テキスト全文
低Na血症の基本と目標設定
#1.
低Na血症 聖路加国際病院
病院総合診療医 PGY4 西澤俊紀 聖路加国際病院 コアカンファレンス
シチュエーションで学ぶ輸液レッスン,
より理解を深める!体液電解質異常と輸液
Ver 3.0 (Last updated April 22, 2020)
#2. ある日のある病棟のある朝 指導医:今日のラボチェックした? 研修医:Naが133から122に下がっていた人がいました 指導医:どうする? 研修医:とりあえず、生食ですか? (Na入っているし) 指導医:・・・・・
#3. 本日の目標 低Na血症の原因のアセスメントができる
どれくらい低Na血症が進行するか・改善するか計算できる
低Na血症の補正ができる
低Na血症の鑑別アルゴリズム
#4. 鑑別のアルゴリズム European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47 低Na血症の診断 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
U-Na ≦ 30mEq/L
<有効循環血漿量低下>
細胞外液過多
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
細胞外液減少
下痢、嘔吐
3rd space喪失
利尿薬
U-Na > 30mEq/L
<ADH分泌パターン>
細胞外液減少
嘔吐
原発性副腎不全
Renal Salt Wasting
Cerobral Salt Wasting
細胞外液正常
SIAD
二次性副腎不全
甲状腺機能低下
血漿浸透圧 ≧ 280 mOsm/kg
高血糖、
マンニトール
グリセオール
パラプロテイン血症 尿浸透圧 ≦ 100 mOsm/kg
心因性多尿
溶質摂取不足 利尿薬使用や腎臓病
どちらにも
なりうる
#5. 鑑別のアルゴリズム European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47 低Na血症の診断 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
U-Na ≦ 30mEq/L
<有効循環血漿量低下>
細胞外液過多
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
細胞外液減少
下痢、嘔吐
3rd space喪失
利尿薬
U-Na > 30mEq/L
<ADH分泌パターン>
細胞外液減少
嘔吐
原発性副腎不全
Renal Salt Wasting
Cerobral Salt Wasting
細胞外液正常
SIAD
二次性副腎不全
甲状腺機能低下
血漿浸透圧 ≧ 280 mOsm/kg
高血糖、
マンニトール
グリセオール
パラプロテイン血症 尿浸透圧 ≦ 100 mOsm/kg
心因性多尿
溶質摂取不足 利尿薬使用や腎臓病
どちらにも
なりうる
血漿浸透圧で鑑別 Point! 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg
#6. 低Na血症が問題になるのは 張度の変化がある時(低張性)のみ (低張性)脳が浮腫して
痙攣や意識障害が起きる ① まず血漿浸透圧で低Na血症を鑑別 European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47
#7. 鑑別のアルゴリズム European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47 低Na血症の診断 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
U-Na ≦ 30mEq/L
<有効循環血漿量低下>
細胞外液過多
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
細胞外液減少
下痢、嘔吐
3rd space喪失
利尿薬
U-Na > 30mEq/L
<ADH分泌パターン>
細胞外液減少
嘔吐
原発性副腎不全
Renal Salt Wasting
Cerobral Salt Wasting
細胞外液正常
SIAD
二次性副腎不全
甲状腺機能低下
血漿浸透圧 ≧ 280 mOsm/kg
高血糖、
マンニトール
グリセオール
パラプロテイン血症 尿浸透圧 ≦ 100 mOsm/kg
心因性多尿
溶質摂取不足 利尿薬使用や腎臓病
どちらにも
なりうる
尿浸透圧で鑑別 Point! 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
尿浸透圧とNa濃度の関係
#8. 尿浸透圧と尿中Na濃度とは? 尿浸透圧=ADHが適切に制御されているかの指標
体が薄い(低Na血症)なら薄い尿を出すはず
尿Na濃度=ADHのみならず、RAS系も亢進しているかの指標
RAS系が亢進すると、尿中Na濃度下がる
#9. 人はどれだけ薄い尿をだせるか? 人が最大で出せる希釈尿=50mOsm/L
希釈尿を出すには溶質が必要で、
1日溶質摂取量を800mOsm/dayとすると、
最大希釈尿は16L/dayとなる
(16L以上の自由水を摂取すると低Na血症となる)
1日溶質摂取量を100mOsm/dayとすると
最大希釈尿は2L/dayとなる
(2L以上の自由水を摂取すると低Na血症となる)
#10. 用語の説明 溶質=体液の各コンパートメント間で移動が制限される溶質(effective osmoles)のこと
張度(有効浸透圧)=溶質の濃度
血漿の張度=2Na+Glu/18
尿の張度=Na+K
自由水=溶質を含まない水分 (electrolyte free water) *UNは含まれない TBW=体内の総水分量 体重の60% ICW=細胞内液 体重の40% ECW=細胞外液 体重の20%
血漿=血管内の水分 体重の5%
希釈尿と溶質摂取不足の影響
#11. Edelmanの式 暗記 細胞内液(ICW)と細胞外液(ECW)の張度(有効浸透圧:Effective-Osmolality)は等しい
(Effective ICW-Osmolality=Effective ECW Osmolality)
張度=(移動が制限される)浸透圧物質/溶液
=(ECW-Osmolyte+ICW-Osmolyte)/TBW=(2×体内総Na量+2×体内総K量)/体内水分量
=Effective ECW-Osmolality=2×[Na](血漿Na濃度)
=Effective ICW-Osmolality 血漿Na濃度=(体内総Na量+体内総K量)/体内水分量
体内総Na量+体内総K量=血漿Na濃度×体内水分量
#12. 人はどれだけ薄い尿をだせるか? 人が最大で出せる希釈尿=50mOsm/L
希釈尿を出すには溶質が必要で、
1日溶質摂取量を800mOsm/dayとすると、
最大希釈尿は16L/dayとなる
(16L以上の自由水を摂取すると低Na血症となる)
1日溶質摂取量を100mOsm/dayとすると
最大希釈尿は2L/dayとなる
(2L以上の自由水を摂取すると低Na血症となる)
#13. 水中毒や溶質摂取不足とは? 希釈尿を出すための溶質が不足している状態
補液などで負荷をすると、溶質が補充され、急速に希釈尿が出始めて、過補正になりやすい
Hypovolemiaが重なると、溶質摂取不足でも
尿浸透圧が上がったり、尿中Na濃度が低下したりするため病歴を確認!
ADH分泌パターンと低Na血症
#14. 鑑別のアルゴリズム European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47 低Na血症の診断 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
U-Na ≦ 30mEq/L
<有効循環血漿量低下>
細胞外液過多
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
細胞外液減少
下痢、嘔吐
3rd space喪失
利尿薬
U-Na > 30mEq/L
<ADH分泌パターン>
細胞外液減少
嘔吐
原発性副腎不全
Renal Salt Wasting
Cerobral Salt Wasting
細胞外液正常
SIAD
二次性副腎不全
甲状腺機能低下
血漿浸透圧 ≧ 280 mOsm/kg
高血糖、
マンニトール
グリセオール
パラプロテイン血症 尿浸透圧 ≦ 100 mOsm/kg
心因性多尿
溶質摂取不足 利尿薬使用や腎臓病
どちらにも
なりうる
尿Na濃度で鑑別 Point!
#15. 尿浸透圧と尿中Na濃度とは? 尿浸透圧=ADHが適切に制御されているかの指標
体が薄い(低Na血症)なら薄い尿を出すはず
尿Na濃度=ADHのみならず、RAS系も亢進しているかの指標
RAS系が亢進すると、尿中Na濃度下がる
#16. Na濃度を上げるホルモンは? Na濃度を直接上げるホルモンはない
しかしながら、Naは自由水(electrolyte free water)によって濃度が変化する。
自由水を調節するものは、
ADHである
(尿細管で自由水を吸収する)
#17. 低張性低Na血症では 通常、ADH分泌が抑制されて、尿浸透圧は下がる
#18. ADH分泌パターンの低張性低Na血症では ADHが不適切に分泌され、尿中Na排泄が上昇する
#19. Hypovolemia の低張性低Na血症では
Hypovolemiaにおける低Na血症
#20. Hypovolemia の低張性低Na血症では 交感神経+RAS>ADHにより
尿中Na濃度は下がる
#21. Hypovolemia の低張性低Na血症では 交感神経+RAS>ADHにより 尿中Na濃度は下がる
#22. Hypovolemia の低張性低Na血症では 一方で、ADHの分泌が勝り、尿浸透圧は上がる
#23. 鑑別のアルゴリズム European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47 低Na血症の診断 血漿浸透圧 < 280 mOsm/kg 尿浸透圧 > 100 mOsm/kg
U-Na ≦ 30mEq/L
<有効循環血漿量低下>
細胞外液過多
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
細胞外液減少
下痢、嘔吐
3rd space喪失
利尿薬
U-Na > 30mEq/L
<ADH分泌パターン>
細胞外液減少
嘔吐
原発性副腎不全
Renal Salt Wasting
Cerobral Salt Wasting
細胞外液正常
SIAD
二次性副腎不全
甲状腺機能低下
血漿浸透圧 ≧ 280 mOsm/kg
高血糖、
マンニトール
グリセオール
パラプロテイン血症 尿浸透圧 ≦ 100 mOsm/kg
心因性多尿
溶質摂取不足 利尿薬使用や腎臓病
どちらにも
なりうる
低Na血症の補正方法と注意点
#24. 本日の目標 低Na血症の原因のアセスメントができる
どれくらい低Na血症が進行するか・改善するか計算できる
低Na血症の補正ができる
#25. Naを上げるには?どっちが重要? 尿 vs 輸液 ?
#26. Naを上げるには?どっちが重要? 例えば、200mlの補液(生食)、200mlの排尿(自由水)、どちらがNa濃度を上げるか
輸液 (体重 60kg)
140=(体内の総Na+総K)/36
[Na]血漿=((体内の総Na+総K)+154*0.2)/(36+0.2)
[Na]血漿=(140*36+154*0.2)/36.2=140.077
尿 (体重 60kg)
140=(体内の総Na+総K)/36
[Na]血漿=(140*36)/(36-0.2)=140.78 もちろんどちらも量や電解質によって、重要性は変化しますが、
圧倒的に尿から排泄される自由水がNa濃度を規定する
#27. Naを1mEq/L上げるには? 自由水 と仮定した
尿が●ml 排泄されれば良い?
#28. Na 1mEq/L上げるには? Na前からNa後になるまで、X(L)自由水排泄があった。
Na前 ×TBW=Na後×(TBW-X)
体重 60kgと仮定すると(成人)
140×36=141×(36-X)
X=36/141=255ml (自由水)
体重 40kgと仮定すると(高齢者)
140×24=141×(24-X)
X=24/141=170ml (自由水)
だいたい150~250ml自由水排泄があると、Na 1mEq/L上がる
#29. (補足)自由水排泄の考え方 重要!尿の張度はNa+Kで計算でき、その値と尿量で
細胞外液(尿合計NA+K 140mEq)○L、自由水(尿合計Na+K 0mEq)○Lに分けて考える
(場合によっては −○Lが出たと考える (○Lの吸収))
#30. 低Na血症の患者に生理食塩水を入れる時 食べれる人は
1ml/kg/hourの速度で
食べられない人は
2ml/kg/hourの速度で
点滴しといてね!
Hypovolemic Hyponatremiaの補正プラン
#31. 低Na血症の患者に生理食塩水を入れる時 食べれる人は
1ml/kg/hourの速度で
食べられない人は
2ml/kg/hourの速度で
点滴しといてね! なぜ?
#32. Hypovolemic Hyponatremiaの補正プランの1例なぜ1ml/kg/hour(or 2ml/kg/hour)なのか? Na補正の上限値は1日10mEq/Lなので
1時間あたりの目標上限を仮定すると、0.4mEq/L/hour
0.9NaCL は 154mEq/L → 0.154mEq/mL
Na投与量=0.4mEq/L/hour X (0.6XBW(L))
0.154mEq/mL X Xml/hour/kg X BW(kg)
0.24/0.154 = X ml/kg/hour
X = 1.6 →だいたい2.0ml/kg/hour
もし食事が取れる場合、1日 2BWmEqのNaが経口摂取できるため、
0.4mEq/L/hour X 0.6 X BW = 0.154 X mEq/mL X X mL/kg X BW + 2BW/24
0.154 X = 0.24-0.08
X = 1.0 ml/kg/hour
#33. Hypovolemic Hyponatremiaの補正プランの1例なぜ1ml/kg/hour(or 2ml/kg/hour)なのか? Na補正の上限値は1日10mEq/Lなので
1時間あたりの目標上限を仮定すると、0.4mEq/L/hour
0.9NaCL は 154mEq/L → 0.154mEq/mL
Na投与量=0.4mEq/L/hour X (0.6XBW(L))
0.154mEq/mL X Xml/hour/kg X BW(kg)
0.24/0.154 = X ml/kg/hour
X = 1.6 →だいたい2.0ml/kg/hour
もし食事が取れる場合、1日 2BWmEqのNaが経口摂取できるため、
0.4mEq/L/hour X 0.6 X BW = 0.154 X mEq/mL X X mL/kg X BW + 2BW/24
0.154 X = 0.24-0.08
X = 1.0 ml/kg/hour
問題点①
しかし実際は、これで点滴を続けると
24時間以内に目標上限を超える時が多い なぜ?
#34. Hypovolemic Hyponatremiaの補正プランの1例なぜ1ml/kg/hour(or 2ml/kg/hour)なのか? Na補正の上限値は1日10mEq/Lなので
1時間あたりの目標上限を仮定すると、0.4mEq/L/hour
0.9NaCL は 154mEq/L → 0.154mEq/mL
Na投与量=0.4mEq/L/hour X (0.6XBW(L))
0.154mEq/mL X Xml/hour/kg X BW(kg)
0.24/0.154 = X ml/kg/hour
X = 1.6 →だいたい2.0ml/kg/hour
もし食事が取れる場合、1日 2BWmEqのNaが経口摂取できるため、
0.4mEq/L/hour X 0.6 X BW = 0.154 X mEq/mL X X mL/kg X BW + 2BW/24
0.154 X = 0.24-0.08
X = 1.0 ml/kg/hour
問題点②
生理食塩水で1ml/kg/hourでNaの補正を開始しました。とプレゼンすると
腎内の先生に怒られる。 なぜ?
#35. Hypovolemic Hyponatremiaの補正プランの1例なぜ1ml/kg/hour(or 2ml/kg/hour)なのか? Na補正の上限値は1日10mEq/Lなので
1時間あたりの目標上限を仮定すると、0.4mEq/L/hour
0.9NaCL は 154mEq/L → 0.154mEq/mL
Na投与量=0.4mEq/L/hour X (0.6XBW(L))
0.154mEq/mL X Xml/hour/kg X BW(kg)
0.24/0.154 = X ml/kg/hour
X = 1.6 →だいたい2.0ml/kg/hour
もし食事が取れる場合、1日 2BWmEqのNaが経口摂取できるため、
0.4mEq/L/hour X 0.6 X BW = 0.154 X mEq/mL X X mL/kg X BW + 2BW/24
0.154 X = 0.24-0.08
X = 1.0 ml/kg/hour
計算式はよく分かったが、現実は結構Na濃度上がるし、
プレゼンで「生食で補正開始しました」
っていうと怒られるし
何が違っているんだろうなぁ・・・
#36. Hypovolemic Hyponatremiaの補正プランの1例なぜ1ml/kg/hour(or 2ml/kg/hour)なのか? Na補正の上限値は1日10mEq/Lなので
0.4mEq/L/hour
0.9NaCL は 154mEq/L → 0.154mEq/mL
Na投与量=0.4mEq/L/hour X (0.6XBW(L))
0.154mEq/mL X Xml/hour/kg X BW(kg)
0.24/0.154 = X ml/kg/hour
X = 1.6 →2.0ml/kg/hour
もし食事が取れる場合、1日 2BWmEqのNaが経口摂取できるため、
0.4mEq/L/hour X 0.6 X BW = 0.154 X mEq/mL X X mL/kg X BW + 2BW/24
0.154 X = 0.24-0.08
X = 1.0 ml/kg/hour
重要!!!
実際は、Na濃度は上記の予想よりもかなり上がる。
それは、生食を入れることでvolumeが満ち足り
ADH分泌が抑えられる。
そして、尿中からの自由水排泄が促進する
この計算式は、
自由水排泄によるNa濃度上昇を無視している
#37. Naを上げるには?どっちが重要? 結論
「生食でNa濃度の補正を開始しました」
→間違い
「(正しくは、)生食で脱水の補正を開始しました」
低Na血症の症例とリスクファクター
#38. 本日の目標 低Na血症の原因のアセスメントができる
どれくらい低Na血症が進行するか・改善するか計算できる
低Na血症の補正ができる
#39. (すぐ補正をしないと)ヤバい低Na血症は何か? 重症・急性(≦ 48時間)の
低張性低Na血症
#40. 低Na血症が問題になるのは 張度の変化がある時(低張性)のみ (低張性)脳が浮腫して
痙攣や意識障害が起きる ① まず血漿浸透圧で低Na血症を鑑別 European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47
#41. 急性に低張性になると 急激に生じた細胞内浮腫に対して張度の干渉が不十分のため
頭痛、痙攣、意識障害などの神経学的異常が起きやすい (低張性)脳が浮腫して
痙攣や意識障害が起きる European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47
#42. 補正プラン 補正上限に達しそうな場合、5%ブドウ糖やデスモプレシンを使用する European Journal of Endocrinology (2014) 170; G1-G47
#43. 補正しすぎも注意 ODSのリスクファクター
・重度の慢性低Na血症 (Na<120mEq/L)
・アルコール依存症
・肝不全
・肝移植後
・K欠乏
・低栄養 血清Na補正後、2-6日に神経症状が出現
(構音障害、嚥下障害、対麻痺、四肢麻痺、行動障害、
運動障害、発作、嗜眠、錯乱、
見当識障害、排尿障害、および昏睡など)
部位によっては、ミオクローヌス、ジストニア、アテトーシスが出現する
MRIでも、最初の4週間は陽性にならない場合もあるため注意
Up To Date“ODS”
経口摂取不良と治療計画
#44. 症例:82歳 男性
【主訴】 経口摂取不良
【現病歴】 来院3か月前頃から食思不振、嘔気が出現した。来院当日は食事摂取は2口程度、嘔吐のエピソードもあり、当院救急外来を受診した。
【既歴】 CKD、膀胱癌、糖尿病、心筋梗塞(CABG後)、高血圧、前立腺肥大症(術後)
【来院時バイタルサイン】
意識 JCSⅠ-2, 体温 35.8℃,血圧 133/87 mmHg,
脈拍 69回・整,呼吸数 18回/分,Sat 99%
【身体所見】身長 162.0cm, 体重 37.0kg
口腔内やや乾燥,皮膚turgor低下,両側下腿浮腫なし
#45. 超音波検査:目視EF 50%程度, IVC10/6mm, 両側水腎なし ICUの血液ガス検査でもNa 125であった。(午前6時スタート)
#46. Problem list 経口摂取不良
嘔気、嘔吐
Volume depletion
Hyponatremia
AKI on CKD
膀胱癌
DM
HT
心筋梗塞(CABG後)
・・・・
#47. Assessment&Plan 経口摂取不良
嘔気、嘔吐
Volume depletion
Hyponatremia
CKD
膀胱癌
DM
HT
心筋梗塞(CABG後)
・・・・ 原因の考察+症状の評価→補正プラン 治療内容の選択 補正目標の設定
#48. Assessment & Plan #経口摂取不良
#嘔気嘔吐
#Volume depletion
#Hyponatremia (Na=125)
溶質摂取不足とVolume depletionに伴うseverly symptomatic hyponatoremiaで、発症時期不明でありchronicな経過に準じて治療を行う。生理食塩水2ml/kg/hourで脱水の補正を開始する。尿中の張度(尿中のNaとK濃度)や尿量に注意しながら、本日の介入値は133mEq/L、上限値は135mEq/Lとする。希釈尿が出れば、速やかにNa 130mEq/Lを超えるため過補正には注意する。介入値に達した場合は生理食塩水投与をoffとして5%ぶどう糖を投与する。
#AKI on CKD
#膀胱癌
#DM
#HT
#心筋梗塞(CABG後)
・・・・
#49. 細胞内液 (ICW) 細胞外液 (ECW) 体内の水分量 (TBW) Effetive ICW-Osm Effetive
ECW-Osm