#4.
本日の流れ 認知症の概要
認知症の初期評価
認知症・BPSDの薬物療法・非薬物療法
#5.
本日の目標 ✓ 主な認知症の特徴がわかる
✓ 認知症のざっくりとした鑑別の仕方がわかる
✓ 認知症各タイプ、BPSDの治療がわかる
#6.
本日の流れ 認知症の概要
認知症の初期評価
認知症・BPSDの薬物療法・非薬物療法
#7.
それではここでクエスチョンです! その1 認知症にはいくつかのタイプがありますが、最も多いのはどれでしょうか? D A B C 前頭側頭型
認知症 アルツハイマー型
認知症 脳血管性
認知症 レビー小体型認知症
#8.
認知症とは? 一度正常に発達した知的能力・機能が脳の器質的疾患によって進行性に障害され、認知機能低下によって、それまでできていた日常生活、社会生活、仕事で支障をきたした状態
#9.
認知症は今後も増加が見込まれる (万人) (%) 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要より
#10.
認知機能の低下 長谷川式で18点! 認知症っぽい顔してる! にんち
しょう
#11.
<似ている精神疾患>
加齢による物忘れ
MCI(軽度認知障害)
うつ病
せん妄 など <身体疾患>
正常圧水頭症
慢性硬膜下血腫
脳腫瘍
甲状腺機能低下症
ビタミンB12欠乏症
など <各種検査>
認知機能テスト
頭部MRI
SPECT(脳血流シンチ)
など <薬剤の影響>
ベンゾジアゼピン系薬剤
(睡眠薬、抗不安薬)
ステロイド
抗コリン系薬剤
抗てんかん薬
など 認知症疑い 〇〇認知症 認知機能の低下
#12.
「認知症によるもの忘れ」と「加齢によるもの忘れ」の違いは? ・日常生活に支障はない
・体験の一部分を忘れる
・ヒントを与えられると思い出せる
・時間や場所など見当がつく
・もの忘れに対して自覚がある ・日常生活に支障がある
・体験全体を忘れる
・ヒントを与えられても思い出せない
・時間や場所などの見当がつかない
・新しい出来事を記憶できない
・もの忘れに対して自覚がない 認知症によるもの忘れ 加齢によるもの忘れ 抜け落ちる 正常なもの忘れ
#13.
各認知症の割合
#14.
短期記憶障害で発症することが多い
病識の低下、とりつくろい反応(振り向き徴候)といった特徴的な対人行動がみられる
物盗られ妄想が認められることが多い
MMSEの3単語の即時想起は可能だが、遅延再生が障害される
視空間障害(道に迷うなど)により、手指模倣テストができなくなる (滋賀県立総合病院HPより) アルツハイマー型認知症(AD)の特徴
#15.
病初期には記憶障害が目立たないことがある
パーキンソン症状、自律神経症状(起立性低血圧)、幻視(幻の同居人、ありありとした幻視。夕方に多い)、 REM睡眠行動異常などが早期より多くみられる
症状は動揺性のことが多い。注意や覚醒レベルの著明な変動が特徴的
抗精神病薬への過敏性が見られる (滋賀県立総合病院HPより) レビー小体型認知症(DLB)の特徴
#16.
40〜60歳台と比較的若年に多い
初期には記憶障害は目立たない
だらしない行動がみられる
前頭葉障害→抑制、感情の障害→人格変化(怒りっぽい)、我が道を行く行動、立ち去り行動
食行動異常(過食・嗜好の変化)
常同行動(時刻表的生活、常同的周遊) (滋賀県立総合病院HPより) 前頭側頭葉変性症(FTLD)の特徴
#17.
脳梗塞の起こる部位によって症状が異なる
症状は階段状に悪化する
症状はまだらで、いい日と悪い日がある
感情・抑うつ症状、言語の障害が出ることがある
失禁が多い (滋賀県立総合病院HPより) 脳血管性認知症(VaD)の特徴
#18.
それではここでクエスチョンです! その1 認知症にはいくつかのタイプがありますが、最も多いのはどれでしょうか? D A B C 前頭側頭型
認知症 アルツハイマー型
認知症 脳血管性
認知症 レビー小体型認知症
#19.
本日の流れ 認知症の概要
認知症の初期評価
認知症・BPSDの薬物療法・非薬物療法
#20.
それではここでクエスチョンです! その2 D A B C 認知症の鑑別に大切なのは次のうちどれでしょう? ネズミ キツネ イヌ ネコ
#21.
認知症疑い レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 遅延再生
手指模倣テスト できる できない アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 臨床症状 臨床症状
#22.
注意点 実際には、この様な検査や臨床症状や画像検査を組み合わせて病型診断を行う
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症は合併も多く、厳密には区別できないことも多い
認知症が進行してから鑑別を行うことは困難なので、なるべく初期にきちんと診断をつけることが大切
#23.
手指模倣テスト 頭頂葉機能の一つである、視空間認知を評価する
アルツハイマー型認知症では比較的初期の頃から記憶障害に加え、頭頂葉症状がよく出現するため、手指模倣検査が早期発見や他の認知症との鑑別に役立つ
#24.
実際のやり方 テストをする相手と向かい合って座る。
「私の手の形を真似をして下さい」と一度だけ言う
OKサインを10秒間見せて真似をしてもらう
キツネを真似をしてもらう
左右のキツネの耳をくっつけて真似をしてもらう
逆キツネを真似をしてもらう
ハトを真似をしてもらう
#25.
注意点 キツネ、ハトといった名前や「良く見て」などは言わない
10秒以内で同じ様に出来るかどうかで判断
まずOKサインはほとんどの方ができる。
このOKサインからキツネにする段階で人さし指がくっついてしまい、キツネの形が作れないと、アルツハイマー型認知症の可能性が高い
ハトは、両手掌が自分の方に向き、母指が組み合わさっていること
キツネは中等度認知症まではできることが多いが、ハトはより困難
#26.
認知症疑い レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 遅延再生
手指模倣テスト できる できない アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 臨床症状 臨床症状
#27.
それではここでクエスチョンです! その2 D A B C 認知症の鑑別に大切なのは次のうちどれでしょう? ネズミ キツネ イヌ ネコ
#28.
本日の流れ 認知症の概要
認知症の初期評価
認知症・BPSDの薬物療法・非薬物療法
#29.
それではここでクエスチョンです! その3 D A B C ドネペジル(アリセプト)の保険適応がある認知症は、アルツハイマー型認知症の他にあるでしょうか? 前頭側頭型
認知症 脳血管性
認知症 レビー小体型認知症 他にはない
#30.
中核症状とBPSD
#31.
抗認知症薬の比較
#32.
治療においての注意点 ドネペジルを投与することで5年間は認知機能低下を抑制したという報告がある
ドネペジルを使用することにより易怒性が亢進することがあり、それが明らかである場合には減量・中止・変薬を検討する
易怒性に対するドネペジルの影響が不明な場合は中止を検討するが、3週間以内に再開すれば認知機能は低下しない
中止後、6週間で認知機能がプラセボと同じレベルまで悪化してしまう
#33.
レビー小体型認知症の治療 コリンエステラーゼ阻害薬の有効性は確立しており、推奨される
リバスチグミンに関しては高いエビデンスがあり、保険適用外ではあるが試みる価値はある
メマンチンの有効性は明らかではなく、幻覚妄想を悪化させるリスクがある
REM睡眠行動異常症にはクロナゼパムやメラトニンが有効
#34.
前頭側頭葉認知症の治療 セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) によって、脱抑制、不安、衝動性、常同症状の改善が報告されている
コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンの効果は期待できない
ベンゾジアゼピン系薬剤は、脱抑制や副作用のため避けるべき
#35.
脳血管性認知症の治療 ドネペジルやメマンチンの保険適用はないが、その有効性を示した報告は複数あるため試みる価値はある
脳血管障害の危険因子の除去と予防を行うことが大切。危険因子としては高血圧、糖尿病、心房細動、虚血性心疾患、脂質異常症、喫煙、飲酒などが指摘されている
この中で高血圧は脳出血と脳梗塞に共通の最大の危険因子であり、5~6mmHgの拡張期血圧の下降により脳卒中の発症率は42%減少すると報告されている
#36.
非薬物療法は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療に際しては、薬物療法に優先して考慮され実施されるべきである
認知刺激(パズル、ゲームなど)、運動療法、回想法、音楽療法、認知行動療法などがあるが、その治療効果は、患者の嗜好や実施者の力量に大きく左右されるため、治療法の優劣を決めることに意味は乏しい。
患者が進んで参加できることが大切であり、必要に応じて複合的に行われることが望ましい。 BPSDの治療
#37.
BPSD(不穏)の治療 非薬物療法
受容的・共感的態度
記憶の訓練や日常生活動作を中心とするリハビリテーション
↓ 改善しない場合は・・・
薬物療法
#38.
BPSD(不穏)の薬物療法の例 抗認知症薬(使用してなければ検討)
軽め → 抑肝散 5g2X 朝夕食前
副作用:消化器症状、低K血症
怒りっぽい → バルプロ酸Na徐放剤 100mg1X 夕食後
不穏、妄想、徘徊 → 抗精神病薬
リスペリドン液(0.5)1P1X 不穏時
レビー小体型認知症の場合は、クエチアピン(12.5)1T1X 不穏時
※クエチアピン、オランザピンはDM禁忌
#39.
それではここでクエスチョンです! その3 D A B C ドネペジル(アリセプト)の保険適応がある認知症は、アルツハイマー型認知症の他にあるでしょうか? 前頭側頭型
認知症 脳血管性
認知症 レビー小体型認知症 他にはない
#40.
Take Home Message 主な認知症として、アルツハイマー型認知症(最多)、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、脳血管性認知症がある
遅延再生、手指模倣テスト(OKサイン、キツネ、逆キツネ、ハト)が認知症の鑑別に役立つ
認知症の治療は中核症状とBPSDにわけて考え、抗認知症薬を開始する際には、効果が期待できる場合にのみ使用する
#41.
参考文献 メモリークリニック診療マニュアル(鹿島晴雄、鈴木則宏ら、南江堂)
認知症疾患診療ガイドライン2017(日本神経学会)
明日から役立つ 認知症のかんたん診断と治療(平川 亘、日本医事新報社)
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要より(厚生労働省)
老年期にみられる変性疾患の神経心理症状(鹿島晴雄)