テキスト全文
肘関節腫瘤の症例紹介と診断
#3. Case 54: 60代女性 左肘関節部の腫瘤を自覚し受診した.
肘頭滑液包炎のキー画像診断
#4. キー画像(単純X線写真) 正面像 側面像 4
#5. キー画像(超音波・MRI) 超音波 T2WI 5
#6. キー画像(MRI) FS-T2WI T2WI 6
肘頭滑液包炎の診断と正解
肘頭滑液包炎の画像診断結果
#10. キー画像(単純X線写真) 正面像 側面像 左肘頭表層に軟部濃度腫瘤あり. 肘頭骨折や肘関節の変形性変化なし. 10
#11. キー画像(超音波・MRI) 超音波 左肘頭表層の液体貯留 T2WI 高信号を示す嚢胞性腫瘤 11
#12. キー画像(MRI) FS-T2WI 周囲軟部組織の浮腫 T2WI 高信号を示す嚢胞性腫瘤 12
肘頭滑液包炎の診断とその後の経過
#13. 診断 肘頭滑液包炎(olecranon bursitis) 13
#14. その後の経過 Ø 嚢胞内容液の穿刺吸引が施行されたのち,安静冷却による保存的 加療が施行された.内容液の細菌培養は陰性であった. 14
#15. TODAY’S MESSAGE 肘頭周囲の液体貯留を見たら 肘頭滑液包炎を想起しよう.
肘頭滑液包炎の定義と画像診断
#16. 肘頭滑液包炎とは? 肘頭滑液包炎の画像診断
#17. 肘頭滑液包炎とは? 肘頭滑液包炎の画像診断
#18. 肘頭滑液包炎とは Ø 滑液包: 関節近傍に存在する 潜在的な液体貯留腔で,肘頭表 層の皮下に肘頭滑液包がある. Ø 肘頭滑液包炎: 肘頭滑液包に 炎症を生じた状態のこと. Ø 肘立て (student’s elbow) など の反復性外傷が原因の90%. 18
#19. 1-3) 肘頭滑液包炎 Ø 好発年齢は 30~60 歳. Ø 男性 > 女性. Ø 波動を触知する境界明瞭な腫瘤. Ø 反復性外傷(90%)のほか,感染症,結晶沈着(痛風・偽痛風), 全身疾患(関節リウマチ,SLEなど)が原因となりうる. Ø 保存的治療で軽快するが,初回治療時には原因検索も 兼ねて内容液の穿刺吸引が行われる.
#20. 肘頭滑液包炎とは? 肘頭滑液包炎の画像診断
肘頭滑液包炎の画像診断法の詳細
#21. 1-3) 肘頭滑液包炎の画像診断(単純X線写真) Ø 肘頭表層の軟部濃度腫瘤. Ø 肘頭骨折や肘関節の変形性変化 についても評価しておく. 21
#22. 1-3) 肘頭滑液包炎の画像診断(US) Ø 肘頭表層の液体貯留(無エコー+ 後方エコー増強). Ø 嚢胞壁の厚みや隔壁の有無,血流 の有無なども評価できる. 22
#23. 1-3) 肘頭滑液包炎の画像診断(CT/MRI) Ø 肘頭表層の液体貯留/嚢胞性腫瘤. Ø 内容液は T1強調像で低信号, T2強調像で高信号を示す. Ø 反復例や慢性例では,嚢胞壁の 肥厚や隔壁などを認める. Ø 炎症波及を反映して,脂肪抑制T2 強調像で周囲軟部組織や筋・骨 などに高信号を認めることもある. 23
症例の診断の流れと確認
#24. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. 24
#25. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. ② 骨折はなさそう. 25
#26. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. ② 骨折はなさそう. ③ エコーだと中身は液体みたいだ. 26
#27. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. ② 骨折はなさそう. ③ エコーだと中身は液体みたいだ. ④ MRIでも嚢胞でよさそう. 27
#28. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. ② 骨折はなさそう. ③ エコーだと中身は液体みたいだ. ④ MRIでも嚢胞でよさそう. ⑤ 周りにも若干浮腫がありそう. 28
#29. 今回の症例で診断の流れを復習!! ① 左肘に軟部腫瘤があるな. ② 骨折はなさそう. ③ エコーだと中身は液体みたいだ. ④ MRIでも嚢胞でよさそう. ⑤ 周りにも若干浮腫がありそう. 肘頭滑液包炎でよさそう!! 29
肘頭滑液包炎の重要なメッセージ
#30. TODAY’S MESSAGE 肘頭周囲の液体貯留を見たら 肘頭滑液包炎を想起しよう.
#31. Ø 肘頭部の腫瘤をみた場合,嚢胞や充実部など内部性状を評価し, 肘頭滑液包炎でよいか一考しよう.
参考文献と関連情報
#32. 参考文献 1. Shikino K, Katsuyama Y, Ohira Y, Ikusaka M. Acute Onset of Elbow Swelling. AFP. 2016;94(3):243-244. 2. Nchinda NN, Wolf JM. Clinical Management of Olecranon Bursitis: A Review. The Journal of Hand Surgery. 2021;46(6):501-506. 3. Floemer F, Morrison WB, Bongartz G, Ledermann HP. MRI Characteristics of Olecranon Bursitis. American Journal of Roentgenology. 2004;183(1):29-34.