#4.
今回のお話の流れ I. 自己紹介と私の米国臨床留学のきっかけ II. 私の米国臨床留学経験 III. レジデントとフェローの違いについて IV. 外科トレーニングにおける日本と北米の違い V. 留学を見据えた英語の準備について
#5.
自己紹介 濱路 政嗣(はまじ まさつぐ) 1975年 和歌山生まれ・大阪育ち 2001年 京都大学医学部医学科卒業 2001年 京都大学医学部附属病院研修医 2002-2008年 国内にて外科・心臓血管外科・呼吸器外科修練 (この間にUSMLEに合格し、米国医師免許取得) 2009年 メイヨークリニック クリニカルフェロー 2011年 ブリガムアンドウィメンズ病院 クリニカルフェロー 2012年 京都大学大学院入学(2016年 博士号取得) 2016年 京都大学医学部附属病院呼吸器外科 2023年 奈良県立医科大学附属病院 呼吸器外科
#6.
私の米国臨床留学のきっかけ-1 1999年 医学部5年次後期に臨床実習開始 日本のトレーニング環境(1人あたりの手術症 例数が少なく、日本のシステムの問題は教育の 余裕がない)ということを目の当たりにした。 日本のシステムだけで、一人前にはなれないと判断し、米 国のシステムの中で、多くの症例経験を積む決心をした。 2000年 北米臨床留学を経験した心臓血管外科教授に相談 医学部6年次にUSMLE Step 1とStep 2CKに合格 2001年 京都大学医学部附属病院心臓血管外科研修医 2002年 関連病院にて心臓血管外科修練 2006年 USMLE Step 2CSに合格し、ECFMG certificate取得
#7.
私の米国臨床留学のきっかけ-2 2007年 当時は珍しくなかったパワハラの為、呼吸器外科に転科 呼吸器外科部長が北米留学を強く推奨 2008年 勤務先の心臓外科医(北米臨床留学経験者)の紹介で ペンシルベニア大学胸部外科の面接へ(不採用) 2008年 同医師の紹介でメイヨークリニックの胸部外科フェロー シップに応募 採用! 2009年 渡米し、メイヨークリニックにてフェローシップ開始
#8.
私の米国臨床留学経験 手術経験について メイヨークリニック ブリガムアンドウィメンズ病院 指導医の数 6名 13名 当時の 年間症例数 約2000例 約3000例 私個人の 経験症例数 2年間で約450例 1年間で約400例 特色 食道切除・横隔膜ヘルニア の症例が多い 悪性胸膜中皮腫の症例が多い
#9.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニックについて〜 メイヨークリニックの歴史 ➢ 1846年 イギリスの外科医であるDr. William Worrall Mayo が、アメ リカに移住後、外来診療開始(メイヨー・クリニックの始まり) ➢ 1883年 大きなトルネード(竜巻)の被害者に対して、聖フランシ ス女子修道院と共に治療 ➢ 1889年 セント・メアリーズ病院を開設( 入院診療開始) ➢ 1986年 セント・メアリーズ病院はメイヨー・クリニックと統合
#10.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニックについて〜 メイヨークリニックは北米で3カ所に存在する 本部:ロチェスター(1883年設立) 支部:フェニックス(1987年設立) 支部:ジャクソンビル(1986年設立)
#11.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニック・ロチェスター(本部)について〜 入院病棟2つと外来棟1つで診療を行う Methodist Hospital (病棟) Downtown Clinic (外来診療棟) St. Marys’ Hospital (病棟)
#12.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニック・ロチェスター(本部)について〜 手術日の典型的なスケジュール ➢ 午前6時 朝の回診 ➢ 午前7時 教育カンファレンス開始 ➢ 午前7時45分 病棟のphysician assistant(医療助手)へ申し送り ➢ 午前8時 手術1例目開始 ➢ 午後4時 手術2例目終了 ➢ 午後5時 夕方の回診 ➢ 午後6時 帰宅 (5-15人担当患者) 指導医 私
#13.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニック・ロチェスター(本部)について〜 手術日以外の典型的なスケジュール ➢ 午前6時 朝の回診 (5-15人担当患者) ➢ 午前7時 教育カンファレンス開始 ➢ 午前8時 病棟physician assistant(医療助手)・指導医と共に回診 ➢ 午前9時 病棟処置(ドレーン抜去等) ➢ 午前11時 外来・コンサルト開始 ➢ 午後5時 翌日の手術症例レビュー ➢ 午後6時 帰宅 physician assistant 私 指導医
#14.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニック・ロチェスター(本部)について〜 教育カンファレンスについて ➢ 午前7時から30−60分間 ➢ 隔週水曜日・毎週木曜日・毎週金曜日 ➢ 水曜日:研究ミーティング・抄読会 ➢ 木曜日:内科・放射線科とのカンファレンス ➢ 金曜日:専門医口頭試問対策・術後合併症カンファレンス
#15.
私の米国臨床留学経験 〜メイヨークリニック・ロチェスター(本部)について〜 平日の当直と週末の宅直について 頻度 待機場所 翌日の勤務制限 平日(月曜〜金曜) 週末(土曜〜日曜) 1−2週間に1回 2−3週間に1回 院内で当直 自宅で待機 (朝と夕のラウンド義務あり) あり (午後は帰宅義務あり) なし 業務 入院患者さんの対応・救急外来や他病棟からのコール対応・ 外来患者さんからの電話対応・他病院からの相談対応・午後 8時以降の延長手術の引継ぎ・肺移植等の緊急手術対応
#16.
私の米国臨床留学経験 〜手術経験以外にも得た、多くの学びと人との繋がり〜 〜 ➢臨床研究の基本を身につけ、7本の原著論文が完成 ➢日本にも将来導入されるであろうコメディカルと仕事をする機会 ➢米国の医学生や研修医教育にも参画 ➢帰国後も継続する、他施設日本人医師・教員との繋がり 志賀隆先生 国際医療福祉大学 現教授 小泉俊三先生 佐賀大学 名誉教授 辻喜久先生 札幌医科大学 現教授
#17.
外科における レジデントとフェローの違いについて レジデント フェロー 基本領域専門医 (例:一般外科専門医)資格 取得のための修練医 サブスペシャルティ専門医 (例:胸部外科専門医)資格 取得のための修練医 基礎的 高度 外国人医師に 対する門戸 かなり狭い それほど狭くはない 専門医試験の 受験資格 プログラムを終了したら、専 門医試験の受験資格あり フェローのみでは、専門医試験 の受験資格なし (レジデント修了の必要あり) 基本的な位置 づけ 研修内容
#18.
外科トレーニングにおける日本と北米の違い 〜プログラム期間中〜 プログラムへの競争率 低い 高い サブスペシャルティ領域への ローテーション 比較的少ない 多い 外科部門内の レクチャーや教育プログラム 少ない 多い 学会参加や演題発表 必須 必須ではない 1日の勤務時間 長い かなり長い 当直時の業務量 多い かなり多い 当直手当 あり なし 注:上記に関する統計的なデータはなく、あくまで私見
#19.
外科トレーニングにおける日本と北米の違い 〜プログラム終了(専門医取得)後〜 スタンダードな診療を行うため の経験症例数 やや不足 十分 収入 やや増える 大きく増える 自己裁量権 少し増える 完全に自己裁量で 治療方針を決定 比較的手厚い ほとんどなし 診療科に 向けられることが多い 各外科医個人に 向けられることが多い シニア外科医からのサポート 待機手術症例の紹介 注:上記に関する統計的なデータはなく、あくまで私見
#20.
留学を見据えた英語の準備 私が実際に行っていた英語学習 ➢ 全て英語の教科書を使用してUSMLEの受験準備 ➢ STEP2 Clinical Skillsは北米人を相手に練習 ➢ 「ER緊急救命室」のセリフを覚えるくらい鑑賞 ➢ STEP2 Clinical Skillsの受験直前、シカゴにてKaplan Medical の受験準備コース(1週間)を受講 ➢ メイヨークリニックでのフェローシップ直前に、1ヶ月オブザ ーバーとして見学することで、システムと医療英語を学習
#21.
留学を見据えた英語の準備 私の考える、医療英語学習の重要ポイント ➢ 英単語の発音改善のために、ローマ字読みを離れること ➢ 英単語のアクセントを矯正すること ➢ 医療英語における略語をマスターすること ➢ 医療英会話における最重要品詞は動詞・助動詞と心得て 優先的に覚えること ➢ 副詞・前置詞は動詞とセットで覚えること
#22.
私の考える、医療英語学習の重要ポイント 「英単語の発音においてローマ字読みを離れること」の実例 〜 母音“i”を含む英単語の発音 誤 (ローマ字読み) 正 (アルファベット読み) lidocaine リドカイン ライドカイン vitamine ビタミン バイタミン iodine イオジン アイオダイン
#23.
私の考える、医療英語学習の重要ポイント 「アクセントを矯正する」の実例 比較的よく間違われているアクセント 誤 正 atelectasis アテレクターシス アテレクタシス femoral フェモラール フェモラル median メディアーン ミディアン metastasis メタスターシス メタスタシス biopsy バイオプシー バイオプシー
#24.
Doctor’s Englishのススメ ➢ 「初期研修医の今から始めるDoctor‘s English」の紹介 ➢ 日本に窮屈さを感じているなら、 Doctor’s Englishを身につけて、どんどん 海外に出よう!もちろん、Doctor’s Englishは日本の診療・研究・教育のいず れにおいても力を発揮します! ➢ 私が鉄緑会と京都大学、奈良医大で教え てきたことを、能率良く学び、筆者以上 の英語力を身につけて、自由に羽ばたい てほしいと強く願っています! ➢ 本書の目玉であるマンガも利用して楽し く学んで下さい!
#25.
Take–Home Message 北米臨床留学の身分としてレジデントとフェローが 1 2 あり、各々のメリットデメリットを知っておこう! 留学先を紹介してくれる医師と一緒に働こう! 北米臨床留学に向けて、医学・医療英語の準備をして 3 おこう!