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内科医のための創処置〜縫合と治療のスタンダード、エビデンス〜

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片桐 欧

2021/06/16
(2021/06/17 更新)

片桐 欧

飯塚病院

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【Take Home Message】
1. 内科医でも簡単な創処置に対する知識は身に付けておくようにする
2. 合併症をなるべく減らすように注意し、問題があれば専門科へ早めにコンサルトをする
3. 患者本人、家族へ適切にInformationを行い、受診タイミングを指導する
4. 予防的抗菌薬投与、破傷風予防など適切に実施する
5. 自宅でのケアを適切に行って頂くよう指導をする
6. 縫合糸痕を作らないように抜糸時期は逸しないようにする

【このスライドの解説動画はこちら】
https://qa.antaa.jp/stream/contents/196

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内科医のための創処置〜縫合と治療のスタンダード、エビデンス〜

1. 飯塚病院 救急科 片桐 欧 内科医のための創処置〜縫合と治療のスタンダード、エビデンス〜 2021年6月16日 Antaa×飯塚病院 Wounds and Lacerations care for GIM physician
2. Agenda 内科医でも入院患者、かかりつけ患者、訪問診療など創処置を行わないといけない場面は時折経験する 創処置に関する知識は研修医の時に習得したもので止まっていることも多く、病院毎の伝統的な方法や、看護師により処置内容が異なるなどガラパゴス化していることが散見される(個人的意見) 救急科として働く上で、創処置のコンサルトを受ける機会も増え、個人的に内科医としても知っておくべき知見をまとめた 2
3. 創処置の流れ 3
4. 4 受傷機転を明らかにする 確実に止血を行う 創の場所、深さ、範囲を評価する 神経・血管・腱損傷の有無を確認する 異物がないか確認を行う
5. 受傷機転 創傷の治療では受傷からの時間が感染の上で重要である 受傷から6〜8時間をGolden periodとされ、創閉鎖の目安とされているが、血流豊富な部位では24時間でも創閉鎖は可能 受傷部位や汚染の程度により、破傷風トキソイドやグロブリン投与の適応を考慮する 受傷状況を確認をし、二次的な創傷でないか、もしくは虐待の有無の評価や、精神科へのコンサルトが必要なのか評価する どのように受傷したか確認し、感染対策や異物検索を考慮する 5
6. 確実な止血 6 出血がある場合には視野が不十分な他に、血腫により創部の感染率が増加し治癒が遅れる 受診時にも出血が続いている場合には、10cm四方の清潔ガーゼで創部を直接圧迫して止血を行う 圧迫止血時は創部を挙上し、出血しない程度の強さで最低10分は圧迫を行う 止血が困難な場合には、10万倍希釈アドレナリンで湿らせたガーゼで5分以上の圧迫を行っても良いが、血流が悪い場所への使用はしない 止血鉗子での血管クランプ、ターニケットなどでの緊縛は使用に習熟した者が使用を行う
7. 指ターニケット 指先からネラトンチューブ(駆血帯)を巻いていく 指先からネラトンチューブ(駆血帯)を外し、指根部を鉗子でクランプする 患者の手より1サイズ小さい手術用手袋の該当する指の部分だけを根元から切り取る 指先を5mm程度切る 指ブロック後、指の先端からしごくようにして外反させ、指の根元でロール状にする
8. 創の評価 創傷感染は救外で処置を受けた創傷のうち3.5〜6.3%に生じる。下肢の創傷が最も感染を起こしやすく(20%)、次いで手足、上肢、体幹とされ、顔面や頭皮では感染しにくい(4%以下) また、手掌や関節は創部離開が多く、感染や創部離開を起こしやすい部位では事前に伝える どの層までの創かを明らかにし、損傷部位により筋膜縫合やデブリドマンの適応について考慮し、縫合方法を検討する 8
9. 合併損傷の確認 救急医に関する訴訟では創傷に関するものが最も多く、その中でも合併損傷が最多(34%)、次点で異物残存(32%)である 合併損傷としては血管、神経、腱・筋、関節、骨の6種類がある 血管損傷では皮膚の色や冷感、圧迫での色調変化、CRTの計測を行い評価する 神経損傷は運動機能と感覚機能を評価する。感覚機能の評価としては二点識別覚検査が有用である。神経支配を意識して、身体所見をとるようにする 腱/筋損傷は複合運動で評価せず、関節を一つずつ動かしてもらい評価をする 関節/骨損傷は受傷部位やエネルギーに応じて適宜画像評価を加える 9
10. 異物の確認 最もよく見逃される異物はガラス片である。ガラス片が創内に残っているかは患者自身には正確に判断は困難である 0.5mm程度の小さなガラス片でも95%が単純X線で確認可能であり、適宜画像評価を加える。X線検査に加えて創部を目視でくまなく観察することが推奨される 木片やその他の有機物はX線ではほとんど写らず、CTやMRI、超音波などが異物探索のための代替手段となる 10
11. 11 創部洗浄の前処置を行う 疼痛のないように麻酔を行う 創部の洗浄は水道水か生理食塩水で念入りに実施する 患者の状態に応じて鎮痛/鎮静を行う
12. 創部洗浄の前処置 手洗い 血液・体液暴露の予防 創部の毛の除去 麻酔 異物除去 創部の湿潤 創部周囲の洗浄 創部洗浄 12
13. 手洗い 外傷創部は清潔ではなく、手術前のようなしっかりとした手洗いは必要としないが、爪は他の部位に比べて細菌が多く隠れているため、よく洗う必要がある 手洗い時の洗浄液はクロルヘキシジンを含有した洗浄液が推奨されている ERでの医療従事者の手洗い率は低く、意識して手洗いをする必要がある アルコールでの手指衛生も石鹸での洗浄と同等とされる 13
14. 血液・体液暴露の予防、剃毛 創処置は血液や体液に暴露するため保護手袋、ゴーグルを身に付けることが推奨されている 手袋は滅菌手袋と非滅菌手袋で感染率に差はないとされており、非滅菌手袋が推奨されているが、細かい作業をするにはサイズのあった手袋を使用するのが良い JAMA Dermatol. 2016 Sep 1;152(9):1008-14. 創部を剃毛すると小さな傷が生じ、そこから細菌が侵入し感染の危険性が増すと言われており、ハサミで周囲の毛を短く整えるのが良いとされている。特に眉は剃らないよう注意 Pediatr Neurosurg 2001; 35:13–17 14
15. 局所麻酔 局所麻酔法には表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔がある 局所麻酔を行う前に必ず局所麻酔アレルギーの有無を問診する 表面麻酔は2~4%キシロカインを粘膜への塗布や噴霧、ガーゼに染みこませたものを圧迫する方法がある 浸潤麻酔は真皮と浅筋膜の接合面に注入する。創縁から麻酔をすると痛みが少ないが、汚染がある場合は表皮から麻酔を行う 局所麻酔注入の痛みを軽減するために、1%キシロカインの1/10量のメイロンⓇを混注し中和すると痛みが軽減される  針は小さめのものを用い、注入スピードを緩徐に行うと疼痛は軽減される。神経走行の中枢側から行うと後半は疼痛が少ない 15
16. 局所麻酔の種類と中毒 アドレナリン添加リドカインは指趾、耳、陰茎などの末梢では禁忌とされるが、近年は指にも使用可能な報告もある。出血が少なく術野確保がしやすくなる 局所麻酔中毒として低血圧や徐脈、痙攣などの症状に注意し、血管内へ注入しないように注意をする 16
17. Digital nerve block(指ブロック) 指ブロックは神経ブロックで最も多く使われており、手足や足趾の中節骨以遠の創傷に推奨される 指ブロックの際はアドレナリン添加リドカインは使用しないように言われているが、今までの研究で合併症の報告例はなし 指ブロックでは2回穿刺し麻酔薬を4回注入する。まず背側指神経を麻酔し、掌側指神経を麻酔し、局所麻酔薬は合計4mlの使用とする 麻酔効果は通常4〜5分で完全に麻酔効果が得られる 17
18. 創部の洗浄 創処置の中で最も基本的で重要なものが   創洗浄である 異物が残存をすると外傷性刺青の原因となる 創洗浄は痛みも伴うため、実施前に局所麻酔を行う 患者が迷走神経反射を起こす危険性もあり、原則的に仰臥位で創洗浄を実施する 洗浄液は水道水か生理食塩水を用いる。本邦で実施する場合にはいずれの差はなく、洗浄部位や場所によって選択をする 18
19. 創部の洗浄 創部には洗浄液としてポピドンヨードなどの消毒液や石鹸は使用しないようにする 創周囲をポピドンヨードで消毒する場合は、創部を横切らないように円形に洗浄する 洗浄に用いる水の量は100〜250mL以上で、汚染の程度に応じて2L程度の洗浄が必要になる 洗浄時に感染率を下げるにはある程度の圧が必要とされ、7psiの圧が必要とされる(19Gの針と30mlのシリンジで7psi) 創部のブラッシングは正常組織も損傷を起こすため、洗浄でも異物が取れない場合には愛護的にブラッシングをする 19
20. 処置時の鎮痛/鎮静 創処置にはかなりの不安感や不快感がある場合は、局所麻酔薬に加えて鎮静薬や鎮痛薬を使用する場合がある 鎮痛/鎮静を行う場合には静脈路確保を行い、モニターでバイタル測定を経時的に行い、救急カートを近くに用意しておく 処置後は患者が覚醒するまで観察し、さらに最低1時間以上経過を見てから帰宅させる 20
21. 21 創部により糸の選択を変える 縫合の原則と縫合法の選択 縫合代替手段の利用適応を考える 創傷被覆の方法を考える
22. 糸の選択 22 創部の条件によって縫合糸を選択する 深部縫合には吸収糸を、皮膚の縫合には非吸収糸を選択する モノフィラメントは1本の繊維だが、ブレイドは細い繊維が多数撚り合わさってできており、ブレイドの方が強度はあるものの、感染予防と組織反応から皮膚縫合にはモノフィラメントの合成糸が推奨される 近年は小児で創部閉鎖に吸収糸を使用している報告も増えている
23. 縫合の原則 23
24. 縫合法 単結節縫合  基本縫合  内反しやすく死腔ができやすい 24 垂直マットレス縫合  死腔ができにくい  瘢痕が残りやすい 水平マットレス縫合  深い創には用いない  手の裂創に用いられる事が多い
25. 創傷用テープの使用法 25 浅く直線的で、皮膚緊張のない状態の裂創 縫合糸によって創縁の血液灌流が悪化する可能性のあるフラップ創 感染のリスクが高い裂創 薄く、脆弱な皮膚の裂創 抜糸後の創部離開予防 適応 通常の創部洗浄を行い、止血後に皮膚表面を乾燥させる テープを1枚ずつ剥がし、半分を創部の中央の片側に貼り付け、創縁を寄せてもう半分を貼る 2〜3mmの間隔をあけて創縁が開かないように均等に貼り付けていく テープの両端に追加のテープを垂直に貼る 抜糸までの期間と同程度は留置する 創部は濡らしたり湿らせたりせず乾燥させる 使用方法
26. ステープラーの使用法 26 頭皮・体幹および四肢の直線的で鋭的な裂創 手や顔面裂創への使用は避ける 致死的な外傷の緊急手術で、広範囲の裂創をすぐに閉鎖したいとき 適応 鑷子を用い創縁を外反させる 皮膚に強くあてないように、軽く創部の直上に当てる 均等な力で静かに針を組織に打ち込む 使用方法 ステープラーは抜去する際にリムーバーを要し、抜去可能なことを確認して使用する ステープラー使用後にCTやMRIを撮像するとアーチファクトやとじ金の動く原因となり、画像検査後に使用する 注意点
27. 皮膚用接着剤の使用法 「Golden period」以内の新しい裂創 創部にかかる緊張が少なく、創縁を寄せやすい裂創 汚染されておらず、隙間亡く閉創できる 出血がほとんどない 接着剤が創面に流れ落ちないようにできる 適応 創部を洗浄し、出血がないように止血する 患者の体位を整え、創部に接着剤が垂れ落ちないようにする(ワセリンなど創周囲に塗布すると垂れ込みを阻止できる) 5〜10mmのゆとりをもって傷の直上に塗布し、30〜60秒間鑷子で創縁を保持する しっかりと創閉鎖するためには3層塗布をする 閉創後24時間は清潔を保ち、水に濡らさないようにする 創部が離開したら、創傷用テープや縫合糸を用いて創閉鎖を行う 使用方法
28. 創傷被覆 創部は湿潤環境にすることで、治癒にかかる時間を短縮し、創部痛を軽減することができる 顔面など血流が多い場所では創傷被覆材なしで抗菌薬含有軟膏のみでみる場合もあるが、浸出液が多い場合や創部離開の恐れがある場合などは抗菌薬含有軟膏、非固着性基材、吸水性ガーゼなどで被覆を行う 抗菌薬含有軟膏は感染予防や創傷治癒の改善のために使用されており、効果的に上皮化を促したという報告も有り、経験的に使用されているが、軟膏塗布の根拠に基づくレビューではどれも根拠に乏しいとされている Emerg Med J. 2002 Nov;19(6):556.   「The Surgical wound」, Lea & Febiger, 1981 28
29. 29 予防的抗菌薬の必要性と選択 破傷風予防 自宅での創部ケア
30. 予防的抗菌薬 動物咬傷でなく、合併症のない小さな創傷の場合、予防的抗菌薬の効果を認める確かなエビデンスは存在しない。小児2834人を対象とした研究では、むしろ感染率が増悪した Ann Emerg Med. 1990 Sep;19(9):1001-5. 予防的抗菌薬を推奨するまでの十分な科学的根拠には乏しいが、経験的には予防的抗菌薬が是認される状況や創傷がある 抗菌薬を使用する場合は初回投与をできるだけ早くしたほうが効果が高く、受傷から3〜5時間以上経過すると感染率が上がることが複数の研究で示されている Surgery 50, 161-168, 1961 30
31. 予防的抗菌薬 31 受傷からの時間:受傷から8時間以上経過した手足の創傷、24時間以上経過した顔の創傷、12時間以上経過したその他の部位の創傷 創傷の状態:大規模なデブリドマンや組織の修復が必要な挫滅創 汚染創:土や植物で汚染された創傷や、大量洗浄が必要な微粒子の混入した創傷 CA-MRSA感染が疑われる場合:HIV、受刑者、MRSA感染既往、スポーツ選手、獣医師、生活困窮者、小児 哺乳類の咬傷、心臓弁膜症、整形外科インプラント後 脆弱な解剖学的部位:軟骨(耳・鼻)、腱、骨、関節の修復 血流障害:静脈疾患、外科術後、リンパ浮腫など 免疫不全:DM、免疫抑制薬、免疫力が低下する疾患 抗菌薬を考慮すべき指針 抗菌薬選択 非咬傷で合併症無し:CEZ div後に3〜5日CEX内服 哺乳類咬傷:AMPC/CVA、第2セフェム+CLDM、ST合剤+CLDM ペニシリンアレルギー:CLDM div後にp.o(マクロライドも代替薬) CA-MRSA疑い:ST合剤、CLDM、DOXY 想定菌不明:ST合剤+CEX
32. 破傷風予防 破傷風は土壌に広く生息する破傷風菌が傷口から入り込み、毒素を放出することで発症する病気である。年間120人ほど発症し、死亡率は30%に達すると言われている 破傷風予防接種は年代により未接種者がおり注意を要する。2008年の時点では抗破傷風毒素抗体陽性率は、0~39歳までは90%以上、40歳代以上は40歳代後半〜50歳代後半では約25%、60歳代以上では約10%と低値とされている また、破傷風発症患者のほとんどが40歳以上との報告もあり、DPTワクチン定期接種開始以前のものの外傷には破傷風予防に注意が必要である  Infectious Agent Surveillance Report (IASR),. 2009 Mar;30:65–66. 32 1968年生まれ以前:予防接種なし 1975~1981年生まれ:予防接種を受けていない可能性あり 1995年生まれ以降:義務接種ではないので要確認
33. 破傷風予防 33 創傷評価 小さく清潔な創傷 それ以外の創傷 破傷風トキソイドを接種。後日2回目以降を実施 最後のワクチン接種は過去10年以内? 直ちに破傷風トキソイドとTIGを接種 最後のワクチン接種は過去5年以内? 破傷風トキソイドを接種。後日2回目以降を実施 本日のトキソイド接種は不要 破傷風トキソイドを接種。後日2回目以降を実施 本日のトキソイド接種は不要 初期免疫が不明or未完成 初期免疫が完成 はい いいえ 初期免疫が不明or未完成 初期免疫が完成 はい いいえ ※小さく清潔な創傷:汚染のない1cm以下の小さな傷
34. 自宅での創部ケア 家での処置の原則は保護、挙上、清潔である 四肢の創傷では下肢や手はリンパのうっ滞から浮腫になりやすく、挙上により浮腫を防ぎ痛みを減らし、創傷治癒を改善する。 直射日光に過剰に曝されると色素沈着をするため、長時間紫外線に曝される場合は日焼け止めが推奨される 34
35. 自宅での創部ケア 複雑でない裂創は最初の被覆材を縫合後 1〜2日で交換する。複雑で汚染のあった創部は24時間は被覆せずに感染を早期に認知することが重要である。その後は 2〜3日間隔で被覆材の交換をする 頭部外傷では縫合早期(8〜24時間)に洗浄をしても治癒や感染リスクに差はなかった。縫合後12〜24時間で入浴できるようになり、創部は水につけずにシャワー浴が望ましい 35
36. 36 抜糸までの期間 縫合糸痕
37. 抜糸までの期間 37 顔は美容面が重視される部位であり、できる限り早めに抜糸を行い、創傷用テープで保護し離開しないようにする 縫合針の刺し穴は小さな創となるが、7〜8日未満で抜糸すれば避けられる。 体幹部や下肢、関節部など力がかかる部位は抜糸までに長期間要する 
38. 縫合糸痕 受傷部位:背部や胸部、上腕、下肢などは他の部位より縫合糸痕が残りやすい。顔面では鼻から下の部分や頬部に多い ケロイド体質 縫合による皮膚緊張:縫合時に過度に緊張がかかると組織の圧縮をきたし縫合糸痕を形成する 縫合糸膿瘍:絹糸や編糸はモノフィラメントやステープラーより縫合した部位で炎症を引き起こしやすい 抜糸までの期間:縫合後14日間以上抜糸しなければ縫合糸に覆われた部位が上皮化し、恒久的な穴として縫合糸痕が残る 38 縫合糸痕のリスクファクター
39. Take Home Message 内科医でも簡単な創処置に対する知識は身に付けておくようにする 合併症をなるべく減らすように注意し、問題があれば専門科へ早めにコンサルトをする 患者本人、家族へ適切にInformationを行い、受診タイミングを指導する 予防的抗菌薬投与、破傷風予防など適切に実施する 自宅でのケアを適切に行って頂くよう指導をする 縫合糸痕を作らないように抜糸時期は逸しないようにする
40. 参考文献 ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード 原著第4版 Alexander T.Trott,岡正二郎 ERの創傷 エビデンスと経験に基づくプラクティス 北原 浩 改訂第5版 救急診療指針 日本救急医学会 外傷処置・小手技の技&Tips はやく,要領よく,きれいに仕上げる極意 改訂第2版 岡崎 睦 ひとりでこなす 外科系外来処置ガイド 白石 憲男 創傷治療ハンドブック 夏井 睦 40