テキスト全文
薬剤熱の定義と対象者について
#1. 薬剤熱Drug Fever 都立広尾病院
産婦人科
丸山陽介
#2. このスライドの目標 薬剤熱のメカニズムを理解する。
薬剤熱の臨床的特徴を理解する。
#3. このスライドの対象 薬剤熱のメカニズム/臨床的特徴が知りたい医療従事者 薬剤熱って結局一体なんなの? と言う方へ
薬剤熱のメカニズムの概要
#4. 目次 ① 薬剤熱の定義
② 薬剤熱のメカニズム
③ 薬剤熱の臨床的特徴
#5. 目次 ① 薬剤熱の定義
② 薬剤熱のメカニズム
③ 薬剤熱の臨床的特徴
#6. 薬剤熱とは ① 薬剤の投与を原因とする。
② その他に明らかな原因を認めない。
③ 薬剤の投与中止後に消失する。
上記3つを特徴とする発熱である。 PMID: 3565971
過敏反応のメカニズムと特徴
#7. 目次 ① 薬剤熱の定義
② 薬剤熱のメカニズム
③ 薬剤熱の臨床的特徴
#8. メカニズムは5つ ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 意外と多いな! Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#9. メカニズム ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#10. 過敏反応 最も一般的な原因である。
薬物ないしその代謝物が免疫系に作用し過敏反応を誘発する。
要するにアレルギー反応。
すべての薬剤で薬剤熱の可能性があると言わしめる原因。
Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
過敏反応の臨床例と注意点
#11. 過敏反応のTips Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#12. 過敏反応のTips 抗菌薬を使ってるときの薬剤熱を疑う状況ってどういう時だろう? Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#13. 腎盂腎炎の診断で数日前より抗菌薬による治療を開始した50歳の女性。
CTRX2.0g/dayで治療開始し2日後には解熱認めた。
しかしその4日目から再度発熱あり、同時に体幹に紅斑性丘疹も認めた。全身状態は良好、体温39.0℃、心拍数78/回、特記すべき身体所見も認めない。 過敏反応のTips
#14. 腎盂腎炎の診断で数日前より抗菌薬による治療を開始した50歳の女性。
CTRX2.0g/dayで治療開始し2日後には解熱認めた。
しかしその4日目から再度発熱あり、同時に体幹に紅斑性丘疹も認めた。全身状態は良好、体温39.0℃、心拍数78/回、特記すべき身体所見も認めない。 過敏反応のTips 皮疹の出現 比較的元気 比較的徐脈 こういう時
#15. 腎盂腎炎の診断で数日前より抗菌薬による治療を開始した50歳の女性。
CTRX2.0g/dayで治療開始し2日後には解熱認めた。
しかしその4日目から再度発熱あり、同時に体幹に紅斑性丘疹も認めた。全身状態は良好、体温39.0℃、心拍数78/回、特記すべき身体所見も認めない。 過敏反応のTips 皮疹の出現 比較的元気 比較的徐脈 抗菌薬のSwichを
特異体質反応の種類と影響
#16. メカニズム ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#17. 特異体質反応 主なものとして3つを挙げる。
① 悪性高熱症
② 悪性症候群
③ セロトニン症候群 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#18. 特異体質反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#19. メカニズム ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
薬理作用に関連した反応の解説
#20. 薬理作用に関連した反応 主なものとして2つ挙げる。
① 化学療法
② 抗菌薬によるヤーリッシュへルクスハイマー反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#21. 薬理作用に関連した反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#22. メカニズム ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
体温調節メカニズムの詳細
#23. 体温調節メカニズムとは 視床下部の体温調節中枢が体温を管理している。 発熱はIL、TNF、インターフェロンなどの内因性発熱物質の産生により生じる。 体温調節は中枢と末梢の温度感知との相互作用により熱損失、熱保存を介して行われる。 シクロオキシナーゲやプロスタグランジンE2の上昇につながり、筋肉活動、基礎代謝の増加、および血管収縮を通じて発熱を起こす。
#24. 体温調節メカニズムとは 視床下部の体温調節中枢が体温を管理している。 発熱はIL、TNF、インターフェロンなどの内因性発熱物質の産生により生じる。 通常体温調節は中枢と末梢の温度感知との相互作用により熱損失/保存により行われる。 シクロオキシナーゲやプロスタグランジンE2の上昇につながり、筋肉活動、基礎代謝の増加、および血管収縮を通じて発熱を起こす。
#25. 体温調節メカニズムとは 視床下部の体温調節中枢が体温を管理している。 発熱はIL、TNF、インターフェロンなどの内因性発熱物質の産生により生じる。 体温調節は中枢と末梢の温度感知との相互作用により熱損失、熱保存を介して行われる。 シクロオキシナーゲやプロスタグランジンE2の上昇につながり、筋肉活動、基礎代謝の増加、および血管収縮を通じて発熱を起こす。
#26. 体温調節メカニズムとは 視床下部の体温調節中枢が体温を管理している。 発熱はIL、TNF、インターフェロンなどの内因性発熱物質の産生により生じる。 体温調節は中枢と末梢の温度感知との相互作用により熱損失、熱保存を介して行われる。 シクロオキシナーゲやプロスタグランジンE2の上昇につながり、筋肉活動、基礎代謝の増加、および血管収縮を通じて発熱を起こす。
薬の投与に直接関係する反応
#27. 体温調節メカニズムの変化による発熱 主なものとして3つを挙げる。
① 甲状腺ホルモン薬
② 抗コリン作用薬
③ 交感神経刺激薬 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#28. 体温調節メカニズムの変化による発熱 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#29. メカニズム ① 過敏反応
② 特異体質反応
③ 薬理作用に関連した反応
④ 体温調節メカニズムの変化
⑤ 薬の投与に直接関係する反応 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
#30. 薬の投与に直接関係する反応 主なものとして3つを挙げる。
①インターフェロンや抗CD3抗体の投与によるIL-6の産生増大。
②ブレオマイシンやアムホテリシンBによる投与部位での炎症反応。
③エンドトキシンなどの外因性発熱物質による汚染が原因となるものもこれに含まれる。 Denis Spelman, Drug fever. Post TW, ed. Up to date. Waltham, MA: Up to date(Accessed on March 25, 2022)
薬剤熱の臨床的特徴の比較
#31. 目次 ① 薬剤熱の定義
② 薬剤熱のメカニズム
③ 薬剤熱の臨床的特徴
#33. 薬剤熱の比較3原則 ① 比較的徐脈
② 比較的元気
③ 比較的CRP低い と言われているが・・・
#34. 薬剤熱の比較3原則 ① 比較的徐脈
② 比較的元気
③ 比較的CRP低い 比較的徐脈(体温40℃で120/回未満、39℃で100/回未満)の頻度は10%程度。
(Ann Intern Med. 1987; 106: 728) 意外と少ない!
薬剤熱の原因薬剤とまとめ
#35. 薬剤熱の比較3原則 ① 比較的徐脈
② 比較的元気
③ 比較的CRP低い 悪寒戦慄を伴う例が40%報告
(Ann Intern Med. 1987; 106: 728) 意外と多い!
#36. 薬剤熱の臨床的特徴 一般社団法人東京都病院薬剤師会HP「そこが知りたい 2015年2月号」よりhttps://www.thpa.or.jp/content/magazine20150201
#37. 薬剤熱の臨床的特徴 一般社団法人東京都病院薬剤師会HP「そこが知りたい 2015年2月号」よりhttps://www.thpa.or.jp/content/magazine20150201
#38. 薬剤熱の臨床的特徴 一般社団法人東京都病院薬剤師会HP「そこが知りたい 2015年2月号」よりhttps://www.thpa.or.jp/content/magazine20150201
#40. まとめ ① 薬剤熱のメカニズムは多岐にわたる。
② 非典型的例を見逃さない、常に頭に薬剤熱の可能性を。
③ 頻用抗菌薬が薬剤熱の原因となりやすいことを忘れない。