#4.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチについて 関節リウマチ • 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)とは、免疫の異常により関節に炎症が 起こり、関節の痛みや腫れ が⽣じる病気です。進⾏すると、関節の変形や機 能障害を来たす。 • 原因は未だ不明ですが、遺伝的要因や、喫煙、⻭周病などの環境要因の関 与が指摘されている。 • ⼥性は男性のおよそ 4 倍多く、40~60 歳 代での発症が多いですが、最近で はさらに⾼齢で発症する⽅も増えている。 一般社団法人 日本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認
#5.
導⼊ 症例:76歳 ⼥性 確定診断名(主な病名および副病名) #1. #2. #3. #4. 1型糖尿病 関節リウマチ 慢性甲状腺炎 右下顎歯肉扁平上皮癌(T2N0M0) 【主訴】 なし 【現病歴】 20年前に村の健診で尿糖を指摘され、近医①にかかり糖尿病の診断で食事療法を 指導されたが改善を認めなかったため、近医②に同年紹介受診となった。抗GAD抗 体:2.1U/ml 陽性であり、1型糖尿病の診断でインスリン療法開始された。CSII導入ま で行った(詳細不明)が、HbA1c:8%台、血糖値:30~600mg/dlと血糖コントロールは 非常に不安定であった。 1ヶ月前に歯が欠けたため、2週間前に近医③へ抜歯目的で受診したところ、右下 顎歯肉扁平上皮癌疑いで当院歯科口腔外科を紹介受診となった。精査のPET施行 前の随時血糖:404mg/dlと高血糖を認めたため、今回、術前、及び、周術期の血糖 コントロール目的で当科へ入院となった。 【既往歴】 66歳:関節リウマチ 72歳:白内障手術 【家族歴】 母: 高血圧 症例 まとめ
#6.
導⼊ 主な⼊院時現症 意識 身長・体重 体温 血圧・脈拍 結膜 口腔内 清明(JCS-0) 145.9 cm, 35.9 kg 36.2 ℃ 110/74 mmHg, 80 /分 (整) 眼瞼結膜に貧血なし, 眼球結膜に黄疸なし 特記すべき異常なし 頚部 頚部リンパ節触知せず、甲状腺腫大なし 胸部 心音、呼吸音に異常なし 腹部 軟・平坦で圧痛なし, 腫瘤を触知しない 四肢 両下腿に浮腫を認める 腫脹関節数 0、 圧痛関節数 0、手指の朝のこわばりなし 神経学的所見 異常なし 症例 まとめ
#7.
導⼊ 症例 ⾎液検査成績 血算・凝固 生化学 WBC: 5,800 /μL AST: 23 IU/L Cl: 102 mEq/L RBC: 335万 /μL ALT: 11 IU/L FT3: 2.4 ng/dL Hb: 10.9 g/dL γ-GTP: 13 IU/L FT4: 1.3 ng/dL Plt: 21.7万 /μL LDH: 178 IU/L TSH: 2.16 μIU/mL ALP: 199 IU/L HbA1c: 8.4 T-Bill: 0.97 mg/dL 空腹時血糖: 197 BUN 16.1 mg/dL Cr 0.72 mg/dL Na 137 mEq/L K 5.0 mEq/L % mg/dL まとめ
#8.
導⼊ 症例 まとめ その他の検査成績 その他の検査 免疫学的検査2 尿中微量Alb: 9.0 食事負荷試験 mg/day 血糖(前値) 197 mg/dL U/mL 血糖(60分値) 295 mg/dL 198.9 IU/mL CPR(前値) 0.1未満 ng/dL 5023 IU/mL CPR(60分値) 0.1未満 ng/dL CPR(120分値) 0.1未満 ng/dL 抗GAD抗体: 0.5 U/mL 抗IA2抗体: 0.4未満 抗TPO抗体: 抗Tg抗体:
#9.
導⼊ 症例 まとめ 画像検査所⾒ \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 眼病変に関しては、以下の3つが有名である。 眼底写真 ①上強膜炎 ②虹彩毛様体炎 網膜症なし ③乾性角結膜炎 特に③はシェーグレン症候群の合併によるもので臨 床的には最多である 甲状腺エコー 甲状腺やや萎縮・辺縁不整・内部粗造
#10.
導⼊ ⾎糖の推移 PS (mg/dl) x日 x+2日 X+8日 アスパルト,毎食直前 (10-12-13)単位 (10-12-13)単位 (9 -11-12)単位 グラルギン,朝夕食直前 (4 - 0 - 7)単位 (4 - 0 - 7)単位 (7 - 0 - 5)単位 朝食前: 197 259 66 朝食後: 358 272 124 昼食前: 446 305 91 昼食後: 495 343 79 夕食前: 567 436 115 夕食後: 138 295 48 眠前: 207 284 154 0時: 192 270 261 3時: 71 144 220 症例 まとめ
#11.
導⼊ 症例 まとめ 治療経過 1 #1. 1型糖尿病 • • • 入院後1400kcalでインスリン量は アスパルト(10-12-13)単位 毎食直前 グラルギン(4-0-7)単位 朝夕食直前 で高血糖状態であった。プレドニゾロン4mg/日を内服中であり、昼~ 夕にかけて高血糖、空腹時血糖は低めであったため、 グラルギン注ソロスター(7-0-5)単位 朝夕食直前へ変更した。また、 血糖値が高くなったときは追加(血糖値>300 mg/dlで2単位、血糖 値:200~300mg/dlで1単位追加)でアスパルト注フレックスペンを打つ 方針とした。 しかし、X+6日より、食後の低血糖が頻発したためアスパルト注フ レックスペンを減量した。 最終的に転科時の処方は、以下とした。 アスパルト注フレックスペン(8-7-7)単位 毎食直後 グラルギン注ソロスター(7-0-5)単位 毎食直後 PS (mg/dl) x日 x+2日 X+8日 アスパルト 毎食直前 (10-12-13) 単位 (10-12-13) 単位 (9 -11-12) 単位 グラルギン 朝夕食直前 (4 - 0 - 7)単 位 (4 - 0 - 7)単 位 (7 - 0 - 5) 単位 朝食前: 197 259 66 朝食後: 358 272 124 昼食前: 446 305 91 昼食後: 495 343 79 夕食前: 567 436 115 夕食後: 138 295 48 眠前: 207 284 154 0時: 192 270 261 3時: 71 144 220
#12.
導⼊ 症例 治療経過 2 #2. 関節リウマチ ● アメリカリウマチ学会(American College of Rhematology, ACR)の関節リウマチ診断基準より、2005 年より関節リウマチと診断されている。 ● 近医膠原病内科では、プレドニゾロン4mg/日、メトトレキサート4mg/週、エタネルセプト25mg/週で 加療されていた。 ● 入院中病勢のコントロールは良好であり、近医と当院の膠原病内科にコンサルトし、エタネルセプ トは入院時より中止し、メトトレキサート4mg/週は術前まで内服し、術後は経口摂取が可能となる まで中止とする方針とした。 まとめ
#13.
導⼊ 症例 まとめ 治療経過 3 #3. 慢性甲状腺炎 \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 関節リウマチは甲状腺の病気と同じく女性に多く、同じ自己免 疫性疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)との合併率が高い。日 本では、関節リウマチの方の30%以上が橋本病ともいわれてい る。 ● 抗TPO抗体・抗Tg抗体陽性であり、エコー上、甲状腺やや萎縮・辺縁不整・内部粗造で慢性甲状 腺炎の所見が認められるが、甲状腺機能自体には問題なく経過観察とした。
#14.
導⼊ 症例 治療経過 4 #4. 右下顎歯肉扁平上皮癌(T2N0M0) ● 術 前 化 学 療 法テガフール・ギメラシル・オテラシルカプセル4cp/日をX日~X+11日6まで開 始し た。 ● 当院歯科口腔外科でX+13日に手術予定であり、周術期、術後も血糖コントロールを含め、共診し ていく。 退院時処方 ・プレドニゾロン4mg/日 ・メトトレキサート4mg/週 ・エタネルセプト25mg/週 ・メシル酸ドキサゾシン2mg/日 ・エナラプリルマレイン酸塩5mg/日 ・オメプラゾール10mg/日 ・テガフール・ギメラシル・オテラシルカプセル 4cp/日 ・インスリンアスパルト注フレックスペン(8-7-7)単位 毎食直後 ・グラルギン注ソロスター(7-0-5)単位 朝夕食直後 まとめ
#15.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ分類基準 (2010 ACR/EULAR) ACR: アメリカリウマチ学会 EULAR: ヨーロッパリウマチ学会 対象患者 血清学的検査 点数 1.1カ所以上の関節に明らかな滑膜炎(腫脹)を認める RF陰性かつ抗CCP抗体陰性 0 2.滑膜炎の原因として他の疾患によるものが除外できる RF低値陽性または抗CCP抗体低値陽性 2 RF高値陽性または抗CCP抗体高値陽性 3 罹患関節数 点数 大関節1カ所 0 急性期反応物質 大関節 2~10カ所 1 CRP正常かつESR正常 0 小関節1~3カ所(大関節罹患の有無を問わない) 2 CRP異常またはESR異常 1 小関節4~10カ所(大関節罹患の有無を問わない) 3 症状の持続期間 11カ所以上(1カ所以上の小関節を含む) 5 点数 点数 6週未満 0 6週以上 1 ◎大関節とは肩、肘、股、膝、足関節を指す。 ◎小関節とは手関節、2-5指PIP・MCP関節、母指IP関節、2-5趾MTP関節を指す。 ◎2-5指DIP関節、母指CM関節、母趾MTP関節は評価対象から除外する。 ◎RFと抗CCP抗体は正常上限以下を陰性、正常上限以上で正常上限値の3倍以下を低値陽性、正常上限値の3倍以上を高値陽性として採点する。 6点以上であれば関節リウマチと診断、抗リウマチ薬による治療を開始することになっている。 ただし、関節リウマチ以外の病気でも合計6点以上になってしまうことがあるため、点数をつける前に他の疾患の可能性がないか十分に 検討する必要がある。 リウマチ情報センターHPより改変して引用
#16.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ 症状 ● ● ● 主な症状は、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりなど。 ⾏⾏の指、⾏⾏に症状を認めることが多いが、肘、肩、膝、⾏⾏などにもみられる。 症状は左右対称に複数の関節に出ることが多いが、⾏側のみや、少数の関節にしか出ないこともある。⾏指 の第⾏関節は稀で、その場合は変形性関節症などを疑う。 関節リウマチでみられる関節外症状 ● ● ● ● \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 ● 間質性肺炎は 両側下肺野主体のUIPまたはNSIPパターンが 全身症状: 全身倦怠感、食欲不振、体重減少など 多く、末期には蜂窩状肺を呈する。 間質性肺炎 ● 胸膜炎では胸痛を欠き、画像検査で判明することもある。 漿膜炎: 心膜炎、胸膜炎 リウマトイド血管炎: 発熱、紫斑、潰瘍・壊疽、強膜炎・上強膜炎、漿膜炎、多発単神経炎・間質性肺炎、皮下結節、 低補体血症など ● 病態は、リウマトイド因子とIgGとの免疫複合体が形成され、補体の活性化、補体成分による白血球の遊走と活性化、白血球から の活性酸素や炎症性サイトカインの放出が起こり、血管炎が起こる。その結果、中小型血管の内腔狭窄・閉塞による血流障害に よって臓器障害が起こる。 2次性アミロイドーシス 長期の炎症の持続によりアミロイドA蛋白が心臓、腎臓、消化管などの臓器に沈着し、それらの臓器の障害が起こる。 一般社団法人 日本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認 天野宏一,今日の臨床指針2023年版 第14章 膠原病および類縁疾患 関節リウマチー関節買い症状の治療.医学書院.2023. 収載 今日の診療プレミアム 2023年7月13日
#17.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ 検査 リウマトイド因⾏(RF)や抗CCP抗体が重要。ただし、いずれも関節リウマチの多く で陽性になるが、両者が陰性でも関節リウマチの場合や、逆に、陽性でも関節リウ マチでない場合もあるので注意が必要である。 ● ⾏液検査: ● 活動性の指標: 炎症を反映するCRPや⾏沈(ESR)、関節破壊と相関するMMP-3などが重要である。 ● 画像検査: 関節レントゲン検査や超⾏波(エコー)検査、MRI 検査などが⾏われる。 一般社団法人 日本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認
#18.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ 治療 ● 治療方針は、診断後は速やかに治療を開始し、関節炎を沈静化させて寛解に導入します(treat-to-target)。臨床的寛 解(症状が落ち着いている)を維持することで、長期的に構造的寛解(関節破壊の進行がない)、さらに機能的寛解(QOL 低下がない)を目標としている。また、さまざまな理由で寛解に至ることができない場合は、低疾患活動性を目指す。た だし、疑い症例は治療しない。 ● 治療方針は、CDAI(clinical disease activity index)やSDAI(simplified disease activity index)などの疾患活動性指標、 関節X線所見などの画像を用いた構造的損傷の進行度、合併症や併発疾患、治療薬の禁忌や注意事項、治療コスト などを総合的に評価し、患者に説明と合意のうえで決定する。 ● CDAIとは、SDAIを簡便にしたもので採血結果を除いているため 日常診療で使いやすい。 CDAI=特定の28関節の圧痛関節数 + 腫脹関節数 +患者による全般的評価(10cmのVAS) +医師による全般的評価(10cmのVAS) この式の総和で点数化する。 疾患活動性 CDAI 寛解 CDAI≦2.8 低 疾患活動性 2.8<CDAI≦10 中 疾患活動性 10<CDAI≦22 高 疾患活動性 22<CDAI 天野宏一,今日の臨床指針2023年版 第14章 膠原病および類縁疾患 関節リウマチ(内科).医学書院.2023. 収載 今日の診療プレミアム 2023年7月13日
#19.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ リウマチ専門医からのポイント 特定のリスク因子を有するリウマチ患者において、JAK阻害薬を使用した場合、TNFα阻害 薬と比較して、悪性腫瘍・主要な心血管系事象、重篤な感染症、静脈血栓塞栓症の発煙率・ 死亡率の増加が認められています。 →65歳以上、長期の喫煙歴、その他の心血管リスク因子や悪性腫瘍リスク因子がある患者 では、JAK阻害薬は他に適切な治療選択肢がない場合のみ検討しましょう。 治療 ● ①薬物療法 ②保存的治療(リハビリ、関節内注射)③手術 の治療法がある。 ● 薬物治療は、従来からの抗リウマチ薬(conventional synthetic DMARD: csDMARD)のメトトレキサート (MTX)が開始される。MTXが使用できない場合には、他のcsDMARDを使用される。 ● また、補助的治療として、①疼痛にNSAIDs ②一時的な病勢コントロールにステロイド ③骨の破壊が進行する場合 は抗RANKL抗体などが併用される。 ● 次に、csDMARDでコントロールできない場合は、炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-α・IL-6)やT細胞を抑える生 物学的製剤(biological DMARD;bDMARD)の使用や、サイトカインの情報伝達を担う酵素のJAK(ヤヌスキナー ゼ)の働きを防ぐ分子標的薬(JAK阻害薬)が用いられる。 ● 関節症状が強い場合には関節注射を併用することもある。 ● 機能障害が残存した場合、リハビリや手術を検討する。 一般社団法人 日本リウマチ学会HP. 2023.7.25確認
#20.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ 周術期の休薬に関して ● 周術期の休薬は ①継続による感染リスクや創傷治癒遅延と②休薬によるリウマチの病勢の増悪を考慮す る必要がある。 ● リウマチ患者における周術期における抗リウマチ薬の休薬に関しては「関節リウマチ診療ガイドライン2020」 で整形外科手術の周術期のみコメントがある。 ● 現状、リウマチ患者における、整形外科手術以外の周術期の休薬に関しては、患者の状態や手術の侵襲 度、合併症などによって患者ごとの判断が必要であため、原則として、膠原病内科の主治医と相談する必要 がある。 ● その他の薬剤の留意点として、①ステロイドカバーや ②口腔外科手術の場合は骨粗鬆症治療薬使用時の 顎骨壊死などに関しても検討が必要である。 一般社団法人日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2020
#21.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ MTXの休薬に関して 以下関節リウマチ診療ガイドライン2020より抜粋。 ● 整形外科手術の周術期にはMTXを休薬しないことを推奨する(条件付き)。 ● 整形外科手術におけるMTX(12.5mg/週以下)の継続は関節リウマチの再燃リスクを抑制し、術後感染症、創傷治 癒遅延に影響しないため、周術期におけるメトトレキサートの休薬は原則的に不要である。 ● 注記: ○ MTXの継続、休薬、再開は、個々の患者の状態や手術による侵襲の大きさ、合併症などを考慮して総合的に判断 するべきである。 ○ 出血量が比較的多い手術では、一時的に急激な体液量の変動をきたして通常よりMTXの血中濃度が高くなる可能 性があり、手術前後(手術当週)は休薬を考慮する。 ○ その他、MTXの使用上の注意に該当する合併症を有する患者では特に注意が必要である。 ○ 整形外科の予定手術以外の手術、および12.5mg/週を超える使用量でのエビデンスはほとんどない。 一般社団法人日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2020
#22.
導⼊ 症例 まとめ 関節リウマチ 生物学的製剤(bDMARRD)の休薬に関して 以下関節リウマチ診療ガイドライン2020より抜粋。 ● 整形外科手術の周術期にはbDMARDの休薬を推奨する(条件付き)。 ● 整形外科手術の周術期におけるbDMARDの継続は手術部位感染 (SSI)、創傷治癒遅延のリスクを高める可能性があることから、術前後は 休薬することを推奨する。休薬をする場合は関節リウマチの再燃に注意 が必要である。 ● 注記:周術期の休薬の是非についてTNF阻害薬以外のbDMARDに関するエビ デンスはほとんどえられていない、また、長期の休薬はRAの再燃を引き起こ す可能性があるが、周術期の休薬期間に関しては意見の一致をみていない。 リウマチ専門医からのポイント 休薬の推奨は本当に出している機関ごとにバラバ ラだったりするので難しいのですが… 私は ・MTXは可能であれば継続 ・ブシラミン(商品名リマチル)は休薬 ・その他のcsDMARDsは状況に応じて判断 ・Bio休薬 ・JAK阻害薬休薬 という感じで考えています。 csDMARDsはブシラミン(商品名リマチル)だけは手 術直後の患者は添付文書上禁忌なので、(念の為) 手術前からやめます。 JAK阻害薬休薬の根拠は以下の論文です。 Goodman SM, et al. Arthritis Care Res . 2017 Aug;69(8):1111-1124. これに基づいて7日間休薬します。この論文では JAK阻害薬のうちトファシチニブのみ取り上げられ ていますが、最後の投与から7日あけるように記載 があります。 また、JAK阻害薬はHb<8の貧血で禁忌なので出血 が多いopeなどでは再開時期にも気を使います。 一般社団法人日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2020
#23.
導⼊ 症例 本症例のポイント ● 発症早期から抗リウマチ薬を導入することで関節機能障害の進行を遅延、あるいは、停止させることが 可能であるという報告があり、関節リウマチ診療ガイドライン2020でも関節リウマチと診断後は速やかに 抗リウマチ薬を開始することを奨励している。 ● 関節リウマチ診療ガイドライン2020に基づき、明らかな禁忌などないためMTXを選択した。 ● 主な副作用としては胃腸障害、口腔内潰瘍、肝機能異常、間質性肺炎等が挙げられ、慎重な経過観察 が必要である。(N Engl J Med 350: 2591, 2004)また、関節リウマチは慢性疾患であるため患者自身の 疾患に対する理解が重要である。 ● 周術期の休薬は膠原病内科にコンサルトし、生物学的製剤のエタネルセプトは中止し、MTX 4mg/週は 術前まで内服し、術後は経口摂取が可能となったら再開とした。 まとめ
#24.
導⼊ Take Home Message 関節リウマチの診断は関節リウマチ分類基準(2010 ACR/EULAR)で行う 関節リウマチと診断後は、すみやかにMTXの投与を検討する 周術期の休薬に関しては主治医とよく相談する (通常、整形外科手術の周術期はMTXは休薬なし、生物学的製剤は休薬する) 症例 まとめ