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第41回関西医療経営勉強会 八尾徳洲会総合病院 過去現在未来

投稿者プロフィール
原田博雅

医療法人徳洲会八尾徳洲会総合病院

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概要

八尾徳洲会総合病院の院長が、11年間の経営経験をもとに病院の「過去・現在・未来」を展望します。コロナ禍での「民間だからこそできる即時対応」の決断や、診療科を37科へ拡大した成長の歩みを詳述。経営を「足し算(患者数)」と「掛け算(単価・係数)」の視点で分析し、人口減少社会を見据えたベッド数維持とスタッフ確保の重要性を説きます。地域に信頼される病院づくりのための、具体的かつ誠実な経営理念を共有します。

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テキスト全文

院長の11年間の経営経験とコロナ対応

#1.

第41回関西医療経営勉強会八尾徳洲会総合病院過去現在未来八尾徳洲会総合病院院長 原田博雅

#2.

はじめに 2026年6月末で病院長として11年間過ごすことになりました。 2017年のある日より、目の前の数字を日々記録する毎日を送ってきました。 この機会に私の経験を踏まえて病院の経営を考えたいと思います。多くの経営のプロの方にとっては当然の話と思われます・・・

#3.

院長として最も困難だったこと 様々なことを経験しましたが、その中で最も困難だったことは2020年1月から始まったコロナのpandemicでした。 本当に大変でした。外科系の先生から、「これは我々一民間病院がやることではない。」との言葉が、今も私の頭の中で渦巻いています。私は民間だからこそ柔軟に即時に対応できる、と思いました。公立病院がこの地域のコロナ感染に対応してくれるはずがない、という強い思いで、一部の反対意見を押し切り、コロナを積極的に診る病院となりました。

病院の創立から現在までの沿革

#4.

コロナを経験したことで、結果的には良かったと思うことがあります。まず職員が曲がりなりにも一体となり、大規模な長期間にわたる災害に対応できました。患者さんから評価をいただいたこと、さらには行政の方々と、今まで以上にお互いをよく知ることができ、高い評価をいただいたことです。これが現在の、そして将来の病院の姿に反映されると確信しています。 コロナ最大の流行期に院長の私としましては、仕方がないとはいえ、救急の断りが月間955人に達したことは本当に申し訳ないと今も思っています。 嬉しかったことは、職員に重症の方が後遺症も含めて出なかったことです。(職員が感染すると本当に辛かった、祈るような気持ちで毎日を過ごしました)

#5.

創立 1978年7月1日 病院長  原田 博雅 職員数  1,075名 (2025年1月現在) 概要 1978年創立当初 2026年現在

#6.

診療科目 2005年19科から2026年には37科へ 内科・呼吸器内科・循環器内科 消化器内科・肝臓内科・糖尿病.代謝内科 緩和ケア内科・腫瘍内科・内分泌内科 脳神経内科・心療内科・精神科・リウマチ科 血管透析内科・腎臓内科・皮膚科・小児科 救急科・放射線科・外科・呼吸器外科 整形外科・脳神経外科・心臓血管外科 肝臓外科・乳腺外科・小児外科・形成外科 美容外科・泌尿器科・眼科・麻酔科 歯科.歯科口腔外科・耳鼻咽喉科・婦人科 リハビリテーション科・病理診断科

病院の診療科目と病床数の推移

#7.

沿革 1978年7月   創立 開院  1980年10月   西館増築  1986年4月   東館・西館改修  1989年9月   新館増築  1992年9月   基準看護 特Ⅰ類取得 1994年7月   基準看護 特Ⅱ類取得 1994年9月   総合病院認可 心臓血管外科開設 1995年9月 デイケア開設 1996年5月  病院管理棟増築 1996年11月  よろこび訪問看護ステーション開設 1998年2月  日帰り手術センター開設 1998年3月  歯科・歯科口腔外科開設 1998年4月  ER(救急総合診療部)開設 2000年4月  八尾徳洲会介護センター開設 2001年4月  病児保育(八尾市委託) 2001年12月  ICU施設取得(6床) 2003年1月  日本医療機能評価機構取得 2003年3月  睡眠障害センター開設 2004年4月  医療安全管理部設置 2005年3月  新病院用土地の取得 2006年10月  健診センター開設

#8.

2007年6月   プライバシーマーク制度(JISQ.15001.1999)取得 2007年12月   日本医療機能評価機構Ver.5受審 2008年6月   日本医療機能評価機構Ver.5取得 2010年3月    HCU施設基準取得(4:1) 2010年4月   大阪府がん診療拠点病院認可 大動脈センタ-・美容外科開設 2011年4月   肝臓センタ-開設 2011年10月   小児外科開設 2012年11月   放射線治療開始2014年9月   特別養護老人ホーム 久宝寺愛の郷開設 2015年5月   創傷ケアセンター開設 2020年11月   JCI認証取得 2021年4月   心臓血管センター開設 2022年1月   ICU1施設基準取得 2022年2月   ダヴィンチ(手術支援ロボット)導入 2022年4月   DPC特定病院群 2023年8月   新館増築・本館改修地鎮祭 2023年12月   JCI認証取得(2回目) 2024年3月   サービス付き高齢者向け住宅「ラフィーネの郷」開設 2024年11月   12床増床 2024年12月   南館新設   

#9.

病床数の推移 1978年7月  徳洲会グループ4番目の病院として開設(250床) 1980年10月  西館増築に伴い、許可病床数350床へ 1989年 9月  415床へ増床許可 2024年11月  12床増床し、427床へ 2026年2月  48床増床し、475床へ 開設時250床→現在475床 225床増加(約1.9倍)

#10.

過去 当院の創立期には『community hospital 』として学会等で発表されていました。目新しい概念であり、ある種のインパクトがあったものと思われます。 AIでは次のように、書かれています。「コミュニティホスピタルとは、総合診療を軸に、超急性期以外の医療(急性期、回復期、慢性期)からリハビリテーション、在宅医療、介護まで、幅広いケアをワンストップで提供する地域密着型の病院です。」現在の私達の病院の医療内容から考えると、地域医療を担う地域医療中核病院と言い換えることができます。

徳洲会グループの理念とアイデンティティ

#11.

地域医療に求められること(私見です) 患者さんが中心 継続性、再診患者さんを大切にする どんな患者がどこに住んでいるのかを考える 総合的に診る、標準治療を行う スペシャリスト(超専門医)は少なくてよい 出生前から終末期まで 縦に診る診療科と横に診る診療科がそれぞれ必要 断らない医療。「困ったら徳洲会」

#12.

現在 私が院長になった時の目標 『断らない医療の実践』 『在院日数の短縮』 実は同じ目的のために、別の表現をしました。目指していたのは、救急の断りを減らすことです。直接的な表現は避けました。 (この目標は今も達成できていません)

#13.

このグループのアイデンティティ アイデンティティ=理念 全ての構成員はその存在を知っている。 過去数回内容を変更している。 50年間以上それを唱えられている。 強要されることは決してないが、行動規範として存在している。 その特徴としては、簡単な誰でもわかる言葉で示されていて、かつ、具体的な行動を記載している。

#14.

徳洲会グループの理念 生命を安心して預けられる病院 健康と生活を守る病院 患者さまの権利と尊厳を大切にする病院 理念の実行方法 ①年中無休24時間オープン ②入院保証金・総室の室料差額一切無料 ③健康保険の自己負担分も困っている人には猶予する ④患者さまからの贈り物は一切受け取らない ⑤医療技術・診療態度の向上にたえず努力する

入院病床数の変遷とその影響

#16.

病床数 415 427       437 455 475

#18.

入院病床数 415 427       437 455 475

#19.

入院病床数 415 427      437 455 475

病床数の推移と経営の課題

#20.

入院病床数 415 427        437 455 475

#21.

入院病床数 415 427            437  455  475

#23.

病床数              415 427     437  455 475

#24.

病床数              415 427        437     455 475

医療経営における足し算と掛け算

#25.

グラフを見て 一生懸命やってきましたが、どこかおかしいと感じました。努力の割には結果が出ていないようにも見えます。右肩上がりがあまりないようにも見えます。 よく考えると、患者さんの動きは足算、引き算です。あたりまえですが、決して掛け算にはなりません。これが基本的な患者さんの数字の動きです。

#26.

掛け算の部分はその後の医療費の計算、DPCがそうです。いわゆる係数です。他の例ではコロナ禍の時代の補助金も入るかもしれません。 掛け算になると、単価が上がることになります。どこかのスーパーが目玉商品を全てのお客さんに売ろうとしているのと同じかもしれません。飲み屋で客単価を上げようとするのも同じです。 医療でそれはできますか?非常に難しいと思います。それを強要すれば医者は嫌になり辞めていきます。患者さんも減少します。現在の体制すら維持すらできなくなります。

#27.

ほとんどの独立採算の病院では経営は成り立ちにくくなっています。足し算ですから。掛け算がどこかでなされない限りは長期的には無理があります。可能性としては大きなグループ化が方法論的にはあると思います。 経済学の教科書には、対策として、技術革新、規模の拡大、合理化等があるとのことですが?いかがでしょうか。 当院では、努力してきました。その中で最も数字が良くなったのは救急であり、手術数です(実際にはほぼ眼科です)。いずれも人の要素が極めて大きく、変動しやすいものです。

主要経営指標の推移と未来の展望

#28.

主要経営指標の推移(2011年対比・指数) ※2011年=100(指数)

#29.

年度毎 医業収益と税前利益

#30.

未来 当院の今後の目指すべき姿は、地域医療の中核病院としての機能を充実させることであり、それこそは地域医療と考えます。地域の皆様に信頼される病院で、「困った時には徳洲会」です。そのためには、医師、看護師をはじめとしたスタッフを多く抱える必要があります。その中で足し算と引き算を行うことで、数を確保することが大事です。人口が急速に減少し、医療需要が減少する近い将来(2040年以降?)には、入院患者さんを確保できるのであれば、ベッド数を維持することが可能ですが、いかがでしょうか。 経営面では掛け算を重視しないと成り立ちません。 本当の基礎的な数字(患者数)を評価する必要があります。掛け算の数値のみを重視してはいけません。我々は基礎的な数字の評価が耐えられるのかどうかを確認し、今の立ち位置を維持できるかどうか考えて対策をしなくてはいけないでしょう。2026年6月の今回の診療報酬の改定で数字を見誤らず、しっかり基礎的数字を確認することが何より大事であり、将来に繋がると確信しています。

質疑応答と今後の戦略

#31.

御静聴ありがとうございました

#32.

ご質問事項(1) かなりの救急を受け入れておられますが、開院当初からそのような状況だったのでしょうか。もしくは、何か力を入れた戦略がございますか? DXという言葉が日常になるなかで、今とこれから力を入れておられるものはございますか? 八尾市におけるフォーミュラリをどのようにお感じになっておられますか? 本年の改定の影響は、いかがでしょうか。今のお考えを伺いたいです。 前回も学ばせて頂きました。その後、人件費の状況など、経営指標のバランスはいかがでしょうか。

#33.

ご質問事項(2) 積極的なM&Aの印象があります。どのようなメリットがあり、今後どのようなことを目指しておられるのか知りたいです。 徳洲会における、医師はじめとした、職員の採用活動はどのようなものでしょうか。どんどん厳しくなると日々実感しております。 やはり経営指標は大切と考えています。原田先生は、毎月の診療報酬やトータルの収支を確認し、方針を出すなどされておられますか。 人事評価についてご質問です。病院独自のものを運用されておられますか。どのようなものに取り組めばよいか悩んでいます。

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