学べるポイント
1. 診断エラーの基礎
・定義:「患者の健康問題を正確かつタイムリーに解釈・説明できなかったこと」。
・頻度:プライマリケアで5–10%。
・分類:Delay / Missed / Wrong の3類型で整理。
2. 個人要因×システム要因のフレーム
・原因の全体像:システムエラー/認知エラー/知識・技術不足/無過失エラー。
・Fishbone(特性要因図)で根本原因を構造化し、再発防止策を抽出。
・システム例:専門医コンサルト不可の時間帯や引継ぎ様式欠如など“仕組みの穴”を具体化。
3. 認知エラーを見抜く
・認知エラーは「知識不足3%」にとどまり、“わかっていてもミスる”構造を理解。
・代表的バイアスと“気づきポイント”:
— アンカリング:初期仮説に固執し矛盾情報を無視。
— 利用可能性:直前の経験に引っ張られる。
— フレーミング:提示のされ方で思考が歪む。
— 確証バイアス:合致所見だけ集める。
— 早期閉鎖:十分な検証前に結論。
— 検索満足:一所見で探索を止め見落とす。
— 基準率の無視:疫学頻度を軽視。
— 代表性:非典型を想定できない。
— 自信過剰:情報収集が浅くなる。
4. ハイリスク領域とインパクト
・悪性腫瘍・血管疾患・感染症など、見逃しが重篤化しやすい領域を把握。
症例ベースの実践練習付き
アンカリングやフレーミングのミニ症例(腰痛=尿路結石に固執/「胸痛」提示で思考が偏る等)を通じて、バイアスの“発火点”に気づく訓練を実施。臨床メモやチェックリスト化で現場に落とせる介入まで設計します。