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過敏性腸症候群の治療法とリファキシミンの効果
#1. Rifaximin Therapy for Patients with Irritable Bowel Syndrome without Constipation The New England Journal of Medicine, 2011.1
平川優香
2022.4.18
#2. 過敏性腸症候群 機能性胃腸障害であり、治療は食事療法やライフスタイル変更、食物繊維の補給、心理療法、薬物療法などで、反応しないことも多く経験する。
信頼できるマーカーは特定されていないため、効果は通常患者の症状の有無で評価される。
腸内細菌叢に変化がある可能性があり。ネオマイシンの有効性の報告もあるがわずかで、副作用による薬剤使用制限もあり。今回腸を標的とし細菌耐性のリスクが低いリファキシミンの2週間の治療での症状緩和について調査が行われた。
#3. 方法 二重盲検無作為化比較試験(TARGET1,TARGET2)
米国(1217名)およびカナダ(43名)の179施設のいずれかにて無作為化。
2008年6月~2009年8月にかけて、両試験は並行して実施。
P:便秘のないIBS患者
E:リファキシミン550㎎を2週間内服
C:プラセボの内服
O:primary:全体的なIBS症状が緩和した割合
secondary:IBS関連の腹満感
(IBS症状、腹満感、腹痛および不快感の緩和)
二重盲検無作為化比較試験の方法
#5. 方法 18歳以上で過去2年以内に大腸内視鏡検査をうけIBSと診断されている。(ローマ2診断基準)
・腹痛および腹部膨満感の1日の平均量をリッカートスコアリングシステム(0全くない~6とても強い)で2-4.5/7、便の性状(1非常に硬い,2硬い,3塊状,4緩い,5水様)の3.5以上のIBS患者。
・除外;
便秘型IBS、炎症性腸疾患、糖尿病、コントロール不良の甲状腺疾患、腹部手術の既往(胆摘、虫垂以外)、HIV、腎疾患・肝疾患の病歴、薬剤服薬中(アロセトロン、テガセロド、ルビプロストン、ワルファリン、抗精神病薬、鎮痙薬、止瀉薬、プロバイオティクス、麻薬)
研究対象者の特徴と結果
#7. ・ベースの集団の特徴
人種は自己申告
症状がどの程度煩わしいか
0-6のスケールで点数化 1は非常に硬い、2は硬い、
3は塊が形成されている
4はゆるい、5は水っぽい。
#9. 結果 ・2週間ごとの期間のうち、少なくとも
1週間は症状が緩和されたと自己申告し
たものを十分な症状の緩和と定義
・症状緩和が持続していることを示している
リファキシミンの有害事象と治療の意義
#10. 結果 有害事象はリファキシミン群の方が、プラセボ群より低かった。
#11. Discussion リファキシミンの短期内服が症状を持続的に改善させることを示した。
他の試験でラクツロース水素呼気試験の結果の正常化と相関することが示されている。どの抗生物質が効果的かについては議論はあるが、腸内細菌叢の変化と関連するIBSの根本原因に影響を与えている可能性を示唆している。
治療に反応しない患者もあり、症状の根本原因に関する違いを反映させている可能性あり。
#12. FINER F(実行可能性):下痢型IBS患者を各群300例集めるのは困難。
評価の仕方は比較的容易と思われる。
I(興味深さ):治療としては簡便であり、難渋するIBS治療症例には
使用してみたいところであるが、保険病名には注意要
N(新規性):なし
E(倫理性):問題はなし
R(社会的意味):IBSは重症度は低いがQOLに大きく影響し、医療資源の使用量の増加や仕事の生産性の低下につながるため、症状緩和の一治療として意味があるものと思われる。