#4.
つまずき① 上手く専門家につなげられない 緩和ケアは大事だと思うし
早期から始めるらしいけど いつもギリギリになって
慌てて緩和ケア病棟に転院させちゃうんだよなぁ… どんなタイミングで誰に
相談したら良いんだろう?
#5.
つまずき② 患者への説明が上手くいかない 残念ながら有効な抗がん剤はもうありません。
ここからは緩和ケアに移行しましょう。
緩和ケア病棟に行けばゆっくり過ごせますよ。 緩和ケアって…もう末期ってことですか?
私はまだ諦めたくないです。
まだ何か他に治療はないでしょうか?
#6.
ということで、本日の講演は… 緩和ケアチームや緩和ケア病棟に紹介・コンサルトする“緩和ケアの入り口”でつまずかないために!
1) 緩和ケアの概念を、より具体的に理解する
2) 緩和ケアの専門家やチームへの紹介のコツを知る
3) 患者や家族への説明の仕方を見直す
#7.
緩和ケア(特に「早期からの緩和ケア」)について、より具体的に理解しよう! Section-1
#8.
質問 あなたは「早期からの緩和ケア」について知っていますか?
1)よく知っているし、実践できる
2)知ってはいるが、実践できる自信はない
3)あまりよく知らない
4)なにそれ?初めて聞いた…
#9.
見たことのある図だと思いますが… 従来のモデル 現在のモデル このへんの緩和ケアって
具体的に何するの?
#10.
さっきの図を、より分かりやすくしてみる 診断時
(発病初期) がんの治療 意思決定支援、心理社会的ケア、(家族ケア) 終末期ケア 身体症状の緩和 療養環境の調整 身体症状出現 ADL低下 死亡 全身状態悪化 「緩和ケア=終末期ケア」ではなく、意思決定支援、心理社会的ケア、身体症状の緩和などは早期からでも必要な緩和ケア
#11.
早期からの緩和ケアのメリットは? ・遠隔転移のある肺癌患者を対象に、専門スタッフが初診時から意思決定支援、心理社会的ケア、症状緩和を行った結果…
①QOLが向上 ②身体症状が低減 ③生存率が改善
・専門家による緩和ケア介入がQOL改善に及ぼす効果は僅かだったが、早期から介入を開始した場合に限ると、QOLは明らかな改善を示した *Temel JS, et al. NEJM 2010: Aug 19; 363: 733-42 *Gaertner, et al. BMJ 2017; 357: j2925
#12.
日本では“専門家”がまだまだ足りない 緩和ケアのニーズは拡がり続けているが
専門家の数は充足しているとは言いがたい
参考(2023年4月時点):日本緩和医療学会専門医 335名 ←麻酔科専門医の約1/10 早期からの緩和ケア 非がん疾患の緩和ケア 救急・集中治療領域の緩和ケア がん緩和ケア
#13.
重要になるのが“基本的緩和ケア” 基本的緩和ケア
緩和ケアを専門としない
全ての医療者が担う 専門的緩和ケア
緩和ケアを専門とする医師や看護師らのチームが担う 連携 ・医療者なら誰でも、基本的緩和ケアの担い手になりうる!
・専門的緩和ケアを始めるには、紹介やコンサルトが必要!
#14.
改めて、さっきの図を見てみると… 発病 がんの治療 意思決定支援、心理社会的ケア、(家族ケア) 終末期ケア 身体症状の緩和 療養環境の調整 身体症状出現 ADL低下 死亡 全身状態悪化 どれも「専門家でなければ手を出せない」ものではなく
治療と併行して普通に行える(行っている)こと
⇒緩和ケアは、特別・特殊なものではない!
#15.
補足:非がん疾患の緩和ケア イメージしやすいよう“がん緩和ケア”の例を挙げて話すが、がん以外の疾患の方が、基本的緩和ケアの役割はより大きい
理由
1)治療医による予後予測や治療限界の判断がより重要
2)疾患の治療が症状緩和にも繋がることが多い
3)現状では緩和ケア病棟の利用ができないため、一般病棟や急性期病棟で治療から看取りまで行うことが多い
#16.
Section-1 まとめ 緩和ケア=終末期ケアではない!
┗「じゃあ何をするの?」ということを具体的に知っておく
例)意思決定支援、心理社会的ケア、症状緩和などは早期から必要になることが多い
緩和ケアは、特別なものではない!
┗医療者は誰でも基本的緩和ケアの担い手である
専門的緩和ケアと上手く連携することも、大事な役割
#17.
専門的緩和ケアへの紹介のコツを知ろう! Section-2
#18.
質問 実体験でも想像でも構いませんが、緩和ケアチームや緩和ケア病棟に患者を紹介するタイミングや方法について、「難しい」と感じますか?
1)とても難しいと感じる
2)難しいと感じる
3)あまり感じない
4)全く感じない
#19.
つまずき① 上手く専門家につなげられない 緩和ケアは大事だと思うし
早期から始めるらしいけど いつもギリギリになって
慌てて緩和ケア病棟に転院させちゃうんだよなぁ… どんなタイミングで誰に
相談したら良いんだろう?
#20.
専門的緩和ケアの提供体制 ②緩和ケア外来
自宅などから外来通院中の患者の緩和ケアを行う ④在宅緩和ケア
医師や看護師が自宅を訪問し、緩和ケアを提供する ①緩和ケアチーム
治療期から主治医らと共同で緩和ケアを提供するサポートチーム ③緩和ケア病棟
緩和ケアを提供することに特化した病棟
#21.
具体例1:緩和ケアチーム・外来への相談 状況)通院治療中の患者が、病状以外の点で気になっている
⇒緩和ケアチームの看護師に相談してみましょう! あの患者さん、独居で身寄りがないらしいけど
何か困ってないかな…。相談する相手とか、
体調悪いとき頼れる人がいるのかな?
#22.
緩和ケアチームの看護師を頼る 早期からの緩和ケアのキーパーソンは、看護師!
┗患者が困っていることの相談に乗り、問題をアセスメントしたり、
精神的な支えになったり、必要時には多職種に繋いでくれたり…
患者や家族も抵抗感なく、色々なことを相談しやすい ○○さんは独居で身寄りがないらしいので
ちょっと気になってます。外来に来たとき、
声をかけてあげてもらえませんか? 緩和ケアチーム看護師への相談の例)
#23.
具体例2:緩和ケアチーム・外来への相談 状況)患者の症状のマネジメントが上手くいかず困っている
⇒緩和ケアチーム(外来)の医師に相談してみましょう! この患者さん、いつも痛みを訴えていて
鎮痛剤を増やしているけど、全然良くならない…
他に方法は? そもそも心の問題なんじゃない?
#24.
紹介目的、現状、今後の見通しが重要! 【紹介目的の例】
治療と併行して痛みや精神症状等の専門的診療を依頼したい
治療方針の検討(意思決定支援・ACP)に関わってほしい
抗がん治療を終えるので、主治医を引き継ぎたい 肺癌の患者で、抗がん剤治療は効いているので
当分継続予定なのですが、鎮痛剤を増やしても
胸痛の訴えが改善せず、気持ちも落ち込んでいます。
痛みと精神面について併診してもらえませんか? 緩和ケアチーム医師へのコンサルトの例)
#25.
具体例3:緩和ケア病棟への相談 状況)抗がん剤治療が奏功せず、選択肢もなくなってきている
⇒緩和ケア病棟への紹介を検討してみましょう! いま使っている抗がん剤が効かなくなったら、
そろそろ治療の選択肢がなくなるな…
#26.
緩和ケア病棟の特徴を知っておく 基本的に、負担や苦痛を感じる検査・治療は行わないが、
症状緩和に関しては、積極的に取り組む
┗「何もしない」のではなく「緩和ケアをする」ための場所
保清や介助などの看護・ケアが手厚い
┗体調が悪いと簡単な身の回りのことができないので、とても助かる
多職種が関わり、心理社会的なケアやリハビリ等も行う
┗特にリハビリのニーズは高い
静かで落ち着いた環境で療養できる
┗特に体調が悪いときは、環境の良さは想像以上に重要!
#27.
緩和ケア病棟への紹介の流れ ①情報提供:受け容れ状況を確認し、診療情報提供書を送付
②面談:緩和ケア病棟についての説明を聞きに行く
③入院:すぐ入院する必要がなければ、まずは外来で状態観察
★ラストラインの抗がん剤治療中なら、紹介するのに早すぎない! 膵癌の患者で、現在行っている治療の効果がなくなれば、抗がん剤治療は終了する見通しです。
今後急速に状態が悪化しうるので、
早めに外来で状態観察を始めてもらえませんか? 緩和ケア病棟への紹介の例)
#28.
具体例4:在宅緩和ケアへの相談 状況)外来で経過観察中の患者の状態が悪くなってきた…
⇒在宅緩和ケアを検討してみましょう! 通院するのもキツそう…入院しても良いけれど
「入院は嫌。できるだけ家で過ごしたい」って
いつも言ってる人だからなぁ…
#29.
在宅緩和ケアの主な担い手を知る ●訪問看護ステーション(訪問看護):定期的な状態観察、服薬管理、訪問看護入浴、点滴や処置、緊急時の対応などを行う
●在宅療養支援診療所(訪問診療・往診):定期的な訪問診療、処方、処置、緊急時の往診などを行う(在宅看取りの可能性がある場合は必須!)
●居宅介護支援事業所:ケアマネージャーが介護サービスの利用を支援 今は訪問看護や訪問診療を利用すれば、入院するのと遜色ないくらいのケアが受けられます。
もちろん、必要なときは当院に入院もできます。 患者への説明の例)
#30.
Section-2 まとめ 専門的緩和ケアと上手く連携するための3つのコツ
コツ①:迷ったら早めに相談する!
┗専門的緩和ケアへの紹介時期として「ちょうど良かった」との評価が最も多かったのは、抗がん治療中・経過観察中
遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究4(J-HOPE 4)p.83-89
コツ②:紹介目的、現状、今後の見通し の3点を明確に
┗(私見ですが)上記がしっかり伝わると連携がスムーズに!
コツ③:必要時は共に緩和ケアに取り組む
┗紹介後も、必要に応じて紹介先の緩和ケア科などと連携を!
「見捨てられ感」を減らす効果もあるかもしれない(詳しくは後述)
#31.
患者・家族への説明を見直そう! Section-3
#32.
質問 実体験でも想像でも構いませんが、患者や家族に緩和ケアについて説明することを「難しい」と感じますか?
1)とても難しいと感じる
2)難しいと感じる
3)あまり感じない
4)全く感じない
#33.
つまずき② 患者への説明が上手くいかない 残念ながら有効な抗がん剤はもうありません。
ここからは緩和ケアに移行しましょう。
緩和ケア病棟に行けばゆっくり過ごせますよ。 緩和ケアって…もう末期ってことですか?
私はまだ諦めたくないです。
まだ何か他に治療はないでしょうか?
#34.
何が問題なのでしょうか? 「ここからは緩和ケアです」「緩和ケアに移行しましょう」「あとは緩和ケアしかありません」…よく聞く言い回しですが、言われた側はおそらくこういうイメージをもつはず 今ここ?
#35.
では、どう説明すればいいのか? 患者や家族に、できるだけ抵抗感なく緩和ケアを受け容れてもらえる(と思われる)3つのコツ
コツ①:早期からの緩和ケアが“標準的”であると説明
コツ②:緩和ケアのポジティブな面をしっかり伝える
コツ③:「見捨てられた」と感じられないよう配慮する
#36.
コツ①:早期からの緩和ケアが“標準的”であると説明 病状が悪化し終末期に近付いてからではなく、早い段階から「緩和ケア」について正しく知ってもらうのが理想だが…
早い段階で医師が詳しく説明すると、重く受け取られがち!
⇒パンフレットを渡す、看護師から説明する、
あるいは最初はサラッと説明した方が
抵抗感は少なくて済むかもしれない
参考:緩和ケア.jp「がんとわかったときからはじまる緩和ケア」
https://www.kanwacare.net/formedical/leaflet/
#37.
昔はそうだったんですが緩和ケアも進歩していて、
最近では病気に関する不安や困った症状などあれば
診断されたばかりでも、全然末期でなくても、
しっかりケアするのが当たり前になっています。
なので、がんと診断された皆さんに説明しています。 状況)診断後早期に、緩和ケアについて説明する 会話例:早期からの緩和ケアが“標準的”であると説明 緩和ケアって…末期になったら受けるんですよね?
#38.
私達が普段、不安なことがないかお話を聞いたり、症状があれば薬を出したりするのも緩和ケアです。
さらに、私達だけでは対応が難しい場合には、
困りごとの解決や症状緩和が専門の看護師や医師に協力をお願いすることもできます。 状況)診断後早期に、緩和ケアについて説明する 会話例:早期からの緩和ケアが“標準的”であると説明 緩和ケアって、具体的に何をするんですか?
#39.
コツ②:緩和ケアをポジティブなものとして説明 例えばがんの場合、治療の手段がないことを伝えたいときに「BSC(Best Supportive Care)」や「緩和ケア」と言い換える表現・言い回しをよく見聞きするが…
★曖昧すぎて意図が伝わらないこともあるし、逆に意図が伝わるのなら言い回しを変える意味があまりない
★緩和ケアなど他の概念までネガティブに捉えられてしまう
「何もできないから緩和ケアを受ける」というよりも…
「メリットがあるから緩和ケアを受ける」という説明を!
#40.
会話例:緩和ケアをポジティブなものとして説明 なかなか痛みが良くならなくて辛いですよね。
ちょっと提案なんですが、当院には
辛い症状を緩和する専門のチームがあるので
チームの看護師や医師らに相談してみませんか?
痛みを良くする方法が見つかるかもしれません。 状況)院内の緩和ケアチームにコンサルトしたいとき 先生、ずっと痛みが続いていて辛いです…。
#41.
コツ③:「見捨てられ感」がないよう配慮する 遺族調査で分かった「見捨てられ感」の生じにくい前医の態度
外来や回診頻度が減少しなかった
やれることはない、と言わなかった
緩和ケア病棟で行われる治療や医師を知っていた
緩和ケア病棟入院まで相談に乗り、気にかけてくれた
人間として対応してくれた
など
遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究3(J-HOPE 3)p.135-144
https://www.hospat.org/assets/templates/hospat/pdf/j-hope/J-HOPE3/J-HOPE3_3_16.pdf
#42.
会話例:「見捨てられ感」がないよう配慮する 検査の結果、残念ながら病状は進んでいました。
ここまで本当によくがんばって、抗がん剤治療に
耐えて来られましたが、これ以上無理に
今の治療を続けるのは効果がないばかりか、
病気に耐える体力すら奪うのではと心配しています。 状況)抗がん剤治療を中止し、緩和ケア病棟に紹介したいとき
#43.
会話例:「見捨てられ感」がないよう配慮する ただ、まだまだ出来ることはあります。
緩和ケア病棟で体力の回復に専念しつつ症状緩和やリハビリなどに取り組むことが、できるだけ
元気に長く過ごすためにも有効な方法ですし、
自宅に戻って生活したいときは、相談すれば
サポートしてもらえるはずです。
もちろん転院後も、我々にできることや
聞きたいことがあれば何なりとご相談ください。 状況)抗がん剤治療を中止し、緩和ケア病棟に紹介したいとき
#44.
残念ながら治療の甲斐なく、病状は進んでいます。
ここまで本当によくがんばって、抗がん剤治療に耐えて来られましたが、これ以上無理に今の治療を続けるのは効果がないばかりか、病気に耐える体力すらも奪うのではと心配しています。
今は、緩和ケア病棟で体力の回復に専念しつつ
症状緩和やリハビリなどに取り組み、ご自宅での生活に戻ることを目指すのがベストだと思います。 元も子もない話ですが… 患者さんやご家族は、説明の細かい部分や詳しいことを
あんまり覚えていないか理解していない、ということは多い
#45.
残念ながら治療の甲斐なく、病状は進んでいます。
ここまで本当によくがんばって、抗がん剤治療に耐えて来られましたが、これ以上無理に今の治療を続けるのは効果がないばかりか、病気に耐える体力すらも奪うのではと心配しています。
今は、緩和ケア病棟で体力の回復に専念しつつ
症状緩和やリハビリなどに取り組み、ご自宅での生活に戻ることを目指すのがベストだと思います。 元も子もない話ですが… 患者さんやご家族は、説明の細かい部分や詳しいことを
あんまり覚えていないか理解していない、ということは多い ただ、気遣ってくれたことや、心配してくれたことは、結構覚えてくれている(何を言うかより、どう言うか、かも…)
#46.
Section-3 まとめ 患者や家族に、できるだけ抵抗感なく緩和ケアを受け容れてもらえる(と思われる)3つのコツ
コツ①:早期からの緩和ケアが“標準的”であると説明
コツ②:緩和ケアをポジティブなものとして説明
コツ③:「見捨てられた」と感じられないよう配慮する
#47.
クロージング Section-4
#48.
基本的緩和ケアを、次の段階へ 「緩和ケアは大事」「緩和ケアは早期から」という意識は、医療者には根付きつつあるが…実践には結びついていない
⇒より多くの医療者が緩和ケアの具体的な方法論を
身につけるのが、これから必要なステップ!
疾患や、病期や、過ごしたい場所に関わらず
病める人すべてが質の高い緩和ケアを受けるためには
皆さんの力が必要です!
#49.
つまずきそうになったら、思い出してください 基本的緩和ケアに役立つスライド40本以上
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