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東北大学病院
慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対して根拠や病態を考えた食事指導はできていますか?それぞれの患者さんに合った具体的な減塩やカリウム制限などの指示を出すための知識を解説します。
◎目次
・CKD患者担当になったら
・CKDの食事指導
・減塩→血圧のコントロール
・減塩は大事!
・食塩感受性って何?
・食塩感受性の定義は?
・臨床で使うには「尿Na/Cr」
・正確に塩分摂取知りたい?
・塩分よりも血圧で指導
・具体的な塩分制限の指導
・カリウムばかりを悪者にしない!
・患者側のチェックポイント(私見)
・カリウムの指導きちんとできていますか?
・バナナ食べるな!は正しいか?
・水にさらす意味は?
・総合的にバランス良い方がうまくいく(私見)
・低タンパク食の前に十分なカロリーを
・現在は低タンパク食は1st Lineではない
・CKDの食事療法の歴史
・マニア向け腎臓病の治療の歴史
・入院患者に低タンパク食必要?
・どんな人に低タンパク食をすすめる?(私見)
・CKDの食事指導のTips
・Q&A 食塩感受性を見分ける方法ありますか?
・Q&A リン制限しなくて良いですか?
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CKDの⾷事指導 CKD:慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease) 〜ダメダメ︕ばかり⾔ってないで適切に提案しよう〜 ⻑澤@腎臓内科 1
CKD患者担当になったら ● 急に極端な⾷事制限しない︕ ⻑続きしない ● 患者に丸投げしない ⼤体間違った⽅向に⾏く ● 具体的な指⽰を出す ⾎圧測定とセットで ● 「⼗分なカロリー (30kcal/kg)をとりつつ」が基本、これに活動量、肥満 の有無で増減していく 2
CKDの⾷事指導 ● 減塩は(ほぼ)必須︕ ● カリウムはリスクを判断して制限 (全例に厳しい制限はしない) ● 低タンパク⾷は全員には不要 根拠や病態を考えて指⽰出していますか︖ 3
減塩→⾎圧のコントロール ● 塩分摂取は⾼⾎圧の要因として⼤きい ● ⾼⾎圧は⼼⾎管イベントの主要な原因 ● ⾼⾎圧はCKDの原因であり、CKD進⾏の⼤きなリスク ● ⾎液透析患者︓塩分摂取量と体重の増えは相関が強い ● ただし、⾎圧が良好な場合には減塩を勧める必要があるかは不明 4
減塩は⼤事︕ ● ⽇本のガイドラインなどではNaClで6gが推奨 (WHOなどでは5g) ● 現実的には「⾷塩感受性」や「体格」などがあるので、⾎圧ベースが良い (私⾒) ● 6g/⽇が理想だが、臨床では3⽇くらいで帳尻を合わせるなどの提案が有効 ● ⽇本の平均塩分摂取量は10g/⽇程度(令和元年国⺠栄養調査) ちなみに「改善することに関⼼がない」「関⼼はあるが改善するつもりはない」で40% 5
⾷塩感受性って何︖ ● Arthur Guytonの説「⾷塩を体外に出すために必要な⾎圧は⼈によって違う」 →⾷塩をとると⾎圧が上がる⼈と上がらない⼈がいる イメージ ⾎圧 ⾷塩感受性のある⼈ ⾷塩感受性のない⼈ 低⾷塩 ⾼⾷塩 低⾷塩 ⾷塩感受性↑の要素 ・加齢 ・遺伝 ・エピジェネティックな機構 ・胎⽣期の低栄養 ・肥満 ・慢性腎臓病 などが有名 6
⾷塩感受性の定義は︖ ● ⾷塩0.5g→15gで⾎圧が10%上がる⼈を⾷塩感受性があるという定義がある Am J Med. 1980;69:334-44. ● ⽇本⼈⾼⾎圧患者の30-50%が⾷塩感受性があると⾔われている ● Non-Dipper型⾼⾎圧との関係が⽰唆されている Hypertension 1996︔28︓139-142. ● 1⽇ごとに感受性は変わる Hypertension. 2013 Sep;62(3):499-505. ● 興味のある⽅はこちらをどうぞ(レビューです) Nat Rev Nephrol. 2021;17:350-363. 7
臨床で使うには「尿Na/Cr」 ● 塩分摂取量をチェック→お勧めは「尿Na/Cr」 ● 減塩が上⼿くいくとこの値が下がっていく ● ただし、前の⽇の⾷事などの影響はかなり⼤きい ● ⾷事がとれていないときのチェックにも有効(FENa↓で、Cr↑の時は脱⽔気味 だと捉える) ※FENa(Na排泄率)=(尿Na X ⾎清Cr)/(尿Cr X ⾎清Na) 、1%未満だと腎前性の要素が強いととらえる ただし、利尿薬内服中や腎機能低下例だと当てにならないことが多いので参考値として使う 8
正確に塩分摂取知りたい︖ ● 24時間蓄尿がベスト 推定1⽇⾷塩摂取量(g/⽇)=1⽇蓄尿量(L)×尿Na濃度(mEq/L)/17 ● スポット尿ならば下記(臨床研究向け)。ただし、どれも⼀⻑⼀短で誤差もある 川崎法(Clin Exp Pharmacol Physiol. 1993;20(1):7-14.) 24時間Na排泄量(g/⽇)=16.3×〔起床後第2尿Na(mEq/L)/起床後第2尿Cr(mg/dL)/10×24時間尿Cr排泄量予測値〕0.5 24時間尿Cr排泄量予測値(mg/⽇)︓ ⼥性=-4.72×年齢+8.58×体重(kg)+5.09×⾝⻑(cm)-74.5 男性=-12.63×年齢+15.12×体重(kg)+7.39×⾝⻑(cm)-79.9 ⽥中法(J Hum Hypertens. 2002;16(2): 97-103.) 24時間Na排泄量(g/⽇)= 21.98×〔随時尿Na(mEq/L)/随時尿Cr(mg/dL)/10×24時間尿Cr排泄量予測値〕0.392 24時間尿Cr排泄量予測値(mg/⽇)=体重(kg)×14.89+⾝⻑(cm)×16.14-年齢×2.04-2244.45 INTERSALT式(Int J Epidemiol. 2017;46:1564-1572.) 男性= 23×[25.46+〔0.46×spot Na(mmol/L)〕]-〔2.75×spot Cr(mmol/L)〕-〔0.13×spot K(mmol/L)〕+〔4.10×BMI(kg/m2)〕+0.26×age(y) ⼥性= 23×[5.07+〔0.34×spot Na(mmol/L)〕]-〔2.16×spot Cr(mmol/L)〕-〔0.09×spot K(mmol/L)〕+〔2.39×BMI(kg/m2)〕+2.35×age(y)- 〔0.03×age2(y)〕 9
塩分よりも⾎圧で指導 ● ⾷事で神経質になってしまう⼈は結構多い ● あんまり頑張って指導しすぎると、変な健康⾷品などに⼿を出すこともある ● ⾎圧が良ければ「このままでいいですよ」なんて声掛けすると喜ばれる ● 睡眠不⾜などで⾎圧が上がる⼈も結構多い(塩分を唯⼀の悪者にしない) 10
具体的な塩分制限の指導 ● 明らかに塩⾟いモノを避けるだけでも⼤分良くなる⼈が多い(カップ麺、漬物、 味噌汁) ● 刺⾝>焼き⿂>つみれ、煮⿂、ステーキ>ハンバーグの印象(材料の形が残っ ていると、塩分控えめになりやすい) ● 煮物に注意(特に冬時期) ● 焼きそばは⼿強い(つゆを残して調整できない、できればつけ麺などの⽅が指 導しやすい) ● 鮨に注意 (酢飯は塩分結構ある) ● スポーツドリンクなどにも注意 11
カリウムばかりを悪者にしない︕ ● 最近では、果物や野菜が重要という話が結構出てきている(もちろん⾷物繊維や クエン酸などが⼊っている影響もある) Clin J Am Soc Nephrol. 2019;14:250-260, Nephrol Dial Transplant. 2021;36:681-688, J Ren Nutr. 2020;30(6):475-483 ● ⾷事中のカリウムは⾼カリウム⾎症にあまり関係ないかもしれない Nephrol Dial Transplant. 2021; 36: 2049-2057. ● RAA系の継続はCKDの⼼⾎管イベント回避に重要 J Am Soc Nephrol. 2021 Feb;32(2):424-435 12
患者側のチェックポイント(私⾒) ● 尿が出ているか︖(特に脱⽔や⼼不全がないか︖) ● 糖尿病があるか︖(糖尿病はカリウム上がりやすい) ● CKDステージ(⾼い⽅が不利) ● RAA系が⼊っているか︖(⼊っていると不利、複数⼊っているとより不利) ● NSAIDsが⼊っていないか︖(⼊っている場合には注意) ● 体格(⼩さい⽅が不利) ● アシドーシスがあるか︖(Clが110mEq/Lを超えているとリスクが上がる) →危険な⼈を⾒極めてから、的確に指導した⽅が良い 13
カリウムの指導きちんとできていますか︖ ● 病院⾷なのにK吸着薬必要︖ 管理栄養⼠さんきちんと計算していますよー ● CKD G3bで2000mg、G4以降で1500mgが上限 ⽬安としてこちら、体格が⼤きい場合はもう少しとれる(体格⼩さい場合には少なめ) ● ⽇本⼈成⼈のカリウム摂取量の中央値は2,181 mg/⽇(標準偏差925mg/⽇) 令和元年の国⺠健康・栄養調査 ● 実際にはカリウム多くとっている⼈は少ない印象 果物野菜は相対的に価格が⾼い 14
バナナ⾷べるな︕は正しいか︖ ● バナナ1本 360mg→⼀本でお腹いっぱい。 「バナナ⾷べないで」の指導で解決する問題は少ない ● ミカン1個 200mg→結構沢⼭⾷べる⼈がいる(地域差が⼤きい) ⼀⽇2個くらいにした⽅が無難 ● 野菜ドリンクは怖い(100mlで400mg近く含まれていたりする) その割には⾷物繊維は少ない,原則禁⽌した⽅が良いと思っている。野菜の代わりにはならない ● ドライフルーツは注意(濃縮されている) リンも多い、CKD患者には勧めにくい⾷材 ● ⻘汁、クロレラ、スピルリナは超危険︕ 診察時に「絶対に相談してから飲むもの」と話しておく 15
⽔にさらす意味は︖ ● どのくらい減るかは⾷材次第 葉物は4050%減るが、芋類などはあまりカリウム減らない。 ● 「野菜はゆでこぼして」というが、美味しくならない 随所に書いてあるが、美味しくない調理⽅法は続かない。 ● ⽣野菜サラダを沢⼭⾷べる⼈はそんなに多くない ⽇本⼈成⼈で平均の野菜摂取量は300g弱(令和元年国⺠栄養調査)、この中のカリウムはたかがしれている。⾖類はせいぜい60gしかとっていな い→上記の調理の⼿間の割に効果は不⼗分な印象 ● 沢⼭⾷べる⼈にはきちんと指導(聞き取りが⼤事) 他の⾷事指導も考えると栄養⼠さんと連携した⽅が良い。(栄養指導1回きりはもったいない、特に⽇本は季節毎に地域柄が出る印象があるので、 季節に1回⼊れられるとベスト) 16
総合的にバランス良い⽅がうまくいく(私⾒) ● ⾁、⿂にも結構カリウムは含まれている 100gあたり300mg程度。 ● 怖いのは塩化カリウム含有塩 テレビで放映された翌週から1ヶ⽉に、⾼カリウム⾎症が異様に増える。 ● バランスの良い普通の⾷事している場合にはそれほど⼼配ない 経験上なにかを制限すると、なにかでカバー多くとる⾷材が増えることが多い。 ● カリウム吸着薬投与しつつ、徐々に塩分制限してもらうと上⼿くいくことが多い もちろん栄養指導は受けてもらうが、⽣活パターンを変えるのは⾼齢者はかなり難しい。 17
低タンパク⾷の前に⼗分なカロリーを ● まず基本となるカロリーが不⾜している⼈が結構多い ● サルコペニア、フレイルは⼤きな問題 ● 肥満などではカロリー制限が必要だが、活動量に合わせて2535kcal/kgは必 要 ● 肺炎や⼼不全などでもカロリーをとるのが最近の主流 18
現在は低タンパク⾷は1st Lineではない ● ガイドラインでも軒並みに「栄養状態を勘案して・・」というニュアンス CKD診療ガイド2018、CKDステージG3b〜5診療ガイドライン2017(2015追補版)など ● そもそものコンセプトが降圧薬などがなかった時代に⾼カロリー、低たんぱく、 低塩分の⾷事指導であった ● 最近では、タンパク質不⾜のフレイルやサルコペニアが問題になっている 19
CKDの⾷事療法の歴史 ● 1920年代・・⾷事療法で尿毒症が改善 ● 1948年・・・Kempner⾷で⾼⾎圧の治療 ⽶、果物、砂糖に鉄補充、2000kcal、蛋⽩20g、炭⽔化物460g、ナトリウム0.2g ● 1964年・・・G.G⾷※ 2-3000kcal,蛋⽩20gで慢性腎臓病に効果あり ※Giordano-Giovannettiga⾷ J Lab Clin Med. 1963;62:231-46. ● 1967年・・・⽇本で透析が保険適応(1972年厚⽣医療に追加され患者負担⾦ 減で患者が⼤幅に増加) ● DASH⾷†は結構新しい (⾼⾎圧予防⾷) †Dietary Approaches to Stop Hypertension⾷ Appel L.J. et al., N Engl J Med. 1997 ;336:1117-24. 20
マニア向け腎臓病の治療の歴史 55 透析患者の導⼊年齢 1950 1960 栄養ついては この時代に 苦労して 考えられたもの (私⾒) 1970 1980 1967 者⽇本で透析が保険診療になる 65 60 1990 2000 70 2010 2020 1985 ACE阻害薬が糖尿病性腎症に有効 実は降圧療法が腎臓治療のメインになるのは1990年台 疾病構造が糖尿病、⾼⾎圧主体となった 透析導⼊年齢も⾼齢化している 2000- 1990- ARB登場 エリスロポエチン製剤登場 1999年 透析導⼊原疾患 1位 糖尿病性腎症 2位 慢性⽷球体腎炎 3位 腎硬化症 2020- SGLT2iがCKDに使⽤可 2019- HIF-PH阻害薬登場 2021年 透析導⼊原疾患 1位 糖尿病性腎症 2位 腎硬化症 21 3位 慢性⽷球体腎炎
⼊院患者に低タンパク⾷必要︖ ● 腎予後を改善する研究でも34年かかる ● ⼊院している原因は︖最近は重症患者の急性期には⾼タンパク⾷が推奨されて いる⽂献などもある(ただし、CKDには過剰な⾼タンパクは推奨していない) JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2015 ;39:401-9. Crit Care Med. 2018 Aug;46:1293-1301. ● 酸負荷を避けることがメリットな可能性がある 窒素を含むアミノ酸は代謝されてアンモニアになる。これを避けるために低タンパク⾷をとり、栄養を補うために窒素を含まないアミノ酸 (αケト酸)のサプリなどで補助することがある。ただし、⽇本で保険適応はない 22
どんな⼈に低タンパク⾷をすすめる︖(私⾒) ● 原疾患が「IgA腎症」 (糖尿病性腎症や多発嚢胞腎では効果がよくわからない) ●⾎圧→OK ●体重(肥満、痩せの是正)→OK ●ADL→OK ●コンプライアンス→OK ●本⼈がしっかりしている、周囲のサポート→OK という前提で ● 3年以上継続できるか︖ (⼤規模研究でも差がある研究はこれ以上の観察期間、ただし、低タンパク⾷遵守率は低い。) ● 上記ができるのであれば0.6-0.8g/kg/dayで腎予後延⻑の可能性がある そうなると、患者に愛があり、栄養⼠と⼆⼈三脚できる専⾨医以外は不要 23
CKDの⾷事指導のTips ● 減塩は必須︕ ⾎圧ベースで患者さんとよく話す ● カリウムはリスクを判断して制限(全例に厳しい制限はしない) あれダメこれダメより、リスクを判断して⾷べられる量を共有 ● 低タンパク⾷は全員には不要 反射的にCKDに低タンパク⾷ださない 24
Q&A ⾷塩感受性を⾒分ける⽅法ありますか︖ A:全員に⾷塩を0.5g→15g→0.5gで確認することは現実的的でないです。 煩雑な⾷塩感受性指数という式があります Nagoya Med. J. 2013;53:123-134 臨床的には低レニン性⾼⾎圧の場合(レニン活性<1.0 ng/ml/hr)は体液量 過剰気味ということで、⾷塩感受性が⾼いと⾒なして治療することがおお いです(ただし、結構いる原発性アルドステロン症を⾒逃さないように) 25
Q&A リン制限しなくて良いですか︖ A:リンが⾼くなるのは⼤体CKD G4の後半からG5あたりです。 このあたりでは腎性貧⾎、アシドーシス、体液量管理などがで てくるため管理複雑になっていきます。貧⾎やアシドーシスな どののパラメタの管理が優先されます。また、リンの制限は栄 養状態と状態と密接に関係してくるので、こちらも専⾨医が指 導するべきだと思います 26