1/33
杉並PARK在宅クリニック
在宅医療の看取りを言語化したときに「一定の作法・型がある」というのが私の臨床経験上の1つの結論です。トータルペイン、看取りのパンフレット、キュブラー・ロスの死の受容5段階モデルの活用など。より具体的にスライド作成していますので、明日の在宅医療現場で意識してもらえたら幸いです。
学生でもできる!診療所外来のい・ろ・は
14
5,948
Antaa Academiaへの誘い〜アカデミア4期の振り返りと5期の紹介
#マネジメント #アカデミア #経営
6
5,287
在宅医療で出会う困難事例の紐解き方
#多職種連携 #在宅医療 #困難事例
15
5,754
在宅医療で出会う困難事例の紐解き方
#多職種連携 #在宅医療 #困難事例
15
5,754
#4 高Ca血症 | 電解質輸液塾
#輸液 #医学生 #研修医 #高Ca血症 #電解質輸液塾 #サイアザイド #高カルシウム血症 #PTH #悪性腫瘍
166
37,551
高齢患者の予後を左右するのは栄養介入〜 これまでの在宅医療に携わってきた実体験から
#サルコペニア #リハ栄養 #フレイル #在宅医療
23
4,679
いつまで続ける?終末期の抗菌薬
#抗菌薬 #救急×緩和ケア #終末期
86
45,185
看取りの作法(初期研修医向け)
#看取り
119
17,808
産婦人科にコンサルトすべき女性の腹痛 救急編③〜その他〜
#腹痛 #産婦人科 #救急科 #悪性腫瘍 #異所性妊娠 #卵巣茎捻転 #不妊治療 #卵巣出血 #PID #Fitz-Hugh-Curtis症候群
38
7,049
初心者のための学会発表攻略のコツ
#医学生 #研修医 #プレゼン #症例報告 #学会発表
188
47,263
<東京北家庭医療>陰性感情:患者さんにイラッときたら
#家庭医療 #東京北
15
5,576
臨床における意思決定支援
#患者中心の医療の方法 #意思決定支援 #臨床倫理4分割表 #Shared decision making #臨床倫理 #倫理4原則
25
9,975
高齢患者の予後を左右するのは栄養介入〜 これまでの在宅医療に携わってきた実体験から
#サルコペニア #リハ栄養 #フレイル #在宅医療
23
4,679
在宅医療で出会う困難事例の紐解き方
#多職種連携 #在宅医療 #困難事例
15
5,754
地域医療と自分なりの挑戦
##地域医療 ##医療改革 ##訪問診療医
3
4,797
杉並PARK在宅クリニック 院長 田中公孝 在宅医療における看取りの作法
2009年滋賀医科大学医学部卒。 日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医。2017年〜4年間、三鷹で訪問クリニックを運営。 2021年4月杉並区西荻窪に 杉並PARK在宅クリニックを開設。 (訪問診療に特化) 田中 公孝 医師/院長
クリニック概要 杉並PARK在宅クリニック 所在地:東京都杉並区西荻北4-10-6 診療開始:2021年4月 従業員:4名 診療形態:訪問診療特化
訪問エリア 東京都23区 西側〜多摩地域
ミッション・ビジョン MV
診療の様子 SCENE
在宅看取り数はまだまだ少ない
医療・介護の専門職として「看取り」 という日常・仕事にどう向き合っていくか? ⇨ 看取りには一定のお作法がある 向き合えば徐々にできるようになる 本日の問いとMESSAGE
・看取りの流れをおさえる ・死の直前の4つの苦痛をケアする ・患者・家族の認識に向き合う ・看取り直前の経過をおさえる ・死生観・グリーフケアを意識する 看取りに専門職が向き合うには
2017年12月末〜心窩部痛あり、2018年2月A病院受診。切除不能局所進行膵頭部癌の診断。手術は不可、抗がん剤 TS-1も服用してみたが副作用(食欲不振、便秘、発熱、皮膚搔痒など)のため中止。緩和ケアの方針で、当院訪問診療開始となった。 家族構成:本人、弟夫婦の3人暮らし 当院介入後は、前医への不信感・強い悲嘆があり、経緯をお聞きし、 今後は私達と訪問看護に相談しながら進めていきましょうとお話。 事例 70代女性 膵癌末期
その後、自宅での生活に安心されていたが病状の進行がはやく・・ 癌性疼痛が週の単位で悪化あり、 麻薬 オキシコンチン 45→60→70mgに増量、 8/10〜疼痛増強、内服も飲みづらくなり、 麻薬 フェントステープ4mgにオピオイドローテーション もともと繊細な性格だったが、癌になって以降、感情失禁 を出す状況。 →抗不安薬デパス屯用、前週よりは対応できるように 事例経過①〜病状進行と薬の調整
下肢浮腫が著明で利尿剤投与、弾性ストッキングおよび訪問マッサージを導入(女性施術師指定という強い要望)。 排便コントロールが難しくなり、下剤増量 臨時訪問で浣腸を2回施行。 入院のタイミングをご本人・ご家族と相談し、老老介護のため介護疲弊が限界にきていること、毎週のペースで麻薬を増量しており病状が悪化していることを説明、緩和ケア病棟入院へ しかし入院生活は思っていたものと違った、とご本人より話があり、早期退院。最期は自宅看取りの覚悟を決められ、数週後看取りとなる。 事例経過②〜病状進行と薬の調整
13 死の直前の苦痛は多岐にわたる ー フレームワークで全体像を掴む ー 看取りのポイント①
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/daicho/column/201304/530181.htmlより 病状の進行の速さ 痛み、便秘、浮腫 前医への不信・強い悲嘆 なぜ私がこんな病気に? 本人は計り知れない心情 家族の死生観 老老介護 入院<在宅 まず様々な痛みを同定・ 分析評価する 先程の事例 70代女性 膵癌末期では…
できる限り前倒しで問題について考えておくこと 着手が早ければ想定より準備に時間がかかることが 早期にわかる 在宅医療で意識するべきは Think ahead of the problem 引用:イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 安宅和人
仕事でも皆さんがそうしているように 直近で起こる緊急的なものか、重要性の高いものか、 課題を分析し、優先順位をつけて取り組んでいくのが大事 在宅医療で意識するべきは 優先順位を常に意識する
・前医への不信感・強い悲嘆 → 医師・看護師による傾聴 ・病状の進行が早い → 薬を調整しつつ早めの終末期シナリオを ・女性施術師指定という強い要望 → 日頃からの業者の検討 ・老老介護のため介護疲弊 → 入院と在宅の細かいシナリオ作成 ex) 3つのシナリオを準備する:good - even - bad ・入院生活は思っていたものと違った → 最後の話し合いの場設定 事例まとめ〜困難に感じる要因の重なり 全てに打ち手と選択肢を なるべく事前に試行錯誤 ❶ ❷ ❸ ❹
1人だと見えている問題に限界がある 他の視点を入れることで前に進み、楽になる まずはブレスト的に人と相談することを推奨 →本事例も訪問看護とよく相談した 在宅医療で意識するべきは 困難を感じたら相談する
19 患者・家族の認識に向き合う ー 告知の判断と受容段階の同定、癌の経過 ー 看取りのポイント②
本人の認識:伝えるかどうか? 未告知の場合の戦略 / 告知後の戦略 予後は伝えない、でもうまくいくことも多い 家族の認識:今の受容の段階はどうか? ⇨ キュブラーロス死の受容5段階モデル 癌の特徴と看取りまでの経過を伝える 私が終末期の現場でよく考えること①
① 否認と隔離 ② 怒り ③ 取引 ④ 抑うつ ⑤ 受容 キュブラー・ロス 死の受容5段階モデル – 現在の心情を認識する 目の前の患者・家族の段階はどこだろう?
病の軌跡 ー 癌の特徴的な経過 引用:http://www.kameda.com/patient/topic/acp/05/index.html 癌の経過を 説明しておく
癌の症状:癌の種類で症状が異なってくることを意識 肺癌→呼吸症状 膵癌→痛み 乳がん→浸出液 多職種の連携:訪問看護・訪問薬局・ケアマネさんに 方針を伝え、家族サポートを依頼 (強みがあるところに頼る) • 在宅で看取りきれるか?を検討する: 家族の介護力や覚悟、緩和ケア病棟を利用するか否か 私が終末期の現場でよく考えること②
24 看取り直前の経過をおさえる ー 前もって知っていると人は冷静になれる ー 看取りのポイント③
トイレに行けなくなる 水分が飲めなくなる 発語が減ってくる 見かけが急激に弱ってくる 眼の勢いがなくなってくる 原因の特定しにくい 意識障害の出現 一日中反応が少なくなってくる 脈拍の緊張が弱くなる 血圧が低下する 手足が冷たくなってくる 手足にチアノ−ゼが認められる 冷や汗が出現する 顔の“相”が変わる 死前喘鳴が出現する 身の置き所がないかのように 手足をバタバタさせる あさひかわ緩和ケア講座 2013スライド改変 死亡前1週間以内 死亡前48時間以内 看取りの自然経過をあらかじめ説明する
緩和ケア普及のための地域プロジェクト(厚生労働科学研究 がん対策 のための戦略研究)より フリーで ダウンロード可能 紙面があれば家族は見返してくれる 心構えを 促す
27 死生観・グリーフケアを意識する ー グリーフケアを意識的にできる専門職に ー 看取りのポイント④
人によって異なる 死はあくまでも生の結果 その死は個別的なものである 生と死をどう意味づけるか大切 (死の後も更に続くもの) 臨床宗教師 遠山玄秀さん 講演資料より 死生観のポイント 掲載許可 いただいた お坊さんの 大事な視点
① 体験する − 入院のお見舞いに行く − 葬式に参列する − 亡くなった人の顔を見る ② 考える 死生観を身につけるには? 臨床宗教師 遠山玄秀さん 講演資料より 掲載許可 いただいた お坊さんの 大事な視点
人は死別などによって愛する人を失うと、大きな悲しみである「悲嘆(GRIEF)」を感じ長期にわたって特別な精神状態の変化を経てゆきます。 遺された家族が体験し、 乗り越えなければならないこの悲嘆のプロセスを「グリーフワーク(GRIEFWORK)」と言います。 → この悲嘆をケアすることが グリーフケア 京都グリーフケア協会ホームページより グリーフケアの推奨
死に対する感情表出を手助けする → 自分だけ、その場だけで表出させることは 難しい。親戚の人、家族の人にも手伝って もらうように意識。 医療介護職自身のケアに グリーフケアの推奨 まさに 在宅緩和ケア の醍醐味
在宅看取りを推奨しすぎること、うまく看取れたケースや理想を前面に出すと誤ることがある 医療者の押し付ける看取りにならないよう、十分な配慮が必要。経過の中で複数の関係者視点でディスカッションが必要。振り返りができると尚良い。 ただし、現在はもっと在宅看取りの選択肢が増える必要がある。コロナの影響でさらに流れができつつある。 在宅看取りについての私見
医療技術 非医療技術 communication 在宅緩和ケアは、車の両輪が大事