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長澤@腎臓内科

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この透析は離脱できますか?

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長澤@腎臓内科

東北大学病院

内容

〜離脱には尿量チェック、Cr、K、pHの推移が大事〜

◎目次

・こんな経過になったとき、先を見据えて治療できますか?

・RRT 導入から離脱までの流れ

・RRTの基本的な考え方

・RRTの中で緊急血液透析(HD)の適応

・HD開始のタイミング

・RRTの種類

・モダリティ:それほど 重要ではない

・透析量も それほど 重要ではない

・透析はいつ離脱できるか?

・どうやって離脱する?

・透析離脱のために利尿薬は?

・離脱できないとき

・離脱後の注意

・Tips

・架空の症例

・CRRT導入 → 離脱のエッセンス

・スライド 3 の細々したポイント

・Q&A RRTの論文検索がうまくいかないんだけど?

・Q&A 離脱できるか前もってわかる方法は?

・Q&A 尿が出ても Cr や K が上がるのは?

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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内容

〜離脱には尿量チェック、Cr、K、pHの推移が大事〜

◎目次

・こんな経過になったとき、先を見据えて治療できますか?

・RRT 導入から離脱までの流れ

・RRTの基本的な考え方

・RRTの中で緊急血液透析(HD)の適応

・HD開始のタイミング

・RRTの種類

・モダリティ:それほど 重要ではない

・透析量も それほど 重要ではない

・透析はいつ離脱できるか?

・どうやって離脱する?

・透析離脱のために利尿薬は?

・離脱できないとき

・離脱後の注意

・Tips

・架空の症例

・CRRT導入 → 離脱のエッセンス

・スライド 3 の細々したポイント

・Q&A RRTの論文検索がうまくいかないんだけど?

・Q&A 離脱できるか前もってわかる方法は?

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この透析は離脱できますか?

  • 1.

    この透析は 離脱できますか? 〜離脱には尿量チェック、Cr、K、pHの推移が大事〜 長澤@腎臓内科

  • 2.

    こんな経過になったとき、先を見据えて治療できますか? ● 50歳男性、体重50kg、糖尿病歴 18年、心筋梗塞の既往あり ● Cr = 1.5mg/dL、HbA1c = 8.3%、尿タンパク 3.0g/gCre ● 今回は 2-3日前から、足が膿んでいた。昨日から発熱 横になると苦しくなるために受診を早めた ● 121/78mmHg、 HR=96bpm、38.1度、左足下肢に熱感腫脹あり、創部から膿が出ている WBC=18500/μL(Neu=90%)、CRP=12.3mg/dL、 Cr=2.3md/dl、BNP=520pg/mL ● 血培採取後、VCM+MEPMで治療開始も、入院三日目から尿量渋くなってきた ※ 尿量渋い:臨床的には 0.5mL/kg/h を 3−6 時間下回るとこう言うことが多い

  • 3.

    RRT 導入から離脱までの流れ ✔ RRT(Renal Replacemet Therapy):腎代替療法 大体は重症患者 Renal Indicationで 導入 尿が出てきたら 離脱を検討 尿が出るまで サポートを続ける もの凄くざっくり説明すると上記になる この部分を次頁から解説する ※実際には細々としたポイントがある 尿が出ない場合の プランも考えておく

  • 4.

    RRTの基本的な考え方 ✔ 腎機能障害で身体の恒常性が破綻した際のサポート → Renal Indication ✔ 敗血症などのサイトカイン除去 → Non Renal Indication(最近は旗色が悪い)

  • 5.

    RRTの中で緊急血液透析(HD)の適応 ✔ Renal Indication = 破綻した恒常性へのサポート ● 利尿剤に反応しない溢水 → 主に心不全、SpO2>95%を保つ為に>5L FM or FiO2>0.5以上必要な時で フロセミドが十分量投与しても利尿がつかないとき ※フロセミド十分量 = Cr値×40mg(経験上) ● 内科的治療でもK>5.5mmol/L → 心電図変化を伴う場合や尿が出ない場合と捉える ● 代謝性アシドーシス(pH<7.15) → 代謝性アシドーシス単独で透析の適応になるのは稀な印象、下記の中毒などの場合が多い ● 一部の中毒 → 一般的にはアルブミンと結合しない水溶性小分子が有効。 Ex:アルコール、エチレングリコール、 カフェイン、アシクロビル、、、

  • 6.

    HD開始のタイミング ● ICUに入る様な重症な患者の研究が多い ※参考:AKIKI、ELAIN、IDEAL-ICU研究など。ただし海外は導入までかなり粘る印象 ● 適応を満たす前にHDを始めてもメリットはなし STARRT-AKI (N Engl J Med 2020; 383:240-251) ● (適応があるが)さらにデータ悪化まで粘ってもHDを回避できず、若干死亡率↑ AKIKI 2 (Lancet 2021;397:1293-1300.) ● 適応を満たすタイミングで速やかにHDを導入する準備が大事 → 尿量低下(<0.5ml/kg/h)で溢水 and/or 高K血症(K>5.5mmol/l) (1時間後に適応満たしそうなときに準備開始するイメージ)

  • 7.

    RRTの種類 モダリティ 回数 組み合わせて以下などがある。 • 血液透析(HD) • Intermittent(3-4h) • 血液ろ過(HF) • Continuous(24h) • IRRT • 血液ろ過透析(HDF) ※上記2つの中間として下記 • CRRT • 腹膜透析(PD) • 腎移植 (1回6-8h、週5−6回) • EDD (extended daily dialysis) • SLED (sustained low-efficiency dialysis) ※EDDとSLEDは細かくいうと、透析液量が違うが割愛 D:Dialysis(透析):濃度差と透析膜での移動(透析膜の孔の系より小さいものが移動できる) 簡単に言えば、コヒーフィルターで豆とコーヒーを分離(これは重力、透析は圧で調整) F:Flitration(拡散):濃度差での移動 • CHDF • CHD • CHF ※本邦ではCHDFが大半

  • 8.

    モダリティ:それほど 重要ではない モダリティ → 差なし ✔ HD vs CRRT(Lancet. 2006 Jul 29;368(9533):379-85) ✔ CRRTは万能の治療ではない!あくまで恒常性をサポートするために 必要な量だけにするのがベター(理想的には) ✔ 実際には人員などの都合により影響される印象 ✔ 原疾患の治療が最優先!

  • 9.

    透析量も それほど 重要ではない 血液浄化量 Low vs High→差無し 歴史的には、透析量(血液の時間あたりの処理量)を多くすれば 病態が改善するかもと言う期待があったが… ✔ ATN Study(N Engl J Med 2008; 359:7-20) ✔ Renal Study(N Engl J Med 2009; 361:1627-1638) → 浄化量は20-25ml/kg/hで落ち着いている ※慢性維持透析と混同しない、あくまでこれは急性期の話 ✔ HDできない状況(バイタル不安定、低血圧など)がCRRTの適応 → 患者の状態みて個別判断、現実的には施設の状況なども関係する

  • 10.

    透析はいつ離脱できるか? ● まず尿量が確保できる → 尿量<0.3mL/kg/h、<500mL/day くらいではまず無理、 600−1000mL/日以上でていることが必要なことが多い ● その上で、透析前のCr値が上がってこない → 間欠的透析であれば、前回の透析前の 7 掛けくらいのイメージ ● 電解質異常がない(特に高K血症) → 尿が出ていても、老廃物や溶質を十分に出せていない場合がある

  • 11.

    どうやって離脱する? ● CHDF → 間欠HDへ(1日おき)やSLEDへ移行し、回数↓時間↓をめざす ● 尿量がでており、バイタルが安定していれば、透析をスキップしつつ 毎日採血して、Cr、K、pHの推移を見守る 尿が出ていても油断しない ● Cr が上がり止まればOK → フォローの回数を減らす → 上げ止まった Cr の値で、AKI 後の CKD として加療を続ける ● 必要時はHDを行う(溢水、高K血症、尿毒症など出たら)

  • 12.

    透析離脱のために利尿薬は? ● 無尿を解除するのにフロセミドは無効 ● フロセミドで利尿が得られてもHD離脱は早まらない (10 myths about frusemide Intensive Care Med. 2019 ;45(4):545-548) (Ann Intensive Care. 2019 Jul 24;9(1):85) (Spark-Study J Crit Care. 2017 Dec;42:138-146) ● もちろん、他の利尿剤を加えても同様 ● ただし、体液量過剰の時には考慮してよいかも (小規模な研究は結構存在する) やはり原疾患の治療が大事!

  • 13.

    離脱できないとき ● 血液透析導入を想定して、ブラッドアクセスを検討 ● 治療撤退(Withdraw)と方針が決まっても、RRTをしないという 選択肢は結構大変 → 透析ができない理由が必要になってくる、訴訟対策 ● 負け戦の時にどこまでするかはあらかじめ相談しておく ほうががベター

  • 14.

    離脱後の注意 ● AKI の回復期は利尿がついて脱水気味になる事がある 補液を適切に ● 上記に伴い低 K 血症となる場合は補充する ● この回復期に無理に「低タンパク食」にしない → 低タンパク食は長期予後のために考えるものである ● AKI 後 CKD でも血圧は大事なので測定する癖をつける

  • 15.

    Tips 血液透析開始のタイミング ✔ 尿量低下(<0.5mL/kg/h)で溢水や高 K 血症(K>5.5mmol/L) 血液透析離脱のチェックポイント ✔ 尿量 0.5mL/kg/hで、透析前 Cr 上がらなくなってくる時を見極める 離脱後の観察ポイント ✔ 尿量 OK? Cr、K上がり続けない? pH下がらない?

  • 16.

    架空の症例 ✔ 50歳男性、体重50kg フロセミドに反応しない、足壊疽あり心不全 時系列 尿量 (ml/dL) 尿量 K Cr (ml/kg/h) (mmol/L) (mg/dl) 入院時 1152 0.8 5.1 1.5 pH 臨床経過 7.4 足壊疽→敗血症の診断で抗生剤+補液するも血圧低めで 推移、血液培養からはGPCが検出。 頭の中 ちょっと腎機能悪い糖尿病患者が重症化しやすい。 入院 +2日目 864 0.6 5.5 2.3 7.3 NEなどで血圧サポートするも尿が渋くなってきた (観察を厳しく。尿量6時間毎→2時間毎など) 尿が出ない+高Kは怖い! HD導入時 入院+2.5日目 576 0.4 6 3.2 7.2 全身状態が上向きにならなさそうであり、尿量低下 (<0.5ml/kg/h)で溢水や高K血症(K>5.5mmo/L) で透析開始、1時間後に適応基準満たしそうだったら開始 入院3−7日目 0 0 4 3 7.5 透析頻度毎日(CHDF) HD導入8日 432 0.3 4.5 3 7.5 透析頻度毎日 少し尿が出てくるが、まだこれでは足りないのでCHDF継続.血圧 も上がってきてカテコラミンから離脱できそう。 HD導入10日後 864 0.6 4.5 3 7.4 透析頻度1日おき 尿量が出てきた 、うっ血もコントロールされているので、CHDFは 終了、HDを一日おきに5時間してみる HD導入12日後 1152 0.8 4.8 2.9 7.3 透析頻度2日おき 透析前の採血では、Cr,Kも上がってこない。HDを2日おきに4時間 にしてみる。 透析離脱 1440 1 4.5 2.6 7.2 Cr、K、pHを見守りながら尿量戻ったので離脱 尿量は十分、Crも上がってこないので 連日Cr,Kを計測しつつ必要 時HD入れる 方針で。 離脱後 1728 1.2 4.3 2 7.3 K補充、低タンパク食にしない、血圧は大事 尿が渋くなった時点で観察をまめにする。 恒常性を保てる尿が出ないので、RRTを速やかに導入。 血圧低いので、CHDF導入。導入後データはCHDF中なのでよく 見える。 離脱は問題

  • 17.

    CRRT導入 → 離脱のエッセンス HDの回数を減らしつつ、 Cr↑K↑pH↓がない事を確認。 pH, K(mmol/L) Cr(mg/dL) 尿量↓で 観察をまめに 導入は ためらわず 離脱には 尿量が必要 入院からの日数(day) 実際にはバイタルや感染などにより無限にバリエーションがあるが、 重症患者は尿の多寡をチェックする癖をつけておく 尿量 (mL/day)

  • 18.

    スライド 3 の細々したポイント ● 原疾患を考える事が大事(急性尿細管壊死が多いが、たまに間質性腎炎なんかがある) ● 無尿が2週間くらい続くことは結構ある → 最長で無尿が3ヶ月続いた後に尿が出て離脱できた経験あり ● 除水量(通常少なめに設定しているが、実は500mL/h以上除水することはできる) ● 画像検査などの時に辞めて良いか? → むしろ継続して24時間のCRRTが必要な状態の方が稀、いつも回数や時間を減らせないかは考えておく ● 抗生剤の量については難しい(血中濃度が上がらない懸念がある) ● 長期になると微量元素↓や栄養の問題がある 生命を助けるために、腎臓を捨てるという選択肢もある

  • 19.

    Q&A RRTの論文検索がうまくいかないんだけど? ✔ ブラッドアクセスを入れて、下記の様に書くこともある → 海外の論文検索などで必要になる CVVH(continuous veno-venous hemofiltration) CVVHDF(continuous veno-venous hemodiafiltration) CVVHD(continuous veno-venous hemodialysis) CAVHD(continuous arterio-venous hemodialysis) ✔ 返血は原則的に 静脈、脱血は 動脈 でも 静脈 でもOK ✔ 例えば、冠動脈虚血+心不全で無尿の状態でPTCA後に動脈 のシースから脱血、 静脈 へ返血なんて事はOK(ただし、短時間にした方が良い)

  • 20.

    Q&A 離脱できるか前もってわかる方法は? ✔ Cr や NGAL(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン:Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin)などが示唆されている ✔ 現時点では尿量がメインである模様 → 含まれる疾患の原病、重症度などの幅が広すぎて個別の判断になるのだろう 参考文献 下記から孫引きすると色々分かる Katulka RJ, et al. Determining the optimal time for liberation from renal replacement therapy in critically ill patients: a systematic review and meta-analysis (DOnE RRT). Crit Care. 2020 Feb 13;24(1):50. Stads S, et al. Predictors of short-term successful discontinuation of continuous renal replacement therapy: results from a prospective multicentre study. BMC Nephrol. 2019 Apr 15;20(1):129.

  • 21.

    Q&A 尿が出ても Cr や K が上がるのは? ✔ 腎臓の機能は「ろ過」と「再吸収」 ✔ 真水みたいな尿が出る(溶質は排泄されない)場合 が結構ある → 尿電解質、尿クレアチニンなどを見ておくとわかる ✔ その場合には尿量が出ていても血清の Cr や K は上がっていく → 尿だけでは分からないので採血して確認する理由 ✔ AKI の利尿期、透析患者の導入後などでもこの様なことが観察される

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