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初期研修医が知っておきたい黄色ブドウ球菌血症の適切なマネージメント

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2022/5/30
Lemon@感染症

急性期総合病院

初期研修医の先生に向けて、黄色ブドウ球菌症のマネージメントについてまとめました。血液培養で1本でも黄色ブドウ球菌が陽性となれば真の菌血症としてマネジメントを行い、黄色ブドウ球菌菌血症を認めた場合は、有効な抗菌薬を開始、及び治療有効性の評価のためにフォローの血液培養検査2セットを行います。感染性心内膜炎の除外目的に、心臓超音波検査(経胸壁でも可)を行います。

◎目次

・Take Home Messages

・目次

・黄色ブドウ球菌

・黄色ブドウ球菌菌血症の診断方法

・黄色ブドウ球菌が起こす主要な疾患

・黄色ブドウ球菌菌血症

・黄色ブドウ球菌菌血症と感染性心内膜炎

・感染性心内膜炎と心臓超音波検査

・黄色ブドウ球菌菌血症で経食道心臓超音波検査を行う予測スコア

・黄色ブドウ球菌菌血症の適切なマネージメント

・非複雑性の黄色ブドウ球菌菌血症の条件

・主な黄色ブドウ球菌菌血症の抗菌薬

・典型的な症例と対応

・よく聞かれるQ&A


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初期研修医が知っておきたい黄色ブドウ球菌血症の適切なマネージメント

  1. 初期研修医が知っておきたい 黄色ブドウ球菌血症の適切なマネージメント Lemon@感染症 日本感染症学会専門医・指導医・評議員 twitter: @Dr_lemon_infect

  2. Take Home Messages 1. 血液培養で1本でも黄色ブドウ球菌が陽性となれば、真 の菌血症としてマネジメントを行う 2. 黄色ブドウ球菌菌血症を認めた場合、有効な抗菌薬を 開始し、治療有効性の評価のためにフォローの血液培養 検査2セットを行う 3. 感染性心内膜炎の除外目的に、心臓超音波検査(経 胸壁でも可)を行う

  3. 目次 1. 黄色ブドウ球菌菌血症 2. 黄色ブドウ球菌菌血症と感染性心内膜炎症 3. 黄色ブドウ球菌菌血症の適切なマネージメント

  4. 黄色ブドウ球菌  皮膚の常在菌  グラム陽性球菌 (Gram positive cocci, cluster)  名称は、顕微鏡下でブドウの房状の固まりを形成することに由来  同様の形態を示すStaphylococcus属のうち、コアグラーゼを産生しない菌 (Coagulase negative staphylococci)の多くは病原性が低い  メチシリン感性黄色ブドウ球菌(meticillin-sensitive Staphylococcus aureus:MSSA)とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillinresistant Staphylococcus aureus:MRSA)に分かれる

  5. 黄色ブドウ球菌菌血症の診断方法 黄色ブドウ球菌血症を疑ったら、 血液培養を採取しよう!  ゴールドスタンダードは血液培養検査 2セット以上採取して、1本でも陽性ならば真の菌血症 として判断する  感染性心内膜炎を疑う場合は、3セット採取する

  6. 黄色ブドウ球菌が起こす主要な疾患  菌血症  感染性心内膜炎  皮膚軟部組織感染症  創部感染  骨、関節感染症  乳腺炎  トキシックショック症候群  食中毒  稀に肺炎(人工呼吸器関連肺炎、インフルエンザ後肺炎など)

  7. 黄色ブドウ球菌菌血症  皮膚の常在菌であるため、傷ついた皮膚組織や血管カテーテルが侵 入門戸となる  ただし、市中発症例では全身の診察にも関わらず、感染源を同定で きないこともある  合併症は、転移性感染巣(感染性心内膜炎、深部膿瘍、骨髄炎 など)  黄色ブドウ球菌菌血症の死亡率は15-25%と高い! Lortholary O, et al: Worrisome trends in incidence and mortality of candidemia in intensive care units (Paris area, 2002-2010). Intensive Care Med: 2014 感染巣の検索や適切な治療期間を判断して、 適切に治療する必要がある!

  8. 目次 1. 黄色ブドウ球菌菌血症 2. 黄色ブドウ球菌菌血症と感染性心内膜炎 3. 黄色ブドウ球菌菌血症の適切なマネージメント

  9. 黄色ブドウ球菌菌血症と感染性心内膜炎 黄色ブドウ球菌菌血症の10-20%に感染性心 内膜炎を合併する 感染性心内膜炎は死亡率が高く、適切なマネー ジメント(抗菌薬、治療期間、手術適応など)が 重要 黄色ブドウ球菌菌血症を認めたら、 感染性心内膜炎の合併症を必ず評価する!

  10. 感染性心内膜炎と心臓超音波検査  黄色ブドウ球菌菌血症を認めた場合は、感染性心内膜炎の評価の ために、必ず心臓超音波検査を行う!  経胸壁心臓超音波検査 Trans-thoracic echocardiography: TTE 感度は50-70%程度 → 検査陰性でも除外できない  経食道心臓超音波検査 Trans-esophageal echocardiography: TEE 感度は90%以上 しかし、食道穿孔、誤嚥、医療資源などの問題のため 黄色ブドウ球菌菌血症全例にTEEを行うことも現実的ではない Liu C, et al: Clinical Practice Variation Among Adult Infectious Disease Physicians in the Management of Staphylococcus aureus Bacteremia. Clin Infect Dis: 2014

  11. 黄色ブドウ球菌菌血症で 経食道心臓超音波検査を行う予測スコア PREDICT score 植込み型ペースメーカーの存在 植込み型除細動器の存在 市中発症 72時間以内に血液培養が陰性化しない 医療関連発症 院内発症 発症日 3点 2点 2点 2点 1点 0点 に4点以上(感度21%) 発症5日目に2点以上(感度98.8%) でそれぞれ経食道心臓超音波検査を行うスコアリングシステムも提唱されている Palraj BR, et al: Predicting Risk of Endocarditis Using a Clinical Tool (PREDICT): Scoring System to Guide Use of Echocardiography in the Management of Staphylococcus aureus Bacteremia. Clin Infect Dis: 2015

  12. 目次 1. 黄色ブドウ球菌菌血症 2. 黄色ブドウ球菌菌血症と感染性心内膜炎 3. 黄色ブドウ球菌菌血症の適切なマネージメント

  13. 黄色ブドウ球菌菌血症の 適切なマネージメント  人工物をすべて抜去する  適切な抗菌薬を開始する(経験的治療としてセファゾリンやバンコマイシンを使用)  適切な抗菌薬投与日をday1とし、day2からday4の間に血液培養2セット再検 し陰性を確認する  経胸壁心臓超音波検査で感染性心内膜炎の合併を評価する  上記評価で感染性心内膜炎の可能性が低く、非複雑性の黄色ブドウ球菌菌血 症と判断した場合は、陰性となった血液培養採取日から2週間の治療を行う  上記評価の過程で感染性心内膜炎の合併や複雑性の黄色ブドウ球菌菌血症 であることが判明すれば、画像検査で播種性病変の評価も行い、最低4-6週間 の治療を行う このマネージメントが実施できたら合格!!

  14. 非複雑性の黄色ブドウ球菌菌血症の条件  全ての人工物や血管内カテーテルが抜去されていること  感染性心内膜炎を除外していること  初回陽性となった時点より2-4日後の血液培養が陰性であること  治療開始から72時間以内に解熱すること  遠隔病変がないこと 上記を全て満たしている場合、 非複雑性の黄色ブドウ球菌菌血症として 2週間の治療でOK!

  15. 主な黄色ブドウ球菌菌血症の抗菌薬 抗菌薬 MSSA MRSA 中枢神経 合併症時 特徴 ・セフェム系 セファゾリン 〇 × × MSSAの第1選択 セフトリアキソン 〇 × 〇 中枢神経合併症にも可能 セフェピム 〇 × 〇 中枢神経合併症にも可能 〇 × 〇 主に、重症例に用いる バンコマイシン 〇 〇 〇 MRSAの第1選択 テイコプラニン 〇 〇 〇 バンコマイシンが使用できない 時に用いる ・カルバペネム系 メロペネム ・グリコペプチド系 最低限、これだけは覚えておけばOKです!

  16. 典型的な症例と対応 【症例】30歳男性 【既往歴】アトピー性皮膚炎 【現病歴】突然の40℃の発熱と頻脈を認めため救急搬送 【対応】  菌血症を疑い、血液培養2セット採取  血液培養2セット4本から黄色ブドウ球菌が検出  経験的治療としてセファゾリンを開始  セファゾリン開始2日後にフォローの血液培養を2セット採取  経胸壁心臓超音波検査で感染性心内膜炎や、その他の合併症を認めず  菌種がメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)と同程  フォローの血液培養の結果が陰性  治療開始から72時間以内に解熱し全身状態も良好で、遠隔病変がないことを確認  フォローの血液培養を採取した日から合計14日間の治療で終了

  17. よく聞かれるQ&A Q. 血液培養検査は何セット必要ですか? A. 血液培養検査は異なる血管から2セット採取が推奨されています。中心静脈カ テーテルが挿入されている場合は、1セットは中心静脈カテーテルから採取してく ださい。2セット採取する理由は、汚染菌のリスク軽減と、検出率を高めるためで す。また、中心静脈カテーテルから採取することで、中心静脈カテーテル関連感 染症かどうかの判断が可能になります。感染性心内膜炎を疑う場合は3セット 採取します。 Q. 治療期間の開始となるタイミングはいつになりますか? A. 適切な抗黄色ブドウ球菌抗菌薬を開始した後の、フォローのために採取した血 液培養の採取日から治療期間をカウントすることになります。感染性心内膜炎の可 能性が低く合併症がなければ有効な治療期間は2週間になります。 発熱 DAY 1 血液培養採取 抗菌薬薬開始 DAY 2~4 フォローの血液培養採取 心臓超音波検査で感染性心内膜炎を評価 有効な治療期間 DAY 16~18 フォローの血液培養が陰性で 合併症がなければ治療終了

  18. Take Home Messages 1. 血液培養で1本でも黄色ブドウ球菌が陽性となれば、真 の菌血症としてマネジメントを行う 2. 黄色ブドウ球菌菌血症を認めた場合、有効な抗菌薬を 開始し、治療有効性の評価のためにフォローの血液培養 検査2セットを行う 3. 感染性心内膜炎の除外目的に、心臓超音波検査(経 胸壁でも可)を行う

  19. 参考文献  Lortholary O, et al: Worrisome trends in incidence and mortality of candidemia in intensive care units (Paris area, 2002-2010). Intensive Care Med: 2014  Liu C, et al: Clinical Practice Variation Among Adult Infectious Disease Physicians in the Management of Staphylococcus aureus Bacteremia. Clin Infect Dis: 2014  Palraj BR, et al: Predicting Risk of Endocarditis Using a Clinical Tool (PREDICT): Scoring System to Guide Use of Echocardiography in the Management of Staphylococcus aureus Bacteremia. Clin Infect Dis: 2015

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