テキスト全文
縦隔腫瘍の基本情報と対象者
#1. Dr. 白浜 @胸部外科 縦隔腫瘍のポイント 〜 専攻医向け〜
#2. このスライドの対象者 呼吸器内科専門医を目指す医師 外科専門医・呼吸器外科専門医を目指す医師 呼吸器内科、呼吸器外科の専攻を考えている初期研修医
縦隔の解剖と腫瘍の症状
#4. 縦隔とは左右の肺と胸椎、胸骨、横隔膜に囲まれた領域
以下のように区分することが多い 「胸骨角と第4胸椎下縁を結ぶライン」よりも頭側の領域 上縦隔 上縦隔よりも尾側で、心膜前面よりも腹側
上縦隔よりも尾側、心膜前面よりも背側で、食道前面よりも腹側
上縦隔よりも尾側で、食道前面よりも背側
前縦隔 中縦隔 後縦隔
#5. 前縦隔 上縦隔 後縦隔 中縦隔 縦隔 縦隔は、胸部単純写真のどのあたりに相当するか?
#6.
縦隔腫瘍の症状と徴候について 良性の場合や早期の場合、多くは無症状
周囲浸潤による症状:胸部圧迫感、胸部痛、呼吸苦(特に横隔神経や気道への浸潤や圧迫)、咳嗽(特に気道への浸潤や圧迫) 、嗄声(反回神経への浸潤や圧迫)、上半身浮腫(上大静脈への浸潤や圧迫)、Horner症候群【縮瞳,眼瞼下垂,眼球陥凹】(交感神経幹への浸潤や圧迫)など
腫瘍随伴症候群:
(胸腺腫に伴う)重症筋無力症、赤芽球癆、低ガンマグロブリン血症
縦隔腫瘍の種類と頻度
#7. 日本呼吸器学会のホームページより 胸腺腫 胸腺癌 胚細胞
腫瘍 囊胞 神経原生腫瘍 悪性リンパ腫 甲状腺腫 その他 縦隔腫瘍の頻度
#8. 縦隔腫瘍の腫瘍マーカー
主として胚細胞性腫瘍の鑑別や治療交換判定に使用
#9. 縦隔の各々の領域に存在する臓器 甲状腺、胸腺、大血管、気管、食道など 上縦隔 胸腺、リンパ節など 心膜、心臓、大血管、
気管および気管支、リンパ節など 下行大動脈、食道、交感神経幹など 前縦隔 中縦隔 後縦隔
#10. 縦隔腫瘍の疫学(部位別の診断)について 甲状腺腫、胸腺嚢胞、胸腺腫、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍など 上縦隔 甲状腺腫、胸腺嚢胞、胸腺腫、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍など(上記と同様)
悪性リンパ腫、気管支原性嚢胞、心膜嚢腫など 神経鞘腫、気管支原性嚢胞、食道嚢腫など
(食道癌は縦隔腫瘍として含まない) 前縦隔 中縦隔 後縦隔
縦隔腫瘍の確定診断方法
#11.
縦隔腫瘍の確定診断(組織診断):総論 大血管等が近いため生検が必ずしも容易ではなく、播種を起こす可能性もある
「画像所見+疫学」が診断において重要
手術で診断と治療を一期的に行うことも可能であるため、切除可能であれば生検は必ずしも不要。
#12. 縦隔腫瘍の確定診断(組織診断)のフローチャート 悪性腫瘍を疑い、手術適応であり
切除可能 悪性腫瘍を疑い、内科的治療が適応 良性腫瘍を疑う
前・中・後縦隔腫瘍の診断例
#13. 前縦隔腫瘍の画像と診断例
胸腺嚢胞 70代女性・無症状
診断と治療を兼ねて、ロボット支援下手術にて切除し、胸腺嚢胞と診断
単純CT
MRI
#14. 前縦隔腫瘍の画像と診断例
奇形腫 50代男性・労作時の息切れ
右胸水貯留に対して胸腔ドレナージを行い、胸水細胞診陰性を確認
診断と切除を兼ねた胸腔鏡下切除を施行
単純CT
#15. 前縦隔腫瘍の画像と診断例
胸腺腫 (WHO type B2) 60代男性・無症状
診断と切除を兼ねて、胸骨正中切開による切除を施行
単純CT
PET
#16. 前縦隔腫瘍の画像と診断例
非精上皮腫(非セミノーマ)
10代男性・無症状
CTガイド下生検にて非精上皮腫と診断
化学療法を行い、腫瘍マーカーは正常化してから残存病変を切除
造影CT
造影CT
#17. 中縦隔腫瘍の画像と診断例
悪性リンパ腫
50代女性・無症状
診断と治療を兼ねて、ロボット支援下手術にて切除し、悪性リンパ腫と診断
造影CT
PET
#18. 後縦隔腫瘍の画像と診断例
気管支原性嚢胞 40代女性・無症状
診断と治療を兼ねて、ロボット支援下手術にて切除して、気管支原性嚢胞と診断
単純CT
胸腺上皮性腫瘍の分類と治療
#20. 胸腺上皮性腫瘍の正岡(病期)分類
治療決定の指針 腫瘍が肉眼的にかつ顕微鏡的に
完全に被包されている Ⅰ期 腫瘍が被膜を超えて浸潤する
(しかし胸腺外への浸潤なし) Ⅱ期 腫瘍が、周辺臓器
(心嚢、大血管、肺)に浸潤する Ⅲ期 腫瘍の胸膜・心膜への播種、
リンパ行性・血行性転移を認める
Ⅳ期 外科切除
または
放射線治療 集学的治療
縦隔腫瘍に対する手術と薬物療法
#21. (TSDA資料より抜粋) 胸腺腫のWHO(組織学的)分類
概ね予後と相関 予後良好 予後不良
#22. 縦隔腫瘍に対する手術
アプローチと切除範囲 完全切除を行うことを原則
胸腔鏡手術やロボット支援下手術は、原則として、周囲臓器への浸潤がない場合に行う。
#23. 縦隔腫瘍に対する主な薬物療法 胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫瘍診療ガイドラインによる)
胸腺腫:シスプラチンとアンスラサイクリン系抗癌薬の併用療法
胸腺癌:カルボプラチンとパクリタキセルまたはアムルビシンの併用療法
胚細胞腫瘍(精巣腫瘍診療ガイドラインによる)
精上皮腫(セミノーマ):BEP療法(ブレオマイシン・エトポシド・シスプラチン)またはEP療法(エトポシドとシスプラチン)
非精上皮腫(非セミノーマ) :BEP療法
Take–Home Messageと英語学習のすすめ
#25. Doctor’s Englishのススメ
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