#4.
「5年前なら材質はチタンだろうし、手術 した病院に確認せずにMRI撮りましょう! t-PA投与など血行再建の治療が急がれるので。」 で、大丈夫ですか?
#5.
学習目標 ①インプラントのある患者のMRI撮像に関する原則を知る。
②インプラントのある患者のMRI撮像の可否について症例毎
に判断する事ができる。
#6.
MRIとインプラント ・ MRI検査はX線を使用しないため放射線被爆がなく、低侵襲的な検査と
考えられる場合が少なくない。しかし強い磁場(静磁場)と急激に変化
する磁場(傾斜磁場)および高周波を使用して画像を作成するため、これらに
対する注意が必要 !
・体内にステント、クリップなどの医療器具が留置されている患者の検査施行
の判断には十分注意が必要
#7.
そもそもインプラントって? 失った歯を補うために埋め込む人工歯根は
デジタルインプラント 正しくは体内に埋め込まれる器具の総称であり、デジタルインプラント
以外に心臓ペースメーカーや整形外科用固定具もインプラントである。
#8.
MRI検査についての指針ってある? ・近年では多くのインプラントは非磁性の材料が使用されており、安全
にMRI検査を施行できるようになっているが、その判断に関しては検査
現場で悩む事が多い 。
・その理由として、MRI検査の適合性に関する情報や指針が少なく、適合性
の確認方法や判断が施設によって異なるという問題点が挙げられている。
JJMRM 2019; 39: 117-125 ・インターネットで「MRI, 金属」と検索すると様々な病院のマニュアル
が見つかる。自施設のMRIオーダー時のチェックシートや同意書の内容
をしっかり確認する必要がある。
#9.
インプラントのある患者のMRI撮像に関する原則 ①心臓ペースメーカー(MRI非対応)
②人工内耳
③神経刺激装置 この3つはどの施設のマニュアルを参照しても禁忌! それ以外のインプラントに関しては、
「MRI検査を依頼する医師がMRI検査の必要性を再確認した後に、そのデバイスの
留置部位や製品名などの情報を確認した上でデバイスのMRI適合性等を製品添付文書などで確認し、MRI検査が可能かどうかをMRI検査実施者と十分に相談して判断する
必要がある 」 MRI検査を安全に行なうための体内デバイス管理指針
(日本磁気共鳴医学会、日本医学放射線学会の合同作成)
#10.
とは言っても ・救急の現場では毎回デバイスの添付文書を確認したり、そのデバイス
留置を施行した病院に確認する事は現実的ではない。
・整形外科用固定具に関しては、余程昔に留置した物でなければ
チタン製であるため、MRI撮像が可能と判断し、本人・家族に説明し
て同意を取得し、撮像している事もあるのでは? 特に救急の現場で使用できるMRI撮像の指針が望まれる
#11.
・人工股関節置換術を施行した病院に問い合わせつつも、確認に
時間を要する場合には、代替画像としてCTAを撮像して脳の主幹動脈
閉塞を確認するという手がある。
・今回の症例と違って、脳梗塞が強く疑われるが血行再建が不要な
患者では、デバイスの情報が得られる翌日日勤帯にMRIを検討する
方針とするのが無難。 症例に戻って 安全性と緊急性から総合的な判断をする事が重要!
#12.
MRI対応の心臓ペースメーカーの実際 ・2012年にMRI対応の心臓ペースメーカーが使用可能となり、現在
は主流となっている。
・しかし実はMRI対応の心臓ペースメーカーが装着されているからと
いって、気軽にどこの施設でもMRIが撮像できるわけではない。 あくまで条件付きMRI対応の心臓ペースメーカーである!
#13.
1.5テスラのMRIしか対応していない機種がある、所定の研修を修了した循環器科医師が検査の依頼をするなど施設基準、実施条件がきっちり定められている
#14.
ペースメーカーや整形外科用固定具以外にも① ステイプラーに関してはいくつかのメーカーが販売しており、MRI対応可能なものとそうでないものがある。 自施設で採用しているものがどっちなのかを確認しておいて、
放射線技師と情報共有しておく事が重要!
#15.
・冠動脈ステントや胸部ステントグラフトなどの血管内ステント については挿入後に内皮化する8週間以降の撮像が安全である。 ・デバイスの種類によっても異なるため、8週間以内の場合には、
施行した病院の循環器内科や心臓血管外科に確認する必要がある。 ペースメーカーや整形外科用固定具以外にも②
#16.
Take home messages ・インプラントのある患者へのMRI撮像に関して放射線技師と
しっかり議論する事が必要。
・本来施行すべきMRIが施行できない事も問題であるが、検査に
より患者に害が及ぶ事は最も避けねばならず、そのMRIが本当に
緊急で必要なのか、代替の検査はないのかを常に考える事が重要。