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意外と知らない眼に影響する薬

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内容

眼に副作用がある薬は意外と多く、それが薬によるものと知らない方もいます。このスライドでは、眼に影響する薬のうち、よく使われる薬の合併症について解説していきます。

◎目次

①ステロイド

②エタンブトール

③クロロキン

④抗コリン薬

本スライドの対象者

研修医/専攻医

テキスト全文

  • 1.

    意外と知らない眼に影響する薬 ドクターK@眼科医 twitter: @doctorK1991

  • 2.

    「患者さんが目が見えづらい」 と言っている 「この薬は眼に副作用があるのか」 眼に副作用がある薬は意外と多く、それが薬によるものと知らない方もいま す。このスライドでは、眼に影響する薬のうち、よく使われる薬の合併症につ いて解説していきます。

  • 3.

    意外と知らない眼に影響する薬 ①ステロイド ②エタンブトール ③クロロキン ④抗コリン薬 それでは、順番に見ていきましょう。

  • 4.

    ①ステロイドとは ステロイドは最も広く使われる薬剤の一つで、抗炎症作用 などを期待して多くの診療科で使わる。 眼科でも、角膜混濁やぶどう膜炎などに使われる。 ただし、副作用も多く、眼への影響も注意が必要である。

  • 5.

    ステロイドによる眼合併症 • 白内障 • 高眼圧症(緑内障) • 中心性漿液性網脈絡膜症 • 多発性後極部網膜色素上皮症 など ステロイドは多くの診療科で使われますが、特に頻度の多い白内障と高眼 圧症について解説します。

  • 6.

    ステロイド白内障 • ステロイドによって水晶体が混濁し、年齢によら ず白内障となる。 • ステロイド内服や点滴によって生じることが多い が、軟膏剤など投与方法を問わずに発症しうる。 ステロイド投与量に依存するとされており、ステロイドパルス療法を行うと起 こしやすく、投与量が少ないと起こりにくいです。特に、プレドニン🄬換算で10 ㎎/日以下での発症は比較的稀とされています※。 ※大路正人.今日の眼疾患治療指針第3版.医学書院

  • 7.

    ステロイド緑内障 • ステロイドによって眼圧が上昇し、その状態が続 くと視野障害をきたし、緑内障となる。 • 特に、ステロイドレスポンダー(若年者に多い)、 作用の強いステロイドほど起こりやすい。 ステロイド白内障と同様、用量依存性があり、どんな投与経路でもステロイド 緑内障は生じます。

  • 8.

    ステロイドによる眼合併症への対応 • 投与中止しても、ステロイド白内障は改善しない ため、視力低下など症状があれば白内障手術を 行う。 • ステロイド緑内障は可能なら中止するが、中止で きない場合は眼圧下降の点眼や緑内障手術に て対応する。 これら合併症は自覚症状がないことも多いため、長期間ステロイドを使う、 あるいはステロイド大量投与(ステロイドパルス療法など)をする場合は眼科 併診をお願いします!

  • 9.

    ②エタンブトールとは エタンブトールは結核の治療に用いられる抗抗酸菌薬で、 イソニアジドなど他の抗抗酸菌薬と併用で用いられる。

  • 10.

    エタンブトールによる眼の合併症 • 約3%に視神経症を発症する。 • 25㎎/kg/日以上で視力低下が起こりやすい。 • 特に、エタンブトールは腎排泄のため、腎機能低下 例で重症となりやすい。 発症時期は2カ月以内では起こりにくく、平均5~7カ月 とされています。

  • 11.

    エタンブトール視神経症の症状 他覚症状 自覚症状 • 色覚異常 • 霧視 • 視力低下 • • • • 中心フリッカー値低下 マリオット盲点拡大 中心暗点 求心性視野狭窄 最も早期の症状が色覚異常とされています。また、中心フリッカー値 が比較的鋭敏な検査とされています※。中心フリッカー値は赤色ラン プの点滅が判断できるかを見ています。 ※大路正人.今日の眼疾患治療指針第3版.医学書院

  • 12.

    エタンブトール視神経症への対応 • 投与中止しないと視力は悪化する。 • 進行すると、不可逆的になり視神経萎縮などを 認める。 • 投与中止によりゆっくりと視力等は改善する。 視神経萎縮が高度になると、視機能の改善が得られないこともあり、早期発 見・早期治療開始が重要です。

  • 13.

    ③クロロキンとは クロロキンはマラリアに対する抗マラリア薬として用いられ る他、2015年9月にプラケニル®として販売され、SLEに対 する治療薬として用いられるようになった。

  • 14.

    クロロキンによる眼の合併症 • クロロキンは網膜を障害し、クロロキン網膜症を発 症する。 • その発症頻度は1%未満~数%とされている。 • クロロキン網膜症のリスク因子 5年以上の投与期間、薬剤投与量が多い 高齢、腎機能・肝機能障害 • 5年 以 上 の

  • 15.

    クロロキン網膜症の症状 自覚症状 • 視力低下 • 輪状暗点 • 羞明 • 夜盲 など 他覚症状 • 標的網膜症(bull’s eye) • 中心窩反射消失 • 黄斑部の微細な顆粒状所見 • 動脈の狭細化 など 2016年アメリカ眼科学会のガイドラインでは、視野検査とSD-OCTの 両方を実施することが特に重要とされています。

  • 16.

    眼科診察のタイミング 1. 処方前 2. 処方開始後は1年に1回 ※下記リスクがある場合は、6カ月に1回など頻回に診察するのが望ましい。 ・腎機能障害、肝機能障害 ・累積投与量200g以上(1000gは要注意) ・視力障害がある ・高齢者 早期発見と休薬が重要です。クロロキンは体外排泄が遅く、中止後も進行 する恐れがあるため、定期的な経過観察は必要です。

  • 17.

    ④抗コリン薬とは 抗コリン薬は、アセチルコリン(Ach)の作用を抑制すること で、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑 える薬として広く使われる。市販薬にも含有される。

  • 18.

    こう思っている人はいませんか 抗コリン薬は全ての緑内障に禁忌 これは正しくありません。正確には閉塞隅角緑内障 の方に使用禁忌とされています。詳しく解説します。

  • 19.

    抗コリン薬が閉塞隅角緑内障に禁忌な理由 抗コリン作用により交感神経優位になる 交感神経によって散瞳効果↑ 隅角が狭い場合、散瞳するとさらに狭小化 隅角が閉塞し、緑内障発作を誘発する 緑内障発作になり、診断が遅れると不可逆的な視力障害や視野障害をきた すことがあります。抗コリン作用がある薬剤を投与する場合は、眼科医に相 談、あるいは詳細な問診を行ってください。

  • 20.

    Take home message • ステロイドによる眼合併症は投与方法を問わない。 • エタンブトールは点滅が分からなくなったら要注意。 • クロロキンは処方前にも必ず眼科併診を! • 抗コリン薬は閉塞隅角緑内障であれば使用することはできない。

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