#4.
後期研修は聖マリアンナ医科⼤学に⼊局した経緯を教えてください Antaa 編集部 実際には、初期研修2年⽬の2⽉に消化器外科の医局に⼊ることを辞めて しまったので、その時点で4⽉からの⼊局を許可していただけるのがそ こしかなかったから、ということになります(笑) 初期研修でお世話になった放射線科の先⽣が、たまたま放射線科専⾨医 会の理事⻑などをやられていた⽅で、その先⽣が、聖マリアンナ医科⼤ 学放射線科の教授に頼み込んで、⼊局させて頂いたかたちとなります。
#5.
聖マリアンナ医科⼤学の放射線科はいかがでしたか? Antaa 編集部 放射線科には興味があり、全⾝を診ることで多くの病気を学べる 点に魅⼒を感じました。 特に聖マリアンナ医科⼤学の放射線科は、救急外来の横に放射線科 ブースがあり24時間365⽇放射線科医が泊まり込み全件読影し、緊急 IVRとなれば夜中でも放射線科医が何⼈も集まってくるという、とても 放射線科とは思えないアグレッシブな環境でした。 救急外来でのさまざまな疾患を、放射線科医として当直しながら勉強 するのはとても⾯⽩いと思いました。
#6.
放射線科としてアグレッシブな環境が⾯⽩さを感じていたのですね Antaa 編集部 でも、⼊局して早々に、放射線科の先⽣たちは本当にレベルが⾼く マニアックな先⽣が多くて、⾃分は到底勝てないなと思ってし まって(笑)また、AIが画像を読む時代が来るとしたときに、放射線科 の未来にも不安を感じました。 放射線科では⾏き詰まりを感じていたので、思い切って辞める決断を しました。教授に相談したところ、「お前がそこまでやりたいならい いんじゃないか」と背中を押していただきました。直前にお願いして 無理やり⼊局を許可頂いたのですが1年で辞めるという、またこれも キャリアとしては迷いに迷っている結果となりました。 放射線科の先⽣⽅たちはとても良い先⽣たちでしたし、今でも⾷事に 誘っていただける先⽣もいて、⼤変お世話になりました。 本当に、ご迷惑をおかけして申しわけなかったと思っています。
#7.
Antaa 編集部 聖マリアンナ医科⼤学を辞めたあとに、 豊⽥地域医療センターへ⾏った経緯を教えてください そんな時に地元豊⽥市の豊⽥地域医療センターで、⺟校の藤⽥医科⼤ 学の先⽣たちが在宅医療を⽴ち上げるという話を聞き、⾒学に⾏くこ とにしたんです。⾒学の際には、在宅医療メインというよりは、在宅も 外来も病棟も診る家庭医療という⽂脈での話が多く、とにかく在宅医 療だけやりたいと思っていた僕にとっては、正直それほど響くものはあ りませんでした。 しかし、帰り際に駐⾞場までプログラム⻑の⼤杉泰弘先⽣が出てきて くれ「いろいろ話したけど、結論、スタッフとして僕らを助けて欲し い」と⾔われ、その時に「あ、ここまで正直に⾔える⼈なら、信 頼してもいいかな」と思い、⼊局を決めました。
#8.
「3年後開業」を宣言して入局! 在宅診療のロールモデル不在の中での模索 医療法人白青会 理事長/いしぐろ在宅診療所 院長 石黒 謙一郎先生 Powered by
#9.
豊⽥地域医療センターではどうでしたか? Antaa 編集部 豊⽥地域医療センターでは、藤⽥保健衛⽣⼤学総合診療‧家庭医療プロ グラムにのり、総合診療‧家庭医療と在宅医療を中⼼に活動を始めまし た。地元出⾝で仲間もいて、在宅クリニックを開業するための準備期間 としては、キャリアとして初めて、本当に充実した3年間を過ごす ことができました。
#10.
とても充実した時間だったようで、開業に向けての思いも⾼まったのでは? Antaa 編集部 在宅クリニックを開業したいと思っていましたが、今までのキャリアは 迷⾛してしまっていたので、藤⽥医科⼤学に⼊局する際には「ここで在 宅医療を学んで開業する!」と決めて⼊局することとしました。 ですので、⼊局するときに「3年後、専⾨医を取ったら医局を辞 めてすぐに開業する!」と宣⾔しました。 反対されるかなと思っていましたが、逆にプログラム⻑の⼤杉先⽣から は「いいね!協⼒するよ!」と⾔っていただけました。これにはとても びっくりしました。
#11.
Antaa 編集部 3年後開業を宣⾔して⼊局されましたが、 開業までの道のりをあらためて振返るといかがですか? それまでのキャリアでは、本当に迷ってばかりいて、多くの⼈に迷惑を かけていたことを改めて伝えたいです。 みんながキャリアに迷うのは⾃然なことだと感じます。 僕⾃⾝、外科の医局に⼊ると⾔っていたのを直前に辞め、急遽⼊れて いただいた放射線科も1年で辞め、という状態だったのですから(笑) 実際に開業するまでには、多くの⽅々に助けられながら進めることが できました。⼤杉先⽣もとても協⼒してくれました。本当に感謝してい ます。
#12.
開業までの道のりは本当に迷いと悩みが多かったのですね Antaa 編集部 迷って失敗し、本当に周りに迷惑をかけることが多かったと思いま す。在宅クリニックを開業したいという思いは学⽣の頃からありまし たが、その道筋は悩みや苦労の連続でした。 特に若⼿開業のロールモデルが少なく、相談できる相⼿がいな かったことが⼤きかったと思います。 具体的な開業の⽅法を教えてくれる、ちょい上の先輩がいればもっと スムーズに進められたと思います。迷っていた時期は無駄ではないです が、やはりそれ相応に悩みました。辞める時も⼤変でした。
#13.
確かに、医局を辞める時のご苦労もあったのでは… Antaa 編集部 はい。僕の作戦としては、先輩には相談せず、教授にだけに「辞めた い」と伝えました。 先輩に話すと絶対に⽌められるため、教授の了承 を得ることが⼀番だと考えたからです。教授がOKを出せば、他の⼈も 納得してくれますし。 ただ、そこまではうまくいったのですが、辞めると決まった後も退職 まで数ヶ⽉は医局では働くわけで、その時がとても⾟かったですね。 何が⾟いって、辞めるって発表されてからも「辞めちゃうなら最後 にこれだけは覚えておけ」といって、最後まで辞めていく僕の相⼿ をしてくれた先⽣⽅がおり、本当に申し訳なく、ありがたく思い、⾟ かったです。その先⽣⽅の気持ちに応えれるよう、朝早く出勤しまし たし、昼休憩もとらずに予習復習をし、教えていただいたことを全て 吸収できるようにがんばりました。結果、めちゃ痩せました(笑)
#14.
キャリアに迷って迷⾛された経験から学んだことは? Antaa 編集部 ⾏動の⼤切さ‧⾟さ、切り替えの⼤切さ‧⾟さ、ですかね。 この経験から、僕はキャリアに迷っているみなさんに、「若⼿でも在 宅クリニックを開業する」というコースであれば、ちょい上の先輩 として、迷わずに進めるようにサポートしたいと考えています。 迷うことは⾃然ですが、既存の選択肢だけでは、⾃分の納得いくキャ リアがない時もあります。僕のように医局という既存の限られた選択 肢の中だけで、フラフラしなくていいと伝えたいです。 そして、やはり実際に⾏動することが⼤切だと思います。⼀歩を踏み 出し、失敗しても、⽅向転換すればいいのです。⼤学受験や恋愛な ど、すべての経験には意味があり、振り返ると良かったと思えたりしま す。全ての出来事において、それ⾃体に善悪は無く、その後の⾃分の 考え⽅や⾏動でどう活かしていくか?こそが⼤切だと思います。
#15.
自分の限界を知り、 柔軟に切り替えてキャリアを歩む 医療法人白青会 理事長/いしぐろ在宅診療所 院長 石黒 謙一郎先生 Powered by
#16.
Antaa 編集部 失敗を恐れずに軌道修正するには、勇気がいりますよね ⽯黒先⽣はどのように失敗に向き合っていますか? まずは、挑戦し続ける限り、失敗なんてないと思っています。 でも、そう思ってても、思った通りにならない時は⼤変ですよね。そん なとき、僕は能⼒が⾼くないからこそ、簡単に切り替えられるのかも しれません。能⼒が⾼い⼈は、だいたい頑張ればある程度できるよう になりますし、できるようになってきた経験があるので、切り替えをせ ずに粘ってしまうことが多いかなと思います。 しかし、僕の場合、現役の⼤学受験は全て落ちてますし、⾃分がそれ ほど能⼒が⾼いと思っていません。放射線科から転科した時も、周り の先⽣がすごすぎて放射線科として⾃分が活躍する想像が全くできな かったのです。ある意味、⾃分のことをよく理解していたこと が、よかったのかもしれません。
#17.
⾃分の限界を理解しているのは⼤切ですね Antaa 編集部 そう思います。 僕は⾃分の能⼒がそれほど⾼くないと思っていて、それで良かったと 思っています。 ⾃分でできない分、周りに助けてもらうことも多いですし、助け てもらう際に⾃然に感謝もできると思います。なんでも⾃分でできる ⼈だと、なかなか他⼈への感謝が⽣まれないかもなあと思ったりもしま す。
#18.
やってみなければわからない、 まずは挑戦しやすい場所を 医療法人白青会 理事長/いしぐろ在宅診療所 院長 石黒 謙一郎先生 Powered by
#19.
今後の謙⼀郎先⽣の⽬標について教えてください Antaa 編集部 そうですね。さらなる「選択肢の提供」を⾏っていきたいと思っ ています。 今までは、患者さんに対して、在宅医療という形で、⾃宅で最期まで 過ごすことができる「選択肢」を提供してきました。 次は、先⽣⽅に対して、僕らと⼀緒にパートナーシップ制度という形 で、若⼿医師でも経営の知識や⾃⼰資⾦が無くても、僕らと⼀緒なら 開業できるという「選択肢」を提供していきたいと考えています。 やりたいことは、あくまでも「選択肢の提供」で、最終決定者はみな さんです。患者さんにとって⾃宅看取りだけが正しいとも思いません し、先⽣⽅にとって開業だけが⼀番よいとも思っていないです。 ただ、みなさんが多様な選択肢の中から⾃主的に選べることが、 納得感と幸福感に関わると思っています。その過程で、僕らができ る⼿助けがあるなら、僕らも幸せです。
#20.
それでは、最後にキャリアに悩む読者へのメッセージをお願いします! Antaa 編集部 僕もキャリアで悩んだ時期がありましたし、医局を3回辞めた経験(初期 研修医時代に⼊局予定を取りやめた経験1回含む)もあるので、悩む気持ちはよくわ かります。 ただ、やってみなければわからないこともたくさんありますし、 合わないと思ったら別の選択肢に移ることができる時代になっていま す。その中で、僕らはパートナーシップ制度という形で、若⼿医師で も、経営の知識や⾃⼰資⾦が無くても、僕らと⼀緒なら開業できるとい う「選択肢」を提供しています。在宅医療でクリニック開業に挑戦する ことも選択肢の⼀つとして捉えていただけると、より多様な選択肢から 選ぶことができるようになり、先⽣⽅の、より納得した、より幸せ な、キャリア形成に繋がるとうれしいです。
#21.
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