テキスト全文
関節リウマチの導入と対象者
#1. 症例から学ぼう! 関節リウマチ ゆっこ@リウマチ専⾨医
#2. 導⼊ ⽬次 導⼊ スライドの対象者 関節リウマチとは 症例提⽰ 主な現症 症例 ⾎液検査所⾒ その他の検査所⾒ 画像検査所⾒ 臨床経過 関節リウマチ分類基準 (2010 まとめ 関節リウマチの基礎知識 本症例のポイント Take home message ACR/EULAR) 症例 解説
#3. 導⼊ 症例 このスライドの対象者 医学⽣ レポート作成の参考に 基本的な疾患の勉強に 研修医・専攻医 レポート・スライド 作成の参考に 指導医 レポート・スライド 指導の参考に 仮想症例を通じて⼀緒に勉強していきましょう! 内科専⾨医の先⽣からの補⾜コメントもあるので, 内科専⾨医試験対策にも◎ 解説
関節リウマチの定義と症例
#4. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチについて 関節リウマチ • 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)とは、免疫の異常により関節 に炎症が起こり、関節の痛みや腫れ が⽣じる病気です。進⾏すると、 関節の変形や機能障害を来たします。 • 原因は未だ不明ですが、遺伝的要因や、喫煙、⻭周病などの環境要因の 関与が指摘されています。 • ⼥性は男性のおよそ 4 倍多く、40~60 歳 代での発症が多いですが、 最近ではさらに⾼齢で発症する⽅も増えています。 ⼀般社団法⼈ ⽇本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認
#5. 導⼊ 症例 症例:59歳 ⼥性 確定診断名(主な病名および副病名) 1. 関節リウマチ 2. ⾼⾎圧症 【主訴】 多関節腫脹, 多関節痛 【現病歴】 3か⽉前頃から両⼿指の関節痛が出現。症状が増悪するため近医整形外科を受 診。CRPは陰性であったが、抗CCP抗体31.6 U/mlと⾼値陽性を認め、関節 リウマチの疑いにて当科紹介受診となった。その際の⾎液検査にて再度抗 CCP抗体33.2U/mlと⾼値陽性を認め、また左右対称性の関節痛や朝のこわば りなどの臨床症状により関節リウマチの疑いにて、同⽇当科⼊院となった。 【既往歴】 22歳:⾍垂炎で⼿術, 蓄膿症 54歳:⼤腸ポリープ 【内服歴】 なし 【家族歴】 ⽗親︓⾼⾎圧、脳梗塞 【⽣活歴】 喫煙:なし, 飲酒:なし 解説
主な入院時現症と検査成績
#6. 導⼊ 主な⼊院時現症 意識 ⾝⻑・体重 体温 ⾎圧・脈拍 結膜 清明(JCS-0) 155.7 cm, 52.0 kg 35.6 ℃ 148/89 mmHg, 69 /分 (整) 眼瞼結膜に軽度の貧⾎あり, 眼球結膜に⻩疸なし 頚部リンパ節 触知せず 胸部 ⼼⾳・呼吸⾳に異常なし 腹部 軟・平坦で腫瘤を触知しない 四肢 下腿に浮腫を認めない 関節所⾒ ⼩関節(⼿関節・MCP・PIP関節)を含めて26関節に腫脹, 圧痛関節数 12 1時間以上持続する両⼿の朝のこわばりあり 神経学的所⾒ 異常なし 症例 解説
#7. 導⼊ 症例 ⾎液検査成績 ⾎算・凝固 WBC: ⽣化学 5,600 /μL TP: 7.2 g/dL Cl: 106 mEq/L Ly: 39.0 % Alb: 4.7 g/dL CRP: 0.02 mg/dL Mo: 3.0 % AST: 21 IU/L Eo: 5.0 % ALT: 16 IU/L RBC: 456万 /μL γ-GTP: 18 IU/L Hb: 14.5 g/dL LDH: 243 IU/L Ht: 42.8 % ALP: 340 IU/L Plt: 20.3万 /μL T-Bil: 1.1 mg/dL ESR: 9 mm/h LDL-chol: 82 mg/dL 20 Mm/2h BUN 16 mg/dL Cr 0.4 mg/dL Na 144 mEq/L K 4.5 mEq/L 解説
#8. 導⼊ その他の検査成績 感染症関連検査 免疫学的検査 リウマチ因⼦: 1 抗核抗体: 80 倍 Homo Speckled 抗CCP抗体: 33.2 IU/mL U/ml ツ反: 弱陽性 (10m,硬結なし) HBs抗原: 陰性 HBs抗体: 陰性 HBc抗体: 陰性 HCV抗体: 陰性 症例 解説
画像検査所見と治療経過
#9. 導⼊ 症例 画像検査所⾒ ⼼電図 異常所⾒なし レントゲン 胸部Xp : ⼼胸郭⽐:50%,肺野 清 両肋横隔膜⾓ 両側やや鈍 ⼿関節Xp : 異常なし 腹部超⾳波検査 異常所⾒なし 胸部単純CT 右上肺野S1領域に⾼吸収の結節、右中葉に微 ⼩結節を認め、陳旧性の炎症と考えられる。 細気管⽀拡張、肺動静脈の拡張が⾒られる。 全体として肺胞構造の破壊は認めない。 気管分岐部にやや腫⼤したリンパ節を認め、 反応性の可能性あり。 胸⽔なし。 解説
#10. 導⼊ 症例 治療経過 1 #1. 関節リウマチ • 朝のこわばり、3箇所以上の関節腫脹、⼿関節、MCP、PIP関節の関節腫脹、対称性の関節炎と、 ⼩関節を含む11ヶ所以上の関節の腫脹や圧痛、抗CCP抗体⾼値陽性、6週以上の症状の持続より、 ⽶国リウマチ学会・欧州リウマチ学会の関節リウマチ分類基準で9点であり、関節リウマチと分類 した。 • ⾎液検査では、CRP陰性、リウマトイド因⼦陰性、⾚⾎球沈降速度正常であり、抗CCP抗体31.6 U/mlと⾼値陽性を認めた。各種検査にて感染症の合併は否定された。 • 患者に予想される効果と副作⽤を⼗分に説明し、同意を得た上で⼊院7⽇⽬よりメトトレキサート 6mg/週にて加療開始した。メトトレキサートに伴う明らかな副作⽤を認めず、20⽇⽬で退院と なり、その後は外来にて加療継続となった。 解説
関節リウマチ分類基準の解説
#11. 導⼊ 症例 治療経過 2 #2. ⾼⾎圧症 • 前医より処⽅して頂いた内服薬、ニフェジピン(Ca拮抗薬)、セリプロロール塩酸塩(β遮断薬)、カ ンデサルタンシレキセチル(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の3剤併⽤療法にて、⾎圧 120/90mmHg程度にて経過し、コントロールは良好であった。退院後は前医に処⽅継続を依頼 した。 解説
#12. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ分類基準 (2010 ACR/EULAR) ACR: アメリカリウマチ学会 EULAR: ヨーロッパリウマチ学会 対象患者 ⾎清学的検査 1.1カ所以上の関節に明らかな滑膜炎(腫脹)を認める RF陰性かつ抗CCP抗体陰性 0 2.滑膜炎の原因として他の疾患によるものが除外できる RF低値陽性または抗CCP抗体低値陽性 2 罹患関節数 RF⾼値陽性または抗CCP抗体⾼値陽性 3 点数 点数 ⼤関節1カ所 0 急性期反応物質 点数 ⼤関節 2〜10カ所 1 CRP正常かつESR正常 0 ⼩関節1〜3カ所(⼤関節罹患の有無を問わない) 2 CRP異常またはESR異常 1 ⼩関節4〜10カ所(⼤関節罹患の有無を問わな い) 3 症状の持続期間 11カ所以上(1カ所以上の⼩関節を含む) 5 点数 6週未満 0 6週以上 1 ◎⼤関節とは肩、肘、股、膝、⾜関節を指す。 ◎⼩関節とは⼿関節、2-5指PIP・MCP関節、⺟指IP関節、2-5趾MTP関節を指す。 ◎2-5指DIP関節、⺟指CM関節、⺟趾MTP関節は評価対象から除外する。 ◎RFと抗CCP抗体は正常上限以下を陰性、正常上限以上で正常上限値の3倍以下を低値陽性、正常上限値の3倍以上を⾼値陽性として採点する。 6点以上であれば関節リウマチと診断、抗リウマチ薬による治療を開始することになっています。 ただし、関節リウマチ以外の病気でも合計6点以上になってしまうことがあるため、点数をつける前に他の疾患 の可能性がないか⼗分に検討する必要があります。 リウマチ情報センターHPより改変して引⽤
関節リウマチの症状と治療方針
#13. 導⼊ 関節リウマチ 症例 解説 \内科専⾨医が補⾜/内科専⾨医試験こぼれ話 症状 主な症状は、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりなどです。 l DIP関節(第⼀関節)が侵される変形性関 節症の代表はHeberden結節、他に乾癬性 関節炎を疑う l 関節変形で、頚椎環軸関節亜脱⾅がある場 合は、脊髄圧迫症状で時に致命的である。 ⼿⾜の指、⼿⾸に症状を認めることが多いですが、肘、肩、膝、⾜⾸などにもみられます。 症状は左右対称に複数の関節に出ることが多いですが、⽚側のみや、少数の関節にしか出ないこと もあります。⼿指の第⼀関節は稀で、その場合は変形性関節症などを疑います。 関節リウマチでみられる関節外症状 • • • • 全⾝症状: 全⾝倦怠感、⾷欲不振、体重減少など 間質性肺炎 漿膜炎: ⼼膜炎、胸膜炎 リウマトイド⾎管炎:発熱、紫斑、潰瘍・壊疽、強膜炎・上強膜炎、漿膜炎、多発単神経炎・間質性肺炎、 ⽪下結節、低補体⾎症など 病態は、リウマトイド因⼦とIgGとの免疫複合体が形成され、補体の活性化、補体成分による⽩⾎球の遊⾛と活性化、 ⽩⾎球からの活性酸素や炎症性サイトカインの放出が起こり、⾎管炎が起こる。その結果、中⼩型⾎管の内腔狭 窄・閉塞による⾎流障害によって臓器障害が起こる。 • 2次性アミロイドーシス ⻑期の炎症の持続によりアミロイドA蛋⽩が⼼臓、腎臓、消化管などの臓器に沈着し、それらの臓器の障害が起こる。 天野宏⼀,今⽇の臨床指針2023年版 第14章 膠原病および類縁疾患 ⼀般社団法⼈ ⽇本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認 関節リウマチー関節買い症状の治療.医学書院.2023. 収載 今⽇の診療プレミアム 2023年7⽉13⽇
#14. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ 検査 ⾎液検査: リウマトイド因⼦(RF)や抗CCP抗体が重要。ただし、いずれも関節リウマチの多 くで陽性 になりますが、両者が陰性でも関節リウマチの場合や、逆に、陽性でも 関節リウマチでない場合もあるので注意が必要です。 活動性の指標: 活動性の指標: 炎症を反映するCRPや⾚沈(ESR)、関節破壊と相関するMMP-3な どが重要です。 画像検査: 関節レントゲン検査や超⾳波(エコー)検査、MRI 検査などが⾏われます \内科専⾨医が補⾜/内科専⾨医試験こぼれ話 • RF(+)は80%にみられること、抗CCP抗体 陽性(特異度95%)、またCRP上昇するが、 ⾎清補体価は正常〜上昇することも多い。 ⼀般社団法⼈ ⽇本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認
#15. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ 治療 • 治療⽅針は、診断後は速やかに治療を開始し、関節炎を沈静化させて寛解に導⼊します(treat-to-target)。 臨床的寛解(症状が落ち着いている)を維持することで、⻑期的に構造的寛解(関節破壊の進⾏がない)、さらに 機能的寛解(QOL低下がない)を⽬標としていきます。また、さまざまな理由で寛解に⾄ることができない場合 は、低疾患活動性を⽬指します。ただし、疑い症例は治療はしません。 • ①薬物療法 ②保存的治療(リハビリ、関節内注射)③⼿術 の治療法があります。 • 薬物治療は、従来からの抗リウマチ薬(conventional synthetic DMARD︔csDMARD)のメトトレキサート (MTX)が開始されます。MTXが使⽤できない場合には、他のcsDMARDを使⽤します。 • また、補助的治療として、①疼痛にNSAIDs ②⼀時的な病勢コントロールにステロイド る場合は抗RANKL抗体などが併⽤されます。 ③⾻の破壊が進⾏す • 次に、csDMARDでコントロールできない場合は、炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-α・IL-6)やT細胞を 抑える⽣物学的製剤(biological DMARD︔bDMARD)の使⽤や、サイトカインの情報伝達を担う酵素のJAK (ヤヌスキナーゼ)の働きを防ぐ分⼦標的薬(JAK阻害薬)が⽤いられます。 • 関節症状が強い場合には関節注射を併⽤することもあります。 • 機能障害が残存した場合、リハビリや⼿術を検討します ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン 2020
メトトレキサートの用量と投与法
#16. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ MTXの⽤量 開始時投与量 • MTXは原則、経⼝投与で6〜8㎎/週で開始する。 • 開始時投与量は、副作⽤危険因⼦や疾患活動性、予後不良因⼦をもつ ⾮⾼齢者では、8mg/週で開始することが勧められる。 • ⽪下投与は、7.5mg/週で開始する。 予後不良因⼦ • RF陽性 • 抗CCP抗体陽性 • 早期からの⾻びらんを認める場合 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 低⽤量で治療開始が勧められる症例 ①⾼齢者 ②低体重 ③腎機能低下 ④肺病変 ⑤アルコール常飲 ⑥NSAIDs複数内服 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
#17. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ MTXの⽤量 増量および容量の調節と最⼤投与量 • MTX治療開始後、4週間経過しても治療⽬標に達しない場合は増量する。 • 通常、経⼝投与の増量は1回に2mgずつ⾏う。⾼疾患活動性、予後不良因⼦をもつ⾮⾼齢者 では、2週ごとに2mgあるいは4週ごとに4mgずつ迅速に増量してもよい。 • ⽪下投与では、通常、4週を⽬安に2.5mgずつ増量いてもよい。 副作⽤危険因⼦あり • 副作⽤危険因⼦がなく、忍容性に問題なければ、経⼝投与では、 10〜16mg/週まで漸増することができるが、他のcsDMARDs、⽣物 学的製剤やJAK阻害薬の併⽤を考慮してもよい。 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 ①⾼齢者 ②低体重 ③腎機能低下 ④肺病変 ⑤アルコール常飲 ⑥NSAIDs複数内服 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
#18. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ MTXの⽤量 ⽪下注射製剤の使⽤上の注意 • MTX経⼝投与から⽪下投与へ切り替える場合には、以下の表を⽬安とする。 • 初回から15mg/週を⽪下投与しないこと。切り替えたあとにはMTX開始、ま たは増量時と同様の頻度でモニタリングをおこなう。 経⼝製剤(mg/週) 6 8 または 10 12〜16 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 ⽪下注射製剤 7.5 7.5 または 10 10 または 12.5 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
ロイコボリンレスキューと副作用
#19. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ MTXの⽤法 • 経⼝投与の場合は、1週間あたりのMTX投与量を1回 または 2〜3回に分 割して、12時間間隔で1〜2⽇間かけて投与する。 • 1週間あたりの全量を1回投与することも可能であるが、8mg/週を超えて投 与するときは、分割投与が望ましい。 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
#20. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ 葉酸製剤の投与法 • 葉酸製剤の併⽤投与は、MTXの開始⽤量にかかわらず全例で強く勧められる。 • 特に、肝機能障害、消化器症状、⼝内炎の予防に有⽤である • ⼀般的に、葉酸5mg/週を、MTX最終投与後24〜48時間後に投与する。 • 葉酸は、通常、フォリアミンを使⽤するが、重篤な副作⽤発現時にはフォリン 酸のロイコボリンを使⽤する(ロイコボリンレスキュー)。 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
#21. 導⼊ 症例 解説 関節リウマチ ロイコボリンレスキュー • 重篤な副作⽤発現時にはMTXを中⽌するとともに、フォリン酸であるロイコ ボリン投与を⾏う。 • 例︓ロイコボリン錠10mgを6時間ごとに経⼝投与、あるいはロイコボリン 注6〜12mgを6時間ごと筋⾁内(やむをえない場合は静脈内)投与する。 • ロイコボリンの1⽇投与量はMTX投与量の3倍程度を⽬安とする。 (例︓MTX8mg/週投与中であればロイコボリンは24mg/⽇程度) • MTXの排泄を促す⽬的で⼗分な輸液と尿のアルカリ化を⾏う。 • ロイコボリン投与は副作⽤が改善するまで⾏う。 ⼀般社団法⼈⽇本リウマチ学会 関節リウマチにおけるメトトレキサート使⽤と診療の⼿引き 2023年版【簡易版】
本症例のポイントと治療方針
#22. 導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • 発症早期から抗リウマチ薬を導⼊することで関節機能障害の進⾏を遅延、あるいは、 停⽌させることが可能であるという報告があり、関節リウマチ診療ガイドライン2020 でも関節リウマチと診断後は速やかに抗リウマチ薬を開始することを奨励している。 • 関節リウマチ診療ガイドライン2020に基づき、明らかな禁忌などないためMTXを選択 した。 • 主な副作⽤としては胃腸障害、⼝腔内潰瘍、肝機能異常、間質性肺炎等が挙げられ、 慎重な経過観察が必要である。(N Engl J Med 350: 2591, 2004)また、関節リウマ チは慢性疾患であるため患者⾃⾝の疾患に対する理解が重要である。 • 当院では、患者対象に「リウマチ教室」を定期的に開催し、医師、看護師、薬剤師が それぞれの側⾯から関節リウマチに関して説明する場を設け、疾患に対する理解を深 める努⼒を⾏っている。 専⾨医によるQ and A Q:治療開始時にステロイドは使⽤しないの? A:「早期かつcsDMARDsと併⽤」なら短期的(数ヶ⽉以内に中⽌!)で使⽤は可能です。 ただ、NSAIDsなどで疼痛コントロールできている⽅、ご本⼈の拒否(結構あります!)がある場合などは、 あえて使⽤せずに、csDMARDsの効果を待つこともあります。
Take Home Messageとまとめ
#23. 導⼊ Take Home Message 関節リウマチの診断は関節リウマチ分類基準(2010 ACR/EULAR)で⾏う 関節リウマチと診断後は、すみやかにMTXの投与を検討する 早期に寛解導⼊し、維持することで、⻑期的に関節破壊やQOLの低下を防ぐ 症例 解説