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小児外科領域のERASについて

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2022/6/1
山田直樹

大島病院

小児外科領域のERASについての包括的な研究論文の紹介です。

少しでも参考になれば幸いです。


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小児外科領域のERASについて

  1. An enhanced recovery after surgery pathway in pediatric colorectal surgery improves patient outcomes Laura N. Purcell ¹⁾, Kathleen Marulanda ¹⁾, Matthew Egberg ²⁾, Sabrina Mangat ³⁾, Christopher McCauley ³⁾, Nicole Chaumont ¹⁾, Timothy S. Sadiq ¹⁾, Concetta Lupa ⁴⁾, Peggy McNaull ⁴⁾, Sean E. McLean ¹⁾, Andrea Hayes-Jordan ¹⁾, Michael R. Phillips ¹⁾, 1)Department of Surgery, University of North Carolina at Chapel Hill, NC 2)Department of Pediatrics, University of North Carolina at Chapel Hill, NC 3)College of Medicine, University of North Carolina at Chapel Hill, NC 4)Department of Anesthesiology, University of North Carolina at Chapel Hill, NC Journal of Pediatric Surgery,Journal of Pediatric Surgery 56 (2021)p115–120 選択必修BSL小児外科 自治医科大学医学部5年 山田直樹

  2. 背景  Enhanced recovery after surgery (ERAS)は、術後の早期回復を目指して周術期の管理方法を集学的に実施するプロトコルである。  特に、成人の結腸・直腸手術の領域において、手術侵襲等のストレスからの回復をはやめるために用いられている。  既存の研究では、成人および小児の小規模集団でのERASを用いた周術期管理が実施されているのみであり、その研究では、合併症の増加はなく、入院期間の短縮、オピオイド相当量の減少、経口摂取再開までの時間の短縮が示された。  しかし、小児外科領域でのERASの研究にはより包括的な研究が必要である。

  3. ERAS(enhanced recovery after surgery ) 小児外科の有効なプロトコルの要素を抜粋 術前 入院前カウンセリング 併存症の管理 絶飲食をしない オピオイドの非使用 術中 静脈血栓症予防 抗菌薬投与 適切な麻酔 侵襲の最小化 悪心/嘔吐の予防 経鼻胃管の非挿入 低体温の予防 術後 腹腔内ドレーンの非使用 補液を使用しないことを目指す 尿道カテーテルの早期離脱 術後のイレウス予防 オピオイドの節減 周術期栄養スクリーニング 早期離床 プロトコルの検証・監査

  4. 目的 小児外科領域における包括的なERASプロトコルの効果を評価する。 具体的には、小児の結腸・直腸手術の患者集団が、ERASプロトコルを実施したと仮定すると、合併症を増加させることなく、入院日数、経口摂取再開までにかかる時間の短縮、オピオイド相当量が減少すると予想した。

  5. 方法① ・後ろ向きコホート研究 ・場所: University of North Carolina at Chapel Hill, NC ・対象:2014年から2019年までの結腸・直腸手術(開腹と腹腔鏡下)を行った小児患者(2歳以上18歳以下)139人(n=139) ERASの介入を行った患者と行わなかった患者(対照群)に分ける。 ・ERASの最初の導入開始は、2015年9月より実施された。その後、2回目の導入は2018年11月、計3回おこなわれた。 ・手術を行った医師は8人

  6. 方法② 主要エンドポイント:術後の入院期間、モルヒネ相当量(MME:/㎏)、経口摂取に移行するまでの時間 解析方法  主要エンドポイントの単変量解析  ERASを導入した前後の共変量解析  主要エンドポイント、年齢、性別、手術方式、ASA分類、開腹  対腹腔鏡、MME/㎏、での多変量線形回帰分析  信頼区間95%、α=0.05

  7. 方法③-1

  8. 方法③-2

  9. 方法③-3

  10. 結果① 表1 コホート研究全体、ERASプロトコルで管理された患者、対照患者の統計学的及び周術期の特徴の比較

  11. 結果② 表2 ERASを導入した患者の年齢、術前のオピオイド使用、神経ブロックおよび局所麻酔、施行した術式を制御した時の総モルヒネ相当量(MME/㎏)の変化を表す多変量線形回帰分析

  12. 図1 ERASプロトコルの導入実施前と実施後の総モルヒネ相当量(MME/㎏/day)の経過 青線は、体重と時間を制御して使用したモルヒネ相当量の中央値。赤線は、信頼区間の上限と下限を表す。 結果③

  13. 結果④ 表3 ERASを導入した患者の年齢、ASA分類、手術の方法(開腹vs腹腔鏡)、総モルヒネ相当量(MME/㎏)、術式を制御した時の入院期間の変化を表す多変量線形回帰分析

  14. 結果⑤ 表4 ERASを導入した患者の年齢、手術の方法(開腹vs腹腔鏡)、ASA分類、総モルヒネ相当量(MME/㎏)、術式を制御した時の経口摂取再開までの時間の変化を表す多変量線形回帰分析

  15. 結果をまとめると・・・ ・総モルヒネ相当量(MME/㎏)   →ERAS・年齢・術式 が影響 ・入院期間   →総モルヒネ相当量(MME/㎏) が影響 ・経口摂取再開までの時間   →ERAS・年齢・総モルヒネ相当量(MME/㎏) が影響

  16. 考察 ・この研究では、ERASを導入した患者は、術後の入院期間が約40時間短縮され、尿道カテーテル抜去までの時間と経口摂取再開までの時間が約1日短縮された。 ・ERAS導入後の患者の入院中の総モルヒネ相当量は、著しい減少がみられた。 ・多変数回帰分析では、ERAS導入後の患者では、周術期の総モルヒネ相当量と経口摂取再開までの時間で、減少が見られた。 ・合併症の増加がない中で、総モルヒネ相当量の減少が、入院期間の短縮に影響している。 ERASプロトコルに含まれる術前の炭水化物摂取、術後の離床までの時間、排便機能の回復までの時間、術後の悪心嘔吐は後ろ向き研究であったため、追跡できなかった。 重症の潰瘍性大腸炎や、家族性大腸腺腫症の予防的結腸切除の患者も含まれるので、結果に影響している可能性がある。

  17. 結論 ・小児の結腸・直腸手術患者の管理においてERASを行うことで、経口摂取再開までの時間と入院期間を短縮でき、オピオイドの使用を減少できる。 ・開腹手術を受けた患者に対しても、ERASによって予後が改善する。 ・今後は、後ろ向き研究ではなく、前向き研究が必要である。

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