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Candida血症の重要性とメッセージ
#1. 初期研修医が知っておきたい Candida血症の適切なマネージメント Lemon@感染症 日本感染症学会専門医・指導医・評議員 twitter: @Dr_lemon_infect
#2. Take Home Messages 1. 血液培養で1本でもCandidaが陽性となれば、真の菌血症としてマ ネジメントを行う 2. Candida血症を認めた場合、有効な抗真菌薬を開始し、治療有 効性の評価のためにフォローの血液培養検査2セットを行う 3. 治療方針に関与するため、眼の症状がなくても眼内炎の有無を確 認する
Candida血症のリスク因子と死亡率
#3. 目次 1. Candida血症は、死亡率も高く、臨床上重要である 2. Candida血症の合併症 3. Candida血症の適切なマネージメント
#4. Candida血症 Candidaは酵母様真菌で、世界中どこにでも分布し、ヒト(皮膚や消化管)の 常在菌である Candida血症を起こすリスク因子として、集中治療や免疫抑制が知られている Pappas PG, et al: Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis: 2016 Candida血症の死亡率は30-50%と高い! Lortholary O, et al: Worrisome trends in incidence and mortality of candidemia in intensive care units (Paris area, 2002-2010). Intensive Care Med: 2014 感染巣の検索や適切な治療期間を判断して、 適切に治療する必要がある!
Candida血症の診断方法と検査
#5. Candida血症のリスク因子 <集中治療に関連する因子> ・中心静脈カテーテル、中心静脈栄養 ・広域抗菌薬 ・APACHE スコア高値 ・急性腎不全(特に血液透析) ・術後患者(特に腹部手術) ・消化管穿孔、縫合不全 <免疫抑制に関連する因子> ・血液腫瘍 ・固形臓器移植、造血幹細胞移植後 ・化学療法(特に消化器粘膜の障害) 中心静脈カテーテルが最もリスクが高い! Pappas PG, et al: Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis: 2016
#6. Candida血症の診断方法 ゴールドスタンダードは血液培養検査 Candida血症を疑ったら、 血液培養を採取しよう! 2セット以上採取して、1本でも陽性ならば真の菌血症として判断する Β-D-glucan 感度は高いが特異度が低い 陰性であれば経験的治療を中止することができるが、陽性であっても確定に は至らない 80pg/mlをカットオフとし感度70-80%, 特異度55-60% Martin-Loeches I,et al: ESICM/ESCMID task force on practical management of invasive candidiasis in critically ill patients. Intensive Care Med: 2019
Candida血症の合併症と眼内炎
#7. 目次 1. Candida血症は、死亡率も高く、臨床上重要である 2. Candida血症の合併症 3. Candida血症の適切なマネージメント
#8. Candida血症の合併症 注意すべき合併症 Candida眼内炎 その他の合併症 骨髄炎 感染性心内膜炎 深部膿瘍 敗血症性塞栓症 など
#9. Candida眼内炎 脈絡膜炎や硝子体炎を引き起こす 適切な治療が行われなければ失明に至ることもある 初期症状を認めないことも多く、眼科による診断が必要である(診断 後1週間以内) Candida血症を発症した全例で評価が必要 眼内炎の有無によって、抗真菌薬選択(眼内への移行性のよい抗 真菌薬を選択)や治療期間(眼内炎が治癒するまで)が異なる
Candida血症の適切なマネージメント
#10. 目次 1. Candida血症は、死亡率も高く、臨床上重要である 2. Candida血症の合併症 3. Candida血症の適切なマネージメント
#11. Candida血症の適切なマネージメント 人工物をすべて抜去する 適切な抗真菌薬を開始する(経験的治療としてミカファンギンを使用) Candida眼内炎の除外を行う(全例眼科にコンサルトを行う) 適切な抗真菌薬投与日をday1とし、day2からday4の間に血液培養2 セット再検し陰性を確認する カウントの起点日が重要!! 上記評価で合併症がなければ、陰性となった血液培養採取日から2週間の 治療を行う 上記評価の過程でカンジダ血症の持続や眼内炎であることが判明すれば、 感染性心内膜炎や播種性病変の評価も行い、フルコナゾールなどの臓器移行 性のよい抗真菌薬で、最低4-6週間の治療を行う このマネージメントが実施できたら合格です!
Candida血症の治療薬と症例
#12. Candida血症の治療薬 治療薬 静注 内服 中枢神経や眼への メモ 移行性 ・アゾール系 フルコナゾール (FCLZ) 〇 〇 〇 薬物相互作用に注意 〇 × × 経験的治療に用いる 〇 × 〇 腎障害、低カリウム血 症などの副作用に注意 ・キャンディン系 ミカファンギン (MCFG) ・ポリ塩系 リポソーマルアムホテリシンB (L-AMB) 最低限、これだけは覚えておくとよいです!
#13. 典型的な症例と対応 【症例】70歳男性 大腸癌術後、中心静脈カテーテルを留置して治療中 中心静脈カテーテル留置後14日後に発熱 【対応】 • カテーテル関連感染症を疑い、血液培養2セット(1セットは末梢血、1セットは中心静脈カテー テルから)採取 • 血液培養2セット4本からCandida spp.が検出されたので、中心静脈カテーテルを抜去し、経 験的治療としてミカファンギンを開始 • ミカファンギン開始2日後にフォローの血液培養を2セット採取 • 眼科併診にてる眼内炎や、その他の合併症を認めず • 菌種がCandida albicansと同程されたので、ミカファンギンからフルコナゾールに変更 • フォローの血液培養の結果が陰性であったので、フォローの血液培養を採取した日から合計14 日間、抗真菌薬(ミカファンギンとフルコナゾールで)を投与して終了
よくある質問とTake Home Messages
#14. よく聞かれるQ&A Q. 血液培養検査は何セット必要ですか? A. 血液培養検査は異なる血管から2セット採取が推奨されています。中心静脈カ テーテルが挿入されている場合は、1セットは中心静脈カテーテルから採取してく ださい。2セット採取する理由は、汚染菌のリスク軽減と、検出率を高めるためで す。また、中心静脈カテーテルから採取することで、中心静脈カテーテル関連感 染症かどうかの判断が可能になります。 Q. 治療期間の開始となるタイミングはいつになりますか? A. 適切な抗真菌薬を開始した後の、フォローのために採取した血液培養の採取日 から治療期間をカウントすることになります。 発熱 DAY 1 血液培養採取 抗真菌薬開始 DAY 16~18 フォローの血液培養が陰性で 合併症がなければ治療終了 DAY 2~4 フォローの血液培養採取 有効な治療期間
#15. Take Home Messages 1. 血液培養で1本でもCandidaが陽性となれば、真の菌血症としてマ ネジメントを行う 2. Candida血症を認めた場合、有効な抗真菌薬を開始し、治療有 効性の評価のためにフォローの血液培養検査2セットを行う 3. 治療方針に関与するため、眼の症状がなくても眼内炎の有無を確 認する
参考文献
#16. 参考文献 • Pappas PG, et al: Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis: 2016 • Lortholary O, et al: Worrisome trends in incidence and mortality of candidemia in intensive care units (Paris area, 2002-2010). Intensive Care Med: 2014 • Martin-Loeches I,et al: ESICM/ESCMID task force on practical management of invasive candidiasis in critically ill patients. Intensive Care Med: 2019