内科での低用量ピル処方〈基礎編〉

使用されているブラウザではスライドの拡大ができません。iPadをご利用の場合はSafariをお試しください

1/23

シェア

遠見 才希子

筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学専攻社会精神保健学分野

10214 page views

現代女性の生涯月経回数は約450回。昔と比べ月経との付き合いが長いからこそ、女性主体の効果の高い避妊法や積極的な月経コントロール、子宮内膜症の発症予防等を行える低用量ピルやIUSは、現代女性にとって健康を守る重要な選択肢です。

内科の先生方にも低用量ピルを処方いただくことは、多くの女性が自分の体のことを自分で決められる選択肢が増え、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)を尊重することにつながると考えます。

本スライドは、2021年1月9日のAntaaオンライン配信「明日から出来る!内科での低用量ピル処方」の講義スライドです。

柴田綾子先生による〈実践編〉スライドはこちらです。
https://slide.antaa.jp/article/view/f19926b152034b3a

【このスライドの解説動画はこちら】
https://qa.antaa.jp/stream/contents/103

- Featured Contents -

【公式】Antaa Slideへのアップロード方法

Antaa Slideは、医師・医学生のためのスライド共有プラットフォームです。 本スライドでは、Antaa Slideへのスライドアップロード方法を解説します。 ① Antaa Slideへのログイン方法 ② スライドのアップロード方法 ③ アップロードしたスライドの確認方法 ④ ご利用にあたっての注意点 勉強会やセミナーのために作ったスライドを、皆でシェアして知識をつないでいきましょう。アップロードをお待ちしています! ※登録には、医師資格登録年度または医学部卒業見込み年度の入力が必要です。 <以下のnoteもぜひご覧ください> Antaa Slideは、医師同士の“Giveの精神”でつながるスライド共有プラットフォーム https://note.com/antaa/n/n5fabdc34a32f Antaa Slideってどんなサービス? 反響をまとめてみました https://note.com/antaa/n/nd09bf6ed8f3f

28057 15

新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)Q&A

COVID-19ワクチンを接種するか悩んでいる医療従事者の方、または医療職以外の病院職員は多いと思います。内科外来の医療事務さんが接種するか悩んでいたのをみて、わかりやすい情報提供が必要と考え、作成しました。基本的な内容となっています。2021年1月29日に作成したもののため、その後の知見の集積によって、今後推奨は変わる可能性があります。

288149 133

誤嚥性肺炎の主治医力【診断編】

最近受け持った誤嚥性肺炎の患者さん、誤嚥の原因は何でしたか? 誤嚥性肺炎は結果であり、正しい診断のためには原因の見極めが必須です。 そのためのポイントを解説します。 ※本スライドは、2021年1月8日配信のAntaaNEWS「Short Lecture」の講演スライドです。 【このスライドの解説動画はこちら】 https://qa.antaa.jp/stream/contents/113

16619 39

タコでもわかる静注抗菌薬の話

逆にこれだけ知っていれば静注抗菌薬では(ほぼ)困らない、そんな10種類の静注抗菌薬についてタコでもわかるようにまとめてみました。 【更新連絡(7/24)】 わかりにくい表現を何箇所か修正しました。 【他のコンテンツ】 * サルでもわかる経口抗菌薬の話 2021年版 (https://slide.antaa.jp/article/view/5199820d537c41bc) * タコでもわかる静注抗菌薬の話 2021年版 これ * カメでもわかるCRPの話 2021年版 (https://slide.antaa.jp/article/view/e83a7e12c9d74d3b#46) ご質問・ご意見等はtwitter(@metl63)までお寄せください。

418249 203

ショックのまとめ【定義・分類・鑑別を中心に】

救急外来や病棟急変でよく出会うショックについて、確実に知っておくべき知識を理解していますか? ショック=血圧低値と誤解されることが多い、ショックの概念についてまとめました! 生理学や生化学から、ショックの定義や分類、鑑別を中心にまとめています。 初期研修医の先生方や看護師さんにとっては、きっと学びの多いスライドとなっているはずなので、参考にしていただければ幸いです◎

61008 33

それって本当に尿管結石?!

<ERで「尿管結石?」って思ったら> 1. 安易に決めつけるのはNG! 2. エコーで“らしい”所見をチェック! 3. 鑑別疾患を意識して、重篤な疾患を見逃すな! 本スライドは、「三銃士 指導医・研修医レクチャーシリーズ」vol.10です。質問・コメントは以下へお願いします。 http://bit.ly/39kNKUy ※「三銃士」は、救急・集中治療医の坂本壮、総合診療医の髙橋宏瑞、鎌田一宏により運営される、医学教育の課題解決を目指した教育ユニットです。 ▶三銃士Facebookページ https://www.facebook.com/dartagnanproject ▶坂本壮のAmazon著者ページ https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B079T41LV8

18740 49
もっと見る

内科での低用量ピル処方〈基礎編〉

1. 前半 【基礎編】 遠見 才希子 産婦人科医 筑波大学大学院社会精神保健学分野博士課程 ※スライドは個人的な閲覧のみでお願いします。転用転載はご遠慮ください。 転用転載禁止 1
2. Q1. ピルとアフターピルって どう違うの? A. 日頃からの避妊に使うのがピル (経口避妊薬・低用量ピル)、 万が一のとき(避妊の失敗など)に 使うのがアフターピル(緊急避妊薬) 目的が異なります! 詳しくは、Antaa 「明日からできる!アフター ピルの正しい使い方」をごらんください! 転用転載禁止 2
3. Q2. 学校でピルって習うの? A. 日本では高校の教科書に 記載されています! 国際的な指針では、 12歳~15歳の学習目標 に入っています。 転用転載禁止 3
4. 高校の教科書 転用転載禁止 低用量ピルによる避妊効果 • 排卵をストップさせる • 子宮の入り口で 精子が入らないよう にする (子宮頸管粘液が変化する) • 受精卵の着床を 阻止する (子宮内膜が厚くならない) 参考:大修館書店 教科書(転載一部編集) 4
5. 国際セクシュアリティ教育ガイダンス 学習目標(一部) <12~15歳> *コンドームや避妊具を正しく使用することは、 意図しない妊娠やHIVを含む性感染症を防ぐ *緊急避妊薬は、避妊具がなかったり、避妊具の 使用を失敗したり、性被害にあったことによる 妊娠を含む、意図しない妊娠を防ぐことができる <15~18歳> *コンドームや緊急避妊薬を含む、 避妊具を正しく使用することの重要性 を認識する 5 転用転載禁止
6. 転用転載禁止 LARC↓ 製造中止 WHO必須医薬品 日本で選択できないもの 製造中止 国際的には「 LARC」(長期間作用 型可逆的避妊)が推奨されている 6 CDC Contraception https://www.cdc.gov/reproductivehealth/contraception/index.htm
7. 転用転載禁止 LARCのひとつ【子宮内避妊具(IUD/IUS)】 子宮内避妊リング 子宮内避妊システム IUD: Intrauterine device IUS: Intrauterine system 銅付加IUD 緊急避妊 にも用いる 黄体ホルモン放出システム ミレーナ® 月経困難症、過多月経は保険適用 写真:バイエルウィメンズヘルスHPより 着床阻害作用による高い避妊効果 避妊目的は自由診療で、約3~8万円(挿入時) 月経治療目的は保険適用で、約1万円(挿入時) 経腟分娩歴がなくても基本的には挿入可能(痛みは個人差あり)。 7 3~5年毎に交換。出血、感染、穿孔、自然脱落が起こりうる。定期受診が必要。
8. Q3. ピルはどんな作用がある? A. 避妊効果以外に、 様々な副効用(メリット)が あります! 転用転載禁止 8
9. 低用量ピルの効果・副効用 転用転載禁止 *避妊効果 (排卵抑制、子宮内膜増殖抑制、頸管粘液粘ちょう度上昇作用) 9 <月経に伴う症状の改善> *月経困難症、月経過多、月経不順の改善 *排卵痛の消失 *PMS(月経前症状)の改善 など <婦人科関連疾患のリスク低下> *子宮内膜症の抑制 など <その他> *ニキビの改善 *休薬期間をずらすことなどにより月経移動も可能 9
10. 黄体期 排卵 ② LH↑ LHサージ LH : 卵 巣 38 黄体ホルモン(P) ③ 排卵 ① E↑ ④ E,P↑ 卵胞ホルモン(E) エストロゲン 子 宮 内 膜 基 礎 体 温 病 47 メ デ よ 気 が りィ ッみ 転ク 載メえ る 一デ 部ィ ア 改; 9 変 20 第 3 版 13 (14±2日) (個人差あり) FSH 転用転載禁止 Vol. 下 垂 体 卵胞期 - 月経周期に おける変化 低温相 月経1日目 高温相 14日目 プロゲステロン ⑤ E,P↓ ⑥ 月経 10 28日目
11. 性教育の一例 からだの仕組みを おさらいしよう ~基本編~ 体の性のつくりには様々な状態があります。 先生に 子宮役に なってもらいます 転用転載禁止 11
12. 性教育の一例 低用量ピル エストロゲンとプロゲステロンというホルモンが含まれる飲み薬 子宮内膜が厚くなら ない、ホルモンの波 が起こらないから… *生理痛が軽くなる *生理の量が減る *生理不順や*PMS の治療に使うことも 毎日飲んで 排卵をおさえる 女性が主体的に 選択できる効果の 高い避妊法! メリット・ デメリット を知って健康 を守る選択肢 のひとつに! 写真:MDS医療関係者向けサイト「マーベロン」より 性感染症予防は コンドームを! 転用転載禁止 12
13. Q4. ピルはどんな種類がある? *21錠タイプ・28錠タイプ *1相性・3相性 *低用量ピル・超低用量ピル *第1世代~第4世代 *周期投与・連続投与 *自費:避妊目的(OC)・保険:治療目的(LEP) *先発薬・後発薬(ジェネリック) 転用転載禁止 13
14. 21錠タイプ・28錠タイプ 【休薬期間の錠剤の有無】 • 21錠タイプ→21日飲んだら7日休む • 28錠タイプ→21日飲んだら7日偽薬を飲む 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「プライマリ・ケアで出会うウィメンズヘルスの基本」より ↑21錠タイプ 転用転載禁止 ↑28錠タイプ ※4列目は偽薬 14
15. 1相性・3相性 【 1錠ごとのエストロゲン,プロゲステロン含有量】 • 1相性→全部同じ • 3相性→3段階で異なる ↑1相性 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「プライマリ・ケアで出会うウィメンズヘルスの基本」より ↑3相性 ※自然なホルモン動態に 似せて生理的といわれて ※全て同じホルモン含有 量のため、飲み忘れの際 の対応や月経移動にも、 転用転載禁止 対応しやすい いたが1相性と特に効果に 15 変化はないといわれている
16. 低用量ピル・超低用量ピル 【 エストロゲン(EE)含有量】 • 低用量ピル→EE 30~50µg • 超低用量ピル→EE 30µg以下 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「明日から実践できるOC_LEP処方」より ※薬価は変動あり ※LEP製剤にもOCと同様に避妊効果があるが、 転用転載禁止 16 ルナベルULDについては避妊効果の検証はされていない(ルナベルLDは避妊効果検証あり)
17. 転用転載禁止 第1世代~第4世代 【 黄体ホルモン(プロゲステロン)の種類】 第一世代 第二世代 第三世代 第四世代 (NET) (LNG) (DSG) (DRSP) ノルエチステロン レボノルゲストレル デソゲストレル ドロスピレノン 吐き気、頭痛、むく み、不正出血などの マイナートラブルが 3ヶ月以上使用しても 改善しない場合は、 異なる世代のピルに 変えてみましょう! 17 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「明日から実践できるOC_LEP処方」より
18. 周期投与・連続投与 転用転載禁止 【消退出血を毎月起こすか、起こさないか】 • 周期投与→毎月休薬期間に生理を起こす • 連続投与→(例)120日間飲み続け、年3回 だけ生理を起こす 18 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「明日から実践できるOC_LEP処方」より
19. 転用転載禁止 先発薬・後発薬(ジェネリック) 【費用が結構異なります!】 ※薬価は変動あり (2020年12月現在公表の薬価で算出) • 先発薬→(例)ルナベルLD 1錠約237円 1ヵ月(21錠分)約4977円 (3割負担:約1493円) • 後発薬→(例)フリウェルLD 1錠約117円 1ヵ月(21錠分)約2457円 (3割負担:約737円) 19 図)日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 「明日から実践できるOC_LEP処方」2017年作成より
20. Q5. 日本特有のピル事情って? *ピルの認可が遅かった (国連加盟国で最も遅い1999年) *OC(避妊目的、自費)とLEP (治療目的、保険)の区別がある *混合ピル(エストロゲン・プロゲステロンの 合剤)のみでミニピル(POP)(プロゲステロン 単剤のピル)は未承認 転用転載禁止 20
21. 転用転載禁止 なぜ普及しない? 日本の低用量ピルの歴史 海外は1970年代 ~低用量ピル普及 1955年 経口避妊薬の研究班発足 承認まで44年 ピルを認可すると「日本女性の性が乱れる」? 「エイズが増える」? 1999年 経口避妊薬(OC)発売(自費) 1シート(28日分)約2000~3000円 バイアグラは 半年で承認 OCと同等の費用負担にな 2008年 低用量エストロゲン・ るよう薬価引き上げ プロゲスチン配合薬(LEP)発売 基本的にOCと同成分で 保険適用になったが、薬価は当初 LEPにも避妊効果あり 約3倍に引き上げ(現在は後発薬で低廉化) *ルナベルULDは避妊薬として未検証 LEP添付文書「避妊目的で使用しないこと」 21
22. Take Home Message 現代女性の生涯月経回数は約450回! 昔と比べ月経との付き合いが長いからこそ、 女性主体の効果の高い避妊法や積極的な 月経コントロール、子宮内膜症の発症予防 等を行える、低用量ピルやIUSは現代女性 にとって、健康を守る重要な選択肢です。 内科の先生方にも低用量ピルを処方いただくこと は、多くの女性が自分の体のことを自分で決めら れる選択肢が増え、SRHR(性と生殖に関する健 康と権利)を尊重することにつながると考えます。 転用転載禁止 22
23. 参考・おすすめサイト 日本プライマリ・ケア連合学会 (JPCA) 女性医療・保健委員会 (チーム・PCOG) 「プライマリ・ケアで出会うウィメンズヘルスの基本」 http://www.pcog.jp/files/topics_I/1/topics_I-25-1.pdf 「明日から実践できるOC_LEP処方」 http://www.pcog.jp/files/topics_I/1/topics_I-6-1.pdf 転用転載禁止 23