市立長浜病院
<東京北EBM>ベイズの定理
#診断 #EBM #ロールキャベツ #東京北 #ベイズ
14
3,834
最終更新:2021年7月12日
フローサイトメトリーの読み方 ~研修医からジェネラリストまで~
#初期研修医向け #呼吸器内科 #診断 #悪性リンパ腫 #リンパ節生検 #総合内科 #白血病 #リンパ腫 #骨髄腫 #内科 #内科専門医 #胸水 #臨床実習 #検査 #医学生向け #消化器内科 #血液内科 #腹水
180
110,689
最終更新:2022年2月16日
肺がん診療のリアル~診断編(後編)
#肺がん #組織型 #進行度 #TNM分類 #ドライバー遺伝子変異 #PD-L1発現 #持病 #臓器機能 #年齢 #PS
77
28,307
最終更新:2020年12月29日
V20って何? 肺がんカンファレンス前に 知っておきたい3つのこと
#放射線科 #肺がん #V20 #IMRT #肺臓炎
84
41,391
最終更新:2022年2月18日
まずはここから!脳梗塞の臨床病型診断入門
#神経内科 #病歴 #脳梗塞 #診断 #動画あり
982
927,401
最終更新:2022年9月18日
曳舟ER診断カンファレンス第3回〜Back to the history〜
#鑑別診断 #救急外来 #ER #診断推論 #総合診療 #診断 #救急科 #診断学 #NEJM #Clinical Problem Solving
47
44,209
最終更新:2021年11月9日
5類感染症となるCOVID-19への対応 - 5類化への対応・院内感染対策・早期治療の重要性 -
#新型コロナウイルス感染症 #COVID-19 #感染対策 #5類感染症 #マスク
209
327,252
最終更新:2023年3月25日
呼吸器と病理と僕
#器質化肺炎 #肺病理
5
4,745
最終更新:2023年3月22日
重症COVID-19で注目されている自発呼吸関連肺傷害(P-SILI)をご存じですか?
#PEEP #自発呼吸関連肺傷害 #努力呼吸 #呼気終末陽圧 #ΔPes #P-SILI #吸気努力 #エラスタンス法 #Pmus #PMI #ΔPocc #P0.1 #陰圧性肺水腫 #Pendelluft現象
53
8,089
最終更新:2023年2月21日
臨床病期1期(ステージ1)の非小細胞肺癌のガイドライン
#オシメルチニブ #肺葉切除 #非小細胞肺癌 #外科切除 #テガフール・ウラシル #開胸 #アテゾリズマブ #胸腔鏡下手術 #標準手術 #術後補助療法 #PET
37
5,336
最終更新:2023年1月23日
肺がん手術の今までとこれから
#肺切除 #リンパ節郭清 #拡大手術 #低侵襲手術 #気管支形成術 #JCOG0802試験
36
5,711
最終更新:2023年1月20日
救急エコーはまず肺より始めよ 簡単ですぐに使えて コスパ最高
#エコー #救急外来 #医学生 #研修医 #救急科 #気胸 #肺エコー #初期研修医 #POCUS #B line #Lung slidingの消失 #A line #Lung sliding
639
70,142
最終更新:2023年1月5日
内科(364)
消化器内科(55)
循環器内科(77)
呼吸器内科(78)
血液内科(32)
糖尿病内分泌代謝内科(46)
腎臓内科(29)
アレ膠リウマチ内科(28)
脳神経内科(93)
総合診療科(149)
救急科(342)
外科(33)
消化器外科(2)
呼吸器外科(3)
乳腺外科(0)
整形外科(81)
脳神経外科(16)
泌尿器科(21)
形成外科(19)
皮膚科(25)
眼科(19)
耳鼻咽喉科(13)
歯科口腔外科(8)
リハビリテーション科(8)
心臓血管外科(5)
小児科(48)
産婦人科(47)
精神科(61)
放射線科(51)
麻酔科(12)
緩和ケア科(23)
感染症科(200)
産業医(8)
初期研修医(330)
医学生(4)
その他(298)
肺がん診療のリアル 診断編(前編) 市立長浜病院呼吸器内科 野口 哲男 現役呼吸器専門医 呼吸器ドクターN
はじめに このスライドは、肺がん疑いで外来を受診する患者さんを対象にしたものです。 私(呼吸器専門医)がどのように考え、検査、診断、治療をしているのかをわかりやすく説明したものです。 YouTube動画「肺がん診療のリアル」シリーズをまとめたものになります。 今回は診断編 前編になります。 研修医や非専門医の先生の参考になれば幸いです。
外来に「肺がん疑い」で受診 健診で「異常陰影」のため受診。 症状(血痰、咳、呼吸困難、体重減少、だるさなど)で自己受診、あるいは紹介。 健診オプションで「腫瘍マーカー高値」のため受診。
私が考えること 健診のフィルムはあるのか(持参)? 結果報告書のみ持参の場合? 本当にがんを疑う陰影なのか、 確認したい!!
私が考えること 健診のフィルムはあるのか(持参)? 結果報告書のみ持参の場合? 本当にがんを疑う陰影なのか、 確認したい!! どちらでも、 とりあえず胸部CT!
胸部X線と胸部CT 胸部X線で「肺がん疑い」と判定されても、 胸部CT(精密検査)では「問題なし」と なることも多い。 胸部X線は、いろいろな正常構造物を1枚の写真に おさめているので、「重なり合い」ができる。 胸部CTは断面写真のため、重なり合いがない。 ↓ はっきり判断をつけることができる。
胸部X線 肺の他にも 肋骨 心臓 血管陰影 横隔膜 等 重なり合い
胸部CT(単純)
小括1 健診で「胸部異常陰影」、「肺がんの疑い」で呼吸器内科を受診した場合、 医師はまず胸部CT(単純)を撮影する。 胸部X線では重なり合いで腫瘍のように見えても、CTを撮ってみると異常がないことも多い。 肺がんの疑いというCT所見があれば、肺がんの診断をつける検査を考えていく。
外来に「肺がん疑い」で受診 健診で「異常陰影」のため受診。 症状(血痰、咳、呼吸困難、体重減少、だるさなど)で受診。 健診オプションで「腫瘍マーカー高値」のため受診。
私が考えること 本当に肺がんの症状なのか? もしそうなら、 進行している可能性がある。
血痰(けったん:血の混じったたん) 肺がんの症状の可能性はある。 が、他の病気の症状かもしれない。 結核 気管支拡張症 鼻血のたれこみ のどの奥の血管が一時的に出血(激しい咳などで) などなど まず鑑別すべきは、肺がんと結核。
血痰(けったん:血の混じったたん) まずは血痰の程度を確認。 受診時には止まっていることも多い。 喀血(大量の血液を吐く)の場合は緊急処置が必要。 バイタルサイン(意識、血圧、酸素飽和度など)が問題ないか確認。血をさらさらにする薬の服用の確認。 少量の血痰であれば、喀痰(かくたん)検査(血痰を容器にとってもらって、悪性細胞の有無、結核菌の有無を検査する)。 一般採血。胸部X線およびCTも必要に応じて撮影。
咳(せき) 肺がんの症状の可能性はある。 が、他の病気の症状かもしれない。 喘息 COPD(慢性閉塞性肺疾患;いわゆる肺気腫) 風邪 心因性 などなど 咳だけの場合、まずは喘息やCOPDを念頭に検査をすすめる。たばこ歴、アレルギー疾患の有無の確認。肺機能検査、採血。 胸部X線で異常がないか確認。必要に応じてCT。
呼吸困難 肺がんの症状の可能性はある。 が、他の病気の症状かもしれない。 喘息 COPD(慢性閉塞性肺疾患;いわゆる肺気腫) 風邪 心臓疾患 などなど 酸素飽和度(実際に血液が低酸素になっているか?)、聴診、胸部X線、採血、心電図など。
体重減少、だるさ 肺がんの症状の可能性はある。 が、他の病気の可能性もある。 他のがんでも体重減少、だるさはある。 食欲不振、だるさをきたす疾患は数多い。 肺がんを心配してこられたのであれば、 胸部CT、腫瘍マーカーのチェックを行う。 問題なければ呼吸器的には終了。
小括2 症状(血痰、咳、呼吸困難、体重減少、だるさなど)で自己受診、あるいは紹介された場合、 血痰であれば、肺がんを積極的に否定する 咳や呼吸困難は他の呼吸器疾患の可能性が高いが、肺がんは一応否定する必要がある。 体重減少やだるさは他のがん、病気の可能性が高いが、肺がんが心配で受診された場合は胸部CTで確認する。
外来に「肺がん疑い」で受診 健診で「異常陰影」のため受診。 症状(血痰、咳、呼吸困難、体重減少、だるさなど)で受診。 健診オプションで「腫瘍マーカー高値」のため受診。
私が考えること 健診の腫瘍マーカーが 高いからって 肺がんとは限らないからなあ。。
腫瘍マーカー(しゅようマーカー)とは? 簡単に言うと、「がんが作っている物質」 がんの種類ごとに多くの種類がある。 通常は、がんと診断されている場合に 治療効果をみる 再発の有無をみる ことに利用。 診断に役立つことは少ない(PSAは別)。
腫瘍マーカーの種類 (肺がん) CEA SLX SCC シフラ(サイトケラチン) NSE proGRP 腺がん 扁平上皮がん 小細胞がん
腫瘍マーカーの異常の程度 腫瘍マーカーは、正常人でも少量作られている。 特にタバコを吸っている人は高めに出る。 例えばCEA(基準値5以下)が7の場合、 体質やタバコの影響も十分ありえる。 CEAが(桁違いの)50などであれば、がんの可能性が高い。
腫瘍マーカーの異常が起こる原因 CEAの場合、がんで上昇するのは 大腸癌、膵癌、胆管癌、肺癌、食道癌、胃癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、泌尿器癌 がん以外で上昇するのは 肝炎、肝硬変症、閉塞性黄疸、膵炎、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、糖尿病、膠原病、慢性肺疾患、甲状腺機能低下症、腎不全、加齢、喫煙 http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/03.html
実際の対応 腫瘍マーカーの異常の程度を確認。 桁違いに高い場合は、胸部CTなど精密検査。 わずかに高い場合で胸部X線が異常なしという健診結果の場合、腫瘍マーカーの再検査。同じくらいのレベルであれば、「体質の可能性」と説明。心配なら、3か月後にフォロー。
小括3 腫瘍マーカーのみが異常で胸部X線の結果が異常ない場合は、腫瘍マーカーの異常の程度を確認。 わずかに高い程度なら再検査を行い、経過観察とする。 基準値より桁違いに高い場合は、がんの可能性が高いため、CTなど精密検査を行う。 数値が高い場合、同じ腫瘍マーカーでも複数のがんの可能性があるので、肺がんが否定されても他科受診を勧める。
肺がんの診断 胸部x線、CTで肺がんが疑われる場合、その時点では あくまで「肺がんの疑い」です。 確定診断には、「がん細胞」を証明する必要があります。 診断をつけるためには、 組織、細胞を採取してくる 必要があります。
組織を採取してくる方法 気管支鏡(生検) CTガイド下生検 手術(診断をつけるための手術)
細胞を採取してくる方法 喀痰検査 胸水(胸腔穿刺) 気管支鏡(ブラシ、洗浄)
気管支鏡(BFS) 簡単に言うと、「胃カメラを細くしたもの」。 胃カメラは食道~胃~十二指腸を観察するのに対し、気管支鏡は気管支を観察する。 気管支は枝分かれしていくため、肺の奥の方までは観察できない。 透視下でサンプルを取ってくることが多い。
気管支鏡(BFS)のイメージ
気管支鏡(BFS)のイメージ
気管支鏡で得られる検体 経気管支肺生検(TBLB) 組織診 細胞診 気管支ブラシ(擦過) 生理食塩水による洗浄液
気管支鏡の実際(当院) 呼吸するところにファイバーが進入してくることで、咳がでます。 静脈麻酔で少し眠ってもらって、できるだけ苦しくないようにします。 (検査が終わったら、覚醒する薬剤を投与します) 通常、1泊2日の検査になります。 検査では組織をひきちぎってきたり、ブラシでこすったりするので、 出血する確率は100%です。通常は経過観察で止血しますが、 出血が持続する場合は止血剤を投与します。 鉗子が肺をつかみとってくることで、肺の一部に穴があき、 ちぢんでしまう(気胸)ことが稀にあります。
小括4 肺がんと確定診断するためには、がん細胞を証明する必要がある。 そのために組織採取、細胞採取が必要である。 気管支鏡検査は気管支にスコープ(胃カメラを細くしたようなもの)を入れる検査である。 肺内の病変は直接見えないことも多く、X線透視で病変到達を目指す。 得られる検体は、鉗子生検(組織診)、ブラシや生理食塩水による洗浄液(細胞診)がある。 治療の参考になる遺伝子変異、PD-L1発現を調べるためにはできるだけ多くの検体採取が必要である。
組織をとってくる方法 気管支鏡(生検) CTガイド下肺生検 手術(診断をつけるための手術)
CTガイド下肺生検 簡単に言うと、「CTで場所を確認しながら皮膚から針を刺して肺組織をとってくる」検査。 気管支鏡では到達が難しい肺の表面近く(皮膚から近い)場合がよい適応。
CTガイド下肺生検のイメージ どの部位を針で刺すかは 皮膚にマーカーを 置いて確認します。
CTガイド下肺生検のイメージ この場合、 針先が肋骨に当たって しまっているので、 やり直しです。
CTガイド下肺生検のイメージ この場合、 針先がターゲット病変 に当たっているので ここから採取します。
CTガイド下肺生検の実際(当院) CTの撮影室で行います。 皮膚に場所決めのマーカーを置き、 あとは範囲を絞ってCT画像を確認しながら、 局所麻酔を十分に行い、針先がターゲット病変に 到達していることを確認したら 針を操作して一瞬で病変をえぐり取ってきます(針の中に)。 気胸の有無を確認して終了。 範囲を絞るので、被ばく量は多くない。
小括5 肺がんが疑われる陰影が気管支鏡で 到達しずらい場所(特に皮膚の近く)の場合、 CTでその場所を確認して、皮膚から針を刺して 病変を採取するCTガイド下肺生検が行われます。 肺を通過するので、気胸のリスクがあります。
おまけ 呼吸器ドクターNとして情報発信しています! 呼吸器の総合サイト「呼吸器ドクターNのHP」 https://resdoctorn.jimdofree.com/ 呼吸器の最新論文の紹介「呼吸器ドクターNのブログ」 https://ameblo.jp/resdoctorn YouTube動画「呼吸器ドクターN」チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCD0Wpzva_AdPJsRbFAXlCrQ 呼吸器ドクターN 🔍検索