にきび 2020年6月

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小林 聡史

小林 聡史

ゆきあかり診療所

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非皮膚科医ですが、結構実臨床で関わる機会が多いので、一度まとめてみました。 ご参考になれば幸いです。

にきび 2020年6月

1. ゆきあかり診療所所長 小林聡史
2. 概要
3. 痤瘡acneとは? アクネあるいはニキビとも呼称される,思春期以降に発症する顔面,胸背部の毛包脂腺系を場とする脂質代謝異常(内分泌的因子),角化異常,細菌の増殖が複雑に関与する慢性炎症性疾患 毛包脂腺系を反応の場とし,面皰(コメド)を初発疹とし,紅色丘疹,膿疱,さらには囊腫,硬結の形成も見られる慢性炎症性疾患で,炎症軽快後に瘢痕を生じることがある 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
4. 面靤comedo(comedone)って? 脂腺性毛包において,脂腺の活動性の亢進から皮脂の分泌が増加し,毛包漏斗部の角化亢進により,皮脂の毛包内貯留をきたした状態 毛孔が閉鎖した閉鎖面皰closed comedo(白色面皰whiteheads)と毛孔が開大した開放面皰open comedo(黒色面皰blackheads)に分けられる 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
5. Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編- 第3回 そのデキモノは青春の象徴? https://carenetv.carenet.com/play.php?program_id=1988 より画像を引用
6. 疫学 Acne, Dynamed 10代の85%が罹患し、年齢とともに減っていく 質問票による住民調査の研究では、女性の方が罹患率が高く、男女とも年齢とともに減少傾向が見られた 20代:女性51%、男性43% 30代:女性35%、男性20% 40代:女性26%、男性12% 50歳以降:女性15%、男性7%
7. 機序 Acne, Dynamed ケラチノサイトが増殖→毛嚢脂腺を閉塞→皮脂が濾胞内で増大し面靤を形成→アクネ菌が面靤内で増殖→真皮への皮脂漏出やアクネ菌による炎症性メディエーター  により面靤で炎症が起きる
8. 清水宏,あたらしい皮膚科学, 第2版, 中山書店, 2011.343.より画像を引用
9. リスク因子 Acne, Dynamed 男性ホルモン変動(月経周期、多嚢胞性卵巣症候群など) 感情的ストレス 脂分の多い商品で皮膚表面を覆う 発汗 妊娠
10. ニキビの発症や悪化に関連する薬剤 Acne, Dynamed ブロム剤 ステロイド イソニアジド フェニトイン アザチオプリン シクロスポリン ジスルフィラム フェノバルビタール キニジン テトラサイクリン ビタミンB1/2/6/12、D2 テストステロン プロゲステロンやプロゲステロン溶出性子宮内装置(IUD) リチウム 上皮成長因子阻害剤(ゲフィチニブなど) 添付文書上は 記載見当たらず
11. 評価
12. 年齢は典型的か? Acne, Dynamed 新生児(<6週):多くは4週以内に改善 新生児の20%がニキビを呈する(典型的には数週で自然軽快) 乳児(6週~1歳):多くは自然軽快する。その他にホルモン異常を示唆する徴候があれば精査 幼児(1~7歳):非常に稀であり、高アンドロゲン血症をきたす原因の精査が必要 学童(7~12歳):Commonであり思春期の他の徴候に先行することがある。他に異常徴候がなければ精査不要 思春期以降:Common
13. 診断 Acne, Dynamed 多くの場合、臨床診断で十分 細菌検査や内分泌検査は通常不要
14. 併存症 Acne, Dynamed うつ病、不安障害、身体醜形障害との関連が指摘されている
15. 治療
16. 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
17. J Am Acad Dermatol. 2016 May;74(5):945-73.e33.(アメリカ皮膚科学会ガイドライン2016)
18. J Eur Acad Dermatol Venereol 2016 Aug;30(8):1261-8.(ヨーロッパの2016ガイドライン)
19. 3つのガイドラインまとめ アダパレン and/or 過酸化ベンゾイル スキンケア(推奨度は高くないが) 炎症がない or 軽度のとき 外用抗菌薬 内服抗菌薬 炎症が強いとき:上記に加えて 紅色丘疹、膿疱、紅斑
20. 非薬物療法
21. スキンケアーエビデンスレベルは高くない 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 副作用で挫折しないためのディフェリンゲルによるニキビ治療ガイド http://www.differin-gel.info/index.html 洗顔:1日2回 クレンジング:使用による悪化はなかったという報告あり メイク落としのこと 化粧:ノンコメドジェニックなものなら可 コメドジェニックな化粧品は避ける
22. 食事ーこれもエビデンス乏しい 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 副作用で挫折しないためのディフェリンゲルによるニキビ治療ガイド http://www.differin-gel.info/index.html Acne, Dynamed 特定の食事がニキビを悪化させるというデータはない バランスの良い食事を心がける
23. その他ーガイドラインやDynamedには記載なし 副作用で挫折しないためのディフェリンゲルによるニキビ治療ガイド http://www.differin-gel.info/index.html 禁煙 節酒 十分な睡眠 ストレス対策  などなど一般的な健康的な生活習慣を
24. 薬物療法
25. アダパレン(ディフェリン®) Acne - Pharmacologic Therapy, Dynamed 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 副作用で挫折しないためのディフェリンゲルによるニキビ治療ガイドhttp://www.differin-gel.info/index.html 1日1回就寝前に塗布(洗顔→化粧水→アダパレン) 日中は日焼け止めなどの日光対策を 副作用:落屑・紅斑・乾燥(約80%)、灼熱感・かゆみ(約20%)→1か月程度で減っていくことが多い 数か月の連用で治療効果が感じられることが多い 最低1年は継続、30代くらいまで投与継続してもよい 妊婦は投与禁忌のため注意
26. アダパレンー補足 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 Acne - Pharmacologic Therapy, Dynamed レチノイド(VitA+VitAの誘導体の総称)の外用剤 毛包上皮の角化を正常化させ、面靤形成を阻害 抗炎症作用も知られている システマティックレビューでは、改善率24.1-28.8%と報告されている(プラセボは13.3-17.3%) 内訳わからなかったため、NNTは計算できず
27. 過酸化ベンゾイル(ベピオ®) 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 Acne - Pharmacologic Therapy, Dynamed 強い酸化作用→フリーラジカル→殺菌的に作用 現在のところ、耐性菌は見つかってない 副作用:局所刺激→投与継続に伴い漸減 布地を白く染めてしまうことがあるので注意(衣類や枕カバーなど)
28. 外用抗菌薬 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 Acne - Pharmacologic Therapy, Dynamed 日本のガイドラインでは、クリンダマイシン(ダラシンT®)、ナジフロキサシン(アクアチム®)、オゼノキサシン(ゼビアックス®)の3剤が推奨されている ゲンタマイシンなどその他の外用薬は、保険適応がないため推奨なし 耐性化を防ぐために 単剤でなく、アダパレンや過酸化ベンゾイルと併用する 内服抗菌薬と併用しない 十分な理由なく抗生剤変更をしない 6-8週後に、治療後の再評価をする
29. 内服抗菌薬 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017 Acne - Pharmacologic Therapy, Dynamed 痤瘡, 今日の臨床サポート アメリカ皮膚科学会ではテトラサイクリン系を第一選択としている 内服期間は、最長でも3か月程度までにとどめる
30. まとめ
31. Take home message ニキビは思春期の多くの男女が経験するが、非典型的な年齢の場合には精査も検討 非薬物療法はエビデンスレベル高くないが、推奨 アダパレン使用時は効果発現に時間がかかることや副作用によるドロップアウトに留意
32. 雑感 いわゆる「大人ニキビ」が少なくないのは実臨床でも感じる 基本的にアダパレンをいつも処方してたけど、意外と各種ガイドラインの扱いは過酸化ベンゾイルとさほど優劣をつけてない 面靤の理解が不十分だったので勉強になった 思春期の子供のヘルスメンテナンスに関わる際の足掛かりにしたい