#4.
栄養状態は、患者の生命予後を左右する 低栄養状態にあると、治療予後にさまざまな悪影響が… 平均⼊院期間1) CHFの死亡リスク2) +40〜70% ▲ +39% /1年間 ▲ 化学療法継続率3) 敗血症の生存率4) −30pt /6ヶ月 ▼ −10pt /30日間 ▼ 1) Clinical nutrition 27.1 (2008): 5-15.[PMID: 18061312] 2) Lancet 349.9058 (1997): 1050-1053. [PMID:9107242] 3). Annals of surgical oncology 20 (2013): 2000-2006. 4) Infect Drug Resist 14 (2021): 3817–3825. [PMID:34557005] 4
#5.
がん患者のQOLに対する寄与率 6% 4% 20% 10% 30% ⾷欲不振 体重減少 30% がんの局在部位 化学療法 ⼿術 その他 5
#6.
守りの「栄養管理」から 攻めの「 栄養療法 」へ! 6
#7.
きょうの目標 急性期患者に投与すべき栄養を評価できる 投与経路の選択と、それぞれ気をつけるべきポイントを理解する 院内マニュアルを読んで、食事や経腸製剤をオーダーできる 7
#8.
スライドの見方 8
#9.
スライドの見方 が いろんな スコアがあるんだな BMI以外でも 評価できるのね 表や⼀覧は「あとで参考になるな」程度に読み流す スライドの内容を「〇〇な⼈に、△△する」「〇〇なら△△する」と読み替える。 9
#10.
この勉強会資料の参考図書 メインにどうぞ 約4,000円 要旨の把握に 約5,000円 栄養素の各論 大塚製薬配布 10
#11.
この勉強会資料の参考図書 要旨の把握に 約5,000円 11
#12.
その前に 前提知識の確認 12
#13.
カロリーとエネルギーは違う…? • 生きるために必要とする「エネルギー」の単位は「カロリー」(cal.) • ヒトでは単位「キロカロリー」(kcal.)が用いられる事が多い。 • 「キロカロリー」は「カロリー」と略されることがしばしばある。 具体的な量を言うときの単位は「カロリー」 熱量自体を指すときは「エネルギー」 13
#14.
同化:合成してエネルギーを消費する 『人体の正常構造と機能』 改訂第3版 14
#15.
異化:分解してエネルギーをつくる 『人体の正常構造と機能』 改訂第3版 15
#16.
ここから本編 16
#17.
栄養療法3原則 ⻑期絶⾷は避ける。 腸が使えるなら、腸を使う。 エネルギーとたんぱく質の充⾜を⽬指す。 https://gebaeiyou.club/nutrition-therapy-principle/ より引用 17
#18.
栄養療法3原則…の例外 ROSC後など循環動態が著しく不安定 予後が期待できない末期がん https://gebaeiyou.club/nutrition-therapy-principle/ より引用 18
#19.
全体像(かんたんver) 入院・搬送 栄養モニタリング 投与ルート 経口栄養 栄養スクリーニング 意識の評価 嚥下機能の評価 栄養アセスメント 介入期間の評価 経腸栄養 経静脈栄養 NSTへのコンサルト 19
#20.
全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 20
#21.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 21
#22.
栄養スクリーニング 栄養障害リスクが高い患者を拾い、詳細な栄養アセスメントの対象を決めること。 栄養スクリーニングツール 客観的データによる評価(ODA) 名称 特徴 簡単 SGA やや主観的・広く使われている ◯ MUST 3項目のみ・簡便 身体 測定 検査項目 特徴 身長, 体重, BMI 体重は毎週測定! AC, AMC. TSF 寝たきりでも測定可 血清アルブミン たんぱく代謝 総コレステロール 脂質代謝 総リンパ球数 栄養状態での免疫変化 ◎ MNA-SF 高齢者/認知症リスクも評価 ◯ S-NUST 客観的項目で評価できる ◯ 血液 検査 22
#23.
そもそも低栄養状態とは 骨格筋量が減少した状態 骨格筋量 23
#24.
栄養評価の2軸 現症 病因 いまどうなのか これからどうなるのか BMI がん悪液質 体重減少 熱傷 筋肉量減少 炎症性疾患 消化管吸収 24
#25.
栄養スクリーニング:医療面接 入院・搬送 ・異常な代謝亢進やエネルギー需要はない? ・同化/異化に影響を及ぼす病態はない? 問診 • 既往歴(がん、肝硬変、呼吸器疾患) • 体重変化(1週間、1ヶ月で◯kg↓) ・現在の体重 ・健常時の体重(UBW)→ これが大切!! ・理想体重(IBW)→ BMI=22の体重 理想体重の90%未満はやせと判断される • 食事摂取(ふだんの◯割くらい) • ADL(寝たきり?歩いて外出?) ・3段階で評価できればOK • 消化器の自覚症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢) • 精神状態(認知症?うつ?) ・摂食量減少の原因となる症状がない? ・消化管を使ったらヤバそうな状態? +α:脳卒中、超急性期、腎障害など栄養製剤の選択に強く影響する状態も把握する 25
#26.
栄養スクリーニング:医療面接 入院・搬送 問診 • 既往歴(がん、肝硬変、呼吸器疾患) • 体重変化(1週間、1ヶ月で◯kg↓) • 食事摂取(ふだんの◯割くらい) • ADL(寝たきり?歩いて外出?) • 消化器の自覚症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢) • 精神状態(認知症?うつ?) 身体診察 • NST適応所見(熱傷、胃瘻/腸瘻・予定含む) • 身体状態(発熱、頻脈、外傷、体型、浮腫、褥瘡、腹水) ・経口摂取ができない状態はない? ・こまめな栄養調整が必要な病態? ・BMI < 15.0 : 高度やせ ・BMI < 18.5 : 軽度やせ ・低栄養の指標となる身体症状? ・エネルギー需要が亢進する状態? 26
#27.
栄養スクリーニング:リスクの有無を判定する <65歳 65歳≦ MUST MNA-SF Malnutrition Universal Screening Tool Mini Nutritional Assessment-Short Form 点数 点数 食事減少 BMI 体重減少 急性疾患 18.5〜20=1点 5〜10%減=1点 〜18.5=2点 10%〜減=2点 あり=1点 5日以上ほぼなし=1点 2点以上で栄養リスクあり 減少なし=2点 体重減少 不明=1点 1〜3kg=2点 なし=3点 自力歩行 離床可能で歩行外出不可=1点 歩行外出可能=2点 精神的 ストレス いいえ=2点 精神問題 栄養摂取 中程度=1点 BMI 中程度の認知症=1点 なし=2点 19〜21=1点 21〜23=2点 23〜=3点 7点未満で栄養リスクあり 27
#28.
栄養スクリーニング:リスクありなら重症度を判定する GLIM基準 Global Leadership Initiative on Malnutrition 28
#29.
栄養スクリーニング:リスクありなら重症度を判定する GLIM基準 Global Leadership Initiative on Malnutrition 現症 病因 いまどうなのか これからどうなるのか 29
#30.
GLIM基準は絶対ではない! さまざまな所見から総合的に判断する 30
#31.
さまざまな所見とは? みなさんはどんなことを確認してますか? 31
#32.
血液検査だと… 32
#33.
栄養スクリーニング:その他の所見 血液検査 血清アルブミン t1/2=21日 • 血漿タンパク質の60%を占める。< 3.5g/dLを低栄養の閾値とする • 上昇:脱水 低下:溢水、手術/外傷/熱傷、感染症、肝機能障害、腎不全、ネフローゼ トランスフェリン t1/2=7日 • たんぱく代謝の指標 • 上昇:鉄欠乏性貧血、真性多血症 低下:重症肝障害、感染症 Alb、Tfによる栄養評価は、安定した長期入院患者のみで利用可能1)。 血清たんぱく質マーカーは急性期反応(血管透過性の増加と肝臓タンパク質合成の再優先順位付け)を反映するものであり、 ICU環境での栄養状態を正確に表すものではないため。 1) Critical care medicine vol. 44,2 (2016): 390-438. [PMID: 26771786] 33
#34.
栄養スクリーニング:その他の検査所見 血液検査 窒素バランス • たんぱく質摂取量[g]÷6.25 ー 尿中UN排泄量[g/日]×1.25 • マイナスであれば、栄養療法の必要性が示唆される。 総コレステロール • 脂質代謝の指標 • < 160mg/dLを低栄養の閾値とする 総リンパ球数 • 栄養状態は免疫機能に影響する • < 1,800/m㎥を低栄養の閾値とする あくまで補助的に用いる! 34
#35.
身体所見だと… 35
#36.
栄養スクリーニング:その他の検査所見 身体所見 AC 上腕周囲⻑ CC 下腿周囲⻑ SSF 肩甲⾻下部⽪下脂肪厚 日本人の身体計測基準値 JARD2001 36
#37.
栄養スクリーニング:その他の検査所見 身体所見 CC (下腿周囲長) =指輪っか試験で簡易評価できる! やばい Geriatr Gerontol Int. 2018 Feb;18(2):224-232 [PMID: 28898523] 37
#38.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 38
#39.
栄養アセスメント • 栄養必要量を決めるために必須のプロセス 総エネルギー必要量 たんぱく質必要量 脂質必要量 栄養アセスメント エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 糖質必要量 必ずこの順番で 評価を進めていく ビタミン・微量元素量 水分必要量 39
#40.
まず総エネルギー量を計算する 総エネルギー必要量 総エネルギー消費量(TEE) = 基礎エネルギー消費量(BEE)×活動係数(AF)×ストレス係数(SF) REE 寝たきりでのエネルギー消費量 BEE × AF • 間接熱量計で計測する : 正確だが非実践的 • 精密な予測式 : Ganpuleの式 Harris-Benedict etc. • 身体活動で消費する分の補正係数 • 寝たきり1.2、ベッド外活動ありなら1.3 病態 SF 慢性的な低栄養 0.6 〜 0.8 感染症 1.1 〜 1.7 手術 1.2 〜 1.3 進行がん 1.1 〜 1.3 骨折 1.1 〜 1.3 多発外傷 1.2 〜 1.4 熱傷 1.2 〜 2.0 40
#41.
かんたんに考えると 総エネルギー必要量 総エネルギー消費量(TEE) = 基礎エネルギー消費量(BEE)×活動係数(AF)×ストレス係数(SF) 25〜30 kcal/kg 病態 SF 慢性的な低栄養 0.6 〜 0.8 感染症 1.1 〜 1.7 体重は理想体重(IBW)と現体重のうち、軽いほうを使う。 BEE 手術 1.1 〜 1.5 実体重が低すぎる場合、補正体重を使う。 進行がん 1.1 〜 1.3 補正体重=現体重+(IBW − 現体重)÷4 骨折 1.1 〜 1.3 多発外傷 1.2 〜 1.4 熱傷 1.2 〜 2.0 で簡易予測できる • 間接熱量計で計測する : 正確だが非実践的 • 精密な予測式 × AF : Ganpuleの式 etc. • 身体活動で消費する分の補正係数 • 寝たきり1.2、ベッド外活動ありなら1.3 41
#42.
間接熱量計 CO2産生量とO2消費量から、エネルギー消費量を推定する。 静脈経腸栄養 (2012) 27(6) p.1296 42
#43.
たんぱく質必要量を計算する。 たんぱく質必要量 たんぱく質は他の栄養素で代用できない。また、急性期のたんぱく質異化を代償 するためにも、十分量のたんぱく質を摂取する必要がある。 病態 必要量[g/kg] CKD 平常時 0.8 〜 1.0 Stage 1 制限不要 Stage 2 外傷・周術期・褥瘡 1.1 〜 1.5 炎症性腸疾患 重度熱傷 必要量[g/kg]1) 1.5 〜 2.0 肝硬変(代償OK) 1.0 〜 1.2 肝硬変(肝性脳症) NG Stage 3a 0.8 〜 1.0 Stage 3b Stage 4 0.6 〜 0.8 Stage 5 Stage 5D 0.9 〜 1.2 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 - 日本腎臓学会 43
#44.
たんぱく質が少ないと筋肉分解をきたす たんぱく質必要量 たんぱく質は他の栄養素で代用できない。また、急性期のたんぱく質異化を代償 するためにも、十分量のたんぱく質を摂取する必要がある。 病態 必要量[g/kg] CKD 平常時 0.8 〜 1.0 Stage 1 必要量[g/kg]1) たんぱく質は毎日排泄される=不可避窒素損失量 制限不要 Stage 2 外傷・周術期・褥瘡 窒素平衡を維持するための最低摂取量は0.65g/kg/ 日 1.1 〜 1.5 Stage 3a 炎症性腸疾患 重度熱傷 1.5 〜 2.0 肝硬変(代償OK) 1.0 〜 1.2 肝硬変(肝性脳症) NG 0.8 〜 1.0 Stage 3b Stage 4 0.6 〜 0.8 Stage 5 Stage 5D 0.9 〜 1.2 1) エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 - 日本腎臓学会 44
#45.
たんぱく質をうまく使えるように調整する たんぱく質必要量 たんぱく質は他の栄養素で代用できない。また、急性期のたんぱく質異化を代償 するためにも、十分量のたんぱく質を摂取する必要がある。 栄養バランスの指標として 病態 平常時 外傷・周術期・褥瘡 NPC/N 比を計算する 必要量[g/kg] 必要量[g/kg]1) Stage 1 0.8[g] 〜×4 1.0[kcal]+脂質[g]×9 糖質 [kcal] たんぱく質[g]×0.16Stage 1.1 〜 1.5 炎症性腸疾患 重度熱傷 CKD 侵襲時:100前後 2 Stage 3a 肝硬変(肝性脳症) 0.8 〜 1.0 Stage 3b 1.5 〜 2.0 成人平常時:150〜200 Stage 4 肝硬変(代償OK) 制限不要 0.6 〜 0.8 1.0 〜 1.2 CKD保存期:300〜500 Stage 5 NG Stage 5D 0.9 〜 1.2 1) エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 - 日本腎臓学会 45
#46.
ナチュラルローソンのお弁当だと… 鶏の青じそ風味焼弁当 十二品目の豆腐ハンバーグ弁当 鰹だしを効かせた牛めし弁当 (十六穀ご飯) (白米) (十六穀ご飯) 75 125 175 Pro 25, Carb 47, Fat 12 Pro 16, Carb 53, Fat 11 Pro 11, Carb 47, Fat 12 https://natural.lawson.co.jp/recommend/commodity/00001/1254679_4518.html より引用 46
#47.
脂質の必要量はエネルギーの20〜30% 脂質必要量 脂質必要量[g] = { 総エネルギー消費量(TEE)×(20〜30 %) } ÷ 9 kcal/g • 投与量は最大2.5g/kg/日とする。 • 多価不飽和脂肪酸(リノール酸, アラキドン酸など)は必須だが生合成できない。 • 代謝反応における呼吸商 • グルコース : 1.0 • たんぱく質 :約0.8 • 脂質 : 脂質は比較的 CO2 排出量が少ない 0.7 47
#48.
残りのエネルギーを糖質で補う 糖質必要量 糖質必要量[g] = { 総エネルギー消費量(TEE) − たんぱく質分のエネルギー (4 − 脂質分のエネルギー (9 kcal/g) kcal/g) } ÷ 4 kcal/g • 糖質は脂肪酸代謝に必須であり、最低100g/日以上の量を投与する。 • div.ではグルコース投与速度 (Glucose Infusion Rate; GIR) に注意! • 平常時 • 侵襲時 : GIR 5 : GIR 4 mg/kg/min mg/kg/min 以下 以下 (div.) (div.) 48
#49.
ビタミン、微量元素、水分 ビタミン・微量元素量 • 厚労省「日本人の栄養摂取基準」を満たす量をあたえる。 • 経腸栄養では1,200kcal/日、経静脈栄養では2,000mL/日で充足する製剤が多い。 • 末梢静脈栄養では脂溶性ビタミン、微量元素を投与できない。 水分必要量 • 透析中のCKDでは、できるだけ少なく。20〜25 mL/kgを参考とする。 • 水分の簡易予測必要量 = 30〜40 mL/kg/日 • 不感蒸泄量は、体温が37℃から1℃上昇するごとに150mL増加する。 49
#50.
栄養療法3原則…の例外 ROSC後など循環動態が著しく不安定 予後が期待できない末期がん 50
#51.
栄養アセスメント:超急性期の場合 • 超急性期では全身状態の立て直しが第1優先。 • 救急外来・急変時で、栄養投与をすぐに始める必要はない。 • 高度な低栄養時:Refeeding Syndrome、Wernicke脳症のリスクがある。 • 高度急性期:ICUにおける高血糖状態は予後不良因子である。(…が,厳密な血糖管理は不要1) 2)) • 急性期の初期1週間は、エネルギー消費量より少なめに投与する3) 1) Chest vol. 137,3 (2010): 544-51. [PMID: 20018803] 2) N Eng J Med vol. 360,13 (2009): 1283-97. [PMID: 19318384] 3) 日本集中治療医学会『日本版重症患者の栄養療法ガイドライン』 51
#52.
目標とするエネルギーをいきなり全量投与しない! 必要エネルギーの 必要エネルギーの 必要エネルギーの 30%前後 60-80% 100% 〜血糖コントロールとRfS予防〜 〜たんぱく質を目標量へ〜 〜脂肪酸・微量元素も〜 安定期 入院8日〜 過小栄養許容期 入院3〜7日 TEE 蘇生 搬送から24-72時間 例外:Refeeding Syndrome 高リスク 52
#53.
Refeeding Syndromeってなに? 症状 / 機序 53
#54.
栄養アセスメント:Refeeding Syndromeの機序 <飢餓状態> 異化↑↑ 肝臓 糖質分解 ↓ たんぱく分解 ↑ 脂質分解 膵臓 ↑ グルカゴン ↑ インスリン ↓ 脂肪酸 アミノ酸 副腎 全⾝の細胞 細胞内たんぱく/脂質 細胞内グリコーゲン ↓ 細胞体積 ↓ 糖質コルチコイド ↑ ⾎管内 54
#55.
栄養アセスメント:Refeeding Syndromeの機序 <Refeeding時> 同化↑↑ 肝臓 グリコーゲン合成↑ 膵臓 グルカゴン ↓ Vit.B1需要 ↑ 低P 、K 、M インスリンによる Kの移行 全⾝の細胞 細胞体積 ↑ インスリン ↑ 副腎 g⾎ 症 糖質コルチコイド ↓ 細胞内液↑による P、K、Mgの移行 ⾎管内 55
#56.
栄養アセスメント:Refeeding Syndromeの症状 低P血症 • 2,3-DPGの減少 → 末梢組織の低酸素状態 → 乳酸アシドーシス 低Mg, K血症 • QT延長 → Torsades de Pointes → 致死性不整脈 ビタミンB1欠乏 • Wernicke-korsakoff症候群 (意識障害, 失調性歩行, 眼球運動障害) • Vit.B1欠乏性心不全(脚気心) インスリン分泌亢進 • Na再吸収の亢進 → 血管内水分貯留→ うっ血性心不全 56
#57.
栄養アセスメント:Refeeding Syndromeが高リスクな場合 RfS高リスク判断基準 該当 1つ以上 項目 • BMI < 16 • 過去3〜6ヶ月の意図しない15%以上の体重減少 • 10日間以上の経口摂取量減少あるいは絶食 • 栄養療法開始前の血清K、P、Mg低値 エネルギー 10 kcal/kg/日〜 やばそうなら 5 kcal/kg/日〜 ※2日ごとに100〜200kcalずつ増量 ※目標は推定必要量の8割 電解質など 2つ以上 • BMI < 18.5 • 過去3〜6ヶ月の意図しない10%以上の体重減少 • 5日間以上の経口摂取量減少あるいは絶食 • アルコールの濫用あるいはインスリン、化学療法、 制酸薬、利尿薬をふくむ薬剤の使用歴 Vit.B1:チアミン 200〜300mg/日 K: 2〜4 mEq/kg/日 Mg:0.4 mEq/kg/日 I.V. または 9.2 mg/kg/日 p.o. P: 9〜18 mg/kg/日 NICE CG32 Refeeding Guideline (2018) 57
#58.
栄養アセスメント:Refeeding Syndromeのモニタリング 心電図(QTc), 心エコー(血管内水分) 血算, 血糖 Na, K, Mg, P, Ca Alb, BUN, Cre, AST, ALT, PT-INR Fe, フェリチン, 葉酸, ビタミンB12 高リスクな場合 栄養開始後の48〜72時間は1日に複数回。それ以降の1〜2週間は1日1回測定する。 58
#59.
栄養療法3原則…の例外 ROSC後など循環動態が著しく不安定 予後が期待できない末期がん 59
#60.
栄養アセスメント:がん患者の場合 • Warburg効果によりがん組織で解糖系が亢進し、エネルギー効率が悪化する。 • ケトアシドーシスを防ぐため、最低限の糖質(80〜100g/日)は投与する。 栄養療法が 効果あり 積極的に栄養状態を改善 生命予後 生命予後 数ヶ月 2週間以内 栄養療法が 効果なし 細胞外液や維持液の補充 60
#61.
生命予後の予測モデル ⽉単位 どちらも評価可能 PaPスコア PiPS-model 週単位 PPIスコア Karnofsky Performance Scale Palliative Performance Scale が評価に含まれる が評価に含まれる 61
#62.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 62
#63.
投与ルートの決定:全体像 消化管は使える? なし No RfS ⾼リスク 以上:中心静脈栄養(TPN) 静脈栄養 2週間 未満:末梢静脈栄養(PPN) 誤嚥リスクは? あり 嚥下評価テスト 以上:食道瘻、胃瘻 経胃空腸瘻、空腸瘻 ST評価 → 経⼝不可 経腸栄養 4週間 未満:NGチューブ、EGチューブ 腸が使えるなら腸を使う! 経口投与 RfS高リスクの場合、まずは静脈栄養で開始する。 63
#64.
投与ルートの決定:消化管 消化管は使える? なし No RfS ⾼リスク 誤嚥リスクは? あり 嚥下評価テスト ST評価 → 経⼝不可 以上:中心静脈栄養(TPN) 消化管が「安全に」使えるか? 静脈栄養 安全に使えない例 2週間 未満:末梢静脈栄養(PPN) • 汎発性腹膜炎 • 腸閉塞、イレウス • 活動性の消化管出血 • 腸管虚血 • 循環不全 (mBP<50mmHg, NAdr換算≧0.18mg/kg/min) • 難治性下痢・難治性嘔吐 経腸栄養 以上:食道瘻、胃瘻 経胃空腸瘻、空腸瘻 4週間 未満:NGチューブ、EGチューブ Refeeding Syndrome (RfS) の高リスク者か? 栄養素、電解質を細かく調整するため、 経口投与 初期の投与ルートは静脈栄養が望ましい。 1) JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2016;40:159-211. 2) 64
#65.
投与ルートの決定:誤嚥リスク 消化管は使える? 以上:中心静脈栄養(TPN) No RfS ⾼リスク 静脈栄養 2週間 摂食・嚥下アセスメントシート なし 誤嚥リスクは? 未満:末梢静脈栄養(PPN) を見て、第2段階でチェックがついていたらリスクあり! すべての入院患者を対象に、看護師さんが評価している。 以上:食道瘻、胃瘻 あり 経胃空腸瘻、空腸瘻 嚥下評価テスト ST評価 → 経⼝不可 経腸栄養 4週間 未満:NGチューブ、EGチューブ 経口投与 65
#66.
投与ルートの決定:嚥下機能はどう? 消化管は使える? なし No RfS ⾼リスク 以上:中心静脈栄養(TPN) 静脈栄養 2週間 未満:末梢静脈栄養(PPN) 誤嚥リスクは? どんなテストがあるか知ってますか? 以上:食道瘻、胃瘻 あり 嚥下評価テスト ST評価 → 経⼝不可 経腸栄養 3つ 経胃空腸瘻、空腸瘻 4週間 未満:NGチューブ、EGチューブ 経口投与 66
#67.
投与ルートの決定:嚥下機能はどう? 消化管は使える? なし No 意識の評価 JCS 2週間 静脈栄養 RfS ⾼リスク 1桁 以上:中心静脈栄養(TPN) 未満:末梢静脈栄養(PPN) 喉頭挙上テスト 誤嚥リスクは? 1横指挙上する あり 嚥下評価テスト 以上:食道瘻、胃瘻 空嚥下テスト (RSST) ST評価 3回以上 or 1回以上で湿声・むせ無し 経腸栄養 経胃空腸瘻、空腸瘻 4週間 改訂水飲みテスト (MWST) → 経⼝不可 未満:NGチューブ、EGチューブ 4点以上 動揺歯・咬合不良 義歯不適合など 経口投与 常食〜刻み食 歯科受診を検討 ST 依頼 67
#68.
投与ルートの決定:介入期間の評価 消化管は使える? なし No RfS ⾼リスク 以上:中心静脈栄養(TPN) 静脈栄養 2週間 未満:末梢静脈栄養(PPN) 誤嚥リスクは? あり 嚥下評価テスト 以上:食道瘻、胃瘻 経胃空腸瘻、空腸瘻 ST評価 → 経⼝不可 経口投与 経腸栄養 4週間 未満:NGチューブ、EGチューブ {介入期間}が「予想される」場合!! 68
#69.
NGチューブの誤挿入に注意 経鼻胃管(NG tube) 鼻孔から55〜60cm 程度 カテ先はXpで 中心静脈カテーテル 横隔膜より下 (CV) 末梢挿入中心静脈カテーテル (PICC) 胃瘻 心窩部聴診で 気泡音を聴取 空腸瘻 Sabiston Textbook of Surgery. 21st Edition (2022) 69
#70.
TPNの第一選択はPICCである TPNの投与経路としては 経鼻空腸管 2nd 1st PICCが第一選択 経鼻胃管(NG tube) 中心静脈カテーテル (CICC) 末梢挿入中心静脈カテーテル (PICC) 胃瘻 空腸瘻 Sabiston Textbook of Surgery. 21st Edition (2022) 70
#71.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 71
#72.
経口栄養で考えるべきこと 低たんぱく きざみ 低残渣食 嚥下食2 全粥 微量元素 食事形態 とろみ 低脂質 糖質 栄養 エネルギー 嚥下食0j ポタージュ たんぱく質 K制限 P制限 常食 塩味 酸味 3食 回数 嗜好 苦味 分割食 甘味 旨味 72
#73.
移動給食カレンダーで選べるもの 一般食 嚥下食 常食、全粥、五分粥、三分粥 嚥下0j、嚥下1j、嚥下2−1 流動食、産科食、離乳食など 嚥下2−2、嚥下3、嚥下4 特別成人食 その他 たんぱくコントロール食、低残渣食 調乳、加熱⾷、経管濃厚栄養流動⾷ K・P制限食、低脂肪食など 経⼝濃厚栄養流動⾷など 73
#74.
移動給食カレンダーで選べるもの 一般食 嚥下食 常食、全粥、五分粥、三分粥 嚥下0j、嚥下1j、嚥下2−1 流動食、産科食、離乳食など 嚥下2−2、嚥下3、嚥下4 特別成人食 その他 たんぱくコントロール食、低残渣食 調乳、加熱⾷、経管濃厚栄養流動⾷ K・P制限食、低脂肪食など 経⼝濃厚栄養流動⾷など 74
#75.
食事形態:嚥下機能ごとに並べてみると 常食 全粥 五分粥 嚥下4 三分粥 嚥下3 特別成人食 ⾷塊形成 嚥下2−2 嚥下2−1 嚥下1j 嚥下0j その他 ⾷塊形成 しづらい たんぱくコントロール食、低残渣食 しやすい 調乳、経管濃厚栄養流動⾷ K・P制限食、低脂肪食など 経⼝濃厚栄養流動⾷など 75
#76.
主食ごはんの形態 常食 全粥 五分粥 嚥下4相当 嚥下3相当 三分粥 76
#77.
学会の嚥下ピラミッド 0j 0t 1j 1j:プロッカゼリー 0j:ブイクレスゼリー 2-1 2:ミキサーorソフト食 2-2 3 3:五分粥・きざみ食 4 4:全粥・一口大 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 (2021) 77
#78.
どこからはじめたらいいかは 0j 0t 1j 1j:プロッカゼリー 0j:ブイクレスゼリー 2-1 2:ミキサーorソフト食 STさんに頼りましょう! 2-2 3 3:五分粥・きざみ食 4 4:全粥・一口大 78
#79.
STさんにコンサルトすると… 食道癌と誤嚥性肺炎で入院中の82歳男性の 方で、食道の器質的閉塞ありますが、今は 嚥下食2-1をむせなく食べています。 嚥下機能の評価をお願いします! 承知しました! 嚥下機能の評価してみますね! 79
#80.
いまの嚥下機能を細かく評価してくれます 先生、この間依頼してくださった ◯◯さんの嚥下評価結果ですが、 嚥下3はちょっとむせて 嚥下2-2がちょうど良い感じでした!! なるほど!ということは明日から嚥下2-2 にして、問題ないなら1皿ずつ嚥下3へ 少しずつ上げていこうかなぁ… 80
#81.
食上げの判断基準 食事の様子での判定 生体検査での判定 5割以上 嚥下造影検査(VF)や 15〜20分以内に食べることができ 嚥下内視鏡(VE)で 誤嚥のサインがないならOK! 食塊の正常な通過を確認 一致率 73〜97% 81
#82.
誤嚥のサインとは…? 国立国際医療研究センター『観察による食形態判定のための手引き』 82
#83.
移動給食カレンダーで選べるもの 一般食 嚥下食 常食、全粥、五分粥、三分粥 嚥下0j、嚥下1j、嚥下2−1 流動食、産科食、離乳食など 嚥下2−2、嚥下3、嚥下4 特別成人食 その他 たんぱくコントロール食、低残渣食 調乳、加熱⾷、経管濃厚栄養流動⾷ K・P制限食、低脂肪食など 経⼝濃厚栄養流動⾷など 83
#84.
栄養を考えて変えるもの 一般食 嚥下食 栄養アセスメント結果 ⼀般的な健常者と同等 常食、全粥、五分粥、三分粥 嚥下0j、嚥下1j、嚥下2−1 流動食、産科食、離乳食など 嚥下2−2、嚥下3、嚥下4 特別成人食 その他 たんぱくコントロール食、低残渣食 K・P制限食、低脂肪食など 調乳、経管濃厚栄養流動⾷ 栄養アセスメント結果 コントロールが必要 経⼝濃厚栄養流動⾷ など 84
#85.
栄養を考えて変えるもの • エネルギーコントロール食 1200kcal、1400kcal、1600kcal、1800kcal、2000kcal、2200kcal • たんぱくコントロール食 30g、40g、50g、60g、70g、80g • 低脂肪食 食べごたえがない。変な香り。 さっぱりしたものが多い。 20g、30g • カリウム・リン・食塩制限食 味気ない。食欲がわかない。 Kのみ制限、Pのみ制限、K・P両方とも制限、食塩制限 85
#86.
栄養制限食を食べていたら、摂食量が低下してきた… まず、どうする? 86
#87.
患者さんに聞きましょう。 「最近お食事を食べられていないようですが、どうされましたか?」 「何かこれなら食べられそうだ、というものはありますか?」 「普段、どのようなお食事をされていますか?」 87
#88.
まず確認すべき2つのポイント それ、美味しいご飯ですか? 塩分制限やたんぱくコントロール食は、味が薄くなったり メリハリがない味付けになりがち。 栄養制限を解除する 塩分付加など まずは摂食量の改善を優先することが重要。 改善できる食思不振の原因は? 消化器:逆流性食道炎、消化性潰瘍、便秘、大量腹水 精神 :不安、抑うつ気分、睡眠障害、FGID 栄養 :微量元素欠乏→味覚障害・異食症・食欲不振 器質的疾患を 治療する 88
#89.
栄養制限×栄養補助食品=NG!! • エネルギーコントロール食 1200kcal、1400kcal、1600kcal、1800kcal、2000kcal、2200kcal • たんぱくコントロール食 食べごたえがない。変な香り。 ◎ まずは栄養制限を外して、栄養状態の改善を優先する! 30g、40g、50g、60g、70g、80g +主食の量を減らしてみる、副菜の量を減らしてみる、持ち込み食を検討する • 低脂肪食 △ すぐに栄養補助食品を追加したり、すぐにビーフリードを追加する。 さっぱりしたものが多い。 20g、30g • カリウム・リン・食塩制限食 味気ない。食欲がわかない。 Kのみ制限、Pのみ制限、K・P両方とも制限、食塩制限 89
#90.
微量元素の欠乏による症状 名称 欠乏 過剰 エルネオパ 補充 コバルト Vit.B12欠乏 甲状腺肥大 ✕ ココア アサリ セレン 心筋症、皮膚乾燥 毛髪や爪の脆弱化 ✕ アセレンド® ブイクレス® 亜鉛 味覚障害、食欲不振、成長障害 貧血、嘔吐、腹痛 ◯ ブイクレスCP® アイソカル® 銅 貧血、骨異常、成長障害 言語障害、ふるえ ◯ ※銅と亜鉛は吸収が競合するので注意! 90
#91.
栄養を補助する食品 一般食 嚥下食 常食、全粥、五分粥、三分粥 嚥下0j、嚥下1j、嚥下2−1 流動食、産科食、離乳食など 嚥下2−2、嚥下3、嚥下4 特別成人食 その他 たんぱくコントロール食、低残渣食 調乳、経管濃厚栄養流動⾷ K・P制限食、低脂肪食など 経⼝濃厚栄養流動⾷など 91
#92.
栄養を補助する食品(ONS):分類 低脂肪 微量元素・ビタミン エネルギー + たんぱく質 たんぱく質 メイン エネルギー + 低たんぱく質 92
#93.
1日1回から付加して、食べられたら増量。 濃厚流動食は原則1日1回〜。摂食状況を確認してから増量! 93
#94.
それでも食思不振が続いたら…? 94
#95.
食べられない状態とつきあっていく • 経腸栄養を導入してみる • NGチューブ経由の投与を一時的に導入 • エネルギー投与増でリハビリ状況が改善することもある。 • 結果的に食欲が改善し、NGチューブから離脱できることも。 • 持ち込み食やふりかけを許可し、食べたいものを食べられるようにする。 • 栄養についての誤った理解がないか確認し、患者教育を行う。 • 「栄養バランスを考えて、ご飯は食べないようにしてるんです。」←?? 95
#96.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 96
#97.
経腸栄養で考えるべきこと 病態別 NGチューブ 半消化態 消化態 胃瘻 EDチューブ 標準組成 成分 経路 栄養素 十二指腸瘻 脂肪酸 タイミング 医薬品 取り扱い 粘度 水分 量 食品 速度 97
#98.
経腸栄養の分類 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 成分栄養剤 消化態栄養剤 半消化態栄養剤 標準組成栄養剤 各種病態別栄養剤 98
#99.
経腸栄養の分類 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 成分栄養剤 5,000〜15,000円 1〜3割自己負担 50,000〜60,000円 消化態栄養剤 在宅で使うことが多い 全額自己負担 入院で使うことが多い 半消化態栄養剤 微量元素を含まないものも ほぼ微量元素が含まれる 標準組成栄養剤 各種病態別栄養剤 99
#100.
経腸栄養の分類 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 成分栄養剤 消化態栄養剤 半消化態栄養剤 標準組成栄養剤 各種病態別栄養剤 100
#101.
経腸栄養の分類をかんたんに言うと 保険適応 全額自己負担 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ アミノ酸栄養剤 オリゴペプチド栄養剤 たんぱく質栄養剤 ふつうの人向けの栄養剤 代謝・栄養障害がある人向けの栄養剤 101
#102.
主な違いは、吸収されやすさと浸透圧。 浸透圧 成分栄養剤 吸収 適応 Crohn病 短腸症候群 重症膵炎など 高い 消化器吸収障害 周術期など 消化態栄養剤 半消化態栄養剤 Low 標準組成栄養剤 各種病態別栄養剤 吸収が正常な その他の患者 難しい 102
#103.
超急性期の経腸栄養で特に考えること エネルギー、たんぱく質、水分、Na、K 脂質、糖質、ビタミン、微量元素… 103
#104.
半消化態栄養剤 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 成分栄養剤 進行CKDやコントロール困難なDMなければ オリゴペプチド栄養剤 第1選択はこれ 半消化態栄養剤 標準組成栄養剤 各種病態別栄養剤 104
#105.
半消化態栄養剤:たんぱく質が窒素源 • 選び方(順天堂練馬病院採用品の場合) 1. 以下の病態にあてはまるか? • CKDでたんぱく質制限必要? ーYes→ リーナレン®MP、リーナレン®LP • 血糖コントロール困難? ーYes→ グルセルナ®REX 2. MAラクフィア® を検討 を検討 を検討 3. どう調整したい? • 水分量を減らしたい → アイソカル® Bag2K • たんぱく質を増やしたい → • 少量から始めたい → メイバランス® を検討 末梢静脈栄養との併用 を検討 を検討 105
#106.
成分栄養剤 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 成分栄養剤 脂質制限が必要な、下痢がコントロールできている 消化態栄養剤 消化/吸収障害患者 半消化態栄養剤 標準組成栄養剤 栄養剤 106
#107.
成分栄養剤:アミノ酸が窒素源 • 脂質の含有率が非常に低い(1.5%) → 抗原性が低い & 必須脂肪酸欠乏症に注意 • 選び方(順天堂練馬病院採用品の場合) • 2歳未満なら、エレンタールP® • 2歳以上なら、エレンタール® ◀ 水に溶く前のエレンタール • 注意 • モル濃度が高いため、浸透圧性の下痢が出やすい → 30mL/時の低速投与から始める • エレンタール®はとくに脂肪酸含有量が少ない。 必須脂肪酸欠乏症を防ぐため、週2〜3回(40-60g/週)で脂肪乳剤を経静脈投与する。 製剤写真:エーザイ株式会社 107
#108.
消化態栄養剤 医薬品 食品 11種類・経腸栄養剤 約200種類・経腸流動⾷ 脂質制限がいらない、下痢がコントロールしづらい 成分栄養剤 消化/吸収障害患者 消化態栄養剤 半消化態栄養剤 標準組成栄養剤 栄養剤 108
#109.
消化態栄養剤:グリコペプチドが窒素源 • 成分栄養剤と半消化態栄養剤のつなぎ。吸収障害のときに使う。 • 選び方のポイント!(順天堂練馬病院採用品の場合) • 粘度を上げて投与したいなら、ハイネックス®イーゲル • そうでなければ、ペプタメン®AF ※窒素源を多量に含み(6.3g/100kcal) 肝障害・腎障害のリスクがあるため長期間の投与は避ける。 109
#110.
経腸栄養の指示簿を書いてみよう 指⽰簿 <経管栄養> 朝・夕:アイソカルBag 2K 200mL(3時間) 投与30分前から白湯200mL 昼:MAラクフィア1.0 400mL(3時間) 移動給食カレンダ + or 処方カレンダ 投与30分前から白湯200mL 毎食、NGチューブで投与し、食後白湯20mLフラッシュ。 110
#111.
白湯は投与前と投与後に 投与前の白湯=追加水 <経管栄養> 朝・夕:アイソカルBag 2K 200mL(3時間) 必要水分量として不足する 水を栄養剤の投与前に15分前後で投与。 水200mLは投与後30分で胃から排出される。 投与30分前から白湯200mL 昼:MAラクフィア1.0 400mL(3時間) 投与30分前から白湯200mL 毎食、NGチューブで投与し、食後白湯20mLフラッシュ。 投与後の白湯=詰まり防止 チューブ内で栄養剤が固まり チューブが閉塞してしまわないようにする。 20mL程度で十分機能する。 111
#112.
投与量は徐々に上げていく 投与量 はじめの2-3日はGFOを使い <経管栄養> その後は少量(TEEの30-50%)で始める。 朝・夕:アイソカルBag 2K 200mL(3時間) 投与30分前から白湯200mL 胃食道逆流や下痢がないことを確認して、 4-7日間をかけてTEEを目標に上げていく。 500mLまで誤嚥増えない。 昼:MAラクフィア1.0 400mL(3時間) 投与30分前から白湯200mL 毎食、NGチューブで投与し、食後白湯20mLフラッシュ。 GFO投与により腸内フローラが整い、下痢等の副作用が低減できる。 112
#113.
たとえばこんな感じ GFOで腸内を整えて 持続・少量から栄養開始 960kcal (50%) 720kcal (38%) 480kcal (25%) GFO GFO Day 1 Day 2 20mL/24hr Day 3 30mL/24hr Day 4 40mL/24hr Day 5 113
#114.
投与速度も徐々に上げていく 投与速度 <経管栄養> 朝・夕:アイソカルBag 2K 200mL(3時間) はじめは持続・低速(20〜50mL/時)で 胃食道逆流や下痢がないことを確認して、 徐々に投与速度を上げ、間欠投与へ。 投与30分前から白湯200mL 昼:MAラクフィア1.0 400mL(3時間) 投与30分前から白湯200mL 長期絶食後:10〜20mL/時で開始 胃への投与:Max 300mL前後/時 腸への投与:Max 80mL前後/時 毎食、NGチューブで投与し、食後白湯20mLフラッシュ。 ※REF-P1を使う場合は1時間以内に投与 ※幽門通過速度は150kcal/時とされる 114
#115.
持続投与からはじめて、間欠的投与にしていく。 持続 間欠 血糖が上がりやすい 血糖コントロールがしやすい (Insulin 3単位/時間 持続IVまでは許容) 下痢・逆流リスクが低い 管がつながっている時間が短いためQOL高 死亡率・感染症発生率・ICU滞在期間に差なし 115
#116.
トラブル発生! 「先生、◯◯さん、下痢が続いてます!」 「◯◯さん、最近お通じないんですよね。」 116
#117.
摂食不耐症(feeding intolerance) • 何らかの要因により、摂取した食物に体が適応できない状態。 • 対応 1. 病歴の聴取と身体診察 疾患 腸閉塞、虚血性疾患など緊急性の判断 2. 検査 浸透圧性下痢 Common 麻痺性イレウス 便秘、CD腸炎 • 腹部単純Xp • CDトキシン・抗原 Uncommon 3. 介入 腸閉塞、腸管穿孔 虚血性腸疾患 117
#118.
院内マニュアルを確認しよう • 順天堂練馬病院の場合、「NSTマニュアル」に経腸栄養時の下痢、嘔気への対応 フローチャートが掲載されています。ご自身の病院のマニュアルを確認してみ てください。 • 下痢への対応の例 • 投与速度を遅くする。 • 投与体積を少なくする。 • 浸透圧が低いほかの製剤に切り替える(1食ずつでもOK) • アップルファイバー®を付加し、食物繊維量を増やす。 • リフラノンやREF-P1を使用し、胃内で栄養剤を固形化させる。 118
#119.
きょうの全体像(詳細ver) 栄養モニタリング 動的指標・予後判定 入院・搬送 栄養スクリーニング 体重・食事摂取・ADL 消化器症状・身体状態 投与ルート 栄養アセスメント 介入期間の評価 カテーテル・入院 経口栄養 常食/治療食/嚥下食 ONS・食形態 意識の評価 JCS・GCS 嚥下機能の評価 RSST・改訂水飲みテスト エネルギー・栄養素 現病/背景疾患 嚥下/意識 (+) 消化管機能 (+) 経腸栄養 カテ先留置位置・挿入経路 成分/消化態/病態別・速度 経静脈栄養 末梢/中枢・製剤種類・速度 NSTへのコンサルト 119
#120.
静脈栄養の全体像 TPN基本液(ハイカリック®) 電解質(維持量とは限らない)+Glu. 以上:中心静脈栄養(TPN) キット製剤(エルネオパ®NF) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+各種Vit. 静脈栄養 2週間 禁忌や 投与濃度の問題 成分製剤 アミノ酸製剤、ビタミン製剤、微量元素製剤 脂肪乳剤(イントラリポス®) トリグリセリド+脂肪酸 未満:末梢静脈栄養(PPN) PPN輸液(ビーフリード®) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+Vit.B1 120
#121.
PPN製剤も、TPN製剤も (ミキシッド®以外は)原則 脂質を含まないことに注意! 121
#122.
末梢静脈栄養 TPN基本液(ハイカリック®) 電解質(維持量とは限らない)+Glu. 以上:中心静脈栄養(TPN) キット製剤(エルネオパ®NF) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+各種Vit. 静脈栄養 2週間 成分製剤 アミノ酸製剤、ビタミン製剤、微量元素製剤 脂肪乳剤(イントラリポス®) トリグリセリド+脂肪酸 未満:末梢静脈栄養(PPN) PPN輸液(ビーフリード®) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+Vit.B1 122
#123.
末梢静脈栄養(PPN)で考えるべきこと • 基本の型「PPN製剤+脂肪乳剤」 • 浸透圧は浸透圧比で3以下にする。 • 浸透圧比:生理食塩水の浸透圧(285mOsm/L)を1としたときの、浸透圧の比。 • そのため、PPNでエネルギーを充足させると水分が過剰になることが多い。 • 末梢静脈栄養が望ましくない製剤もある。 • ブドウ糖液 12.5%〜 • 高カロリー輸液としてのアミノ酸製剤 123
#124.
PPN製剤の使い方 • 当院で採用があるのは、ビーフリード®とフィジオ®35。 • NPC/N比が低い(アミノ酸ばかり入っている)ため、フィジオ®35の併用を検討する。 • 基本の型:ビーフリード®500mL✕2回/日+フィジオ®35 500mL✕1回/日 フィジオ投与速度 ビーフリードの投与量 GIRは 練馬では推奨 4-5mg/kg/分以下 1,000mL/日 速すぎると高血糖をきたす &フィジオ®35併用 124
#125.
脂肪乳剤(イントラリポス®)の使い方 • 日本で承認されているのは、イントラリポス®だけ。 • 禁忌:血栓症の合併、重篤な肝障害、重篤な血液凝固障害、高脂血症、DKA • TPNでもPPNでも積極的に利用するべき。必須脂肪酸は4週間で枯渇する。 投与速度 投与ルート Max投与速度は 脂肪滴の凝集をふせぐため 0.1g/kg/時 側管から投与 速すぎると高TG血症をきたす 投与前後に生食フラッシュ 125
#126.
脂肪乳剤のオーダー例 Rp1) イントラリポス輸液20% 100mL インラインフィルターを避けて投与 1日1回 30mL/hr(体重60kgの場合) Rp2) 生食注20mL 1A イントラリポス投与前フラッシュ Rpを分けて 処方する! 1日1回 Rp3) 生食注20mL 1A イントラリポス投与後フラッシュ 1日1回 126
#127.
末梢静脈栄養(PPN)を組み立てる 1. 総エネルギー消費量をもとに、PPN製剤の量を決める。 2. 水分必要量をもとに、PPN製剤の量を減らす。 3. 禁忌がなければ、脂肪乳剤(100mL/日 20%)を追加する。 困ったら ビーフリード®500mL×2本+フィジオ®35 500mL✕1本+イントラリポス®輸液20% 100mL で仮置きしてから調整してみる 127
#128.
中心静脈栄養 TPN基本液(ハイカリック®) 電解質(維持量とは限らない)+Glu. 以上:中心静脈栄養(TPN) キット製剤(エルネオパ®NF) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+各種Vit. TPNはまた別の機会で 静脈栄養 2週間 成分製剤 アミノ酸製剤、ビタミン製剤、微量元素製剤 脂肪乳剤(イントラリポス®) トリグリセリド+脂肪酸 未満:末梢静脈栄養(PPN) PPN輸液(ビーフリード®) 維持量の電解質+Glu.+アミノ酸+Vit.B1 128
#129.
FIN 129
#130.
謝辞 最後に、経口栄養食品のご手配をはじめ、栄養管理の観点から数多く の貴重なご助言をいただきました順天堂大学医学部附属練馬病院栄養 科の重田祐実様(NST・管理栄養士)に、厚く御礼申し上げます。 130