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もう悩まない!血尿診療の3Rules!
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最終更新:2021年12月19日
脱エビハラ!10分でわかるEBM 2.0 ~TBGって?~
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新型コロナウイルスの概要【特徴、対策、検査】
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最終更新:2020年12月15日
治療に前向きでない患者さんにどうアプローチする?~「まるわかり糖尿病塾」のぞき見~
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最終更新:2020年11月24日
家庭内隔離を上手にする方法
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「背景知識の整理法 」プライマリ・ケア研究 はじめの一歩 Vol.2
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健康診断で要精査 肝機能障害の対応方法
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最終更新:2023年3月24日
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呼吸器と病理と僕
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<東京北総合診療/プレゼン部>インストラクショナル・デザイン
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春田淳志 慶應義塾大学 医学教育統轄センター コロナ禍で変わっていく地域の状況に対してプライマリ・ケア医は何をしてきたのか?
はじめに 今回はCOVID-19に どう対応したらよいか? という、感染対策の話ではありません。 医師(主にプライマリ・ケア医)が どのように病院や診療所で COVID-19に対応してきたかについて 主に医師の語りから振り返ることを 目的としております。
COVID-19とパンデミック COVID-19の特徴 感染者の自覚の少なさ 4-32%は症状が出ない 潜伏期にばらつきあり 1-14日(平均5日:四分位2-7日) 症状が出る2-3日前(無症状者)から感染する パンデミックの歴史 ペスト インフルエンザ SARS/新型インフルエンザ/MARS COVID-19 Wiersinga WJ, Rhodes A, Cheng AC, Peacock SJ, Prescott HC. Pathophysiology, Transmission, Diagnosis, and Treatment of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Review. JAMA. 2020 Aug 25;324(8):782-793. doi: 10.1001/jama.2020.12839. PMID: 32648899.
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クイズ COVID-19患者が日本で初めて 報告されたのはいつ? 1)12月16日 2) 1月16日 3) 2月16日 4) 3月16日
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クイズ COVID-19患者が日本で初めて 報告されたのはいつ? 1)12月16日 2) 1月16日 3) 2月16日 4) 3月16日 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68616
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今日の話 コロナ禍の現場で 何が起きていたのか? 医療現場だけでなく、地域や生活の 場で何が起きていたのか? 地域や生活の場に関心を持つ傾向に あるプライマリ・ケア医に注目。 https://www.news24.jp/archives/corona_map/index3.html
7.
研究方法 研究チーム:10名 (人類学者5名+医療者5名) 研究対象者 10名のプライマリ・ケア医:3-40代 男性8女性2 病院3(軽中等症)、診療所7 北海道1、首都圏3、関東1、中部2 近畿1、中国1、九州1 調査期間 2020年3月~
8.
研究方法 調査・研究方法 2か月に1回程度 各1-2時間 Zoomで半構造化インタビュー 5-6月からは2名ずつインタビューイーをペアリングしてフォーカスグループインタビュー 問題の認知、医療実践、院内組織、患者や地域、 行政や保健所、家庭、今後の見通し… インタビュー録画の文字起こし+インタビュー時のメモ 倫理審査 プライマリ・ケア連合学会 倫理審査委員会の承認を得て、3月末より調査開始(1年程継続の予定)
9.
全体の知見 この知見は限られた10人+研究者らの経験から 紡ぎだされた。 地域による流行差が顕在化し、自らの地域を中心としたエピソードを語るだけでなく、COVID-19の伝播の観点から中核都市を含む周辺地域との関連で語られた。 時間感覚としては客観的日付に準じた記憶よりも、感情的インパクトの大きい事柄を時間的記憶と紐づけて過去の記憶を思い出して語り、客観的日付と主観的記憶の 相違が生じることもあった。 時期(フェーズ)の変遷と地域の流行状況により、各医師がもつコンテキストに合わせて、目の前の現実は変化した。
10.
いくつかのフェーズ 2020年1月から10月くらいまでの期間を、 ナラティブで回想された変遷やCOVID-19の発生・流行を 取り巻く日本の状況を踏まえて特定した。 フェーズ1:「問題の他者性(対岸の火事)」 1月 フェーズ2:「地域に迫るパンデミックの現実感」 2月 フェーズ3:「地域で直面したパンデミックの現実」3-5月 フェーズ4:「変化を要される住民の生活と医療者の業務」6月-10月 →分断の開大と新たなルーチン パンデミックの発生時期には役割の違いと地域差があるため、 同じ時期でも医師が勤務していた施設・地域に応じて 現場の認識は、施設・地域のコンテキストにより変化した。
11.
フェーズ1:問題の他者性(対岸の火事) COVID-19の世界的なアウトブレイクの初期段階-2020年1月頃は、隣国中国での世界的なアウトブレイクがあったものの、COVID-19を自分にとって直接関係のない問題として認識していた。 北海道の人口4000人ほどの町の診療所勤務のD医師 「現地で封じ込めが行われるのだろうと(推測していた)。例えば時々発生する鳥インフルエンザによる死者というものも中国で出ていますし、そういったものと同様に封じ込められてしまうものなのだろうと思っていました。」 コロナウイルスのアウトブレイクが封じ込められる希望に満ちた前提を持っていた。
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フェーズ2 :地域に迫るパンデミックの現実感 2月の時点で中国でのアウトブレイクは次第に収束しつつあり、ダイヤモンド・プリンセス号のケースは国際的な 注目の的となり迫りくる現実の契機となった。 感染症指定病院に勤務するF医師 「(患者を船から)降ろす時には広域搬送もあるかも知れないという話も出てきたので、具体的にうちに受け入れが来るのではないかと(推測した)。保健所とも連絡を取って2床受け入れを、まずしましょうと話した。」
13.
COVID-19に関する予想不可能で、不確実・変動的な状況への対応・準備のため特にFacebookを使って情報収集・報告・拡散を行っている医師が多くいた。 北海道の診療所に勤務するD医師 「ある程度情報をキュレーションされた状態で発言してくれる先生や内部でダイヤモンドプリンセス号のことをよくご存知だった先生の 発信を参考にした。そういう人達がある程度重要な情報を発信してくれていて、そこのリンクを追うときちんと重要な文章にいけたりとかするので、貴重な情報を発信してくれている方のSNSでの発言は ずっと追っていました。」 COVID-19に関する科学的根拠が不確かな中、信頼性の高い情報を持つキーインフォーマントのSNSをフォローすることで、緊急事態や危機的状況への対応 、創造的な問題解決などの準備をした。 フェーズ2 :地域に迫るパンデミックの現実感
14.
フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実 2月末以降、地域や勤務する施設の種類によって パンデミックの現実に変化が顕れたため、3つの場所に分けて分析した。 (1)COVID-19患者を診ている病院 (2)大都市圏 (3)地方都市・郊外 パンデミックの中で、医師は各施設や地域における医学の専門家として、異なる現実にさらされるなかで、異なる適応行動を果たしていた。
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(1)COVID-19患者を診ている病院の医師 感染症指定医療機関で勤務するF医師は、 「(感染者あるいは感染疑似者への対応)マニュアルを3月16日に作った。これだけでは上手くいかないので、アクションカードという各部門がぱっと動けるようなPDF1枚で動きを見るみたいな感じのものを作った。」 「…在庫管理を誰がやるかみたいな話を進めるとか、疑似患者が来た時のフローなど全然ちゃんとしていないのです、 だから困ってしまった。」 COVID-19患者を診る病院で働く医師は、感染症緊急モードに移行せざるを得なかった。 医学的業務だけでなく,スタッフへの具体的行動の周知、COVID-19が疑われる患者の流れや組織に蓄積してある 医療資源管理など,病院のコンテキストに合わせた様々な情報管理の方法を模索した。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
16.
(1)COVID-19患者を診ている病院の医師 神奈川の病院に勤めるH医師は、 「軽症、無症状全員入院。発熱で来た人も病棟の患者もみる。 きてみると案外中等症が、わるくなって大学病院とか、ハラハラしながらみなきゃいけない。病棟管理もはじめてみたら大変。 陰性確認のPCRもやらなきゃいけない。PPEきて5,6人、結構 手間も時間もかかる。今は基本酸素吸ってる人ばっかり。病棟も手がかかる。若い人だけでなく高齢者が多くなって、手がかかる人が多くて病棟か外来を(他の科の医師にも)やってほしい。」 4月に入ると日単位でCOVID-19の患者が多くなり、専門の医学的業務が日常に埋め込まれ、疲労が蓄積された。 一方で、初期体制の構築などに奮闘しながら、自身の業務を調整していた。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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(2)大都市圏 大阪の繁華街の診療所で働くB医師 「完全に変わったのは、3月10日から完全に空間的な分離をしよう、時間的分離をするか空間的分離にするかどうかという話になった…そこからは防護服といいますか、防護服と言っても、ゴーグルとマスクと手袋、エプロンです。」 「他のスタッフからもやはり緊張感が凄いという話が3月中に出だしていて4月は緊急事態宣言が出る前から、3人いるうちのスタッフの1人を休ませて、常に休みを多く取るようなシフトを敷いて、やっと少し緊張緩和がされてきたという感じでしょうか。」 COVID-19感染の緊急性が時間的・空間的に高まり、感染者や疑いがある患者が自施設に入る可能性に備える一方で、持続可能性のある診療システムを検討し、人を休ませたりした。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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(2)大都市圏 都内のクリニックに勤務するA医師 「(4月初旬)本格的にオンライン診療を始めようと真剣に考えています」 「(身体診察はせずに)検査重視になってしまっています。自分がやりたくないと思っていたプライマリ・ケア、今はもうそれが一周して逆にプライマリ・ケアって何かわからない。患者さんとの診察時間も短くする必要があると言われていますので、ゆっくり話を する機会はない。」 電話再診・オンライン診療のような新しいシステムの導入。 プライマリ・ケア医として、医療面接や身体診察ができない状況への適応に悩んでいた。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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(3)地方都市・郊外 3月初旬に1例目が発症した入院施設がある診療所のG医師 「3月9日の朝礼の時に、県内でも出ましたねという話をして、もう全国的な流行は避けられないだろうから、半年から2年くらいの戦いになると思います、と言って、…うちは高齢者とか、持病がある人、 特にうちは入院があるので、皆怖がっていたかなと思いますが、そこを守ることと医療者自身も守ることが大事なので、じわじわ流行することを想定していきましょう、と言いました。」 近隣でCOVID-19が一例発生することでスタッフの認識が一変した。 スタッフを守るために、専門的知識を活用し、COVID-19の発生を身近な文脈で予測し、長期戦になることの具体的準備を一緒にすることで、安心させた。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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(3)地方都市・郊外 東京との時間距離の近さから危機感を高める関東近隣のE医師 「東京が増えたらこちらは一瞬だろう。…私達は地域の医者だと思っているので、この地域で自分達が医療を提供している人達に対して、情報をこの地域ならではのというか、ここに関係のあることを発信するということが、すごく大事なのではないか。」 「…2月の終わりから毎回少しずつ勉強会を始めた。…空間分離とか時間分離とかをすることも含めて、みんなで考えようと言って。…あとは院内の掲示、熱がある人はどうする、みたいな掲示を作ったり、毎回の勉強会で話し合った。」 「住民にどうやったらこの拡大を防げるか、ということを広める。上から命令とかこうやりなさい、ということではなくて、生活の中でどういうことをやったらいいのか(を念頭にして伝えるようにした)」 COVID-19の情報を収集して共有することで感染から個人を守る、あるいは感染の伝播を防ぐといった施設や地域を守ること、スタッフとともにパンデミックについて学ぶことを進めた。 フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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フェーズ3:地域で直面したパンデミックの現実
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(1)閉ざされることの弊害 (外出が許可/制限されることで)抑うつ、不安、不眠などの症状 (運動できない/食事の偏りによる)生活習慣病の悪化 依存症や(独居)高齢者支援の不足 入院に拒否的な患者・家族/退院を希望する患者や家族「次(患者に)会えるのは、霊安室になります」 (2)新たな形のつながり 行政との協働「教育委員会との協働がありました」 (潜在化していた)つながりの再認識 オンライン診療(教育あるいは経済)などの進化 フェーズ4:変化を要される住民の生活と医療者の業務
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(3)分断の開大 役割の分断 「国の下請けを県がして、それで結構疲弊していて、市民からの声が逆に届きにくい感じ。 一生懸命やっているのに文句を言われている感じがするのでしょうか。そこが本当は同じ目標に向かっているはずなのに、 新たな分断が生まれてしまっている様な気がしていて・・・。」 「当直医に保健所からの電話を受けて記録を残しておいてほしいと依頼したところ「それ私の仕事ですか」と言われた。」 「皆、自分の専門のことをやりたいですし、コロナなんて診たくはないのが本音だと思うので、若手が嫌だと言っても、院長からは各診療科から出せと言われているので、仕方なく中間管理職の人達がやっている。」 フェーズ4:変わりゆく住民の生活と医療者の業務
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(3)分断の開大 地域の分断 「思った以上に地域差が出る疾患だということが、とても興味深い。 日本は狭くなったなと最近、ずっと思っていたのですが、… それでも 地域というものを分断していくウィルスなのだなというのを改めて感じて、だからこそ地域ごと状況に合わせて対応を変えていかない。」 「地域によって全く疾患に対するイメージが変わっていると思うので、…うちらのような少し地方都市と、全然出ていないところとで全く(COVID-19の疾患)イメージが違う、やっていることも違うのだろうなと思ってはいます」 フェーズ4:変わりゆく住民の生活と医療者の業務
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(3)分断の開大 所属による分断 「分断が進んでいる感じがするのです。東京の人と東京の人ではない人、行政の人と市民とか、線を引きやすくなってしまっている。」 「田舎ゆえに、医療機関で自分(介護士)が感染したときの罪の意識が過度に強く、医師からすると慎重過ぎる」 フェーズ4:変わりゆく住民の生活と医療者の業務
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フェーズ4:変わりゆく住民の生活と医療者の業務 (4)新たなルーチン 役割分担:「その当番の医師が診るというルールにした」 新たな役割:「精神科クリニックでPCRが始まった」 診療の場の確保:発熱外来、コンテナ、ガレージ etc 情報の集約:「ICTメンバーにC.C.で情報を流す」 治療:「酸素始めたら、治療は誰でも使えるよう電子カルテに汎用で入れた」 地域住民 動画やイラストを使った啓蒙 行政主体で実施している飲食店や保育園 での感染予防教室 場に合わせた形で予防啓発活動
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医療者が直面した現実の変遷 フェーズ1 問題の他者性 フェーズ2 地域に迫るパンデミックの現実感 フェーズ3 地域で直面した パンデミックの現実 ダイヤモンドプリンセス号の一件が、COVID-19感染伝播に対する時間的・空間的な感覚を変化させ、COVID-19が自施設や地域社会にどのように感染伝播していくのかという医師の想像力を喚起した。 今対応しなければならない不確実性に対峙し、変わりゆく医学的業務、感染伝播を防ぐための対応、スタッフや地域住民との連携に追われ、持続可能な対応も検討していた。
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フェーズ1 問題の他者性 フェーズ2 地域に迫るパンデミックの現実感 フェーズ3 地域で直面した パンデミックの現実 適応の時間・地理的コンテキストによる違い ・病院:即時の適応行動実現のために、迅速な情報共有と体制の組織化 ・都市部:時間・空間分離への適応と新しいシステムへの素早い適応 ・地域・郊外:社会的・文化的に構築された派生的不安への対応と来るべき診療への対応 COVID-19の生成像の違い 医療者が直面した現実の変遷
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フェーズ1 問題の他者性 フェーズ2 地域に迫るパンデミックの現実感 フェーズ3 地域で直面した パンデミックの現実 フェーズ4 変わりゆく住民の生活と医療者の業務 ・閉ざされることの弊害 →潜在的問題の露呈 →社会的弱者の影響 ・新たな形のつながり →停留した課題解決の加速化→つながりの再考 医療者が直面した現実の変遷 ・分断の開大 →役割・地域・所属の分断 →個人の認識の差 ・新たなルーチン →COVID診療のルーチン化 →分断や認識の差を埋める工夫
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適応する個人もいる中で、適応できない個人も顕在化した。 構造化された教育、都市化、インターネットやSNS等の急速な進化への適応により、共同体に張り巡らされた価値に操作されることに気づかず、自己判断が鈍る傾向になってきた。 思考停止が誘発するラベル化 奪われた自律性の中で批判の対象となる権威や逸脱者 構造化された知識を消費することに慣れた医療者(生活者)は環境をスキャニングすることを放棄し、観察力や洞察力の醸成を怠ってきたのでは? 変わりつつ日常への適応に奮闘する他者への 観察力や洞察力の欠如 情報の非対称性が与える心理的影響 なぜ分断は開大していくのだろうか?
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なぜ世界中/日本中で同様に広がるのか? 都市化・人間関係・ウイルスの伝播などは空間充填的に広がるネットワークとして、指数の超線形的べき乗則で拡大してきた。 社会経済活動としての発展した都市化・人間関係の拡大により、創造・イノベーション・相互作用が高まったが、一方でその 環境に魅了された私たちは、自分たちが作り上げたネットワークをウイルス伝播に利用された。 この超線型的スケーリングは想像力をはるかに超えて進化し私たちの認知に影響を与えていたのかもしれない。 第3波に直面している私たちはまた同様の経験をするのかもしれない。
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皆さんはどう考えるか? 皆さんができることはどんなことか?
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最後に 曖昧な政策の中で不確実に変動するCOVID-19の状況の中で、地域の逼迫する状況や流行状況を観察し、 情報を収集し、地域や施設の状況に合わせて伝播・ 適用を行い、適応しようと試みる医療者がいた。 一方で、自律性を奪われたかのようにみえる個人は 環境に振り回され、分断の開大に加担しているようにも映った。 共通のスケーリングで発展した都市化と人間関係が もたらした社会経済活動ネットワークは、COVID-19 伝播のパターンに影響を与えているのかもしれない。
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忙しい中インタビューに答えてくださった 10人のプライマリ・ケア医の皆様には感謝申し上げます。 COVID-19により命を奪われた多くの方々を 悼むとともに、多くの医療者がパンデミックに日々対応していることに改めて感謝します。 この場を借りて、プライマリ・ケア連合学会の理事長含め、専門医部会/災害医療システム委員会/倫理委員会にはこの研究に多大な支援を頂き、感謝を申し上げます。 謝辞