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口腔衛生と全身管理〜感染性心内膜炎、誤嚥性肺炎、周術期口腔機能管理、知っておきたい歯科連携のツボ〜

投稿者プロフィール
Dr.心拍

地域の基幹病院

16,215

50

概要

感染性心内膜炎、誤嚥性肺炎、周術期口腔機能管理の歯科連携について解説します。口腔衛生、歯科連携・口腔ケアについて知りたい先生、歯科からの対診に困ったことのある先生におすすめのスライドです。

◎目次

・このスライドの対象者

・歯科処置による菌血症の発症率

・成人における感染性心内膜炎(IE)の基礎心疾患別リスクと

歯科治療に際する予防的抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル

・歯科処置前の抗菌薬の標準的予防投与法(成人)

・ガイドライン: 世界の背景

・ガイドライン: 日本の方針

・心臓手術を実施する患者と歯科

・患者教育と歯科対診

・誤嚥性肺炎と歯科

・歯科連携でできること

・いわゆる口腔ケア / 口腔管理とはどのようなものか

・専門的な口腔ケアの効果

・歯科治療が必要な例

・歯科連携で算定できる点数の加算

・Tips

Dr. 心拍, supervised by Kamome DDS, PhD

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医

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テキスト全文

口腔衛生と感染性心内膜炎の基礎知識

#1.

歯科の車窓から🚂 口腔衛生と全身管理 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 知っておきたい歯科連携のツボ Dr. 心拍, supervised by Kamome DDS, PhD

#2.

 このスライドの 対象者 口腔衛生/ケア・歯科連携について知りたい医師  循環器(感染性心内膜炎)  呼吸器(誤嚥性肺炎)  周術期口腔機能管理 などでよく聞く口腔ケアについて知りたい先生  歯科からの対診に「何を知りたいの?」という先生

#3.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 歯科処置による菌血症の発症率 歯科処置 抜歯 智歯抜歯 発症率(%) 18-100 55 スケーリング 8-79 歯周外科 36-88 感染根管処置 42 ブラッシング 23 咀嚼 38 歯科治療は菌血症になる と言われてきたが、実は ブラッシングしただけで もリスクと示された。 Heimdahl A, et al. 1990, Roberts GI, et al 1992, Lockhart PB, et al. 2008, Hall G, et al. 1999, Debelian GJ, et al. 1995, Everett ED, et al. 1997, Guntheroth WG. 1984 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

感染性心内膜炎のリスクと抗菌薬投与

#4.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 <成人における感染性心内膜炎(IE)の基礎心疾患別リスクと 歯科治療に際する予防的抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル> 推奨 クラス IEリスク エビデンス レベル ■高度リスク群(感染・重症化しやすい) ・生体弁/機械弁による人工弁置換術患者、弁輪リング装着例 ・IE既往患者 ・複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室、完全大血管転移、ファローの四徴症) ・体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者 I B IIa C IIb C ガイドラインでは 抗菌薬の予防投与を 高リスク群に「推奨」 中等度で「提案」。 ■中等度リスク群(必ずしも重篤でないが心内膜炎発症ハイリスク) ・ほとんどの先天性心疾患 ・後天性弁膜症 ・閉塞性肥大型心筋症 ・弁逆流を伴う僧帽弁逸脱 ・人工ペースメーカ、植込み型除細動などデバイス装着患者 ・長期の中心静脈カテーテル留置患者 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

#5.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 <歯科処置前の抗菌薬の標準的予防投与法(成人)> 投与方法 βラクタム系抗菌薬アレ ルギー 抗菌薬 投与量 投与回数 備考 経口投与可能 なし アモキシシリン 2 g 1, 2 単回 処置前1時間 あり クリンダマイシン アジスロマイシン クラリスロマイシン 600 mg 500 mg 400 mg 単回 処置前1時間 なし アンピシリン セファゾリン セフトリアキソン 1-2 g 1g 1g 単回 手術開始30分以内に静注・筋注あるい は開始時から30分以上かけて点滴静注 あり クリンダマイシン 600 mg 単回 手術開始30分以内に静注・筋注あるい は開始時から30分以上かけて点滴静注 経口投与不可能 1 または体重あたり 30 mg/ kg 2 何かの理由でアモキシシリン2 g から減量する場合、初回投与5-6時間後にアモキシシリン500 mgの投与を考慮する 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

#6.

<ガイドライン: 世界の背景> 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理  1950年台からIEに対する歯科処置時の予防投薬がガイドラインで推奨されてきたが、強固なエビデン スがなく、2013年のコクランレビューでも予防的抗菌薬投与に対するエビデンスは認められなかった。  欧米のガイドラインでは、歯磨きなどの日常行為で菌血症が発症していること、歯科治療後のIEの発 症率が極めて低いことから、抗菌薬の副作用や耐性菌の発生を避けるために歯科治療前の予防的抗菌薬 投与に消極的な考えがある。  しだいに心疾患患者でIEの発症リスクが通常よりも高いと考えられる群が存在、IE発症時、特に死亡 などの重篤な結果を招く可能性の高い高度リスク群と中等度リスク群と分ける考え方が一般的となった。  2002年のフランス、2007年の米国、2009年の欧州のガイドラインでは高度リスク群に対してのみ (中等度リスクに対する抗菌薬投与は推奨されず)抗菌薬投与が推奨された。  一方、英国の NICE の推奨では2008年には歯科などいかなる侵襲的処置にも抗菌薬の 前投薬不要としたがガイドライン改訂後にIEの発症数が増加、2016年に訂正された。 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

日本における感染性心内膜炎の予防策

#7.

<ガイドライン: 日本の方針> 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理  日本では、引き続き予防的抗菌薬投与が推奨されてきたが、2017年のガイドラインでもIE 高度リスク患者に対する予防的抗菌薬投与を新たな文献をレビューして推奨している。  予防的抗菌薬投与を行っても必ずしも IEを予防できない例も存在、予防投与を行ってもIE を予防できるのはごくわずかとの推計もある。  しかし、IEを発症すれば入院・手術・脳梗塞・死亡といった重篤な結果を招く。  一方で、抗菌薬単回の予防投与の副作用のリスクは極めて低い。  イギリスで予防投与中止に伴って中等度以下のリスクの患者におけるIEも増え、イギリス 以外の欧州と米国において口腔内常在菌であるレンサ球菌のIEが増えているという結果 (レンサ球菌による IEは増えていないか減少しているとする論文もあり結果は一定ではな い)から中等度リスク群においても予防的抗菌薬投与が提案されている。 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

#8.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 心臓手術を実施する 患者と歯科  弁膜症術を予定する患者の口腔内の有病率は15.4-59.9%と高く IEの原因の1つであることから術前に歯科受診する。  弁膜症(IEを含む)104例で術前の抜歯で抜歯による合併症はなく、 在院日数の延長や人工弁IE発症もなかったという報告がある。  一方、歯科治療による合併症で手術延期、その間に心疾患の悪化や 脳卒中発症した報告もある。  原則として歯科治療よりも心臓手術のタイミングを優先する。  術前は必要性の低い抜歯は控え、口腔衛生管理、術後は口腔衛生の 管理、患者教育が重要。 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)1) より抜粋 Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)

#9.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 <患者教育> 抗菌薬投与以外にも口腔衛生の維持などによる IE 予防の徹底、早期発見のための教育も重要。 中等度・高度リスク患者に歯科や医療機関を受診する際、 IEのリスクを持つことを自己申告するように指導する。 主治医は基礎心疾患名や、心臓内の人工物(パッチや 人工弁・人工弁輪など)、ペースメーカーの有無について 患者に告知し、医療機関を受診する際に患者自身が申告で きるように理解させる。患者に書面で渡すと良い 1)。 患者教育と 歯科対診

誤嚥性肺炎の診断と治療法

#10.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 <歯科対診> 心疾患の状態・治療内容・リスクの程度などを なるべく分かりやすく具体的、詳細に伝える。 それによってモニターの使用や予防的抗菌薬投与のほか、 必要な治療を行うことにつながる。 ハイリスクであれば高度医療機関(大学病院や総合病院の 有病者歯科)などに依頼することができる。

#11.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 他職種連携が必要とされる誤嚥性肺炎の治療 その全貌は 誤嚥性肺炎と歯科 「誤嚥性肺炎」のスライドをご覧ください。 このスライドは歯科が関係する部分について 説明します。

#12.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 <誤嚥性肺炎の診療> 1、診断:聴診、X線、採血、痰培養、CT 2、治療:抗菌薬、去痰剤、吸入、酸素 3、原因診断:病歴、身体所見、採血、X線、CT、MRI相談 4、嚥下評価:反復唾液嚥下試験、改訂水飲みテスト、 フードテスト、嚥下調整 5、栄養:影響状態の評価、経口摂取の可能性、経管栄養 6、看護ケア:気道浄化、口腔ケア、生活の中でのリハビリ 7、リハビリ:呼吸リハ、早期のPT介入、ST 8、社会調整:ソーシャルワーカー、ケアマネ (飛野和則・吉松由貴「誤嚥性肺炎の主治医力」 3) より)

誤嚥性肺炎の原因と予防策

#13.

<誤嚥性肺炎の原因> 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 意識障害 衰弱・長期臥床 脳血管障害/腫瘍 慢性神経疾患 認知症 パーキンソン病など 口腔・咽喉頭の異常 顎関節脱臼 口腔内乾燥・不衛生・歯牙欠損・義歯不適合 嘔吐 吐き気・胸焼け・つかえ感 慢性気道性疾患 低栄養 異物留置:気管カニューレ・経鼻胃管・胃瘻 薬剤性:ドパミン拮抗・鎮静、筋弛緩・鎮咳作用・口腔乾燥 (抗うつ薬、利尿薬、排尿障害薬、抗アレルギー薬、抗コリン薬、制酸薬) (吉松由貴・山入和志「誤嚥性肺炎50の疑問に答えます」 4)より)

#14.

<誤嚥性肺炎の予防> ■推奨 緊急挿管後の昏睡状態の患者には24時間抗生物質療法。 全身麻酔の予定手術の前に、少なくとも8時間禁食、2時間禁水。 ■評価 脳卒中後や人工呼吸器抜管後の嚥下評価。 脳卒中後の血圧コントロールにACE阻害薬の優先的使用。 ブラッシングと、維持できない歯の抜歯による口腔ケア。 脳卒中患者における半側臥位での摂食。 ランダム化研究(患者252人)で栄養補給と毎日の口腔清掃により 肺炎の発生頻度が減少する(17.7%→7.8%;P=0.06)。 経管栄養よりも経口栄養、とろみの液体の機械的軟食に努める必要が ある。さらに、嚥下訓練と早期の運動療法による「栄養リハ」は 誤嚥性肺炎の再発を防ぐ可能性がある。 Mandell L, Niederman S. Review Article Aspiration Pneumonia. N Eng J Med. 2019, 380. 5) Review Article N Eng J Med. 2019

#15.

<専門家による口腔ケアの効果に関するシステマティックレビュー> ■週 1 回の専門家による口腔ケアは誤嚥性肺炎リスクの低減に有効 微生物学分析によると口腔内のC. albicans、S. aureus、メチシリン耐性S. Aureus、 P. Aeruginosa、E. coli は専門家ではないスタッフが「毎日」口腔衛生ケアと0.35% ポビドンヨードうがいをしていた患者群と比較して、専門家に「毎週」口腔ケアを受けて いた群で著しく低かった。 ■高齢者の口腔は日和見病原体の貯蔵庫になる可能性。 口腔内の細菌の「不均衡 」は歯肉炎、歯周ポケットの深さの増大、歯槽骨および歯の喪失、 潰瘍に関連する病原性微生物の増殖を増大させる。 歯垢には、グラム陰性タンパク質分解菌やグラム陽性酸発生菌を含む1mm3あたり約1億個の 細菌が蓄積。健康時、唾液は洗浄作用と抗菌性で歯垢の形成と病原性微生物の沈着を防ぐ。 唾液分泌量の減少はプラーク形成を増加、吸引された口腔プラークの微生物が下気道から全身 的に広がり、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性がある。 研究結果のばらつきはあるが、口腔内に存在する感染性粒子を繰り返し吸引すると嚥下障害 ー吸引性肺炎ー嚥下障害および健康状態の悪化という悪循環が生じる。 Khadka S., et al. Poor oral hygiene, oral microorganisms and aspiration pneumonia risk in older people in residential aged care: a systematic review. Age and Ageing. Vol. 50, Issue 1. 2021 6)

専門的な口腔ケアの重要性と効果

#16.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 歯科連携で できること 健康な人でも「歯が痛くて、食事ができない」 「食べられるものが限られ(硬いものが無理) 食欲が出ない」ということはよくある。 子どもや高齢者は痛み・食べにくさ等を 伝えることが難しいことがある。 有病者も同様。 ↓ 歯科医師の診断によって適切な治療。 <連携の必要性> 診断:口腔内を外から見るだけではわからないことがある。

#17.

口腔ケア 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 ・口腔内の乾燥を防ぎ保湿剤 ・歯や口腔内の清掃・洗浄 ・義歯の洗浄 ・唾液腺のマッサージ ・嚥下に関する器官の訓練・ストレッチなど ・歯石の除去(歯科) 適した清掃器具の選択と使用法は、健康な人でも歯や口腔の状況によって異なる。 (歯ブラシ・歯間ブラシ(太さなどさまざま)・タフトブラシ・フロス(スポンジありなど) スポンジブラシ・舌ブラシ etc.) いわゆる口腔ケア / 口腔管理とは どのようなものか

#18.

専門的な口腔ケアの効果 がんの手術合併症の手術部位感染(SSI: Surgical Site Infection) 人工呼吸器関連肺炎(VAP: Ventilator-Associated Pneumonia) 薬剤関連顎骨壊死に効果があるという報告がある 2) 7) 。 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 VAP 誘引の1つとして口腔内のプラークや歯周病の細菌が指摘されている。 重症歯周病の患者ではVAPの発症率が3.5倍 8) 心臓手術後の口腔内 2%クロルヘキシジン消毒で65%VAP発生が抑制される報告がある 9)。 *口腔ケア前に十分適切な(ヘッドアップ、カフ圧など)カフ上吸引を行う 10)。 放射線治療 放射線治療によって様々な口腔合併症が生じる。 唾液腺の萎縮は不可逆、それによって生じる口腔乾燥症はう蝕や歯周病につながる。 粘膜免疫の低下・顎骨への晩発性障害で抜歯創の治癒不全・根尖性歯周炎から骨髄炎・ 骨壊死・軟組織壊死につながる 7) 10)。 →放射線治療前に歯科治療 / 口腔衛生環境を改善、その後も長期的管理が必要。 急性期からの口腔ケア 非経口摂取が長期化すると口腔機能の廃用が進み、誤嚥リスクが高まる ことから早期の口腔周囲筋の訓練や摂食をすすめる動きがある 10)。

歯科治療が必要な症例とその管理

#19.

歯科治療が必要な例 (1) 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 歯周病 ■歯が揺れる・歯ぐきから血 →歯周病検査、X線。 ■歯石はブラッシングでは取れない →特殊な器具を使ったスケーリング。 ■口腔内の出血が菌血症につながる →投薬の是非、清掃方法を判断。 ■エンドぺリオ(根尖病巣と歯周病が繋がった病変)→X線診断、根管治療も行う。 う蝕 ■唾液の分泌が少ないと、う蝕になりやすい。 ■痛みで食欲がなくなることがある。 ■う蝕が歯髄に進むと、時間と手間がかかる根管治療になるので早めに治療する。

#20.

歯科治療が必要な例 (2) 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 義歯 ■外している時間が長いと、顎の骨や粘膜の形が変わり合わなくなる(不適合)。 ■不適合義歯を使うと粘膜に潰瘍、痛み、咬めない、入らないということが起きる。 ■義歯やパーツ(留め金やバー)が合わなくなると、歯にテコの力がかかりダメージを受ける。 ■パーツが取れると義歯が使えなくなったり、誤嚥のもとになる。 ■義歯の形態は機能(咀嚼・嚥下)に関係、噛み合わせや口腔粘膜の動きに合わせる必要がある。 →義歯の調整で食べたり、話しやすくなったりする。 ■義歯は(健康な人でも)定期的にチェック・調整する必要がある。 嚥下に関する口腔内装具の製作 ■舌接触補助床(PAP):舌を口外に当てやすくする。 ■軟口蓋挙上装置(PLP):軟口蓋の挙上が十分でないときに物理的に閉鎖する。

#21.

歯科治療が必要な例 (3) 感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 歯の噛み合わせ ■噛み合わせ全体を見る必要がある。 ■調整することで痛みが少なくなったり、食べやすくなることがある。 抜歯 ■状況によっては抜歯を選択する(時期を検討)。 ■医師の治療状況、全身状態を鑑みた判断からの治療を行う。 ■抜歯によって、義歯の支台歯(部分入れ歯の留め金のかかる歯)が無くなると 義歯を修理、新製する必要がある。 その他、摂食・嚥下を専門とする歯科医師、衛生士がいる。

周術期口腔機能管理と関連ガイドライン

#22.

感染性心内膜炎 誤嚥性肺炎 周術期口腔機能管理 摂食機能療法 摂食嚥下障害のある患者に医師や歯科医師の評価に基づく個別の計画 にそった訓練を行うと算定できる。特徴は他職種が関われ3ヶ月まで 毎日算定できること。 歯科連携で 算定できる 点数の加算 対象は脳卒中などの後遺症による嚥下障害や嚥下造影、嚥下内視鏡で 異常を認め、摂食機能療法の有用性が期待できるケースである 4)。 周術期等口腔機能管理料 2012年4月の診療報酬改正でがん治療における口腔内合併症発症や 全身麻酔・気管挿管・長期臥床に伴う誤嚥性肺炎の予防のために 歯科連携に関する点数が新設された。 手術に際して歯科に評価や介入を依頼した際に算定できる。 さらに、放射線治療や科学療法、脳卒中も肺炎のリスクであると して内科治療でも手順を踏めば算定可能になった 4)。

#23.

Tips 感染性心内膜炎の予防と治療に関する抗菌薬のガイドラインがある。 誤嚥性肺炎・VAPに口腔ケアは予防効果があるとされる。 放射線治療・手術合併症に周術期口腔機能管理が予後改善の可能性。

#24.

References  1) 感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン (2017年改訂版) , 2019.  2) 梅田正博, 五月女さき子. エビデンスに基づいた周術期口腔機能管理. 医歯薬出版, 2018.  3) 飛野和則, 吉松由貴. 誤嚥性肺炎の主治医力. 南山堂, 2021.  4) 吉松由貴, 山入和志. 誤嚥性肺炎 50の疑問に答えます. 金芳堂, 2021.  5) Mandell, L., Niederman S. Review Article Aspiration Pneumonia. N Eng J Med. 2019, 380.  6) Khadka, S., et al. Poor oral hygiene, oral microorganisms and aspiration pneumonia risk in older people in residential aged care: a systematic review. Age and Ageing. Vol. 50, Issue 1. 2021  7) Davies, A. がん口腔指示療法 他職種連携によるがん患者の口腔内管理. 永末書店, 2017.  8) Bagyi, K. et al. Role of pathogenic oral fiora in postoperative pneumonia following brain surgery. BMC Infect. Dis., 9 : 104, 2009  9) Chlebicki, M.P. and Safdar, N. Topical chlorhexidine for prevention of ventilatorassociated pneumonia: a meta-analysis, Crit. Care Med., 35 : 595-602, 2007.  10) 藤本篤士 et al. 5疾病の口腔ケア. 医歯薬出版, 2019.

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