誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ〜リスク、食事、薬剤、リハ〜

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森川 暢

森川 暢

東京城東病院

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研修医なら誰でも出会う誤嚥性肺炎。絶食+抗菌薬のルーチンの対応をしていませんか?誤嚥性肺炎のマネジメント内科医としての腕が試されていると言っても過言ではありません。今回ABCDEアプローチでリスク評価、急性期疾患の治療、食事形態と栄養、薬剤のチェック、リハビリと総合的アプローチを行いマネジメントしていくことを学びます。

誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ〜リスク、食事、薬剤、リハ〜

1. 誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ 総合内科チーフ 森川暢
2. 運命の本
3. 79歳 女性  自宅 認知症と高血圧の既往歴あり。 ADLは、伝い歩きだが徐々に衰えてる。  内服薬は、レンドルミン、アムロジン 要介護4 今回、誤嚥性肺炎で入院。 どう、マネージメントしますか??
4. 本症例では・・ ひとまず、絶食+抗菌薬で治療をした。 メインはソルデム3のみ。 1週間の絶食で嚥下機能が低下。 胃瘻を、増設するしかないと判断した。 本当に??
5. 実は抗菌薬選択は、だれでも出来る 誤嚥性肺炎の本当に難しいところは抗菌薬以外。 ゴールは口から食事を食べること。 シンプルだが、これが実に難しい・・ ちゃんとやろうと思えば考えることはいくらでもある
6. 誤嚥性肺炎のリスク 口腔内不衛生・歯周病(歯がなければ誤嚥性肺炎のリスクは下がる) 神経疾患(脳卒中、パーキンソン病、認知症) ADL低下・高齢 アルコール多飲 意識障害 向精神病薬使用 仰臥位での食事および経管栄養
7. 誤嚥性肺炎のリスク 口腔内不衛生・歯周病(歯がなければ誤嚥性肺炎のリスクは下がる) 神経疾患(脳卒中、パーキンソン病、認知症) ADL低下・高齢 アルコール多飲 意識障害 向精神病薬使用 仰臥位での食事および経管栄養 リスクは介入可能
8. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
9. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
10. 誤嚥性肺炎の治療 誤嚥性肺炎⇒細菌が関与 誤嚥性肺臓炎⇒細菌は関与しない 誤嚥のエピソードが明らか⇒誤嚥性肺臓炎かも。 ⇒抗菌薬なしで、絶食だけも良くなることも多い。   誤嚥をしたからといって抗菌薬は必須ではない
11. 誤嚥性肺炎の抗菌薬 ロセフィン 1日1回投与で良く、手間とコストで優れる。 嫌気性菌に弱く、口腔内衛生不良では避ける。 心不全や腎不全でも比較的使用しやすい ユナシン 1日4回投与必要であり、手間がかかる。 嫌気性菌に強く、口腔内衛生不良で適応。 塩分負荷が多く、心不全症例では慎重投与。 ゾシン  重症例に絞って使用する    
12. コントロール不良の誤嚥性肺炎?? 抗菌薬を広域にするだけでよい?? 膿とドレナージできる病態を見落とさない ⇒肺化膿症と膿胸を忘れない!!
13. なぜ、急性疾患の治療が重要か?? 熱も出て酸素化も悪くて、とても嚥下は難しそう。 看取りの方向??  急性期の治療をする前に、嚥下評価しない!
14. アルアルな症例 湿性咳嗽が多く誤嚥性肺炎を繰り返していた女性。 実は心不全が隠れていた。 今まで無治療だったので利尿剤だけで軽く治療すると食事に要する時間が短縮されてむせなくなった。 結果としてほとんど顕在化していなかった心不全のコントロールをすることで食事の耐久性が向上して誤嚥が減った。
15. 本症例では・・ 喀痰グラム染色では多菌種を認めた。 胸部XP,エコーからは化膿症と膿胸は否定的。 口腔内衛生は不良であり、ユナシンを選択。 うっ血所見も認めたので、ラシックスも使用。 酸素化は、徐々に改善した。
16. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
17. Best position いちばん、誤嚥しにくい体位は?? ①仰臥位 ②ギャッチアップ30度 ③ギャッチアップ60度 ④座位
18. Best position いちばん、誤嚥しにくい体位は?? ①仰臥位 ②ギャッチアップ30度 ③ギャッチアップ60度 ④座位
19. Best position ①体幹30度-45度ギャッチアップ ②頚部を前屈させる
20. 30度-45度ギャッチアップ 口から食べる 嚥下障害 Q & A
21. なぜ 30度ギャッチアップか?? 気管は前にあり、食道は後ろにある。 30度程度にすることで、重力の力を利用することで、食事が後ろの食道に行きやすくする。 ただし、大量に嚥下すると誤嚥するので最初はゼラチンゼリーを少量ずつから開始する。
22. 軽度の前屈が必要 口から食べる 嚥下障害 Q & A
23. 片麻痺がある場合は。 口から食べる 嚥下障害 Q & A
24. 片麻痺がある場合は。 麻痺側をつぶして、健側を生かす 口から食べる 嚥下障害 Q & A
25. 食後2~3時間はギャッチアップ  口から食べる 嚥下障害 Q & A
26. 睡眠時も、常時15度はギャッチアップ 口から食べる 嚥下障害 Q & A
27. Best meal いちばん、誤嚥しにくい食事は?? ①常食 ②刻み食(トロミなし) ③ミキサー食 ④ムース食 ⑤ゼラチンゼリー ⑥寒天ゼリー
28. Best meal いちばん、誤嚥しにくい食事は?? ①常食 ②刻み食(トロミなし) ③ミキサー食 ④ムース食 ⑤ゼラチンゼリー ⑥寒天ゼリー
29. Best position いちばん、誤嚥しやすい食事は?? ①常食 ②刻み食(トロミなし) ③ミキサー食 ④ムース食 ⑤ゼラチンゼリー ⑥寒天ゼリー
30. Best position いちばん、誤嚥しやすい食事は?? ①常食 ②刻み食(トロミなし) ③ミキサー食 ④ムース食 ⑤ゼラチンゼリー ⑥寒天ゼリー
31. Best meal ゼラチンゼリーが一番誤嚥しにくい トロミがない刻み食が最も誤嚥しやすい ゼラチンと寒天の違いは??
32. 飲み込みやすい食事の条件は? 密度が均一である 適当な粘度があってパラパラになりにくい 口腔や咽頭を通過するときに変形しやすい べたついていない 寒天は、固くパラパラになり変形しにくい
33. 〇食形態の開始する順番 ①ゼラチンゼリー ②ムース食(ゼラチン) ③ミキサー食 ④刻み食とろみ付 ⑤常食
34. http://anz-homecare.com/blog/2017/09/06/【嚥下ピラミッド】摂食嚥下リハビリテーション/
35. 刻み食が良くない理由は? 口へ運びにくい 口の中で食塊をつくりにくい ポロポロこぼれる のどに残りやすい
36. 刻み食が良くない理由は? 口へ運びにくい 口の中で食塊をつくりにくい ポロポロこぼれる のどに残りやすい 刻むなら、細かく、トロミ付きが基本!!
37. ゼラチンゼリーの誤嚥しにくい食べ方? ①よく噛んで飲み込む ②山型にカットして丸のみする ③スライス型にカットして丸のみする
38. ゼラチンゼリーの誤嚥しにくい食べ方? ①よく噛んで飲み込む ②山型にカットして丸のみする ③スライス型にカットして丸のみする
39. 口から食べる 嚥下障害 Q & A
40. 食事をいつ始めるか・・ 可能な限り早期に食事再開を 入院後48時間以内に経口摂取を開始するほうが嚥下機能の低下を防ぐことが出来る。        Clin Nutr. 2016 Oct;35(5):1147-52.
41. 食事をいつ始めるか・・ 可能な限り早期に食事再開を 入院後48時間以内に経口摂取を開始するほうが嚥下機能の低下を防ぐことが出来る。        Clin Nutr. 2016 Oct;35(5):1147-52. Best position Best meal を可能な限り早く開始する!
42. なぜ、食事を早期に開始すべきなのか?? テニスをうまくなろうと思えば、テニスをする。 嚥下をうまくなろうと思えば、嚥下する必要がある。 最高の嚥下訓練は、食事の嚥下
43. Best mealとBest positionの決定 早期に嚥下リハビリ(ST)を開始すると治療期間の短縮と嚥下機能の維持が期待できる。Clin Nutr. 2016 Oct;35(5):1147-52. STに早期に介入してもらうのがよい。 では、STがいないときはどうすれば??
44. 嚥下機能の評価 基本は臨床観察!! むせ、こぼし、飲み込まない、頸部後屈、注意散漫、発声障害、構音障害、痰が絡む・・ よく観察すれば嚥下障害があるかは自然に分かるはず
45. 簡易嚥下評価の手順 ①口腔ケアを徹底 ②SpO2モニターを装着 ③ギャッチアップ45度、頸部前屈を徹底 ④トロミ茶を飲んでもらう ⑤ゼラチンゼリーを食べる
46. 内科診断リファレンス 医学書院
47. 評価すべきポイント 喉頭拳上 ムセの出現 声変わり SpO2低下 頸部聴診での雑音
48. Best positionは写真で周知 口から食べる 嚥下障害 Q & A
49. つまり。。 45度ギャッチアップ+頸部前屈で ゼラチンゼリーで SpO2低下などが認められなければ 少なくともゼラチンゼリーは継続が可能!
50. つまり。。 45度ギャッチアップ+頸部前屈で ゼラチンゼリーで SpO2低下などが認められなければ 少なくともゼラチンゼリーは継続が可能! ゼラチンゼリーだけでも継続を 嚥下機能の低下は相当に防げる
51. 本症例では(入院3日目) 酸素化の改善を確認し、簡易嚥下評価を施行。 45度ギャッチアップで前屈のポジショニング施行。 簡易嚥下評価で、ブリックゼリーはなんとか摂取できることを確認。 ブリックゼリーを昼のみ開始した。 *STがいる病院はSTと一緒に嚥下評価を!
52. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
53. 口腔ケアはとても大切。 口腔ケアをすることで・・ 咳嗽反射が亢進し、口腔内の細菌量が減少 ⇒結果肺炎による死亡リスクも軽減する! Gerodontology. 2013 Mar;30(1):3-9.
54. 口腔ケアの意義とは 健常者が唾液を誤嚥しても肺炎にはならない。 綺麗な水で多少溺水しても肺炎にはならない。 口腔内の常在菌を誤嚥するので肺炎になる。 細菌がいる水で溺れているようなものかもしれない。 つまり、口腔ケアを徹底すれば肺炎は防げる。
55. 結局のところ、多職種連携!! 医師だけでは不可能。。 理想は、歯科や口腔衛生士による介入!! 少なくとも、看護師さんに口腔ケア徹底をお願いするのは必要。
56. 入れ歯は大切。 口を開けたまま、唾を飲み込みましょう! 難しいと思います!
57. 歯が命 入れ歯があるなら、出来るだけ装着を 入れ歯合わないなら、調整を 齲歯があるなら治療を かみ合わせが悪いなら、調整を(特に奥歯)
58. 本症例では 入院時から看護師による口腔ケアを徹底。 入れ歯を持ってきてもらい、簡易嚥下評価は入れ歯を装着して行った。 入れ歯があっていないとのことであり、口腔ケア、齲歯の処置も含めて歯科介入も依頼(可能なら)
59. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
60. 高血圧があるならACE-I BMJ. 2012 Jul 11;345:e4260. doi: 10.1136/bmj.e4260.
61. 嚥下機能を低下させる薬剤
62. 嚥下機能を低下させる薬剤 メジャートランキライザー ベンゾジアゼピン 睡眠薬 バルプロ酸 抗コリン薬 スルピリド
63. 薬剤性パーキンソニズムを起こす薬 メジャートランキライザー スルピリド 抗うつ薬 メトクロプラミド
64. 薬剤性パーキンソニズムを起こす薬 メジャートランキライザー スルピリド 抗うつ薬 メトクロプラミド
65. Disorder of Neuro 嚥下機能障害を、老衰と片づけない。 介入できる神経疾患はないか。
66. 症例① アルツハイマー終末期、肺炎による廃用で看取り方向になった。 ①実際は正常圧水頭症があって誤嚥するようになっていたためドレナージしたら改善して元気に食べた。 ②実際は慢性硬膜下血種があって誤嚥するようになっていたためドレナージしたら改善して元気に食べた。
67. 症例② 「アルツハイマー型認知症が肺炎で入院、せん妄を起こしてメジャートランキライザー山盛りにして、暴言暴力がなくなったが食べれず終末期で」 薬剤過敏性のため全身固縮したDLBだった。 メジャーやめて、L-DOPA導入して改善した。
68. 特にDiffuse Lewy Body diseaseに注意 ただでさえ、薬剤過敏性があり、嚥下機能が低下。 抗パ薬で嚥下機能が改善(食前が良い)。 しかし、見過ごされれば、改善はしない。。 固縮、幻視、傾眠はDLB、パーキンソン病を疑う 新規に疑った場合は、L-DOPAチャレンジを
69. 簡易L-DOPAチャレンジテスト ①L-DOPA配合錠200mg内服 ②30分後に評価  A 嚥下  B 固縮  C 発声 ③効果を認めれば、食前30分にL-DOPA内服開始。 *食前で誤嚥を防ぐ効果も期待!
70. 見過ごされると。。 認知症がDLBと診断されずにリスパダールを開始。 その後、薬剤性パーキンソニズムでカチコチに。 嚥下機能の改善なく、寿命で看取り。。
71. 本症例では。。 レンドルミンは嚥下機能低下のリスクであり中止。 高血圧に対してはACE-Iに変更した。 固縮を認めたためL-DOPAチャレンジテストを行ったところ、改善を認めたのでL-DOPAを継続した。
72. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
73. せん妄・認知症について 昼夜逆転は嚥下の大敵!! ⇒夜間不穏⇒リスパダール使用⇒過鎮静⇒誤嚥・・ 出来るだけ日中は覚醒を促す!  車いすに座らせ、日光浴をし、声掛けも行う! カレンダーや時計を置く!
74. 不眠、せん妄を認めたら。 不眠の第1選択はトラゾドン(せん妄を予防) ベンゾ系の眠剤はせん妄のリスクであり避ける。 軽度の不穏なら、トラゾドンで対応可能。 中等度以上の不穏は夕食後にメジャーを少量使用。
75. クエチアピンとリスパダール クエチアピン  糖尿病は禁忌  錐体外路症状は少なく、副作用は少ない。  眠剤としての作用もある。  定時使用に向く リスパダール  糖尿病で使用可  錐体外路症状は多く、副作用は多め。  眠剤としての作用はない。  頓服に向く。
76. Device 不用意な尿道バルーンは?? 末梢ルートが夜間も持続で繋がっている?? せん妄のリスクであり、尿道バルーンは抜去する。 せん妄のリスクであり、可能な限り夜間の点滴はロックして持続点滴は避ける。
77. 本症例では 軽度のせん妄と不眠を認め、トラゾドンを使用。 日中は車椅子に乗せ、昼夜逆転をしないようにした。 尿道カテーテルは不要であり、抜去した。 声かけを行い、カレンダーも設置した。
78. 嚥下障害で介入できるABCDE A  Acute  problem       急性疾患の治療 B  Best (position/meal form) 体位と食事形態 C  Care  of  oral 口腔ケア D  Drug / Disorder of Neuro   薬剤/神経疾患 D  Dementia/Derrium   認知症/せん妄 D Device      デバイス E  Energy 栄養 E Exersice       リハ
79. やはり大切なリハビリ 理学療法の入院3日以内の開始で有意に生命予後が改善するという報告あり。 早期に嚥下リハビリ(ST)を開始すると治療期間の短縮と嚥下機能の維持が期待できる。Clin Nutr. 2016 Oct;35(5):1147-52. Arch Phys Med Rehabil. 2015 Feb;96(2):205-9. 早期のリハビリ開始が極めて大切!!
80.
81. 寝たきりでもPTは必要?? まずは、座位保持を目指す! 寝たきりと座位保持では、全く事情が違う。 ゴールを意識して、機能障害を認識する。 ゴールの例 家に帰るには?? 老健に行くには??
82. リハビリをするだけもよい?? 筋トレをするだけでは、筋肉はつかない 必ず、プロテインを摂取する リハビリだけしてもADLはアップするだろうか?       リハ栄養が必要!!!
83. 低栄養は肺炎の治療失敗と関連性あり! 低栄養と嚥下機能の低下には密接な関係あり。 日本静脈経腸栄養学会雑誌 31(4):949-954:2016 Clin Nutr. 2016 Oct;35(5):1147-52.
84. 低栄養の是正の為に 結局、早期の経口摂取の開始が極めて重要! 食事の拒否があれば食事の内容変更も考慮。 それが出来なくても、末梢でも可能な範囲で高カロリーの点滴や脂肪製剤の投与が必要かもしれない。  
85. 栄養のゴール 体重 ADL     アルブミンの改善ではない
86. サルコペニア?フレイル? フレイル ⇒加齢で身体機能を支える恒常性維持機構が低下し不備をきたす状態。入院で容易にADL低下。 サルコペニア ⇒基本的には筋肉量が減った状態。骨粗鬆症の筋肉 versionと考えれば分かりやすい。
87. 医原性サルコペニア 誤嚥性肺炎で入院 1週間禁食で、ソルデム3のみ点滴。 1週間後、嚥下機能は廃絶。 そのままお看取り。
88. 医原性サルコペニア 安静臥床/禁食は医原性サルコペニアを作る!!  なにも評価せずに安静臥床/禁食にしない  低カロリー輸液によるエネルギー不足。 →治療は栄養改善が重要。
89. 嚥下障害と栄養不良 廃用/飢餓/侵襲が嚥下障害を起こす! 禁食/寝たきり/栄養不足が医原性サルコペニアを引き起こし嚥下障害を悪化させる リハビリと攻めの栄養が大切!!
90. 飢餓時の栄養設定 必要量=消費量+蓄積量 7000kcalで1kg増減 維持カロリーだけで体重は増えない! 体重を増やす攻めのリハビリを! 必要なら、3000kcal/dayでもOK!
91. 本症例のリハビリ 入院2日目からST、PT、OTを導入 自宅退院を念頭に、伝い歩きのトイレ歩行を目指すことに。 ひとまず、座位保持を安定することを短期的に目標とした。
92. 本症例の栄養 毎食ゼラチンゼリー 300kcal ビーフリード、1000ml 420kcal 10%イントラリポス 275 kcal ⇒合計 995 kcal 最低限のカロリーは維持
93. 本症例の栄養 その後。。 ムース食+ゼリー    1200 kcal  ビーフリード、500ml  210  kcal 10%イントラリポス  275 kcal ⇒合計 1685 kcal  攻めのカロリーとリハビリで筋力増強を行う
94. 多職種連携の有用性 つまりここまで診てきたのは多職種連携の重要性。 日本の研究では、多職種によるチェックシートを用いた包括的介入を行ったところ・・
95.
96. 引用論文
97. 本症例では・・ ABCDEアプローチで嚥下機能は改善。 ムース食を食べれて経過は良好。 ペースト食も良好に摂取し、座位保持も維持。 自宅退院が可能になったが。。     退院後、重症の誤嚥性肺炎を発症。 食事摂取は、難しそうな印象。。
98. ABCDEアプローチ Ethical ●ACP(Advanced Care Planning) 今後の治療・療養について患者・家族と医療従. 事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス 誤嚥性肺炎で入院したときは、胃瘻をどうするかなど話し合うチャンス。 どういう人生を歩んできて、どのような価値観を有しているかを前提に本人と家族と話すことが大切。
99. ABCDEアプローチ Ethical 胃瘻の生命予後改善効果は不明  高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン ① 生命維持により、本人のよい人生が当面続くこと ② 本人が残された時間をできるだけ快適に過ごせること ⇒その2つが達成できないのなら胃瘻はすべきでない 多職種カンファレンスを行って方針を決めるべき。 JAMA. 1999 Oct 13;282(14):1365-70.
100. 医療倫理の4分割表 1.医学的適応 2.患者の意向 3. QOL 4. 周囲の状況 1. 診断と予後 2. 治療目標の確認 3. 医学の効用とリスク 4. 無益性 5. 医療ミス 患者の判断能力 インフォームドコンセント 治療拒否 事前の意思表示 代理決定 QOLの定義(身体、精神) 誰がどののように決定するか 偏見の危険。 家族や利害関係者 守秘義務 経済 施設方針 教育、法律、宗教 情報開示状況
101. 誤嚥性肺炎の緩和ケア 終末期で呼吸苦を認める誤嚥性肺炎では、モルヒネの持続皮下注を使用する。 点滴を絞ることで、喀痰量も減少する。 点滴を増やしても、口喝の改善は難しい。。 口喝には、氷片も許可
102. その後。。 患者の価値観を踏まえて多職種、家族で検討。 胃瘻は作らず、最低限の点滴のみ継続。 抗菌薬に反応せず、呼吸苦が出現したので、モルヒネ皮下注射を開始。 穏やかに家族に見守られながら、看取りをした。
103. まとめ 誤嚥性肺炎は治療した後が本当に大変。 ABCDEアプローチで漏れなく介入を 多職種で連携して治療をすることで予後が改善。 それでもだめなら、やはり多職種で倫理的な妥当性を検討するべきである。