症リスクが⾼い病態と伝える
#8.
続発性脂質異常症かどうか調べる 甲状腺機能低下症 肥満 ネフローゼ症候群 クッシング症候群 慢性腎臓病(C KD ) 褐⾊細胞腫 原発性胆汁性胆管炎 薬剤 閉塞性⻩疸 アルコール多飲 糖尿病 喫煙 内分泌代謝、消化器、腎臓内科で⾒つかることも
#9.
脂質異常症の管理⽬標 update ⾼T G⾎症の診断基準(随時)が新設されました
#10.
脂質異常症の管理⽬標 update L D L - C 管理⽬標は吹⽥スコアから久⼭町スコアへ アテローム性脳梗塞も含めた 絶対リスク評価が可能に
#11.
絶対リスク評価は久⼭町スコアへ 吹⽥スコアでは不⼗分だったアテローム⾎栓性脳梗塞の絶対リスクもカバー 冠動脈疾患死亡 のリスクだけ評価 冠動脈疾患死亡 →冠動脈疾患イベント 発症リスクを評価 2012年 N I P P O N D ATA 8 0 2017年 吹⽥スコア 冠動脈疾患+アテローム⾎栓性脳梗塞を含む 動脈硬化性疾患発症の絶対リスクをカバー 2022年 久⼭町スコア
#12.
脂質異常症の管理⽬標 update 治療⽅針の原則 管理区分 脂質管理⽬標値(mg/dL) LDL-C Non-HDL-C 低リスク <160 <190 中リスク ⼀次予防 まず⽣活習慣の改善を ⾏った後、薬物療法の ⾼リスク 適⽤を考慮する <140 <170 <120 <100* <150 <130* ⼆次予防 <100 ⽣活習慣の是正ととも 冠動脈疾患の既往 (<70)** に薬物治療を考慮する TG HDL-C <150(空腹時) ≧40 <175(随時) <130 (<100)** *糖尿病で、PAD、網膜症、腎症、神経障害の合併、または喫煙ありの場合 **「急性冠症候群」、「家族性⾼コレステロール⾎症」、「糖尿病」、「冠動脈疾患とアテローム⾎栓性脳梗塞」の いずれかが合併している場合
#13.
動脈硬化性疾患の発症予測アプリ 医師・医療従事者向け 久⼭町スコアが頭に⼊ってなくてもすぐに計算可能 これで管理⽬標もカンタンに確認できます https://www.j-athero.org/jp/general/ge_tool2/
#14.
脂質異常症の薬物療法 基本はスタチン単独から 漸増でコントロール悪い ならエゼチミブも併⽤ スタチン+エゼチミブ スタチン+PCSK9では スタチン単独より 脳⼼⾎管イベント 抑制効果あり Eur Heart J 2018;39:1172-80
#15.
薬物療法によるフォローの⼀例 スタチンの副作⽤︓肝障害、間質性肺炎、CK上昇、 ミオパチー様症状、ミオグロビン上昇(横紋筋融解症) 副作⽤ 治療効果確認 健診異常で 受診 1ヶ⽉ 家族歴の問診 ⾎液・尿検査 治療 開始 1ヶ⽉ CKなど 採⾎評価 治療効果 確認 副作⽤ 治療効果確認 継続? 変更? 2~3ヶ⽉ CKなど 採⾎評価 CKなど 採⾎評価 CK上昇(正常上限3倍〜10倍)→スタチン減量/中⽌し再評価 CK上昇(正常上限10倍以上)→スタチン中⽌し再評価
#16.
脂質異常改善のための体重管理 <⽬標体重>標準体重ではない 1 8 歳〜4 9 歳︓[ ⾝⻑(m )] 2 x 1 8 . 5 〜2 4 . 9 k g / m 2 5 0 歳〜6 4 歳︓[ ⾝⻑(m )] 2 x 2 0 . 0 〜2 4 . 9 k g / m 2 6 5 歳〜︓[ ⾝⻑(m )] 2 x 2 1 . 5 〜2 4 . 9 k g / m 2 総死亡率が最も低いBMIが年齢で異なり⼀定の幅があるためこのような設定になっています <総エネルギー摂取量(kca l )>⾝体活動量をかけて算出 軽い労作︓2 5 〜3 0 普通の労作︓3 0 〜3 5 重い労作︓3 5 〜 ⽬標体重は標準体重ではなく年齢と活動量で調整
#17.
⾮薬物療法によるフォロー <⾼L D L - C への対策> 飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸は避ける 緑⻩⾊野菜、⾖類の摂取を推奨 <⾼TG への対策> 痩せるのが早い。炭⽔化物エネルギー⽐率5 0 〜6 0 % 果物は⾷べすぎない。n - 3 PU FA を多く含む⿂を推奨 <低H D L - C への対策> 痩せるのが早い。炭⽔化物エネルギー⽐率やや低めがg o o d 運動が効果的
#18.
⾮薬物療法によるフォロー <メタボリックシンドロームへの対策> 3%以上の減量を3〜6ヶ⽉でゆっくりと達成を 炭⽔化物エネルギー⽐率5 0 〜6 0 % <⾼⾎圧の対策> 減塩(6g / ⽇未満)。多価不飽和脂肪酸、低脂肪乳製品推奨 適正体重とアルコール制限 <糖尿病への対策> 適正体重を⽬指す。炭⽔化物エネルギー⽐率5 0 ~ 6 0 %、タン パク質2 0 %、脂質2 5 %未満、⾷物繊維2 5 g / ⽇
#19.
脂質異常症、ココからは専⾨施設へ
#20.
脂質異常症治療 ココからは専⾨施設へ 家族性⾼コレステロール⾎症 続発性脂質異常症でコントロールが難しい場合
#21.
家族性⾼コレステロール⾎症(FH) 2項⽬以上満たせば確定診断 遺伝⼦検査は2022年から保険適応︕ 遺伝⼦検査が必要な疾患なので怪しければ紹介する
#22.
FHの⾝体所⾒を知っておく 早発性冠動脈疾患の家族歴 男性では3 0 歳代から、⼥性では5 0 歳代から⼼筋梗塞を発症している 「みんな早死にだから」「家系だ」と割り切っている⼈も多い アキレス腱肥厚や⻩⾊腫 https://www.j-athero.org/jp/specialist/fh_for_ms/
#23.
FHの治療はスタチン︖
#24.
FHの治療には頻回の通院が必要 内服だけではコントロールができないケースも多く、患者負担が⼤きいです PCSK9阻害薬(⽉1〜2回) 140mgを2週間に1回、または 420mgを4週間に1回⽪下注射 LDLアフェレシス(⽉2〜4回) ⼈⼯透析と似た⼿法で、⾎液からコレステロールを除去 必要であればシャント作製を⾏うことも 1−2 週に1回施⾏
#25.
FH疑いを紹介しても良い施設⼀覧 ※但し遺伝⼦検査ができるかは確認が必要です https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/specialist/pdf/fh_institution.pdf
#26.
続発性脂質異常症なども紹介を 原疾患の治療が必要、コントロールが難しい、 合併症のケアなど包括的管理が必要な場合は 粘らず紹介してOK 内分泌専⾨医 循環器内科専⾨医 動脈硬化学会専⾨医 etcで 対 応 可 能
#27.
Tips 脂質異常症は薬物療法だけではなく、合併症 や⽣活習慣もフォローが必要 コントロール不良なら専⾨医へ早めに紹介を ⽇常でFHが居ないか⽬を光らし、怪しければ 専⾨医へ紹介しよう
#28.
参考⽂献 動脈硬化性疾患予防のための 脂質異常症診療ガイド (2023年版) 動脈硬化性疾患予防 ガイドライン (2022年版)