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胸腺上皮性腫瘍のガイドラインの概要
#1. Dr. 白浜 @胸部外科 胸腺上皮性腫瘍のガイドライン 〜 専攻医向け〜
#2. このスライドの対象者 呼吸器内科専門医を目指す医師 呼吸器外科専門医を目指す医師 呼吸器内科、呼吸器外科の専攻を考えている初期研修医
ガイドラインの定義と日本のガイドライン
#4. そもそもガイドラインとは? 診断・治療の際に参考にする指標 過去の研究結果(論文)に基づいている 患者さんの個々の状況に、一律に当てはめるべきではない
#5. 世界の胸腺上皮性腫瘍のガイドラインには
どのようなものがあるか? 以下のガイドライン等が使われているが、概ね内容は類似 日本のガイドライン(日本肺癌学会):今回はこちらを解説
アメリカのガイドライン(NCCN)
ヨーロッパのガイドライン(ESMO)
#6. 日本のガイドライン 2023 年度版 日本肺癌学会 胸腺上皮性腫瘍の内容を整理する上でのポイント 病期別による推奨
組織別による推奨(特に胸腺腫と胸腺癌を区別)
胸腺上皮性腫瘍の定義と分類
#7. 胸腺上皮性腫瘍の定義
Tリンパ球の成熟に重要な役割を果たす胸腺上皮に由来する腫瘍
細胞異型を伴わないもの 胸腺腫
(thymoma) 細胞異型を伴うもの
胸腺癌
(thymic carcinoma)
#8. 解剖(正面) 胸腺の解剖
胸骨の背側の前縦隔に存在する 呼吸器外科手術書(金芳堂)より抜粋 胸骨を正中切開すると
胸腺が露出される
#10. 胸腺上皮性腫瘍分類 胸腺上皮性腫瘍の正岡分類(歴史的に古い) 腫瘍が肉眼的にかつ顕微鏡的に
完全に被包されている Ⅰ期 腫瘍が被膜を超えて浸潤する
(しかし胸腺外への浸潤なし) Ⅱ期 腫瘍が、肉眼的に
周辺臓器(心嚢、大血管、肺)に浸潤する Ⅲ期 腫瘍の胸膜・心膜への播種、リンパ行性・血行性転移を認める
Ⅳ期
胸腺上皮性腫瘍のTNM分類と組織学的分類
#11. 胸腺上皮性腫瘍分類 胸腺上皮性腫瘍のTNM分類(歴史的に新しい) ステージ1から3は、主としてT因子により決定される。
リンパ節転移や遠隔転移があればステージ4となる。 ポイント
#12. 胸腺上皮性腫瘍分類 胸腺上皮性腫瘍のT因子とN因子について T因子 N因子
胸腺腫のWHO分類と腫瘍随伴症候群
#13. (TSDA資料より抜粋) 胸腺腫のWHO(組織学的)分類
#14. (TSDA資料より抜粋) 胸腺上皮性腫瘍の
腫瘍随伴症候群について 重症筋無力症(頻度が多い)
赤芽球癆
低ガンマグロブリン血症 胸腺腫
(thymoma) 原則みられない 胸腺癌
(thymic carcinoma)
ステージ1及び2の治療法と術後補助療法
#15. ステージ1及びステージ2の治療:手術を推奨
手術(腫瘍を含む胸腺の切除) 全身状態及び心肺機能が良い 根治的放射線治療 手術不可能や
手術拒否の場合
#16. 胸腺上皮性腫瘍に対する手術
アプローチと切除範囲 完全切除を行うことを原則
胸腔鏡手術やロボット支援下手術は、原則として、病期1期(ステージ1)と病期2期(ステージ2)に対して提案
胸腺に関して、全摘出するべきかどうかは議論が分かれる。
#17. ステージ1及び2の術後補助療法について
術後補助療法とは、微小残存病変の可能性を考慮して、術後再発の可能性を下げるために行う。
#18. ステージ2の胸腺上皮性腫瘍の症例
術前PET(陽電子放出断層撮影)検査画像
ステージ2の胸腺腫
術後放射線治療不要 ステージ2の胸腺癌
術後放射線治療必要 取り込みの強い胸腺癌 取り込みの弱い胸腺腫
ステージ3の治療法と術後補助療法
#19. ステージ3の治療
手術
(腫瘍を含む胸腺と周囲臓器) 初診時に
完全切除が可能と判断 術前導入療法(化学療法または化学放射線治療)の後に手術 初診時に
完全切除が不可能と判断
#20. ステージ3の胸腺癌の症例
初診時の画像 腫瘍が大きく浸潤範囲も広かったため、初診時に完全切除が困難と判断
術前導入療法として化学放射線治療を行い、腫瘍を縮小させてから完全切除を行った。 腫瘍 上大静脈
#21. ステージ3の術後補助療法について
初診時に完全切除が可能と判断しても、最終的に不完全切除で終了することもある。
完全切除か不完全切除か、そして胸腺腫か胸腺癌かによって術後補助療法は以下のように決定される。
ステージ4の治療法と再発時の治療
#22. ステージ4の治療
原則、薬物療法を含めた集学的治療
プラチナ製剤を含む、殺細胞性抗がん剤の併用療法
一次治療に不応となった胸腺癌に対しては、分子標的薬であるレンバチニブも考慮
肉眼的に完全切除が可能であれば、手術を含めた集学的治療
#23. 再発時の治療
組織型と切除可能性に基づいて治療を決定
#24. 再発胸腺腫の症例
再発時の画像 胸腺腫術後に、単発にて胸膜再発をきたした。
胸腔鏡下に完全切除が可能であった。 再発病変
Take–Home MessageとDoctor’s Englishの紹介
#26. Doctor’s Englishのススメ
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