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西澤俊紀

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【症例解説つき】高ナトリウム血症〜病態/鑑別/対応の流れ/注意点

  • 内科

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Award 2021
西澤俊紀

聖路加国際病院

内容

高ナトリウム血症は、初期研修医が病棟で対応することの多い病態です。原因は脱水から、細胞外液の点滴の入れ過ぎまで多岐にわたります。本スライドでは、高ナトリウム血症の病態、鑑別、対応の流れ、その注意点を解説します。

<目次>

・症例

・高Na血症の病態

・高Na血症の鑑別

・対応の流れ

・実際の経過

・他に注意すること

・まとめ

※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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内容

高ナトリウム血症は、初期研修医が病棟で対応することの多い病態です。原因は脱水から、細胞外液の点滴の入れ過ぎまで多岐にわたります。本スライドでは、高ナトリウム血症の病態、鑑別、対応の流れ、その注意点を解説します。

<目次>

・症例

・高Na血症の病態

・高Na血症の鑑別

・対応の流れ

・実際の経過

・他に注意すること

・まとめ

※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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低Na血症の鑑別

#低Na血症 #電解質 #低ナトリウム血症 #尿浸透圧 #Edelman #血漿浸透圧 #尿Na濃度 #ADH

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最終更新:2021年12月4日




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その他(298)


西澤俊紀さんのインタビュー


【症例解説つき】高ナトリウム血症〜病態/鑑別/対応の流れ/注意点

  • 1.

    高ナトリウム血症 西澤 俊紀聖路加国際病院 一般内科 病態/鑑別/対応の流れ/注意点 症例解説つき

  • 2.

    本スライドについて 高ナトリウム血症は、初期研修医が病棟で対応することの多い病態です。 原因は脱水から、細胞外液の点滴の入れ過ぎまで多岐にわたります。 本スライドでは、高ナトリウム血症の病態、鑑別、対応の流れ、その注意点を解説します。 ※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。

  • 3.

    目次 症例 高Na血症の〈病態〉 高Na血症の〈鑑別〉 対応の流れ 実際の経過 他に注意すること まとめ 3

  • 4.

    4 プロフィール 西澤 俊紀(にしざわ としのり) 聖路加国際病院 一般内科 2019年聖路加国際病院 内科初期研修修了後 2019年聖路加国際病院 総合診療後期研修開始 2020年東京医科歯科大学 総合診療医学講座 大学院生 2021年聖路加国際病院 内科チーフレジデント 聖路加国際病院 総合診療プログラムでは、伝統のある病棟管理の経験や、外来、家庭医療、救急、小児科まで幅広く勉強できます。ぜひ病院見学に来てください。

  • 5.

    症例 5

  • 6.

    症例 6

  • 7.

    高Na血症の病態 7

  • 8.

    高ナトリウム血症は、   自由水のバランス異常です。 8

  • 9.

    自由水とは英語で electrolyte free water、つまり電解質の含まれない水分です。(例えば点滴で表現すると、5%ブドウ糖) 自由水は、細胞内液と細胞外液に均等に分布します。 高ナトリウム血症は、体内Na量に比較して自由水が不足している状態です。 自由水とは? 9

  • 10.

    水分が欠乏し細胞外液の濃度が高くなると、細胞外液にNaが多く含まれるため、自由水は細胞内液から細胞外液に移動し均衡を取ろうとします。 高ナトリウム血症では、この均衡のバランスが過度になり、細胞内は脱水状態に、細胞外液はより濃くなるイメージです。 10

  • 11.

    健常者では、尿細管・集合管での自由水の保持や内因性の口渇刺激による自由水の摂取により、Na濃度を一定に保つことができます。 高Na血症になると口渇刺激が働き自由水の摂取が促されるのですが、高Na血症のほとんどの場合は自由水の摂取が自力でできない患者さんにみられます。 11

  • 12.

    高Na血症の鑑別 12

  • 13.

    13 Up To Date “Etiology and evaluation of hypernatremia inadults”

  • 14.

    14 ① Up To Date “Etiology and evaluation of hypernatremia inadults”

  • 15.

    ①塩分過多の有無の確認 15 塩分過多は、生理食塩水や炭酸水素ナトリウムの過剰投与などの医原性でよく生じます。 またNa含有量の多い抗菌薬の点滴投与などにも注意しましょう。

  • 16.

    16 ② Up To Date “Etiology and evaluation of hypernatremia inadults”

  • 17.

    ②尿量・尿濃度の確認 17 次に、尿量の減少や濃縮尿があれば、消化管、尿、皮膚からの水分喪失が原因であることがほとんどです。 

  • 18.

    18 ③ Up To Date “Etiology and evaluation of hypernatremia inadults”

  • 19.

    ③尿浸透圧による鑑別 19 原因が明らかではない高Na血症の場合、尿浸透圧で鑑別を進めることができます。 通常、高Na血症では血液が高張性になるためADHが分泌され、自由水の排泄が抑えられ、尿浸透圧が高くなります。

  • 20.

    ①尿浸透圧が 300mOsm/L 以下の場合 ADHの中枢での分泌不全(中枢性尿崩症)や腎臓での感受性の低下(腎性尿崩症)が原因です。 ②尿浸透圧が 300〜600mOsm/L の場合 浸透圧利尿や利尿薬の可能性を考えます。 20 しかし尿浸透圧が600mOsm/L より低い場合 には一般的には次のことが考えられます。

  • 21.

    冒頭の症例では... 冒頭の症例においては、細胞外液の減少があり濃縮尿を認めました。 数日間続く発熱による不感蒸泄量が多く、また自力で水分摂取ができない環境であったため、高Na血症を認めたと考えられました。 21

  • 22.

    対応の流れ 22

  • 23.

    高Na血症の対応の流れ 23 ① 自由水欠乏量を計算する ② 血漿Naを10mEq/L/日の速度で下げる際の 1日分の必要な自由水を計算する ③ 尿からの自由水排泄を計算する ④ 1日に投与する自由水を計算する ⑤ 5%ブドウ糖(自由水)で補正するときの速度を  計算する

  • 24.

    ① 自由水欠乏量を計算する この患者さんの自由水欠乏量を計算してみましょう。 自由水欠乏量(L)は下記のように計算します。 24 0.5

  • 25.

    25 今回の症例では、体重40kg、Na 160mEq/Lのため、自由水欠乏量は約3.4Lとなります。 0.5

  • 26.

    ② 1日分の必要な自由水を計算する 高Na血症を急速に補正すると、脳浮腫を起こす可能性があります。 1日あたりΔ10mEq/L程度に低下を抑えることが安全です。 26

  • 27.

    27 順調に1日10mEq/Lずつ低下すれば、140mEq/Lまで2日間かけて補正の予定を立てます。 2日間かけて140mEq/L にするために、1日分の必要な自由水は約1.7Lとなります。

  • 28.

    ③ 尿からの自由水排泄を計算する 上記は、自由水クリアランスと呼ばれます。 ※ 尿中の[Na]と[K]の濃度(尿の張度を規定する電解質)の合計から、尿を細胞外液(血漿Na)と自由水に分けて考える計算式から変形した式になります。 28

  • 29.

    29 今回の症例では、尿[Na] 30mEq/L、尿[K] 70mEq/L、尿量 25mL/hですので、0.22L/日の自由水排泄が予想されます。

  • 30.

    ④ 1日に投与する自由水を計算する 今回の症例では、1日に投与する自由水は1.7L+0.22Lで、約2Lです。 30

  • 31.

    今回、5%ブドウ糖(自由水)の補正速度は、約80mL/hになります。 ⑤ 補正するときの速度を計算する 31

  • 32.

    実際はさらに、症例ごとにvolume statusを判断し、輸液製剤を決定します。 32

  • 33.

    33 Volume depletion(脱水)を伴う高Na血症 Vitalが不安定な高Na血症 Euvolume(正常volume)の高Na血症 Volume overloadを伴う高Na血症 volume status

  • 34.

    34 Volume depletion(脱水)を伴う高Na血症 → 細胞外液と5%ブドウ糖を両方投与します。 Vitalが不安定な高Na血症 → 細胞外液の投与を優先します。 Euvolume(正常volume)の高Na血症 → 5%ブドウ糖で補正します。 Volume overloadを伴う高Na血症 → 5%ブドウ糖を投与しながら、利尿薬を投与 する場合もあります。 volume status

  • 35.

    今回の症例では、年齢/体重/心機能/脱水を考慮し、細胞外液を40mL/h、5%ブドウ糖を40mL/hで投与しました。 また低K血症を認めたため、中心静脈点滴より高濃度のK投与も追加しました。 抗菌薬はセフトリアキソンを選択しました。 冒頭の症例においては... 35

  • 36.

    実際の経過 36

  • 37.

    入院1日目は細胞外液を40mL/h、5%ブドウ糖を40mL/hで投与し、2日目は5%ブドウ糖を50mL/hで投与しました。 脱水は改善しバイタルは安定していましたが、解熱はなかなか得られていませんでした。 そして入院3日目の血液検査で、Naは157mEq/Lでした。 37

  • 38.

    今回の症例では、2日間で合計2Lの自由水を投与しました。 前述の計算式に基づくと、2日間で10mEq/Lは減少する予定でしたが… 38

  • 39.

    なぜNaは予想よりも下がらなかったのか? 39

  • 40.

    高Na血症が予想より下がらない場合、以下の可能性に注意しましょう。 ① Kを補正(負荷)している② 微熱があり不感蒸泄量がある③ 尿量や尿濃度が一定ではない 40

  • 41.

    ① Kを補正(負荷)している 体内のKが上昇した際に血漿[Na]が上昇することが知られています。 Edelmanの式というNaの計算において非常に重要な計算式から、体内のKが上昇すると血漿[Na]が上昇することがわかります。 41

  • 43.

    ② 微熱があり不感蒸泄量がある 発熱や努力性呼吸が続き、不感蒸泄量が多い場合は、体内総水分量が減少していたことも考えられます。 43

  • 44.

    ③ 尿量や尿濃度が一定ではない 今回の症例では、0.22L/日の自由水排泄が予想されていましたが、これの計算式に用いた尿中[Na]、[K]濃度、尿量は一時点のもので同じ濃度、尿量が続くとは限りません。 場合によっては自由水の排泄が予想より多かったことも考えられます。 尿量測定や蓄尿をすることで、より正確な自由水の排泄が計算できます。 44

  • 45.

    他に注意すること 45

  • 46.

    ①血ガスの電解質は誤差が大きい? Na濃度測定は、血液ガス検査と生化学検査では測定方法が異なるため、誤差が生じる可能性があります。 血液ガス検査は直接法による測定値であり、生化学検査は希釈した検体を使用した間接法による測定値です。 生化学検査のほうが血液ガス検査よりNaが高く出やすいことが知られています。 46

  • 47.

    実際のところ、Na補正ではNa濃度の変化が重要です。 血液ガス検査と生化学検査どちらで測定しても、同じ測定方法を使用して変化を比較する場合は問題になることはあまりありません。 2時間前の血液ガス検査のNaの値と、現在の生化学検査のNaの値を比べることはナンセンスです。 47

  • 48.

    ただし、ICU領域の重症患者で血清Na濃度を測定する場合、重症患者では低蛋白血症が多いため、間接法では誤差が大きくなります。 血液ガス検査(直接法)のほうがより正確であることが知られています。 48

  • 49.

    ②HHSやDKAの場合 上記の場合、浸透圧利尿から高Na血症になりやすいのですが、高血糖がある患者さんでは血漿[Na]が低く見られがちです。 血糖値が100mg/dL上昇するごとに、血漿[Na]濃度は1.6mEq/Lずつ低下します。 49

  • 50.

    HHSやDKAの場合、見かけ上血漿[Na]が正常や低値を呈している可能性があるため注意をしましょう。 高Na血症であったにもしても、HHSやDKAの場合、細胞外液が欠乏していることが多いため、細胞外液の投与を優先します。 50

  • 51.

    尿浸透圧が300mOsm/L以下の場合、ADHの中枢での分泌不全(中枢性尿崩症)や腎臓での感受性の低下(腎性尿崩症)が原因です。 尿浸透圧を測定することを忘れてしまっても尿比重の下二桁を20〜40倍した数字から尿浸透圧を概算することができます。 例えば、尿比重が1.010の場合、浸透圧が200〜400と推測できます。 ③尿崩症の対応 51

  • 52.

    中枢性尿崩症の場合、外因性ADHに反応し尿浸透圧が上昇する点で腎性尿崩症と鑑別できます。 一方で、腎性尿崩症は外因性ADHに反応しません。 尿浸透圧が300mOsm/L〜600mOsm/Lの場合、浸透圧利尿や利尿薬の可能性を考えますが、腎性尿崩症でも起こりうるそうなので注意をしましょう。 52

  • 53.

    まとめ 53

  • 54.

    まとめ 高ナトリウム血症は、初期研修医が病棟で対応することの多い病態です。 Na濃度の推移は計算することができるため、3日後の採血の時点ではNa濃度がどれくらいになるのか、ぜひ計算して普段の診療にあたってみてください。 54

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