テキスト全文
高血圧症の基礎と実臨床
#1. 全職種向け
基礎から2次性高血圧まで
実臨床で説明します 高血圧症 循環器内科医“うし先生”の
疾患解説シリーズ
#2. 注釈 【自己紹介】
某市中病院勤務の循環器内科医師のうしです。
だいたい中堅くらいです。
【動画のモットー】
細かいデータ<わかりやすさ
【ペット】
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#3. このシリーズでは
全職種向けに
疾患ごとの病態など解説します!
(実臨床を元に不要な所は解説しません)
医師・看護師国家試験! 内科病棟患者対応! 看護実習の病態生理! 生理検査・臨床検査技師のスキルアップ
高血圧の定義と種類
#5. 高血圧症 【どんな病気か】
血液が血管壁に及ぼす圧力
長期間続くと動脈硬化など起こす
#6. 血圧 【血圧測定のコツ】
・毎回朝晩の同じ時間
・からだの力を抜いてリラックスする
・座位で、心臓と同じ高さにある上腕の血圧を測定
・1機会に原則2回測定し、その平均をとる
・測定値に一喜一憂しない 病院だと白衣高血圧のおそれ
#7. 高血圧とは 【至適血圧】
診察室血圧 120/80mmHg未満
【正常血圧】
診察室血圧 130/85mmHg未満
【高血圧とは】
診察室血圧 140/90mmHg以上⇔治療目標
(140/90mmHgより下が正常域血圧)
(合併症や年齢で変動はあり) テスト! テスト! テスト!
本態性高血圧の治療法
#8. 高血圧の種類 【本態性高血圧】
・一般的な高血圧のこと
(特に記載なければ、高血圧≒本態性高血圧)
【2次性高血圧】
・遺伝や生活習慣以外に病的な原因があること
→若年発症や治療抵抗性で考慮
ex:腎実質性、腎血管性、内分泌性、血管性、睡眠時無呼吸症候群
#9. 長期間の高血圧の影響 【心臓】
心臓の負担増大→心不全
冠動脈硬化→狭心症/心筋梗塞
【脳】
血管障害/動脈瘤→脳出血
脳動脈硬化→脳梗塞
【腎】
腎動脈硬化→腎萎縮→腎不全
#10. 本態性高血圧の治療 【生活習慣の改善】
・食塩制限(塩分6g/日以下)
・食事パターン改善(野菜/果物/魚(油)節酒) (コレステロールを控える)
・適正体重の維持(BMI 25未満)
・有酸素運動
・節酒
・禁煙 テスト! 次に薬!
本態性高血圧の薬剤選択
#11. 本態性高血圧の薬剤 ・ACE-I/ARB(レニン・アンジオテンシン系)
・Ca阻害薬
・サイアザイド系利尿薬
---------------------------------------
・β阻害薬
・α1阻害薬 第一選択
#12. 本態性高血圧の薬剤 基礎疾患(-) …Ca阻害薬≧ACE-I/ARB
腎疾患 …ACE-I/ARB
心血管疾患 …β阻害薬≧ACE-I/ARB
糖尿代謝疾患 …ACE-I/ARB
塩分感受性 …サイアザイド
妊婦さん …ACE-I/ARB以外 下腿浮腫 電解質異常 徐脈 電解質異常 上記薬剤を初期量で開始(内容に差異はなし)
降圧不十分なら多剤併用
2次性高血圧の種類と治療
#13. 2次性高血圧の種類 【疾患】
原発性アルドステロン症
睡眠時無呼吸症候群
腎性高血圧
腎血管性高血圧
甲状腺疾患
褐色細胞腫
Cushing症候群
#14. 原発性アルドステロン症 【病態】
副腎からアルドステロンが異常に出て高血圧に
【検査】
採血アルドステロン/レニン→カプトリル負荷試験
造影CT(副腎線腫+副腎静脈評価)
カテーテル的副腎サンプリング
【治療】
副腎摘出
スピロノラクトン 採血時にはβ阻害薬とACE-I/ARBを中止して
#15. 睡眠時無呼吸症候群 【病態】
夜間の無呼吸の反動で高血圧
【検査】
いびきや無呼吸の病歴
アプノ検査
【治療】
減量
CPAP装着 肥満がなくても無呼吸があることも!
#16. 腎性高血圧 【病態】
腎不全に伴って高血圧
【検査】
採血で腎機能評価
【治療】
対症療法(可能であれば腎治療) 腎のアブレーションが有効という報告も!
#17. 腎血管性高血圧症 【病態】
腎動脈が狭窄し腎が低血圧と勘違い → レニン↑ → アルドステロン↑
【検査】
腹部エコー(腎動脈の流速)
腹部造影CT(腎動脈の狭窄評価)
【治療】
カテーテル治療 あくまでカテーテル治療は薬物抵抗性のみ
#18. 甲状腺疾患 【病態】
甲状腺ホルモン亢進で代謝・交感神経↑で高血圧
【検査】
甲状腺採血(TSHとFT4異常なら検査追加)
甲状腺エコー
【治療】
疾患に合わせて治療 甲状腺機能低下症でも高血圧になることも
#19. 褐色細胞腫 【病態】
副腎から交感神経物質が異常に出て高血圧に
【検査】
血中/尿中カテコラミン検査
造影CT(副腎線腫評価)
【治療】
副腎摘出など 造影CTは実臨床では施行されている
非常に稀な病気
#20. Cushing症候群 【病態】
副腎からステロイドホルモン過剰で高血圧
【検査】
コルチゾール→負荷検査
腹部造影CTや頭部MRI
【治療】
副腎 or 頭部の病巣摘出 外科的治療を施行する症例は珍しい
2次性高血圧の実臨床評価
#21. 2次性高血圧の実臨床評価 ・尿検査(血尿/蛋白尿)
・採血検査(TSH/FT4、血中カテコラミン、腎機能、 アルドステロン/レニン、コルチゾール/ACTH)
・造影CT検査(副腎線腫、腎血管狭窄)
・腹部エコー(副腎線腫、腎血流、腎形態)
・簡易アプノ
若年や治療抵抗性 異常があれば専門科紹介
#22. 高血圧緊急症 【病態】
高度な頭痛、意識障害、麻痺などの神経所見や 臓器障害を伴う異常な高血圧状態
【検査】採血検査(臓器障害)、頭部CT/MRI(脳卒中評価)
【治療】静注での緩徐早急な降圧 軽い頭痛程度では言わない 実臨床ではほとんど見たことない 脳卒中でも血圧上がる
高血圧緊急症と切迫症のまとめ
#23. 高血圧切迫症 【病態】
高血圧で切迫 ≒ 一時的な高血圧 ≒ 不安
【検査】
高血圧緊急症や他疾患による結果的高血圧の除外
【治療】
安静
一時的な軽い降圧
不安になり繰り返し血圧計ると
さらに高血圧に!!!
#24. まとめ(最低限これだけ) ・血圧は一喜一憂しない
・降圧剤は多剤併用が基本、でもまず生活指導
・変だったら2次性高血圧評価しておく
・高血圧緊急症に見えるほとんどが 高血圧切迫症 or 脳卒中