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医師夫婦の人生戦略会議のすすめ
#1. 「ワークライフバランス、捨ててもいい?」医師夫婦のための人生戦略会議のすすめ~仕事と人生、どちらも充実させるカタチを考えよう~ 2025-11-26
Antaa ウェビナー
小澤 廣記
#2. 小澤廣記 Hiroki Ozawa MD, MPH 2012 東京大学 医学科 卒業
2012- 武蔵野赤十字病院 初期研修
2014- 諏訪中央病院 後期研修(家庭医療)→総合診療科
2019- 聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
新・家庭医療専門医、認定内科医/内科指導医
リウマチ専門医・指導医、アレルギー専門医、母性内科プロバイダー
2025年 聖路加国際大学 公衆衛生大学院 卒業 (MPH)
2児の父 産婦人科医の妻との4人暮らし
2017年に長女誕生、2018年に2ヶ月の育児休業、2019年 長男誕生
夫婦ともにフルタイム・当直ありの共働き
趣味: スパイスカレー、ランニング
#3. Question Timeキャリアや家庭状況について教えてください Q1.
現在の医師学年は?
1.1-2年目 (研修医)
2.3-5年目 (専攻医)
3.6年目以上 (専門医~) Q2.
現在パートナーはいますか?
1.パートナーがおり結婚している
2.パートナーがいるが結婚していない
3.パートナーはいない
キャリアと家庭のバランス
#4. Question Timeキャリアや家庭状況について教えてください
#5. 質問です "医師として働きながら、
プライベートも充実させることは可能だと思いますか?"
"キャリアと家庭、
どちらも大切にしたいと思ったことはありますか?“
"将来家庭を持つことがあれば、
それがキャリアにどう影響するか考えたことはありますか?"
#6. 特にこんな人に届いてほしい パートナーがいる人
カップルのキャリアと家庭(またはパートナーシップ)をどのようにバランスをとるかに興味がある方
これから結婚を考えている人
結婚やパートナーシップとキャリアの両立に不安を持っている方
もちろん未婚の人も
キャリアと一緒に、充実したワークライフバランスを保ちたい方
デュアルキャリア・カップルの課題
#7. 注意点 多様な価値観の尊重
今日は私たちのケースも紹介します。
家庭を持つことが全てではなく、
みなさん個々の選択と価値観を尊重します。
ポジティブな希望の提供
結婚や家庭に対して不安に思うかもしれません。
でも大丈夫!
多様な選択肢があり、きっとうまくいく道があります!
#8. Key Messages
「二人とも一番手」という選択
デュアルキャリア・カップルが互いに一番手として活躍し、
刺激し合うことで人格的にも職業人としても成熟する可能性がある
人生の3つの転換期とその対処法
どのカップルも遭遇する3つの転換期があり、
目の前の問題解決だけにとどまらず、
自分やパートナーの悩みや価値観を理解する
ワーク・ライフ・エンリッチメント
仕事と家庭のそれぞれで充実した時間を過ごすことが相乗効果をもたらす 8
#9. Outline 「二人とも一番手」モデルの悲喜こもごも
デュアルキャリア・カップルが直面する3つの人生転換点
ワーク・ライフ・エンリッチメント
#10. Case: 小澤家2015 結婚 医師4年目 後期研修中
総合診療医(@長野)
× 産婦人科医(@東京) の遠距離婚
育児と仕事の両立の悩み
#11. 2017長女(第1子)の誕生2018夫の育児休業(2ヶ月)& 妻の仕事復帰
#12. 2019家族で東京に移動夫: キャリアシフト 総合診療→膠原病長男(第2子)誕生
#13. 育児と仕事の両立での悩み 人生における変化への適応の難しさ
仕事での立場の変化: プレイヤー → ミドルマネージャー
専門が変わり、新しい領域での勉強
限られた時間で仕事・家事・自己研鑽をこなす必要性
子どもの体調不良にも備えた事前準備 家族が増えて、幸せを感じると同時に新しい悩みが増えた
#14. 妻からの課題図書?
『デュアルキャリア・カップル
仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
(ジェニファー・ペトリリエリ著、高山真由美訳)
著者は、フランスのINSEADというビジネススクールの准教授
デュアルキャリア・カップルが「愛情と仕事の両方で成功するにはどうしたら良いか」を学術的に研究した成果をまとめた一冊
(研究対象は、世界4大陸32ヵ国113組のデュアルキャリア・カップル)
デュアルキャリアの成功モデル
#15. “デュアルキャリア・カップル”が増えている 共働き世帯は増加中
共働き世帯の比率: 東京都(49.1%)/ 全国平均(48.8%)
育児をしている女性の有業率も全都県で増加している
2017年の就業構造基本調査(総務省)
・2022年度の調査では共働き世帯は 66.7%まで増加 (東京都)
デュアルキャリア・カップル とは
両者がそれぞれのキャリアを持ちつつ、
共に人生を送るカップルのこと
2023年11月29日 日本経済新聞
#16. 医療者 × デュアルキャリア・カップル現状と課題 共働き世帯が増える中で、
われわれ医療関係者もどう仕事と家庭を両立させるか
現状
医療の現場で働くカップルは、仕事の負荷が非常に高い
家庭と仕事のバランスを取るのが困難
課題
地理的制約、勤務時間、緊急呼び出し等、多くの要因が影響
キャリアの深化のためには自己研鑽の時間も必要
子育てや介護などの家庭での責任も 多忙かつ責任の大きい仕事、向上心、家庭とのバランス 優先順位がつけづらい
#17. デュアルキャリアカップルの3モデルどちらのキャリアを優先するか? 『一番手・二番手』 モデル
一方がキャリアの主軸を担い、もう一方が家庭を中心に支える
2. 『交代制』 モデル
人生の時期によって主軸と支援役を柔軟に入れ替えながら、
双方のキャリアを推進
3. 『二人とも一番手』 モデル
夫婦双方がキャリアを主軸として挑戦し続ける 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
#18. 「二人とも一番手」という選択 “予想に反して、最も満足度の高いモデル”
“一方で、苦労も多い”
“平等性という時代の流れというより、
お互いのキャリアの優先順位についてオープンに話し、
明確な同意に至ることが必要となっている”
“互いに刺激し合うことを通じて
人格的にも職業人としても成熟していける可能性がある”
『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』 大変なことも多い共働きですが、この言葉が響きました
人生の転換期とその対処法
#19. Outline 「二人とも一番手」モデルの悲喜こもごも
デュアルキャリア・カップルが直面する3つの人生転換点
ワーク・ライフ・エンリッチメント
#20. Question time人生の大きな転換点に差し掛かったとき、あなたは自分のキャリアをどうデザインしたいですか? 今の道を、これまで以上に深めていきたい
成長・挑戦・専門性の深化を重視
2. 今の軸は保ちつつ、働き方の“形”を柔軟に調整したい 仕事量・研究・働く時間などをリデザイン
3. 今のキャリアの比重を下げ、新しい優先事項に軸足を移す 家族・健康・学び直し・別のキャリア…
#21. Question time人生の大きな転換点に差し掛かったとき、あなたは自分のキャリアをどうデザインしたいですか?
#22. デュアルキャリアカップルが直面する3つの転換点と課題 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
望むキャリアの再評価
#23. 第一の転換期:どうしたらうまくいく? 転勤や転職、初めての子どもの誕生などがきっかけ
並行、独立したキャリアからお互いを頼る状態への移行
小澤家の課題
職場の変化(長野⇔東京)、専門のシフト
子どもの誕生(2016年 第1子, 2019年 第2子)と生活様式の変化
①二人のキャリアのどちらを優先するか、②家庭内の責任をどう分担するか
を合意に至るまで話し合う
キャリアの地図を描く: キャリアパスを予測することで、決断の助けになる
すべてをうまくこなそうとしないこと 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
#25. 第二の転換期:本当に望むものは何か? ここまでのキャリアや暮らしに疑問を感じる時期
ライフステージの一部として生じる個性化が引き金
小澤家の課題
キャリア深化のための挑戦
妻: サブスペシャリティ(婦人科腫瘍)のトレーニングへ
夫: 働きながら公衆衛生大学院に進学
それぞれが何を達成したいのか、家庭内の責任の分担を再び話し合う
お互いが安全な拠点となる関係を育てること 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
#26. 第三の転換期:いまのわたしたちは何者なのか? 2つの転換期でつくられた大事な役割を失ったとき
=子どもが巣立つ、職場で一番のベテランになる、など
アイデンティティの再評価と新しい目標設定
第三の転換期は次世代への知識や技術の継承、メンタリングなども重要なテーマ
熱中できる共通の趣味: もう一度探求者になる このあとにどんなキャリアと、転換点が待っているのか、楽しみにしています 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
ワーク・ライフ・エンリッチメントの実践
#27. デュアルキャリアカップルが直面する3つの転換点と課題 『デュアルキャリア・カップル——仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』
#28. Outline 「二人とも一番手」モデルの悲喜こもごも
デュアルキャリア・カップルが直面する3つの人生転換点
ワーク・ライフ・エンリッチメント
#29. Question Timeあなたにとって、よく働くとはどういうことですか? 長時間の努力で結果を出すこと
集中して高い価値を生み出すこと
家庭や人生との調和がとれていること
成長や貢献を実感できること
まだよく分からない/模索中
自由回答としてオープンにご回答ください!
#30. Question Timeあなたにとって、よく働くとはどういうことですか? A.
働き方の価値と幸福の条件
#31. ワーク・ライフ・エンリッチメント 「バランスを取る」から次のステップへ
#32. 「ワークライフバランス」は捨ててもいい? 「仕事を優先すべきなのか?」「家庭を犠牲にしなければ成功しないのか?」
使命に向けて全力でコミットする「覚悟」
生活を犠牲にする「自己犠牲」
この2つはまったく別物 「ワークライフバランス」の概念に限界がきている
#33. ワーク・ライフ・エンリッチメント 仕事と私生活において、
一方の役割における経験が他方の役割における生活の質を向上させること
Academy of management review, 2006, 31.1: 72-92.
仕事・家庭・心と体に好影響
仕事から家族への充実感(WFE)および家族から仕事への充実感(FWE)と、仕事関連、非仕事関連、健康関連の結果との関連についてメタ分析
職務満足度、感情的コミットメント、家族満足度と正の相関
WFEとFWEはともに身体的・精神的健康と正の相関がある
Journal of Business and Psychology, 2010, 25: 381-396.
#34. 「ワーク・ライフ・バランス」の落とし穴 「相反するふたつ」のバランスを取ろうと思うと時に両立は困難に
#35. 「ワーク・ライフ・エンリッチメント」のとらえ方一方での没入・充実が他方にも好影響をもたらす 結果として時間配分が同じでも、とらえ方・取り組み方で充実度が違う
#36. “価値を感じられる働き方” が幸福の条件に いまの医師はもう、
「ただたくさん働く」
「テンプレートのキャリアを進む」では納得できない
自分が誰かの役に立っている感覚
成長している実感
自分の人生を歩んでいるという充実感
= “価値の実感” が幸福のコア “自分の人生に意味を見いだせる働き方・キャリア” であるかどうかが重要
自己認識と時間管理の重要性
#37. 「馬車馬のように働く」は悪なのか? “時間を決めた集中”は心身にとっても、パフォーマンスにとっても最良
深い集中の方が生産性が高い
締め切りがあるほうが集中力が高まる
エネルギーの波に合わせるとアウトプットが最適化される
お迎えまでに
仕事を終えよう 自分の時間は
朝に持とう
#38. “仕事に没頭できる時期”は、人生の宝になる 人生には、
“仕事に振り切る季節”があってよい
研修医の頃の圧倒的な臨床量
専攻医は志望する専門科で働き盛り
(諏訪中央病院での総合診療医の経験)
リスキリング
膠原病科医にキャリアシフト
社会人大学院で公衆衛生の勉強(MPH)
悪い消耗は避ける
他者に強制されている
やる意味がわからない
永続的で出口がない
家庭が疎かになる罪悪感がある
休むと不安になる
健康が削られている 没頭と消耗の違いに気をつけ、見直してみる
#39. ワーク・ライフ・エンリッチメントを実現するために 自己認識: 何が自分を幸せにするのか、何がストレスかを理解する
プライオリティの設定と没入:
仕事と家庭で何が最も重要であるかを明確にし、集中する
思い切り仕事をしたり、家族との時間を全身全霊で楽しむ
時間管理: 仕事と家庭の両方で有意義な時間を確保するためのスケジューリング
コミュニケーション: 家族や職場の人々との良好なコミュニケーションを維持する。周囲の人の助けがあって生活が成立する。
フレキシビリティ: 状況に応じて柔軟に対応する余裕のある心構え・能力
それぞれの時間に没頭すること、その準備が重要
#40. Key Messages
「二人とも一番手」という選択
デュアルキャリア・カップルが互いに一番手として活躍し、
刺激し合うことで人格的にも職業人としても成熟する可能性がある
人生の3つの転換期とその対処法
どのカップルも遭遇する3つの転換期があり、
目の前の問題解決だけにとどまらず、
自分やパートナーの悩みや価値観を理解する
ワーク・ライフ・エンリッチメント
仕事と家庭のそれぞれで充実した時間を過ごすことが相乗効果をもたらす 40
今後のステップと参考文献
#41. A huge thanks to… 支えてくださる周囲の人々
互いの両親
職場の同僚
シッター、家事代行の方々
笑顔で元気をくれる子どもたち
尊敬できるパートナーである妻
#42. Next steps今日の話が「いいな」と思ったら… キャリアの自己分析
若手の段階で、自分がどんな医師になりたいか、どんな生活を送りたいかをしっかりと考える。それに合わせて必要なスキルや資格を取得することを検討しましょう。
パートナーとの対話
早いうちから家族とのコミュニケーションを重視し、将来的なプランや期待について話し合う時間を作ることが大切です。お互いを尊重し合う関係性を築きましょう。
ワーク・ライフ・エンリッチメントの実践
仕事とプライベートが相乗効果を生むように、両方に集中できる環境や状況を作り出しましょう。この点で、没入感(マインドフルネス)が非常に重要です。
#43. Further Reading 『デュアルキャリア・カップル
—仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』 何が自分の幸せか?考え直してみたいときに
『嫌われる勇気』/ 『幸せになる勇気』 ありがとうございました!
#44. Q & A 配信中にいただいた質問に回答します
Q&Aと教育活動の紹介
#45. Q & A 配信中にいただいた質問に回答します
#46. 主な執筆/翻訳 – 総合診療・膠原病・アレルギー 「誤診」はなくせるのか? 実践知としての診断エラー学の世界. 医学書院. 2020.
総合内科病棟マニュアル 病棟業務の基礎(赤本) 単行本 – 2021/6/4
全身性エリテマトーデス(SLE)(特集 膠原病2). Hospitalist. 2021.
アナフィラキシーに出会ったら? シーン別ベスト・プラクティス2023/4/13
今さらきけない疑問に答える 学び直し風邪診療 2024/4/16
medicina(メディチーナ) 2024年8月号特集 リウマチ膠原病疾患 Up To Date! 押さえておきたい最新の診断と治療 雑誌 – 2024/7/29
#48. 教育活動 “Generalist × Specialty”
ジェネラリストのバックグラウンドと、
現在の専門領域(リウマチ膠原病)での知識・経験をつなぐ
1. 症例コンサルテーション
臨床現場での症例相談や診療方針に関するアドバイス、ワンポイントレクチャー
2. ジェネラリスト向けレクチャー
初期研修医や専攻医(内科・総合診療)を対象に、
膠原病やリウマチ関連を中心とした教育セッションを開催 単発のレクチャーから定期的なコンサルテーションまで、お気軽にご相談ください!