#4.
診断エラーとは 4 患者の健康上の問題について
正確かつ
タイミングよく解釈できなかったり
その解釈が患者に説明されなかったりすること Improving diagnosis in healthcare. 2015
#5.
診断エラーの頻度 プライマリケアセッティングで
5-10% 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#6.
スイスチーズモデル 通常であればどこかのチェック機構でエラーは防がれるのだが
幾重にもすり抜けてエラーが起こる
#7.
医療過誤の分類 7 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#8.
医療過誤の原因 8 悪性腫瘍 全体の38%
約16% 肺癌、乳癌
約11% 消化管癌
約5% 前立腺癌、悪性黒色腫 血管疾患 全体の23%
約25% 脳卒中
約22% ACS
約14% DVT/PE
約11% 大動脈解離 感染症 全体の13%
約18% 敗血症
約14% 脳炎・髄膜炎
約13% 脊髄膿瘍
約10% 肺炎
約6% 感染性心内膜炎 Diagnosis. 2019; 39(2): 19-29
#9.
診断エラーとは 診断の遅延(Delay)
診断の見逃し(Missed)
診断の間違い(Wrong) Arch Intern Med. 2005; 165(13): 1493-9
#10.
診断プロセスの流れ 10 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#11.
診断エラーの原因 11 システムエラー
医療提供システム(環境・組織など)の要因
認知エラー
バイアスによる解釈・判断の誤り
知識・技術の不足
無過失エラー
患者要因など防ぎようがなかったもの Arch Intern Med. 2005;165:1493-1499
#12.
Fishbone diagram 診断エラーの
根本原因検索
認知エラー面
システムエラー面
双方向の要素をあげていく方法
#13.
システムエラー 医療資源(設備、人材、時間など)の不足
チームワークやコミュニケーション
非効率的な手順
など 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#14.
14 Arch Intern Med. 2005;165:1493-1499
#15.
例えば 15 ※研修医の外来診療を指導医が必ず目を通すシステムがなかった
※週末の夜は専門医にコンサルテーションできない環境だった
※引継ぎのフォーマットがなかったため、適切なフォローがされなかった
※カルテが見にくく、処方間違いをした
※感染対策のマニュアルがなかった
#16.
認知と認知エラー 16 認知とは
人間が目の前の事象を認識し行動に移すまでの一連の過程のこと
エラーの種類
Faulty knowledge 知識・技術の不足によるエラー
Faulty date gathering 情報の収集時のエラー
Faulty synthesis 情報の統合時のエラー Arch Intern Med. 2005;165:1493-1499 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#17.
認知エラーの原因の割合 17 認知エラーの中でも
知識・技術不足は3%のみ
つまり
知ってるし、わかってるけどミスる Graber ML et al;Arch Inter n Med. 2005 Jul 11;165(13):1493-9.
#18.
認知バイアス 18 認知をつかさどる我々人間の脳は容易に感情や周辺の状況に影響を受けることがわかっておりそれにより生じる認知のゆがみのこと
情報収集時や情報統合時に起こってくるものを認知バイアスという 医療の質・安全学会誌 Vol.13 No.1(2018)
#19.
認知バイアスの出現するタイミング 19 診断エラー学のすすめ
#20.
認知バイアスを起こしやすくする要因 20 初期研修医
後期研修医
そもそも起こりやすい状態が多い 診断エラー学のすすめ
#21.
代表的な認知バイアス 21
#22.
代表的な認知バイアス 22
#23.
アンカリングバイアス 23 診断プロセスの早期に患者の特定の臨床的特徴に固執しその後の判断基準にする固執しすぎることで、その後に矛盾する新しい情報があっても修正できない 突然の右腰痛で来た中年男性最初に尿路結石が頭に浮かんだ
そこから離れられず
腎梗塞や大動脈解離を疑う所見があっても尿路結石の診断に固執する
#24.
利用可能性バイアス 24 これまでに経験したり見聞きしたりすることがある
想起しやすい疾患を診断として考えてしまうこと たくさんのインフルエンザ患者を診ていると
それに引っ張られて
次に見る発熱患者もインフルエンザと思ってしまう
#25.
フレーミング 25 患者の情報の提示のされ方によって考え方が変わること 胸痛と発熱のある患者患者や他の医療者が
「胸痛」を前面に押し出すと心筋炎などを考える
「発熱」を前面に押し出すと肺炎などを考える
#26.
確証バイアス 26 自分が最も疑っている疾患の可能性を高くする所見だけ注目
矛盾するものは無視する 尿路結石を疑ってる場合に
尿潜血陽性は合致するとして重要視し
尿管拡張がないことは「そういうこともある」と
無視する
#27.
早期閉鎖 27 十分な検証が行われる前に診断を結論付けてしまう 人生で初めての強い右背部痛
尿検査、超音波、CTなどしない尿路結石でしょと決めつける
#28.
検索に対する満足 28 何らかの所見を見つけたことで検索が済んだと思い検索を終了してしまう
あるいは
間違った場所を検索して「何もない」と判断して検索を終了してしまう 転倒頭部打撲後の患者の全身CTで
頭蓋内出血がないことを確認して満足し
多発肋骨骨折に気が付かない
#29.
基準率の無視 29 ある疾患の疫学的な頻度を無視して
主観的なイメージで頻度を見積もってしまう 既往歴のない20代男性の軽度の胸痛に対して
肺動脈塞栓症の可能性を疫学的頻度を無視して鑑別の上位に考える
#30.
代表性バイアス 30 症候が典型的なパターンとなる場合のみを考え
ある疾患の非典型なパターンとは考えないこと 胸痛がなければ
ACSの可能性はないと考える
#31.
自信過剰バイアス 31 実際の能力以上に自分はよく知っていると考え
自分の考えに自信を持ちすぎることによって十分な情報収集や統合をせずに結論を出すこと 周期性発熱症候群について詳しい説明ができないのに
繰り返す発熱患者に対して家族性地中海熱の診断で間違いないと考えほかの発熱の原因に関する検討をしないなど
#32.
介入策 32
#33.
Take home message 33 自分がはまりやすい認知バイアスを意識して1ランク上の医師になろう 参考図書
志水太郎 診断エラー学のすすめ 日経BP